河村まなみさん/バイオラ大学、パサデナ短期大学/ピアノ科専任講師

上野学園中学校、高校、大学でピアノを専攻し、卒業後、公立中学校教諭を3年勤める。 その後ロサンゼルス近郊にあるバイオラ大学(Biola University Conservatory of Music)を経て、 メナヘム・プレスラー氏との出会いをきっかけにインディアナ大学(Indiana University Jacobs School of Music)ピアノ演奏科修士課程へ進む。 終了後、バイオラ大学音楽学部に専任講師として戻り、現在は米国やアジアでソリスト、アンサンブル奏者として演奏活動を続けると同時に、 バイオラ大学とパサデナ短期大学(Pasadena City College)で教鞭を取り、ピアノの個人レッスン、ピアノ科対象のクラス等を受け持つ。 生徒達は大小コンクールに優勝、入賞し、インディアナ大学、イーストマン音楽学校などのメジャーの音大、大学院への進学を果たしている。 -音楽留学の経緯を教えて頂けますか? 河村先生:音大卒業後、私は公立中学校教諭として働き始めたものの、もっとピアノを勉強したいと思っていました。ある日その頃行っていた教会の牧師に、 アメリカのバイオラ大学のピアノ科主任が来るので会いに行ってはと勧められ、その教会のアメリカ人教師からバイオラ大学は米国内のクリスチャンの総合大学の中でトップクラスの学校だと聞いたので、 その先生にお会いし、レッスンを受けました。レッスンの後、スカラシップをあげるからバイオラに来たらと誘って頂いたので、仕事を辞めて留学することにしました。 バイオラ大学の教会音楽科修士課程に編入するつもりでまずは大学入学を許可され、意気揚々と留学したら、行った途端に教会音楽科の閉鎖が決まってしまい、 仕方なく英語や音楽のクラスとレッスンを取りながら、次のステップを探すことにしました。 その2ヶ月後、ボザール・トリオの演奏会に行き、ピアニストのメナヘム・プレスラー氏に感激し、「彼が私の探していた理想のピアニスト。この人に習いたい!」という思いになりました。 その後私はプレスラー先生のマスタークラスでレッスンを受けることができ、先生に習いたい旨をお話ししたところ、 自分が教えているインディアナ大学に来れば教えましょうと言って下さったので、インディアナ大学を受験することにしました。 翌年インディアナ大学大学院に合格したましたが、先生につきたい学生達が世界中から来ていてウェイティング・リストがあったため、 私は一年間別の先生方に付きながら待って、次の夏から2年間先生に教えて頂きました。 -アメリカで音楽を学ぶ良い点、苦労する点などあったら教えて下さい。 河村先生:まず良い点ですが… •アメリカには大変多くの素晴らしい先生方がいらっしゃり、個人レッスンだけでなく、サマーフェスティバルやマスタークラスなどで世界中の多くの先生から教えて頂くチャンスがあります。 私も、もしアメリカに留学していなかったらプレスラー先生に巡り会うことはなかったので、アメリカに行って本当に良かったと思っています。 •アメリカは一般的に自立心を求められますが、音楽の上でも自分で考え表現するということを強く求められるので、 日本で築いた基盤の上にその訓練ができることで、一回り大きな演奏家になれるのではないでしょうか。 •世界の殆どの場所で通じる英語を使えるようになることも、将来の仕事のためには良いことではないでしょうか。 実際私はアメリカ国内だけでなく、シンガポールやインドネシアなどでも英語でレッスンやマスタークラスをさせて頂きました。 •アメリカは大変融通が利く国なので、高校を卒業していれば年齢に関係なく短大、 大学に入学でき、いつでも専門を変えることができ、自分に合ったスケジュールで勉強できます。 苦労する点は目的によって異なるかもしれません。 •もし学位取得を目指すなら、苦労する点は英語での勉強だと思います。 まずはどの学校を受験するにしてもTOEFL等の英語試験で規定以上の点数が必要になります。 大学から入ると一般教養も英語になりますから幅広い英語力が求められ、大学院から入ると音楽の授業だけですが、深い分析力と読み書きの力が求められます。 •ディプロマや演奏証書などの取得の場合は、学校によって違うものの、必須科目のクラスが少なくなり、 英語力の必要度は下がります。その代わり演奏会の回数が増える等の別の課題が増えます。 •サマーフェスティバルなどに参加する場合は以上のような規定はほぼありませんが、 英会話力が高ければ、それだけレッスンでの実りが多いと思います。 -アメリカに音楽留学することで最も重要なことはなんでしょうか? 河村先生:アメリカは学費が高いと思われがちですが、多くの音大、音楽学部はオーディション(受験の実技)の成績によって奨学金(返済なし)を出しますし、 最近はその額が上昇しています。また学校によっては学業成績による奨学金、留学生向けの奨学金などもあります。 私の生徒達も大学、大学院進学のどちらの場合も殆どが奨学金を頂き、中には授業料のほぼ全額を頂いた場合もあります。 また助手、伴奏者として働くポジションもあります。私の場合はインディアナ大学で助手として働かせて頂き、授業料は全額免除で、毎月アパートの家賃がカバーできるくらいのお給料を頂きました。 日本の学生さんは大変優秀な方達が大勢いらっしゃるので、奨学金を頂けるチャンスは大いにあるはずです。 しっかり準備をすれば難しいことではありません。具体的にどのような準備をすれば良いか、目的毎に以下に思いつくことを挙げてみました。 学士号、修士号、博士号取得を目的とする場合 •まずは英語の勉強をすること。TOEFLの勉強をしっかりして合格点以上を目指して下さい。 •同時にもちろん実技を磨きますが、志望校のオーディションの課題曲、受験の一次、二次審査の方法などを確認し、それに沿ったレパートリーを作っていきます。 学校によって課題曲や持ち時間などがだいぶ違うので、しっかりリサーチし、効果的な選曲をします。 また、最近では一次審査に録画を送ることが多いので、なるべく良い録画を提出するために計画的に準備する必要があります。 (録画の質によって合否は左右されます。) また2次試験に進めたら、録画よりライブ・オーディションをお勧めします。 私の生徒達が大学院を目指す場合は、2年くらいかけて、レパートリー作りから演奏会、マスタークラス、コンクール等を利用して演奏の経験を積み上げて準備します。 •志望校の決め方ですが、私は自分と自分の生徒達の経験から、学校よりはまず先生を選ぶことを心がけて指導しています。 どんなに有名な学校に入っても、合わない先生に教わってしまうと時間と労力の無駄になってしまうことがあるからです。 ですので、だいぶ早いうちから目指す先生に連絡を取ったり、マスタークラス、サマーフェスティバル等に参加して教えて頂いたりして、先生との相性を確認できるようにします。 そして、その先生が教えておられる学校を志望校とします。 ディプロマや演奏証書(Artist Diploma, Performance Certificateなど)取得を目的とする場合 •オーディションの規定によってレパートリーを準備する(上記参照) •TOEFLなどの英語の試験の有無、合格点等を調べて対応する。 •入学後のディプロマ取得に必要なクラスや演奏会などが自分に合っているか把握する。 •奨学金の有無を調べる。 短大から始める場合 •いきなり大学に入るのは不安なので少し簡単なところから始めてみたい、という方には州立短大(junior college)も良いかもしれません。 大学音楽学部1〜2年の音楽のクラスや一般教養を大学よりやや易しいレベルで終わらせ、大学に編入することができます。 •学費は大学より安いですが、殆どの場合奨学金はありません。音楽の留学生は大学から奨学金をもらうと短大より安くなる場合があります。 •学校によって個人レッスンの質とレベルにかなりのばらつきがありますので、注意が必要です。 •TOEFL等の英語試験、オーディションの方法などは学校によって違います。 サマーフェスティバル等に参加する場合 •有名な大規模フェスティバルだけでなく、高校生や大学生が参加しやすい中規模のフェスティバルも沢山あります。 先生方との出会い、英語でのレッスンなどを経験できて、本格的な留学を考える機会とできるでしょう。 •申し込み締切日、オーディションの規定、参加費等を調べる。(フェスティバルによっては前年の11月頃締め切りということもあります。) •フェスティバル内のコンクールに参加できるか調べる。 (多くのフェスティバルはコンチェルト・コンクールがあり、選ばれればオーケストラと一緒に演奏できます。曲目の規定や申し込み方法等、よく調べてください。) -海外で、特にアメリカで仕事をするにあたって、日本人が有利な点、不利な点というのはありますか? 河村先生:ロサンゼルスは人種のるつぼなので、人種による違いはあまり感じたことがありません。 -今後の音楽的な夢、目標などございましたら、聞かせていただけますか? 河村先生:今まで自分の仕事をこなしていくことで精一杯でしたが、さらに邁進していくと同時に、 今まで30年間積み上げてきた経験などを後輩の先生方や日本の学生さんを助けるために使えたらと思います。 -アメリカでプロの音楽家として活躍する秘訣、成功する条件はあるとお考えですか? 河村先生:アメリカでは、自分が所属する所に、自分が必要な人間なのだということを常に認め続けてもらう努力が必要だと思います。 そのためには自分の持ち味を発揮するように心がけることでしょうか。 自分の強みを自覚し、それを用いて小さい成功や貢献を積み重ねていくことが、息長く仕事していくコツかもしれません。 また日米の様々な違いを理解していると心の葛藤が起きづらいかもしれません。 例えば日本は新しいことを始めるのに時間をかけて完璧に準備してから動き出しますが、アメリカはとにかく始めてみて上手くいかない所を随時変えていく。 また日本は量より質、アメリカは質より量という傾向がある。日本は前例を重んじるが、アメリカは新しいアイデアが好き。 そして日本は失敗しないように気をつけるが、アメリカは尻込みしないように気をつける、などです。 もちろん勤勉で責任感があり、協力的であることはどこにいても重要です。 -海外で勉強したいと考えている読者にアドバイスをお願いします。 しっかりリサーチをして計画的に準備すれば留学は難しくないと思います。 良い準備をすればそれだけ成果が得られるはずです。ただ漠然と来てしまうと失敗する事もあるので気をつけて下さい。 -貴重なお話しをどうもありがとうございました。

若林七海さん/バークリー音楽大学サマーコース

-まず簡単な自己紹介、現在までの略歴を教えてください。 若林様:4歳からピアノを始めました。音大を卒業し、今は教員として子供たちに音楽を教えています。 -今まで講習会などに参加したことはありますか?海外に行かれたことはありますか? 若林様:この講習会が初めてで、同時に海外に行くのも初めてでした。 -この講習会に行きたいと思った理由やきっかけはなんでしょうか? 若林様:学生時代にクラシックを勉強する傍らでジャズに興味を持ち、独学で勉強していました。 また、1度外国に行ってみたかったのと、ただ旅行して終わらすのではなくせっかくなのでジャズを習いたいと思ったのがきっかけでした。 -参加者は、どのくらいの人数がいましたか?また、どんな人が参加していましたか? 若林様:たくさんの受講者が世界中から集まっていました。特にアジアから来た人が多かったと思います。 -講習会はどんなスケジュールが組まれていましたか? 若林様:授業は実技レッスンをはじめ、音楽理論やソルフェージュ、即興の授業もありました。 その他にもゲストを招いての演奏会やセッションなど、色々な人と関われる機会が多くありました。 -先生はどんな人でしたか?スタッフはどんな人でしたか?何名くらい居ましたか? 若林様:バークリーで教えている先生がそのまま授業をしてくださいます。 -レッスンでは、どんなことを教わりましたか?教わったことで、印象に残っていることはありますか? 若林様:最初に初心者であることを伝えたら基礎基本を丁寧に教えてもらいました。 -レッスンは何語で受けましたか? 若林様:英語です。しかし、自分の英語力が低かったばかりにご迷惑をおかけしてしまいましたが… -レッスンの最後には、コンサートや閉会セレモニーなどがありましたか? 若林様:アンサンブルクラスで演奏する機会がありました。 また、バークリーの先生と現役の学生がコンサートをやっており、そのパワーに終始圧倒されました。 -講習会中に、人前で演奏する機会(コンサートやコンクールなど)はありましたか? 若林様:セッションの時間がありました。こちらも参加者は多かったです。 -練習はどこでしたのですか?どのくらい練習出来ましたか? 若林様:2つの建物に練習室があり、予約が無ければずっと使っていられました。 しかし、いつも大半埋まっていましたが… -レッスン以外の時間は何をしていましたか? 若林様:練習と、授業の予習復習に大半を費やしました。英語を調べながら、持って行った理論の本と見比べていました。 -街のようすはいかがでしたか?(治安、人々の様子、外観など) 若林様:過ごしやすい環境でした。近くに公園やお店が多く、散策もできました。 -どこか遊びに行ったところはありますか? 若林様:学校の周辺や近くの広場で開催される音楽イベントに行きました。 その時一緒だった日本人の方に誘われてタングルウッドにも行きました。小澤征爾が好きで、小さいころテレビで見たセイジオザワホールを実際に見ることが出来ました。 その日の夜は、「ジョン・ウィリアムス フィルムナイト」を見て、これまた大好きな映画の音楽を本人の指揮で聴けたので大満足でした。 -宿泊先はどこに泊まりましたか?対応はどうでしたか? 若林様:ホームステイでした。ホストファミリーの方が電車の乗り方など色々教えてくださいました。 -宿泊先の設備はいかがでしたか?(部屋人数、空調、トイレ・風呂、洗濯方法、TVなど) 若林様:整っていたので、不足は感じませんでした。しかし、ホームステイの人が多かったのでお風呂は翌朝の5時に入っていましたが。 -ルームメイトや同じ施設に泊まっている人は、どんな人でしたか? 若林様:同じ日本人留学生でした。語学留学の人が多かったです。 -宿泊先と講習会場はどのように移動しましたか? 若林様:電車移動でした。使い方は教わっていましたので大丈夫でしたが、初日に遅延で急にバスに乗らなくてはいけなくなった時はとても焦りました。 -ごはんは何を食べましたか?お口には合いましたか?外食は1食何円ぐらいでしたか? 若林様:朝晩は作ってくれましたが、昼は学食や周辺のお店に行きました。日本で外食するときと同じように1000円前後で食べられるよう工夫しました。 -海外の人達とうまく付き合うコツはありましたか? 若林様:共通点があると付き合いやすいと思います。僕の場合は音楽と日本のアニメでした。 -留学中に、困ったことなどはありますか? 若林様:学校や駅の掲示板の見方が分からなかったので、人に聞きながら教室を探しました。 -今回講習会に参加して良かったと思える瞬間はありましたか? 若林様:先生や学生とのコミュニケーションを通して現地の環境がわかりました。 また、先生方の個性的な授業アイデアは、人に教える立場になった身として非常に参考になります。 -留学して、何か自分が変わったなとか成長したなと思う事はありますか? 若林様:それまでと違う環境に身を置いて、それまで以上に見分が広がったと思います。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください。 若林様:生活環境は大きく違いは無いと思いますが、日本と同じ感覚で行かない方が良いです。 例えば電車の時刻表はなく「あと何分」という表示でした。定刻で動いているとも限りません。 -今後留学する人にアドバイスしておきたいことなどありますか? 若林様:目的を明確に持てば大丈夫だと思います。事前準備をしっかりしておけば問題ありません。 分からないことは些細なことでも聞いた方が良いと思います。 -留学前にしっかりやっておいた方がいい事は何かありますか? 若林様:語学でしょうか。日本の学校や英会話で習うような英語とアカデミックな英語は違いました。 僕自身がそれで一番失敗でした。 -今後の活動は?進路などありましたら教えてください。 若林様:今は人を育てる立場になっていますが、自分が学びたいことには遠慮せず、機会を見つけて留学をしたいと思っています。 その時にはまたこちらでお世話になりたいと思っています

旅行条件書など

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H.K様/ギルドホール音楽院、ライプツィヒ音楽大学、トロント王立音楽院

-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験 は? 何歳からなさっていましたか? H.Kさん:4才からピアノを始め、地元の高校の音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部ピアノ学科に入学しました。大学卒業後渡英し、英国ギルドホール音楽演劇大学で修士課程を修了しました。 その後、ドイツライプツィヒ音楽演劇大学で大学院課程を修了し、カナダトロント王立音楽院のフェローシップコースを経て、再びドイツに戻りました。それ以来、約7年間ドイツの国立音楽学校でピアノ講師をしております。 -留学したきっかけを教えてください。 H.Kさん:子供の頃から、外国にとても興味がありました。クラシック音楽をより深く学ぶためにも、その音楽が生まれた土地で生活をすることはとても重要だと考えました。 -どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また、決め手になった点はなんでしょうか? H.Kさん:ギルドホール音楽演劇大学は、大学の同じ門下の先輩が彼女の先生を紹介して下さり、その先生のレッスンを数回受けさせて頂く機会がありました。 先生のもとで学びたいと思い、受験する運びとなりました。 ライプツィヒ音楽演劇大学は、先生の評判を聞き、一度レッスンを受けてみたいと思い、先生に直接連絡を取りました。 Vorspielをお願いし、ご縁があって勉強させて頂くことになりました。 トロント王立音楽院は、過去に2回参加させて頂いた、ドイツで行われたマスタークラスでお世話になった先生のご配慮で、研鑽を積ませて頂ける運びとなりました。 -どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか? また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。 H.Kさん:指定された出願書類を印刷し、それに直筆で記入しました。念の為、知り合いにダブルチェックしてもらいました。 課題曲はバロックから近現代までの曲を準備し、それぞれ区切りのいいところでストップされます。 自分のカラーを短い時間でなるべく出せるように、選曲はとても重要だと思います。 -手続きで苦労した点はなにかありますか? H.Kさん:ビザ申請、銀行口座開設、インターネット、保険、アパートなど初めにやらなければならないことは国によっても色々異なるので初めは大変でした。 -留学準備はどのくらい前から始めましたか? H.Kさん:日本から渡英するための準備は、大学3年生から少しずつ始めていたので約2年間です。 それ以降の留学は同じヨーロッパ圏内、または既に海外にいたため、試験の曲の準備がメインでした。 -学費はどう捻出しましたか? H.Kさん:英国は、少し奨学金が出ましたが、両親のサポートがありました。 ドイツは、私が勉強していた当初の学費は無料でした。ドイツの州政府の奨学金を頂き、生活費が免除でした。 カナダは、学校のスポンサーより奨学金を頂き、学費、生活費ともに免除でした。 -語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか? H.Kさん:英語は子供の頃から好きで、英会話教室に通っていました。 学校の夏休みなどを利用して、英語圏に数回短期留学をしていました。 現地に身を置くことで学べることも沢山あるので、現地の語学学校に行かれるのはとても良い事だと思います。 ドイツ語は、大学時代専攻していたのですが、全くしゃべることができず、ドイツに移り次第語学学校に通いました。 -学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか? H.Kさん:ギルドホールは学校内が非常に明るく、とても楽しかったです。 周りの人たちも学生寮に入っていたので、気心知れた仲間が多かったです。 練習室のピアノの数はあまり多くなく、良いピアノばかりではないため、少し苦労することもありました。 しかし、寮から学校まで近かったため、数回に分けて練習室を待ったりすることも可能でした。 俳優オーランド・ブルーム、ユアン・マクレガーなどを排出している演劇科も同じ建物内にあり、演劇科の人達と話す機会やコラボの授業などもあり、とても視野が広がりました。 ライプツィヒ音大は、メンデルスゾーンやシューマンが教鞭をとった歴史を感じさせる、非常に重厚感漂う雰囲気があります。 練習室待ちの学生は受付近辺に集まり、そこで新しい友達に出会ったりもします。 練習室の数はそれなりに多く、ピアノの質も高い部屋が多いです。 クラシック音楽の深みを肌で感じながら、集中して自分磨きができる環境だと思います。 個人的にはこの学校での研鑽が、今の自分の大半を締めていると思っています。 トロント王立音学院は、カナダということもあり、皆が本当に温かくてフレンドリーな印象です。 困ったことがあれば、必ず誰かが手を差し伸べてくれるというような感じです。 練習室の数も多く、モダンな造りで、全てのピアノが非常にいいコンディションです。 学生にとっては贅沢な環境と言っても過言ではないでしょう。 コンサートホールが学校に直結されており、世界の著名な音楽家の方々のコンサートが無料で聴けるなど、インスピレーション溢れる日々でした。 -日本人はどのくらいいますか? H.Kさん:ギルドホールは、4人程度でした。 ライプツィヒ音大は、入学した当初は5人程度でした。 トロント王立音楽院は日本人は私1人でした。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください H.Kさん:先生方とのコミュニケーションの仕方が違います。 同僚のように接して下さる状況が多いように思います。 特にドイツにおいては、生活習慣の中にクラシック音楽が根付いています。 クラシック音楽とキリスト教との深いつながりも日々実感します。 -学校の授業はどのように進められますか? 日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら教えてください。 H.Kさん:他の学生達や先生方とのディスカッションをする授業が日本に比べて遥かに多いと思います。 周りと意見が異なっても、自分の意見をしっかり持ち、それを皆と共有できるように心がける事は重要だと思います。 -日ごろ練習はどのようにしていますか? H.Kさん:学校の練習室で主に練習していました。 卒業後は自宅のピアノで練習もしますが、思い切り練習したい時は、練習室を有料で借りています。 -学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? H.Kさん:はい。学校にもよりますが、音大生によるコンサートなど多々企画されます。 -1日の大体のスケジュールを教えてください H.Kさん:ロンドンの修士課程は、1年での修了を選択したため、毎日びっちりでした。 講義、授業を受け、ほぼ毎日エッセイを提出し、一週間に一回実技のレッスン、その間に弾き合い会もありました。 夜は練習といった感じでした。 ドイツでの課程は授業もありましたが、実技がメインだったため、そちらに集中することができました。 また、副科ピアノの生徒を毎週数人レッスンする義務があり、彼らの中間試験や期末試験に向けての準備がありました。 トロントでは、演奏する機会が多く、実技がメインで、コンサートやマスタークラスに向けて練習の毎日でした。 -現地の音楽業界へのツテはできますか? H.Kさん:先生方との繋がりにもよると思いますが、ツテはあまりできないと思います。 これに関しては、自分で働きかけるしかない印象です。 -周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか? 例えばどのような点が違うと思いますか? H.Kさん:自分の意見をしっかり持ち、先生とも意見交換をできる事が重要だと思います。 ドイツの学生はそこまで言ってしまっても大丈夫なのかと思うほど、自分の意見をぶつけて来ることが多々あります。 そのような社会で対等に生きていくためにも積極性はとても重要です。 -授業以外はどのように過ごされていますか? H.Kさん:自然が綺麗なところに散歩に行ったり、コンサートを聴きにいったり、映画を観たり、友人たちと食事したりなどでした。 -日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか? H.Kさん:誰とでも真摯に接することで、互いの信頼を築けると思います。 -生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか? H.Kさん:ロンドンは10年以上前の当初でも、寮の滞在費を入れて15万円位でした。 ライプツィヒは8万円程度で生活は可能だと思います。 学生寮やフラットシェアにすればもっと安く生活できるかもしれません。 トロントは15万円位は最低でもかかります。 -留学してよかったと思える瞬間は? H.Kさん:色々な価値観を学び、自分の視野が広がったことを実感した時です。 -留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか? H.Kさん:難しい状況、場面において臨機応変に対応することができるようになったことと、音楽の深みを前よりも理解できるようになったことです。 -今後はどのような進路を考えていますか? H.Kさん:今までの経験を活かし、人のためになることをしていきたいです。 -これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。 H.Kさん:慎重に考えすぎず、やるだけやってみるという思い切りの気持ちは必要だと思います。

上野紗奈さん/ドイツ・ニュルンベルク音楽大学クリストフ・ブラウン教授門下

大阪府出身。中学校入学、吹奏楽部入部とともにトランペットを始め、高校1 年生の時より早坂宏明氏に師事。高校卒業後、相愛大学音楽学部トランペット専攻生となり、引き続き早坂宏明氏のもとで学ぶ。在学中、卒業後も含めAndré Henry 氏のレッスンを複数回受講。その他、Thomas Hooten氏の公開レッスン及びアカデミーを受講。2015 年に、第20 回KOBE 国際音楽コンクール金管楽器C 部門にて最優秀賞並びに兵庫県知事賞を受賞。同大会ガラコンサートに出演。相愛大学卒業時、学生部長賞受賞、卒業演奏会学内公演に出演。関西トランペット協会新人演奏会に出演。 約2 年間のフリーランス生活を終え、2017 年に渡独。1 年間ハンブルクにあるHamburg Konservatorium に在学し、Jan-Christoph Semmler 氏のレッスンを受講。その後同じく北ドイツのリューベックに移り、1 年間Matthias Krebber 氏のレッスンを受講。2019 年秋よりニュルンベルク音楽大学大学院に在学し、Christoph Braun 教授のもとで学ぶ。2021 年夏卒業予定。 -まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。 留学するまでの音楽経験は?何歳からなさっていましたか? 上野さん:中学校に入ると同時に吹奏楽部に入部し、トランペットを選んだのが始まりです。 高校卒業まで部活動を続け、そのあと相愛大学音楽学部に入学しました。 卒業後2 年ほどフリーランスとして色々なところで経験を積ませていただいたのちドイツに留学して、今4 年目になります。 -留学したきっかけを教えてください。 上野さん:大学を卒業してから色々なところで様々な曲を吹かせていただくにあたり、まだ自分に足りないところがたくさんあることに気づきました。 また、せっかく勉強を続けるならば、一度クラシック音楽の本場ヨーロッパに行きたいと思ったことがきっかけです。 大学に入った時から漠然と留学したいとは思っていましたが、その当時は単にヨーロッパへの憧れが強かった部分が大きく、本格的に考えだしたのは大学卒業後です。 -どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。 また、決め手になった点はなんでしょうか? 上野さん:やはり受験をするにあたって一番大切になるのは先生とのコンタクトだと思うので、色んな先生に連絡をとって、演奏を聴いていただいたり、レッスンをしていただくということをしていました。 その中で今の先生と学校の雰囲気がとても自分に合うと思い、先生にその旨を伝えた上で受験にのぞみました。 とはいえまずはどこかの大学院に入学し、ドイツに残って勉強を続けることが一番の難関であり目標だったので、他にもいくつかの学校を受験しました。 その中で今の学校に合格できたことは本当に嬉しかったです。 色んな国から一つや二つの席を狙ってたくさんの受験生が集まるので、「ここで勉強したい」という意志や熱意を伝えることも大切だと教わりました。 -どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?また、試験の思い出、苦労話などがありましたら、教えてください。 上野さん:私の場合受験で大変だと感じたのは、長時間の移動やホテル宿泊をしながら、慣れない土地で、絶えない緊張感の中で気持ちを落ち着けて試験に向けて集中することでした。 それを緩和するためにも事前に学校を訪れ、先生とお会いしておくことはとても大切でしたし、やはり初めて行く場所は勝手が分からず余計な緊張感を持ってしまって、試験に影響が出たのが残念でした。 ドイツの鉄道は遅延や運転取りやめがかなり頻繁に起きるので、前日入りなどをしてなるべく落ち着いた状態で試験にのぞむことをおすすめします。 -手続きで苦労した点はなにかありますか? 上野さん:留学したての時は右も左も分からない状態だったので、住民登録や携帯電話の契約、ビザの取得などすべてにおいて少し苦労しました。 市役所や外人局の職員さんは、人によって言うことが変わったりすることも珍しくないです。 どれも生活にかかわる大切な手続きなので、もし語学に不安がある方でドイツ語や英語ができるお知り合いの方がいる場合は、助けてもらうのが確実だと思います。 -留学準備はどのくらい前から始めましたか? 上野さん:私はわりと突然チャンスが到来して留学を決めたので、きちんと準備を始めたのは数か月前からだったと思います。 出発直前までなにかとバタバタし、日本での手続きや荷物の郵送などに追われていました。 -学費はどう捻出しましたか? 上野さん:はじめの2 年間はほとんどすべて両親に援助してもらっていました。 本当に突然決めた留学で、そのために貯金をしていたというわけでもなかったので、両親には頭が上がりません。 大学院に籍を置くことができて落ち着いてから今に至るまでは、子供たちへのレッスンで学費や生活費を稼いでいます。 今はコロナの影響でそれも難しいですが…留学生にもレストランでのアルバイトやレッスン講師など、お金を稼ぐ方法があるのはありがたいです。 -語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか? 上野さん:私はお恥ずかしながら挨拶くらいしかできない状態で渡独しました。 今思えばなんて勇気のある…と思う行動でしたが、優しい方々に恵まれたおかげで大きな問題は起きなかったように思います。 1 年半の間週3 回語学学校に通い、受験に必要なB2 レベルを取得しました。 とはいえ、語学ができるほうがすぐにレッスンもスムーズに受けられますし、生活にも困りませんし、独学でもなるべく事前に勉強していくべきだったなと心から思います。 -学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか? 上野さん:学校は比較的新しいので、伝統ある歴史あるというよりは、みんなが新しいことを取り入れながら自由に学んでいるという印象を受けます。 コロナの影響で今は静かで寂しいですが、コロナ以前は中庭や食堂で色んなジャンルのコンサートをしていたり、コロナ禍でもクリスマスは毎週SNSに学生が演奏したものがアップされていました。 つい最近では、街のいたるところで様々な専攻の学生がゲリラ公演のようなものをおこなってSNS に投稿するなど、そういう取り組みをおこなっているおかげで、学生にも人前で演奏する機会が与えられる上に、街の人にも喜んでいただけています。 とてもアットホームな雰囲気の中で勉強しています。 -日本人はどのくらいいますか? 上野さん:弦楽器が一番多いと思いますが、それでも10 人はいないくらいで、管楽器となると私が把握している分でも4,5人ほどです。 ピアノ科や声楽科も数人ずつだと思います。 同じアジア圏でも日本人は、中国や韓国から来ている学生に比べると格段に少ない印象です。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください。 上野さん:生活面の違いで言うと、人と人との距離感です。 見知らぬ人同士の挨拶や雑談、助け合いなどが日本よりも多く、街中で助けられること、逆にすすんで人を助けることも留学前に比べて多くなりました。 日本の人が優しくないわけではなく、色んなことを考えすぎてしまう、気をつかいすぎてしまうのに比べて、ドイツの人は拒否されたり遠慮されることを恐れることなく、行動が先にでているというイメージです。 学校で一番違いを感じるのは、毎週あるクラスでの小さい発表会の授業です。 今は人数を半分に分けておこなっていますが、毎週ソロの曲やエチュードなど、何でも好きな曲をトランペットクラスの生徒と先生の前で演奏し、各自コメントをもらう機会が与えられています。 そこでは褒めるだけではなく、直すべきところ、音程の高低、自分では気づかないくらい細かいところまで指摘してもらえるので、とても良い機会になっています。 もちろん逆に他の生徒にコメントをするときは、正直に良い点も直すべき点も遠慮なく言うようにしています。 -学校の授業はどのように進められていますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。 上野さん:個人レッスンは日本と大きな差はありませんが、とにかく自分が今まで学んできた奏法や音楽性を自信をもって演奏することが、実りあるレッスンに繋がると思います。 私は特に最初の頃は控えめで受け身だったので、先生から「もっと自分を出しなさい」とよく言われました。 そうしないと、自分の持っている個性が出ないからです。 改めるべき点は指摘してくれますし、恐れずに表現することが大切だと日々実感しています。 日本で準備できることとすれば、とにかく自分が勉強したい曲やエチュードを、レッスンに持っていける状態にまで練習しておくことだと思います。 いつも同じ曲ばかりというのは折角の機会がもったいないですし、どの曲を吹いているときに自分の悪い癖や良いところが出るか分からないので、そのためにも先生に聴いていただく曲の選択肢が多いほうが良いかなと私は思います。 -先生はどうやって決めましたか? 上野さん:どの先生方も素晴らしいトランペッターだということは大前提として、その先生の演奏が好きなのか、レッスンの仕方が好きなのかをしっかりと考え、どの学校を受験するか決めました。 感覚的におっしゃる先生、緻密な練習方法を教えてくださる先生、とにかくお手本を聴かせてくださる先生。 どのレッスン方法が自分に合うかは、実際にレッスンを受けてみないと分からなかったので、とにかくお会いしてみることが大切だったと思います。 -日ごろ練習はどのようにしていますか? 上野さん: 今住んでいる家は楽器を吹くことができないので、学校で練習しています。 今はコロナの影響で練習時間が限られているので、学校の近くの教会で練習できるように先生がお世話してくださいました。 コロナが流行りだした当初は練習場所の問題で日本に帰ることも考えましたが、学校の開閉が週によって変わったりするので、ドイツに残れるようにしていただいて本当に良かったと思います。 -学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? 上野さん:2 回ほど街の中心で他の金管楽器の学生と演奏をしたり、クリスマスにはクリスマスマーケットで演奏する機会がありました。 学校行事としても、学外のホールでのオーケストラ公演やオペラ公演があります。 現在はほとんど演奏会はありませんが、すこしずつ教会の礼拝で演奏する機会が設けられています。 コロナがなければ、学内外で年間たくさんの演奏会が行われていると思います。 -1 日の大体のスケジュールを教えてください。 上野さん:授業は大体いつも午前中で終わります。 9:00~13:00 の間に日によって違いますが、個人レッスン・伴奏レッスン・アンサンブルレッスンなどがあります。 なので朝8:00 や9:00 に学校に行ってウォームアップをします。 午後はアンサンブルの練習があったり、何もない日で練習場所が確保できるときは個人練習をし、夕方頃にはたいてい家にいます。 あとは自由時間なので、今は卒業演奏会の準備をしていることが多いです。 -現地の音楽業界へのツテはできますか? 上野さん:演奏の機会については、先生からクラスに一斉にインフォメーションがあったり、個人的にいただくことがあります。 プロの方と知り合う一番の道は、オーディションを受けてオーケストラのアカデミーに所属することだと思いますが、年齢制限があったり、招待されないとオーディションを受けられないなどの壁があります。 -周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか? 上野さん:一番違いを感じるのは先生との距離感です。 日本で勉強していた時は、私にとって先生は絶対的な存在で、すべてを吸収しようと受け身になっていたのですが、ドイツに来てからは…私はまだそこまではできませんが、他の生徒は受け入れられない意見や指摘、音楽性の違いは飲み込まずに議論しますし、私も自分から積極的に質問したり先生と話し合う機会が増えました。 ただ「どうしたらいいでしょうか」と待って、教えていただいたことを真似するのではなく、「私はこう思うので、一度聴いてください」と演奏してみて指摘をいただくという形です。 以前に比べると、主体性が出てきたかなと思います。 -授業以外はどのように過ごされていますか? 上野さん:今は難しいですが、思いつきで友達とカフェに行ったり買い物をしたり、一緒にご飯を食べることが好きでした。 今は近所の大きな公園や市内をただぼーっとしながら散歩することがストレス発散になっています。 あとはお菓子を焼いたり、運動したり、映画を観たり…バチが当たりそうなくらい悠々自適に過ごしています。 -日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか? 上野さん:コツははっきりとは分かりませんが、とにかくみんな拙いドイツ語でも話を聞いてくれるので、怖がらず自分から話すことが大切だと思います。 遠慮のしすぎはよくないと私はよく言われます。 -宿泊先はどのようにみつけましたか? 上野さん:私はいつも家賃を低価におさえるためにシェアハウスを選んでいるので、同居人になる人との相性が大切になってきます。 家賃をあまり気にしなくてもいいなら、少し高めの学生アパートなどは出入りが激しいので比較的すぐに空きが見つかります。 しかし、色々な条件に合う住居を探すとなると、かなり苦労します。 ドイツ人にとっても、ドイツでの家探しは簡単ではないそうです。 シェアハウスの場合も、募集がかかった途端にひとつの枠に10~20 人殺到します。 見学の際に、自分が綺麗好きで、フレンドリーで、日本人だけれどコミュニケーションにも困らないですとアピールするのに必死でした…。 住居を見つけるサイトはいくつかあってとても便利ですが、たまに詐欺物件なども紛れているので、十分注意してください。 -生活費はだいたい1 か月いくらぐらいかかりますか? 上野さん:私の場合家賃は約300€、毎月払う保険料が100€、その他食材の買い出しのための出費が週に一回10~20€なので、臨時の出費がなければ大体月500€未満くらいだと思います。 家賃が光熱費諸々すべて込みでこの安さにおさえられていることに助けられています。そこはシェアハウスの利点です。 -留学してよかったと思える瞬間は? 上野さん:やはり楽器の面で自分の成長を感じられたときです。 レッスンを受けたことで以前はできなかったことができるようになったり、表現の幅がひろがったときに、はるばるドイツまできてよかったと思えます。 音楽以外ですと、ドイツにしかない綺麗な景色や建物、特に教会や大聖堂などに出会ったときに、幸せを噛みしめています。 -留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか? 上野さん:一番変わったのは積極性の有無だと思います。 積極的に自分から行動を起こす姿勢がないと、留学を終えた時に後悔すると思い、不安なときも無理矢理自分を奮い立たせることが多くなりました。 あとは他の人の良いところを見つけたり、自分が受けた指摘を受け入れる柔軟な頭をもつことも、本当は前から身につけておくべきだったのだと思いますが、留学してからようやくそれができる心の余裕ができたように思います。 -今後はどのような進路を考えていますか? 上野さん:もともと日本で演奏するときにもっと期待に応えたい、自由に演奏できる技術が欲しいと思っての留学だったので、大学院を卒業したら一度帰国して、日本で演奏の機会をいただけるようにまた一からチャレンジする予定です。 4 年も日本を離れていたので不安はありますが、とにかく今は誰かと音楽をしたい気持ちでいっぱいです。 あとは折角ドイツで学んだことを、色んな人に伝えたいと思っています。 -これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたい点がありましたら、お願いします。 上野さん:なぜ留学をしたいのか、が明確であるべきだと思います。 「ただヨーロッパで音楽を勉強したい」だけでも、それが心からの願いなら、自然に体が動いて、学ぶ機会や場所を見つけられると思います。 長期留学の場合、私たちにはどうしてもビザの問題がついてくるので、どのくらいその国に居たいのか、どうやって残るのか、費用はどうするのか、なども常に明確である必要があります。 心細い、この先が不安だと思うこともありましたが、「色んな人の助けがあって特別な機会を得られている」という意識が、私を助けてくれました。 周りの人と比べず、周りの意見に流されず、「自分が何をしたくて海を越えているのか」を大切にしてほしいです。 -クリストフ・ブラウン先生の特徴を教えていただけますか? 上野さん:どんな問題や質問に対しても、すぐに解決策や答えを出してくださいます。 時にはすぐに直るものではなく根気のいるものであれば、その場合もはっきりと教えてくださいますし、もし一つ目の解決策が合わなければ二つ目、三つ目と、とにかくたくさんの引き出しをお持ちなので、とても心強いです。 褒めるだけではなく、だめなところにとことん付き合ってくださるので、成長や改善が実感できます。 ひとりひとりの生徒と向き合って、どんな不安も消してくださる先生です。 -インタビューへのご協力いただきありがとうございます。

加藤志麻さん/ハンス=クリスティアン・シュヴァイカー教授門下

名古屋市立菊里高等学校を経て、愛知県立芸術大学音楽学部を首席で卒業。桑原賞受賞。 第21回日本クラシック音楽コンクール大学女子の部第4位(1、2位なし)。 愛知県立芸術大学「室内楽の夕べ 」、「愛知県立芸術大学音楽学部 第46回定期演奏会」「卒業演奏会」などに出演。 2014年度青山財団、山田貞夫音楽財団奨学生。 2015年度ドイツ国立ケルン音楽舞踏大学アーヘン校に1年間交換留学。 留学の際に兼松信子基金より奨学金を受給。 平成29年度中村桃子賞受賞。 愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士前期課程 音楽専攻 弦楽器領域を経て、2021年ドイツ国立ケルン音楽舞踏大学Solo-Masterを卒業予定。 これまでにチェロを林良一、三原由美子、高木俊彰、河野文昭、花崎薫、Hans-Christian Schweikerの各氏に師事。 -まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか? 加藤さん:チェロは12歳の時から始めました。 名古屋市立菊里高等学校、愛知県芸術大学を経てドイツ国立ケルン音楽舞踏大学大学院に進学しました。 -留学したきっかけを教えてください。 加藤さん:愛知県芸在学時にケルン音楽大学との1年間交換留学制度があり、当時ドイツで勉強してみたいと思っていたので応募したところ、念願叶って留学出来ることになりました。 1年間だと足りないなと感じていたので、交換留学後にケルン音大の大学院に進学することにしました。 -どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また。決め手になった点はなんでしょうか? 加藤さん:特にこの学校で勉強したい!という希望はなかったのですが、愛知県芸とケルン音楽大学が交換留学の協定校だったのと、Vorspielをした時に私を取って下さると言ってくださった事、また私もこの先生だったら成長できそうだなと感じたことが決め手になりました。 -どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか? また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。 加藤さん:試験は1時間分の実技のプログラムが必要でしたが、実際試験で弾いたのは1次、2次試験合わせても20分くらいではなかったかと思います。 出願書類は特に難しいことはなかったと記憶しています。 試験自体は日本の入試と違ってとても自由な雰囲気で、さぁ弾いてごらん!という感じでしたが、自分がとても緊張していたのでその場は楽しめませんでした(笑) -手続きで苦労した点はなにかありますか? 加藤さん:日本からドイツへ生活費などの送金をするのに毎回2、3時間かかり、手間取りました。 今は大手の銀行でも海外送金をやめてしまった所もあるので、注意が必要です。 ドイツでの手続きは住民登録、銀行口座開設、健康保険の加入、ビザの申請とやる事が山積みでした。 特に、健康保険は2ヶ月経っても加入証明書が送られてこず、ビザの申請が大幅におくれてしまいました。(健康保険会社に問い合わせた所、加入されていなかった事が発覚しました。) -留学準備はどのくらい前から始めましたか? 加藤さん:交換留学の時は半年前くらいから、大学院進学の時は1年前ほどから準備していました。 -学費はどう捻出しましたか? 加藤さん:学費自体は無料なので、お金はかかっていませんが、生活費、交通費などは交換留学時に貰っていた奨学金と後は両親からの援助でした。 -語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか? 加藤さん:大学の時4年間ドイツ語の授業を取っていましたが、話す•聞く事が全く出来なかったので、現地で語学学校に通いました。 ドイツ語でドイツ語を習うのは最初は訳が分からず、どうしようかと思いましたが、段々慣れていきました。 色々な国の友達もできるので、私は現地でも語学学校に行くことをお勧めします。 -学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか? 加藤さん:とても自由な雰囲気で、自分が思ったこと、考えていること、分からない事を素直に発言する人が多かったです。 また先生も生徒が知らない事を、こんな事も知らないの?と言ったりせず分かるまで教えていらっしゃった事がとても印象的でした。 -日本人はどのくらいいますか? 加藤さん:ケルン音楽大学は3つ校舎があり、私はアーヘン校に通っていました。 アーヘンでは日本人は6人程いましたが、ケルンの本校はもっといると思います。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください 加藤さん:自分の考えていることを素直に先生に聞けること、私がどうしたら思うように弾けるか一緒に考えてくださることです。 -学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。 加藤さん:私は大学院でしたので、講義系の授業を取るかどうかは自由だったのですが、やはり円滑にコミニュケーションが取れるとストレスも少なくなると思います。 ドイツ語の会話のレッスンなど、通えるなら行ってみて、ドイツ人と会話することに慣れておいた方がいいと思います。 -先生はどうやって探しましたか? 加藤さん:愛知県芸の時、師事していた先生のご紹介です。 -日ごろ練習はどのようにしていますか? 加藤さん:アーヘン校では、滅多に練習室がいっぱいになることはないので、毎日学校で好きなだけ練習しています。 ケルンの本校では週何時間と練習室を予約できる時間が決まっていて、インターネットで部屋を予約するシステムです。 -学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? 加藤さん:コロナの前は沢山のコンサートが行われていました。 学内のコンクールなどに出るなどして、他の先生方から認知されると、今度こんな演奏会に出てみない?と色々な演奏会に出させて頂けました。 -1日の大体のスケジュールを教えてください 加藤さん:午前中 2時間程練習、図書館へ行く 午後 2、3時間練習、レッスンがあればレッスンへ。 夕方からクラスの弾き合い会があれば行く オーケストラなどがあった時は朝、夜に3時間ずつ程、2週間程度練習がありました。 -現地の音楽業界へのツテはできますか? 加藤さん:自分でProbespielをするなり、音楽教室で働くなどしないとツテはなかなか出来ないです。 私は日本に帰国するつもりでしたので、今の所、現地音楽界へのツテはありません。 -周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか?(例:欧米だと、生徒と先生が対等で意見を交換し合うので、積極氏が重視されるなどがあります) 加藤さん:先生の言うことを黙ってきいている人は少ないように感じました。 こんな事も知らないのかと言われるのではないかと思う様なことも、自分が分からない、納得できないと感じれば質問する姿勢に驚きました。 ただ、日本のレッスンのように言われた事に頷くだけだと自分の意見が言えないとみなされて怒ってしまう先生もいらっしゃるようで、習慣を変えるのは難しいなと感じました。 -授業以外はどのように過ごされていますか? 加藤さん:語学学校に通っていたときは午前中は語学学校に行っていました。 コロナ前は皆でご飯を食べに行ったり、家で料理を作ったりしてワイワイと過ごしていたのですが、ロックダウンになってしまってからは学校でたまたま会った友人と話すか、ほとんど一人で散歩などしていました。 -日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか? 加藤さん:ドイツ語が分からなかったら早めにそれ、どういう意味?と聞くことです。 以前、分からないことが恥ずかしくて聞けなかった時に適当に相槌を打っていたらとんでもない勘違いをされた事がありました(笑) -宿泊先はどのようにみつけましたか? 加藤さん:初めは現地にいた友達に見つけてもらいましたが、とても狭かったので半年後に転居した友達の部屋を引き継ぎました。 -生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか? 加藤さん:私の場合は家賃が安いので、750€程で生活できました。 -留学してよかったと思える瞬間は? 加藤さん:もっと自由に演奏していいんだと思えた事、音楽は楽しいものなんだと思えた事です。 -留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えことですか? 加藤さん:失敗しても何でもいいから取り敢えずやってみるという精神です。 ヨーロッパの人達のネバーギブアップの精神には及びませんが、日本にいた時より少しはやってみようと思える事が増えたことです。 -今後はどのような進路を考えていますか? 加藤さん:教えたり、オーケストラや様々な室内楽など幅広く活動したいです。 -これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。 加藤さん:案ずるより産むがやすしという諺があるように、ヨーロッパでは割とダメ元でやってみたら何とかなったと言うことが多いです。(もちろん逆もありますが…) 様々な不安はあると思いますが、取り敢えず飛び出してみると雰囲気もわかると思います。 コロナがもう少し落ち着いたら、興味のある方はぜひ一度日本を出てみてください。 -ハンス=クリスティアン・シュヴァイカー先生の特徴を教えていただけますか? 加藤さん:シュヴァイカー先生のレッスンはまずよく自分の音を聴く、楽器が本当に鳴っているかを体と耳に教えこむレッスンから始まります。 また、曲の解釈なども例え話を使って非常にイメージしやすく教えてくださいます。 肩が痛い、指が痛い事の解決方法も沢山ご存知の先生です。 ご協力いただきありがとうございました。

音楽講習会-2023/2024年の音楽講習会でおすすめの行き先とポイントをご紹介

音楽留学というと海外音楽大学への進学など、長期間のものを想像しがちですが、実は旅行のように短期間で開催されている音楽講習会に参加することが出来るのです! 「音楽講習会に参加してみたいけど、どんなものがあるかわからない」「どのくらいお金がかかるの?」などなど、様々な疑問について解説していきます。 これを読めば、自分にどんな音楽講習会が合っているのかも知ることができます♪

【目次】

  1. 音楽講習会って何?
  2. 音楽講習会のジャンルと音楽レベルとは?
  3. 音楽講習会の種類とは?
  4. どんな音楽講習会があるの? ~国別にチェック!~
  5. 音楽講習会にかかる費用は?
  6. 音楽講習会のメリット、デメリットは?
  7. 音楽講習会のよくある質問(FAQ)
  8. まとめ
海外音楽講習会のご案内
海外音楽講習会のご案内
今回は、数国に絞ってそれぞれ人気の音楽講習会をご紹介します。 記載以外にも沢山の講習会がございますので、気になる国や講習会がございましたらアンドビジョンまでお問い合わせください!

音楽講習会って何?

海外の音楽大学や団体が1~4週間程度の期間で主催しているものです。 セミナー、サマースクール、マスタークラスなどとも呼ばれます。 音大生や音高生の方が長期留学の第一歩として参加されたり、趣味として音楽を続けている方がレベルアップや本場のレッスンを受けるために参加されます。 音楽講習会は春期、夏期、冬期など一年間に渡って様々な国で開催されています。 といってもやはり開催数がダントツで多いのが、夏期音楽講習会! どこの国にも長期の夏休みがあるので、それに合わせてたくさんの先生・生徒が世界中から参加します。

音楽講習会のジャンルと音楽レベルとは?

クラシック、ジャズ、ロック、ポップス、音楽制作、映画作曲、古楽など、ほぼオールジャンルでの音楽講習会参加が可能です。

講習会の場合

●クラシック…初心者や趣味の方でも参加できるものから、事前オーディションが必要なものまで、レベルは様々です。 音楽留学(長期)の下見を兼ねて短期で行ってみる、という方が多いので、参加者としては音楽高校、音楽大学の学生さんや長年趣味でやっている方などが多い印象です。

●ジャズ、ロック、ポップス…著名なバンドから学ぶ、というコース以外は未経験でなければどなたでも参加可能、というパターンが多いです。 アンサンブルなどグループレッスンは、レベルに合わせたグループ分けもなされるので、一人だけ全くレベルが違うということもなく安心です。 学校のプロモーションも兼ねていることも多いので、現地の高校生など若い方の参加も多いです。 バークリー音楽大学などでは、プロで活躍中の方も参加しています。

●音楽制作…DTMの基礎から学ぶコースや、ある程度できている方向けのコースなどプログラムによってレベルわけがされています。 オリジナル作品を制作したうえで、持参していくというのが一般的です。

●映画作曲…作曲の基礎がある方向けのプログラムが多いです。 音楽をつける画像が課題として与えられて、曲をつけたものを、参加者と先生でディスカッションをしたり、と語学力も必要なプログラムとなります。

●古楽…愛好家の方も多いので、どんなレベルの方でも受け付けますという講習が多いです。 楽器の演奏のみならず、バロックダンスのレッスンもあったりなど古楽が演奏されていた時代についても学べます。

音楽講習会の種類とは?

夏期講習   一番人気!

音楽講習会の中で最も参加者の多いプログラムになります。 ただし、音楽講習会の多い時期が北米6~7月あたり、ヨーロッパ7月上旬~8月上旬と日本の夏休みとの期間に多少ずれがあるので、学生の場合は参加できるコースに制限があるようです。 8月のお盆時期は、現地もバカンスシーズンでほぼ音楽講習会がないので気をつけましょう。 それでも夏は気候も良いですし日も長いので、観光やコンサート鑑賞などもしながら、音楽漬けの生活を送れる絶好の機会です。

春期講習

夏期講習に次いで、人気のプログラムです。開催時期が2-3月ということもあり、大学生の参加が多めです。 4月にもフランスではたくさんの音楽講習会が毎年開催されていますが、日本の新学期ということもあり、参加できる人は少なめです。 音楽留学(長期)の場合の入試前の時期にあたるため、試験前の最後の仕上げとして参加する、ということもできます。 夏に比べて航空券が安い時期、というのも見逃せません。

冬期講習

年末年始の時期に開催される音楽講習会です。 実際は、現地のクリスマス休みが日本でいうお正月のようなものなので、ウィーンの冬期音楽講習会など、開催されているプログラム自体かなり限られています。 社会人の方でも参加しやすい時期なので、いろいろな世代の方との交流ができる講習時期になります。

どんな音楽講習会があるの? ~国別にチェック!~

ここでは国別に人気の音楽講習会をご紹介します。 今回は数国に絞ってご紹介しますが、その他に気になる国がございましたらお気軽にアンドビジョンにご相談ください。 ピアノだけ、声楽だけなど、専攻に絞って開催される音楽講習会もありますので、先生だけでなく世界中の同じ専攻の仲間に出会えるでしょう。 まだまだたくさんの音楽講習会がご紹介できますのでぜひお問い合わせを!

ドイツの音楽講習会

ヨーロッパサマーアカデミー

ドイツの名門校、マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク校で開催され、 世界的な名門音大で教える教授たちのレッスンを、先着順で受ける音楽講習会です。

開催期間:3期間(全期通して約1ヶ月間)
オーディション:なし
通訳:手配可能

ハノーファー音楽大学ゴスラー夏期音楽音楽講習会

ドイツの名門校ハノーファー音楽大学開催される、上級レベルの若手音楽家を対象とした夏期音楽講習会。 著名教授であるアリエ・ヴァルディ氏(pf)ほか、ピアノ・ヴァイオリン・室内楽のコースが開講される。

開催期間:約2週間
オーディション:事前の動画オーディション
通訳:手配不可

オーストリアの音楽講習会

★春期

ウィーン春期音楽&バレエ音楽講習会

アンドビジョン主催の音楽講習会。音楽は世界的名門校・ウィーン国立音楽大学などの教授陣、 バレエは超一流バレエ学校のダンスアーツの講師陣が集結しています!
アンドビジョンが全面サポートする音楽講習会なので、初めての方にもオススメ。

開催期間:約1週間(2020年は3/22~3/28にて開催)
オーディション:なし
通訳:手配可能

★夏期

ウィーン国際音楽ゼミナール

クラシック音楽を志すなら一度は参加したい、歴史と伝統のある音楽講習会。 ピアノ、声楽、弦、管どの科目も申込み順で受付なので、レッスンの受講が確実です。
教授陣は世界の名門校、ウィーン国立音楽大学の教授たちが中心となっています。 毎年2月頃に春期音楽講習会も開催します。

開催期間:5期間(各期約10日間、全期通して約2か月間)
オーディション:なし/申し込み順
通訳:手配可能

モーツァルテウム音楽大学夏期国際音楽アカデミー

名門モーツァルテウム音楽大学が、ザルツブルグ音楽祭と共に開く最大規模の音楽講習会。
フルトヴェングラーやカラヤンも教鞭をとった歴史ある音楽講習会に、毎年世界65ヵ国から受講生が参加します。
毎年たくさんの著名教授が講師として参加されます。

開催期間:3期間(各期13日間、全期通して約1ヶ月弱)
オーディション:事前の映像オーディション
通訳:手配可能

ウィーン国立音楽大学インターナショナルサマーアカデミー ISA

ウィーン国立音楽大学が「主催」して開催する、教育プロジェクトの中で最大規模を誇るこの夏期音楽講習会。
ここで勉強した受講生の多くの学生がプロの演奏として活動しています。 最高レベルの教授たちの指導を体験できます。オーディションのレベルも高いです!

開催期間:約1-2週間(専攻により異なる)
オーディション:事前の書類と録音審査
通訳:手配不可

★冬期

ウィーン冬期音楽音楽講習会

アンドビジョン主催の音楽講習会。 クリスマスからニューイヤーに向けて、素敵にわき立つウィーンの街で、最高峰の名門ウィーン国立音楽大学の教授陣による音楽講習会。
アンドビジョンが全面サポートする音楽講習会なので、初めての方にもオススメ。

開催期間:約1週間弱(2021年は12/28~1/4にて開催)
オーディション:なし
通訳:手配可能

フランスの音楽講習会

★春期

パリ国際春期音楽音楽講習会

オーディションなしで参加可能の音楽講習会。 レベルの高い講師陣のもとで、入試やコンクール、コンサートなど、あなたの目標に合わせたスキルアップができます。
夏期にも開催がございます!

開催期間:約1週間弱(2020年は4/6~4/13にて開催)
オーディション:なし
通訳:手配可能

★夏期

ニース夏期国際音楽アカデミー

ほぼ全ての専攻で開催。総勢60人以上の一流教授陣がそれぞれ1〜3週間のマスタークラスを開講。 同時に2クラスの受講もできます。世界的に有名なリゾート地、ニースで開かれる50年以上の伝統がある夏期音楽講習会です。

開催期間:3期間(各期7日間、全期通して約3週間)
オーディション:なし
通訳:手配可能

ナンシー国際音楽アカデミー

第一級の設備が整ったフランスのナンシー地方音楽院で、パリやリヨン国立高等音楽院やエコールノルマルの教授などを筆頭にしたトップレベルの講師陣が開く音楽講習会。
非常にフランス人の参加が多い音楽講習会ですのでフランスの雰囲気を満喫できます。

開催期間:約10日間
オーディション:なし
通訳:手配可能

イタリアの音楽講習会

キジアーナ音楽院夏期マスタークラス

イタリア・シエナの名所のひとつでもある、キージ・サラチーニ宮殿で開かれるこの講習会は、超一流の有名アーティストが教鞭をとることで古くから知られています。 カザルス、コルトー、チェリビダッケといった最高峰の音楽家たちも、以前この音楽講習会で教えていました。

開催期間:約2か月間(教授によって日程は異なる)
オーディション:あり(専攻によって方法が異なる)
通訳:手配不可

チェコの音楽講習会

プラハ室内楽マスターコース&オーケストラアカデミー

美しいチェコの古都プラハで行なわれる、室内楽をメインにした音楽講習会です。 室内楽のエキスパートたちが、個人技術とアンサンブルの妙を伝授します。
アマチュアからプロまで、それぞれのレベルに合わせた指導が受けられます。

開催期間:ソロマスタークラス 約1週間弱
     室内楽マスタークラス 約2週間弱
     オーケストラアカデミー 約1週間弱
オーディション:特にないが、室内楽グループを編成するための音源提出が必要
通訳:手配不可

スイスの音楽講習会

アローザ夏期国際音楽アカデミー

スイスのリゾート地で開催される音高、音大生、同等レベル以上のための夏期音楽講習会。 講師陣には名だたる音楽家がズラリ。 サクソフォンは、近現代のクラシック曲に定評があるチューリッヒ芸術大学教授のラーシュ・ムレクシュや、 アメリカでもっとも活発に演奏活動を繰り広げておりプリズム・サクソフォーン・カルテットのメンバーでミシガン大学音楽学部准教授でもあるティモシー・マカリスターも参加している。
週に3~4回、街のいたるところで開催されるすべてのコンサートに、音楽講習会参加者は無料パスで入場できるという特典も。

開催期間:2期間(各期約1週間)
オーディション:なし
通訳:手配不可

ルガーノ夏期マスタークラス

スイスの中でもイタリア語圏に属するアルプスの南側、ティチーノ州・ルガーノで開催されるこの音楽講習会は、 現代クラシック界で名声を確立したと言える一流のアーティストと著名音大の教授たちが教鞭をとることで知られています。
希望により、室内楽やワークショップなども同時に受講することができます。

開催期間:約2週間
オーディション:なし
通訳:手配不可

ポーランドの音楽講習会

ショパン音楽大学夏期音楽講習会

ショパンの母校であり、パデレフスキーも学んだポーランドで最も古い歴史を誇る音楽大学のトップ教授が担当するレッスン、レクチャー、マスタークラス。 最終日には受講生によるコンサートがあり、選ばれた優秀者が出演できます。

開催期間:約11日間
オーディション:なし
通訳:手配可能

ロシアの音楽講習会

モスクワ音楽院夏期音楽講習会

世界3大音楽院のひとつとされ、ロシア国内で最高ランクにある音楽教育機関、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院が開催する音楽講習会です。
講座科目はオーケストラ楽器が全て網羅されている。決まったスケジュール以外にもオプションで、 音楽院教授のプライベートレッスンを追加したり、現役プロ歌手の伴奏を経験したり、また、ロシア語のレッスンを受けることも可能です。

開催期間:3期間(各期1週間)
オーディション:なし
通訳:手配可能

アメリカの音楽講習会

バークリー音楽大学サマーコース

世界の名門校バークリー音楽大学が、音楽業界の様々な分野から著名人を呼んで開講。 ジャズ、ロック、ポップ、ファンク、フュージョン、R&B..、優れたパフォーマンスに必要な全てを教える5週間という長期間での開催。

開催期間:約5週間
オーディション:コース初日にクラス分けのためのレベルチェックテストを予定
通訳:手配不可

ニューヨークジャズアカデミーワークショップ

ニューヨークで人気のジャズ音楽講習会。レッスン、クラス、ワークショップ、アンサンブルなどを通じて、きらりと光るジャズのエッセンスを学びます。
春期、夏期、冬期に定  期的に開催されるところも魅力的です。

開催期間:春期、夏期、冬期
オーディション:なし
通訳:手配可能

イギリスの音楽講習会

チータム国際ピアノサマーコース

イギリス最大の子どものための音楽専門学校がサマースクール。子どもだけでなく、ピアノ教師やコンクールを目指す若手など、幅広い層に向けて開催します。
一般のピアノクラスに加え、ピアノデュオ、ジャズピアノ、即興ピアノ、作曲、オルガン、チェンバロ、音楽理論、初見のコースもあります。

開催期間:通常コース 2期間(各期1週間)
       ジュニアコース 6日間
オーディション:なし
通訳:手配不可

ブリティッシュアイルミュージックフェスティバル

音高生、音大生、デビューしたばかりのプロなどを対象に開かれるハイレベルなマスタークラス。 参加資格は18歳以上32歳以下。世界中から才能豊かな若手音楽家が集結します。
講師を務めるのは、英国をはじめ、ヨーロッパ各地から集まるトップレベルの演奏家や教授。
個人レッスンのほか、クラス単位での授業がぎっしり詰まったカリキュラムを提供します。
長期留学を視野に入れている方には、教授とのコネクションを持つ絶好の機会にもなります。

開催期間:10日間
オーディション:なし ※室内楽を組む参考として音源が必要な場合があります。
通訳:手配不可

音楽留学にかかる費用は?

気になる音楽講習会にかかるコスト。 期間によってもまちまちですが大体ヨーロッパの音楽講習会費が30万円前後プラス渡航費用の航空券代、アメリカの音楽講習会費が50-70万円前後プラス渡航費用の航空券代がかかります。 航空券はゴールデンウイーク、お盆、年末年始がピーク料金となりその前後で波線のように料金がアップダウンします。 ヨーロッパはピーク時は往復料金で25-30万円程度、北米は20万円前後、といったところでしょうか。
閑散期になるとピーク時に比べ10万円近くお安くなるので、プライベートレッスン等で期間が自由に決められるのであれば、閑散期もねらい目です。 というわけで、合計金額でいうと大体10日間-14日間ぐらいの音楽講習会で、ヨーロッパ:45-60万円 アメリカ:70-90万円ぐらいかかる、と思っておいた方がよいでしょう。
だったら音楽留学(長期)のために音楽講習会は節約したいな、と思う方もいらっしゃるでしょうが、音楽講習会よりもはるかにコストのかかる音楽留学(長期)に、いきなり行くのはお勧めしません。 なぜなら入学先で師事した先生が合わなかった、そもそも環境が合わなかった、など問題が発声するからです。 ※詳しくは音楽留学(長期)をご覧ください。

音楽留学のメリット、デメリットは?

音楽留学のメリット

  • 音楽講習会を通して、今後の進路、展望について考えられる
  • 音楽留学(長期)の下見にピッタリ
  • 音楽講習会も立派な異文化体験。自分が今後この国で生活していけそうか、体感できる機会です
  • ごはんが口に合わないから自炊しないといけないな、とか、現地の人の気質があっていて、日本にいる時よりも楽かも!とか、いろいろな発見があるはず。
  • 100人が100人、全員海外生活に適応できるとは限りません。食事、言葉、文化の違いなどが相当なストレスとなる方も確実に存在します。ただ、そんな場合でも短期間であれば「あと何日」、と指折り数えていれば両手で足りるぐらいの日で帰りの飛行機に乗る日が来ます!短期間だからこそ、いつもの普段の自分を開放して積極的になれた!なんて方も。

音楽留学のデメリット

  • ずっといたい、と思っても帰国する必要あり海外生活がとっても水に合うし、このままいたいなぁと思っても、不法滞在者になるわけにはいかないので、一度帰国する必要があります。
  • それなりにコストはかかる

※デメリット、考えてみましたが、さしたることも思い浮かばず…。メリットの方はるかに大きそうですね。 ご自分にとってプライスレスな体験ができますように!

音楽留学のよくある質問(FAQ)

Q.言葉が通じるのかが不安…。どのくらいしゃべれるようになっておけばいいの?

残念ながら日本語は世界共通語ではないので、できる限り最低限の英語、またはその国の言葉を覚えておくとよいでしょう。 言葉に関しては、できなくても乗り切れる人もいれば、さっぱりわからないまま終わってしまった、という人もいたり、で元々の気質によるところも多そうです。 ご自分の性格も見極めたうえで、渡航先を選んでいきましょう。 ただ、音楽は世界共通なので、その点でそんなに心配しなくてもいいのかな、と思います。 とにかく心配、という方は専門カウンセラーに相談するとご自分では気づかないようなポイントも踏まえたうえでおすすめを選んでいけますよ。

音楽講習会とプライベートレッスン、どっちがいいの?

たくさんの人のレッスンも見学してみたいなら音楽講習会がおすすめです。 自分のレッスンも見学されることになるので、それがいや、という場合はプライベートレッスンの方が落ち着いて受けられます。 音楽講習会の場合は、演奏会の機会もあったり、その後にもつながるような仲間ができたり、という良さもありますね。 プライベートレッスンは、時期を選ばないという点と、語学学校を組み合わせたりと、目的に合わせたプランが組める点、また先生と一対一で、しっかり学べ、今後の進路についても相談できるという点でもおすすめです。 ※詳しくは「プライベートレッスン」をご覧ください。

どの国がいいのかわかりません

ご自分の興味のある国に行ってみるのが一番ですが、せっかく渡航されるのなら2か国、3か国と回ってみるのもおすすめです。 短期でレッスンを受けて、その前後にほかの国に行ってみたり、ということもできますし、それをきっかけに進路を変える方もいらっしゃいます。 まさに百聞は一見にしかず、なので体感してみるのが一番ですね。

一人で行くのがこわい

初めての海外だったり、一人での行動が初めて、という場合は心細いものですよね。 音楽講習会であれば、行った先ではいろいろな人との出会いがあります。また、多くの場合単独で参加している人達が集まることになるので、現地でお友達ができるチャンスにもなります。 アンドビジョンで音楽留学する場合は、同じ音楽講習会の方たちで集まっての事前の説明会もあるので、渡航前に知り合いができて安心ですね。

まとめ

世界中にたくさんの音楽講習会があることがお分かりいただけたかと思います。 でも、今回ご紹介したのはほんの一部。希望の先生や行ってみたい国など、人によって希望は様々なはず。 ぜひ一度お気軽に、アンドビジョンの留学カウンセラーにご相談してみてはいかがでしょうか?無料のカウンセリングも行っています♪

【関連リンク】

  1. 音楽留学の基礎知識
  2. 初めての海外
  3. 現代留学事情
  4. 音楽留学 - 2023年最適な費用でおすすめの国へ!
  5. 長期音楽留学
  6. 長期音楽留学の国別特徴

オーストリア音楽留学を一望してみよう!

オーストリアに音楽留学するとは?

音楽の都ウィーンというイメージはすっかり世の中では定着しているものの、ウィーンがドイツにあるといまだに思われているほど、オーストリアというヨーロッパの小国の認知度は低い気がします。 さらに言えば、「オーストリア」は、「オーストラリア」と間違えらるのは有名で、それを皮肉って「No kangaroos in Austria」というロゴのお土産が売られたりしています。 しかし実際はヨーロッパの国々の中で、自然、歴史、芸術的魅力、グルメ、人情、治安、物価と、すべてにおいて評価が高い国がオーストリアです。

スイスに劣らぬアルプスの大自然の美しさ、パリに負けないウィーンの美しい街並みと優雅さ、世界一といわれるウィーンのケーキとコーヒーのおいしさ、チロル地方をはじめ、田舎の花で飾られた民家の軒並みと安くておいしい田舎料理。 女性の一人旅でも安心な治安の良さ、ウィーンフィルをはじめ一流の演奏家の演奏会を気軽に聞ける贅沢さ。パリもあればスイスもあるオーストリアにはヨーロッパの魅力がすべて揃っているのです。

そんなオーストリアは、かつてはハプスブルク帝国の本拠地であり、歴史に名だたる音楽家達が貴族に仕え、文化に貢献してきました。 バロック時代にはハプスブルグ家の優れた文化人であり作曲家でもあったレオポルト一世統治下の元に文化的に大いなる発展を遂げ、ウィーンは音楽の都として開花します。 マリアテレジア、ヨーゼフ一世の治世には言わずと知れたザルツブルク出身のモーツァルトが活躍し、それから現代にいたるまで数々の音楽家たちを育んできた国がオーストリアなのです。

首都ウィーンに限らず、地方にも音楽大学や音楽院は点在しており、どの学校もカリキュラムは似通っていて、一流の音楽芸術教育を受けることが可能です。 そこで、オーストリアで音楽を学びたい、オーストリアに音楽留学したい、という方に、オーストリアの音楽留学に関する情報をまとめてみました。 なお、ウィーンについては、音楽の都ウィーンに音楽留学するで特集し、ここではウィーン以外の音楽大学をご紹介します。

【目次】

  1. なぜオーストリアの音楽留学なのか
  2. オーストリアの音楽大学(音楽院)の就学システム
  3. オーストリアでは、どんな専攻科目を選べるのか
  4. オーストリアの音楽大学・音楽院(ウィーン以外)
  5. FAQ
  6. まとめ

なぜオーストリアの音楽留学なのか

「クラシック音楽の源泉をたどるため。」であると言えるでしょう。 もしクラシックの演奏家を目指すのであれば、その発祥の地で、自らの手で触れて、見て、肌で感じることが大事です。 日本でどうしてもわからなかったこと、思うように弾けなかった場所などが、あ〜ら不思議、オーストリアに音楽留学して謎が解けることが頻繁にあります。 自然に弾けるようになる。それはスピリチュアルなものなのか、おいしいワインのせいなのか、はたまた先生の教え方がいいのか、それは分かりません。 確かなことは、俄然上手くなるということです。

具体的に言えば、オーストリアには、伝統的な弾き方や決まり事があり、それはドイツ語の文法にも似て、大変理論的でわかりやすいことなのですが、そのイロハをきちんと習得すれば、どの曲も、少なくともクラシック音楽の分野であれば全てに応用できます。 日本で学んだある程度のテクニックさえあれば習得可能で、その作品の持つ信憑性を引き出し、自分もクラシック音楽を知っている人にも納得できる演奏に仕上げることができるのです。 音楽の文法(Klangrede)を学ぶと言ったら分かりやすいかもしれません。

オーストリアの暮らしと費用

次に海外で安心して音楽を学べるという環境も非常に重要な点ですから、オーストリアの生活についてみてみましょう。 オーストリアの国立音楽大学で学べば、日本と比較すると、ほとんど学費はかかりません。 年間で20万円程度です。住居費は借りるフラットにもよりますがだいたい6~10万円程度。 生活費はざっくり月々15万円ほどです。治安もよく、夜間に安心して一人で演奏会に出かけられる程です。 オーストリアの地方都市なら、落ち着いていて小ぎれいですし、喧騒から離れたのんびりとした音楽留学生活を送れることでしょう。 公用語はドイツ語ですので、生活に必要なドイツ語の知識は必要です。これについては次項で触れておきます。

オーストリアのドイツ語と音楽に触れる

オーストリアで話されるドイツ語は、標準ドイツ語とはかなり違う点があり、慣用句やフレーズ、単語などもその地方特有のものがあります。 日本の方言と同じで、発音やフレーズの抑揚も地方によって違います。まるで音楽を聴くように、地元の人の話すドイツ語に耳を傾けてください。 短いオーストリアでの音楽留学期間にも、その地方独特の言い回しや単語を覚えることができるでしょう。 でも恐れるに足らず。オーストリアの音楽大学でのレッスンや講義は標準ドイツ語です。ゲーテインスティテュートのドイツ語で事足ります。 逆に言えば、当然の事ながら、事前にドイツ語の勉強は必須といえます。

ほとんどの音楽大学では入学する際には楽器専攻の場合、A2からB1のドイツ語レベルを求められますし、先ほども言いましたが、ドイツ語のフレーズの作り方、抑揚やアクセントが、クラシック音楽の文法に通じるところがありドイツ語を学べばクラシック音楽を理解するのに役立つのです。 言葉を学ぶ=音楽を学ぶ、という事になります。ドイツリートやオペラを学ぶ声楽科の方々は、身近に感じていらっしゃるのではないかな、と思います。

オーストリアの音楽大学(音楽院)の就学システム

どの音楽大学(音楽院)にも入学試験があり、それに合格することが就学を始める条件となります。 実技試験のために数曲からなるプログラムを自分自身で用意しなければなりません。 学校や学部によっては、それに加えて聴音や音楽理論の試験、ドイツ語の試験が加わることもあります。 実技試験の課題曲などは事前に公表されるので、それをもとに自分で曲選びをします(日本と異なり曲指定ではありません)。

事前に各音楽大学で指導に当たっている教授のレッスンを受けるなどして、先生と相談しながら自分にあった、それでいて(国も違えば文化も違う)他の国の生徒に負けないような演奏曲を準備するのが最も合格するには効果的でしょう。 入学試験に合格し入学を許可されたら、オーストリアの音楽大学の6年間のカリキュラムを終え、修士号としてのMaster of Arts (MA)という資格を獲得できます。

学士コースと修士コース

8セメスターの学士(バチュラー)課程、それに引き続き4セメスターの修士(マスター)課程を経て、全部で6年の就学期間に必須の履修単位を取得し、卒業試験を行うという流れになっています。 日本で音大を卒業し学士号がある場合は、一般的に修士課程からの入学が可能ですが、その場合はオーストリアの学士課程の卒業試験と同レベルの演奏スキルを求められます。

修士課程からの入学条件は入試(オーデイション)を受け合格すること、そして、学士号の修了証明書と成績証明書をもとめられます。 また、器楽および声楽専攻にはIGPという教育学部もあり、音楽院や音楽大学の専攻楽器の教師を目指すことができます。 教職課程(Lehramt)コースを選ぶと、Master of Education (MEd)という資格を獲得し、オーストリアで小中高等学校の先生になることが可能です。

研究科コース

修士課程卒業後、まだ学び足りないという人は2セメスターの研究科コースに籍を置き、研鑚を積むともできます。

プレカレッジ・プレスクール

学士(バチュラー)課程の入学試験に臨むための各音楽大学には、準備コースがあり、2セメスターの就学カリキュラムの後、学士(バチュラー)課程の入試がそのコースの卒業試験となります。

オーストリアで学べる専攻科目

オーストリアでの音楽留学は以下のコースが受講可能です。自分にあったコースを選択してください(学校によって異なりますのでご注意ください)。

器楽科 演奏家/教育科コース(IGP)

ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、ギター、コントラバス、オーボエ、クラリネット、バスクラリネット、チューバ、バスチューバ、フルート、オルガン、ホルン、ハープ、ファゴット、トランペット、トロンボーン、打楽器、サクソフォーン

古楽器 演奏家コース

いわゆる「古典派音楽」は現代のコンサート市場において、重要で非常に活気のあるジャンルです。初期の音楽の分野における多様な演奏技術や様式について、パフォーマンスの実践を通じて、未来の古楽器演奏家を育てるコースです。専攻楽器は以下の通り。 バロックヴァイオリン、バロックヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロックチェロ、ハンマークラヴィーア、チェンバロ

作曲家/音楽理論コース

作曲の分野での知識を提供するだけでなく、すべての様式に対応し、学生の創造的な能力を引き出すことに尽力します。 芸術と技術の両方の分野で、作曲における構築性とその実現のために必要なスキルを学びます。 その中には、音楽のすべての領域(声楽、器楽、電子、マルチメディア)、自分の芸術作品を批判する能力、他の芸術形態(視覚芸術、文学、ダンス)を扱う方法を学ぶことも含まれます。

指揮科コース

指揮科コースでは、あらゆる種類のアンサンブルの芸術的方向性、様式、音楽理論を学び、コレペテイの能力を鍛え、必要に応じて、アンサンブルをピアノでリードできるようにします。 最終的には合唱の指揮とオケの指揮の二つのどちらかを選択し、より専門的技術を磨くことに専念します。

声楽 演奏家/教育科(IGP)コース
オペラ(修士課程)
リート・オラトリオ(修士課程)

学士課程の三年間では‎総合的な発声や音楽性のトレーニング、そして演技や音楽劇のパフォーマンスの基本的なレッスンが行われます。‎学士課程修了者が受講する修士課程では、声楽、オペラと演劇、リートオラトリオの三つのコースに枝分かれし、そのいずれかの分野で専門的な知識を学びます。

‎ピアノ劇場伴奏科コース(修士課程)

音楽劇場の伴奏(リハーサル、オーディション、歌手の指導)、オペラ、オペレッタ、ミュージカルやオラトリオのジャンルで、基本的な指揮知識、組織のスキルの向上を目的とするコミュニケーションの取り方を学びます。

室内楽コース(修士課程)

※ウィーン国立音楽大学では室内楽ピアノコースが学士課程から就学可能です。
ピアノトリオ、弦楽四重奏、ピアノデュオ、ピアノリート伴奏、新音楽アンサンブル (電子ミュージック、インプロヴィゼーションを含む)などが学べます。

オーストリアの音楽大学・音楽院(ウィーン以外)

※ウィーンの音楽大学は別途特集します。 オーストリアの音楽大学・音楽院の地図

モーツァルテウム音楽大学

(ドイツ語:Universität Mozarteum Salzburg)

ザルツブルクが生んだウォルフガング・アマデウス・モーツァルトに由来する、ザルツブルクにある国立の音楽芸術大学です。1841年に創設された音楽と舞台芸術のための総合芸術大学です。世界的にも有名な音楽教育機関であり、多くの著名音楽家を輩出しています。ニコラウス・アーノンクールをはじめ、名教育者が教鞭をとり、世界的な指揮者ヘルベルトフォン・カラヤンもこの大学の卒業生です。世界の名演奏家が夏のザルツブルク音楽祭に集結し、同時に講習会も開かれているため、夏休みを利用して世界中から音楽家の卵が腕を磨きにやってきます。 そのために夏の間は小さなザルツブルクの街が、音楽の熱気であふれています。日本人にも大変人気の音楽大学です。
モーツァルテウム音楽大学について詳しくはこちら

グラーツ国立音楽大学

(ドイツ語: Universität für Musik und darstellende Kunst Graz or Kunstuniversität, abbreviated KUG)

スロベニアとの国境にも近いシュタイアーマルク州の首都であるグラーツにある国立の音楽芸術大学です。 シュタイアーマルク州といえばリンゴや乳製品、パンプキンシードオイルが有名。 そしてスロベニアとの国境付近ではオーストリアのトスカーナと呼ばれるワインの産地で、美しいブドウ畑の風景が広がり、美味しいものが集結した地域です。 音楽大学の学生の半分程度は外国人で、インターナショナルな雰囲気の中でグローバルで伝統的な音楽教育を受けることができます。 オーストリア第2の都市グラーツでは、様々な文化的イベントも享受できるはずです。 また、大自然のど真ん中にあるオーバーシュッツェン校舎には図書館があり、練習室を開放し楽器を提供しています。静かな環境で練習に集中することができます。
グラーツ国立音楽大学について詳しくはこちら

アントン・ブルックナー私立音楽大学

(独: Anton Bruckner Privatuniversität)

オーバーエスターライヒ州の州都リンツにある芸術総合大学です。 リンツ生まれのオーストリアの作曲家アントン・ブルックナーにちなんで名づけられました。 ドイツとの国境の町パッサウから70キロ、ウィーンの約150キロ東に位置する、ドナウ川沿いに広がるリンツは、オーストリア第3の都市です。 オーストリアで2番目の欧州文化都市として指定されていて、世界的音楽家であるモーツァルトの交響曲「リンツ」やベート―ベンの交響曲「第八番」を作曲した地としても知られています。 また、オーストリアの主要なオケの一つであるリンツブルックナー管弦楽団の本拠地でもあり‎、ヨーロッパを代表するコンサートホールの1つであるブルックナーハウス・リンツでのクラシック、ジャズ、ワールドミュージックの分野で一流のコンサートイベントを満喫して充実した音楽留学生活を送れるでしょう。
アントン・ブルックナー私立音楽大学について詳しくはこちら

ヨーゼフ・ハイドン コンセルヴァトワール

(独: Joseph Haydn Konservatorium des Landes Burgenland)

学校名由来のヨーゼフ・ハイドンは、ハンガリーの大貴族エステルハージ家の楽長として仕え、生涯の大半をこの地アイゼンシュタットで暮らしながらエステルハージ公のために数多くの作品を作曲しました。 エステルハージ城ではクラシックのコンサートやオペラなどが盛んに上演されています。 また、アイゼンシュタットを州都とするブルゲンランド州はノイジードラー湖を囲むワインの産地としても世界的に有名です。 器楽・声楽科は6年間(8+4セメスター)のカリキュラムを終えると芸術デイプロマを取得でき、その取得単位はECTS (European Credit Transfer System)として認可されます。 また器楽・声楽教育学部はウィーン国立音楽大学のIGPと提携しており、8セメスターを終えると学士(バチェラー)Bachelor of artsの資格を得られます。

オーストリア音楽留学のよくある質問(FAQ)

Q.言葉はどのくらい話せればいいの?

オーストリアの音楽大学に入学する本格的な音楽留学は、学校によりますが語学レベルA2からB1が必要となります。もしこの語学レベルに達しなくても、1年程度は待ってくれる学校もありますので事前によく調査しましょう。ただし、語学は音楽の理解にも通じますので音楽と同じ程度勉強しておいた方がいいことは間違えありません。

短期で1〜4週間程度、音楽留学する場合は、(できるだけ語学は理解できた方がいいのですが、)音楽専門の通訳を付けることもできますので、まずはどっぷりオーストリアの本場の空気を吸うことをお勧めします。作曲家が見て感じたものが分かれば音楽の理解もずっと進むはずです。

年齢は何歳まで大丈夫ですか?

学校に入学する本格的な音楽留学は、音楽大学なのか私立の音楽院なのか、器楽専攻なのか指揮なのか等により異なり、明記はされていませんが、一般的には30-35歳程度までとなります。一部私立の音楽院は、年齢制限が緩く経験者であれば40-45歳程度まで受入可能な場合もあります。年齢に関してはケースバイケースで一概に言えませんので、事前に当社までお問い合わせください。

短期で1〜4週間程度、音楽留学する場合は、下は8歳程度から上は80歳程度まで可能です。講習会によっては、100歳まで可能!と謳っている講習会もある程です。プライベートレッスンなら何歳でも可能です。

最近始めたアマチュアなのですが、音楽留学できますか?

学校に入学する本格的な音楽留学は、音楽大学そのものがプロを養成する教育機関となりますのでレベルや将来性を見られます。事前の先生のレッスンで確認される事をお勧めします。

短期で1〜4週間程度、音楽留学する場合は、先生によりますが、多くの場合、アマチュアの方も大歓迎となっています。音楽留学は少し専門的だな、怖いな、怒られそうだな・・・と躊躇される方もおりますが、ざっくばらんで陽気なオーストリア人は丁寧に熱心に誰でも受け入れてくれますのでご安心ください(条件は当社の個別先生欄をご覧ください)。あの舞台にいる大物音楽家にもレッスンしてもらえるチャンスかもしれませんよ。

自分にあった音楽留学について詳しい事を相談したいのですが・・・?

個人個人履歴も、やりたい事も、専攻も状況も異なりますので、ぜひ当社の音楽留学カウンセリングを受講してください。15年以上培ってきた音楽留学専門のカウンセラーがお客様にあった先生や学校などをご提案します。
カウンセリングのお申し込みはこちら

まとめ

オーストリアの音楽大学や音楽院に籍を置いて研鑚を積むという方法の他にも、短期音楽留学で、各地で開かれている講習会やプライベートレッスンに参加してみるのも大変有意義です。 10日から2週間という短期間に、オーストリアの地を見て、匂いをかぎ、耳をすませば、集中して音楽に向き合う充実した日々が送れるでしょう。その合間に、楽聖たちを育んだドナウ川や森を散策し、英気を養ってみてはいかがでしょうか。

もちろん、音楽鑑賞も絶対に外せないイベントです。実際に作品が初演されたであろうコンサートホールを訪れ、その音響と演奏家の呼吸と、そして彼らが紡ぎだす「音楽の文法」に実際に触れて見てください。 きっと、ドイツ語と同じように「音楽の文法」が見えるはずです。オーストリアの音楽留学は、それだけ有意義だと実感して感じていただけると思います。

【関連リンク】

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  5. 長期音楽留学
  6. 長期音楽留学の国別特徴

音楽の都ウィーンに音楽留学する

ウィーンで音楽を学ぶ

オーストリアの首都であるウィーンは音楽の都、森の都、バロックの都として知られ、ハプスブルグ家の神聖ローマ帝国、オーストリアハンガリー帝国の都として栄え、何世紀にもわたりヨーロッパの政治と文化の中心地でした。その軌跡はウィーンの街に今も残るハプスブルク時代の壮大な建築物や、膨大な美術、工芸品などにもうかがい知れます。

音楽に至っては、国立オペラ座(ウィーン国立歌劇場)や、ウィーン楽友協会、ウィーン・コンチェルトハウスにのみならず、シェーンブルン宮殿や王宮、シュテファン寺院やカールス教会、かつての貴族の館などで、一流の演奏家によるコンサートが毎日のように開かれていて、どの演奏会を訪れようかと迷うほどです。

音楽教育機関も充実していて、入学が難しいといわれるウィーン国立音楽大学に限らず、ウィーン私立音楽芸術大学や私立の音楽院という選択肢もあります。それらの学校に在籍してウィーンで音楽留学生活を送ることが可能です。

ここではウィーンでの生活、音楽を学ぶメリットとウィーンにある音楽教育機関についてご説明します。 なお、ウィーン以外のオーストリアの都市への音楽留学については、オーストリア音楽留学を一望してみよう!で特集し、ここではウィーンの音楽大学をご紹介します。

【目次】

  1. ウィーンで音楽を学ぶメリット
  2. ウィーンの音楽大学(音楽院)の就学システム
  3. ウィーンでは、どんな専攻科目を選べるのか
  4. ウィーンにある音楽大学
  5. ウィーンにある音楽院
  6. まとめ

ウィーンで音楽を学ぶメリット

ウィーンで音楽を学ぶメリット。それは何といっても音楽にどっぷりと浸れる素晴らしい音楽的環境です。 冒頭でも紹介したウィーンにある数多いコンサートホールでは昼夜を問わず、様々な音楽イベントが催され、 ウィーンにある音楽大学のホールでは学生たちのコンサートが頻繁に公開演奏されています。 それらのコンサートホールはウィーン市内に住んでいれば、一時間以内にアクセスでき、大変身近に、しかもお安く(あるいは無料で)、 一流の音楽を、そして演奏を楽しむことができるのです。

ウィーンで好きな時代にタイムスリップしてみよう

ウィーンで音楽を学ぶ、第二の魅力はバロックからクラシック、現代の作曲家に至るまで、 ウィーンで活躍した音楽家たちが住んだ時代とほぼ変わらない環境があるということです。 ベートーヴェンが散歩したウィーンの森、食事をしたホイリゲやガストハウス、シューベルトが仲間と語り合ったカフェハウス、 すべてが昔のまま今でも存在しているのです。

ウィーンで過ごせば、タイムスリップしたように、 その時代の息吹を感じとることができるでしょう。そして、それだけではありません。 膨大な美術品のコレクションをいくつもの美術館で鑑賞でき、街中が美術館とも言えるほど、歴史的建築物や文化遺産が点在し、 各時代の様式で建てられた建築物を見れば、バロックからルネッサンス、 ユーゲント・シュティールに至るまで音楽の時代様式とリンクして、 容易に作曲家が想像した楽曲のイメージを膨らませることができるのです。

ウィーンの暮らし

ウィーンの地図 東京と同じく23区からなるウィーン市は「美しき蒼きドナウ」川が横切っており、 それを挟んで東側に21区と22区、西側にそれ以外の区が、ど真ん中の1区を中心に広がっています。

ウィーンの大学が集結する、1区、3区、4区~9区近辺が学生にとっては便利で人気の高い居住地となっています。 それに対して、ウィーンの森近くの郊外の区域13区、14区、18区、19区は閑静な住宅街です。 どこに住んでいても、文化の中心である一区には便利な公共交通機関を利用して30分以内で出かけられる距離です。

また自転車専用道路も多く、コロナ禍では、地下鉄やトラムなどの密を避けるため、 あるいは、マスク着用義務を回避するために、自転車や電動スクーターに乗り換える人たちも多くいます。 市内にレンタルサイクルやスクーターが多く設置されており、レンタル料をスマホにチャージしながら移動できたりします。 今は(2021年8月31日現在)、ロックダウンが解除されているため、 飲食店も営業を再開し、ウィーンの街にいつもの賑わいが戻ってきています。

ウィーン音楽留学の生活費

食費ですが、自炊しても、テイクアウトしても、物価は東京と変わらない程度です。 違うところはコンビニがないというところ。日本と比べて比較的安くておいしいと思う食品は、 青果、乳製品や食肉加工品、ワイン、ビールなどです。日用品や化粧品なども値段はほとんど日本と変わらないと思います。 最近はリサイクル可能で環境にやさしい商品が人気で、プラ容器を避ける傾向があります。

そのほか、ウィーン市内の交通機関の定期券は年間で365ユーロ(約5万円)。 1日1ユーロと思うとお得ですよね。学生だと割引になります。 演奏会は定期予約券(Abonnement)などを利用すれば安く聞け、 オペラ座(ウィーン国立歌劇場)やウィーン楽友協会などでは立見席もあり、 お値段は5ユーロから10ユーロ(約650円から1300円)と非常に安く、誰でも音楽を楽しめる環境となっています。

ウィーン音楽留学の住居費

住居費は借りるフラット(アパート)にもよりますが管理費込みで一般的に約6~10万円程度(住居費は本当に条件によりますのであくまで一般論としてお考えください)。 それ以外にも契約時には敷金、礼金、登録料、そして、月々の光熱費と災害保障保険料、インターネット代、携帯代などが必要です。 他のヨーロッパの大都市に比べてダントツで治安がよく、物乞いや、浮浪者は少ない方です。

市民のエコ意識は非常に高く、市内は清掃が行き届き、住み心地はとてもいいです。 その代わり、ウィーンに住むからにはウィーン市民と同じようにマナーを守って暮らす必要があります。 それは楽器をアパートで練習しなければならない音楽家たちにとっても、少なからず問題となることろです。 楽器を演奏してもよいアパートだとしても、権利だけを主張せず、周囲の住民から苦情が来ないように、 静かな環境を好む人たちにとっても、音出しが騒音とならないよう、十分に気を配ることが大事です。

もしどうしても遠慮せずに音出しができる環境に身をおきたい場合、市内に練習室を貸し出している施設がいくつかあるので、 そういうところを利用するのも一つの方法です。レンタル代は一時間500~3000円ほどです。 また、音楽大学では、学生に解放している練習室がありますので、どんどん利用するべきです。

ウィーン音楽留学の学費

ウィーンで音楽留学するには、もちろん学費も大事です。 学校については後述しますが、ウィーン国立音楽大学で年間で約20万円。 ウィーン私立音楽芸術大学は年間30~40万円、研究科だと約78万円程度。 ウィーン音楽芸術アカデミー(AMP)は、芸術デイプロマコースで年間約100万円程度です。 就学と同時にオーストリア健康保険基金の学生保険に加入すると年間約10万円の支払いが必要となります。

ウィーンの音楽大学(音楽院)の就学システム

ウィーンにある、どの音楽大学や音楽院にも入学試験があり、 それに合格することが就学を始める必須条件となります。 実技試験には、数曲からなる演奏プログラムを用意します。学校や学部によっては、それに聴音や理論の試験、 ドイツ語の試験が加わることもあります。

実技試験の課題曲などは事前に公表されるので、それをもとに曲選びをします。 日本と異なり、曲そのものが指定されるわけではありませんので、 事前に希望の音楽大学や音楽院で指導に当たっている教授からレッスンを受けて、 先生と相談しながら入学試験のための演奏プログラムを準備するのが合格への近道であり、効果的でしょう。 入学試験に合格し入学を許可されたら、ウィーンの音楽大学(音楽院)の6年間のカリキュラムを終えると、 修士号としてのMaster of Arts (MA)という資格を獲得できます。

学士コースと修士コース

原則として、8セメスターの学士(バチュラー)課程、 それに引き続き4セメスターの修士(マスター)課程を経て、全部で6年の就学期間に履修単位を取得し、卒業試験という流れです。 日本で音楽大学を卒業し学士号がある場合は、修士課程からの入学が可能ですが、 その場合は学士の卒業試験と同レベルの演奏スキルを求められます。 修士課程からの入学条件は入試を受け合格すること、学士号の修了証明書と成績証明書を求められます。 ただし、移行期のため、学士と修士が分かれていない専攻もありますので注意が必要です。

また、器楽および声楽専攻にはIGPという教育学部もあり、音楽院や音大の専攻楽器の教師を目指すことができます。 教職課程(Lehramt)コースを選ぶと、 Master of Education (MEd)という資格を獲得し、 オーストリア(ウィーン)で、小中高等学校の先生になれます。

研究科コース

修士課程卒業後、まだ学び足らないという人は2セメスターの研究科コースに籍を置き、さらに研鑚を積むともできます。

プレカレッジ・プレスクール

学士(バチュラー)課程の入学試験のための準備コースというのもあり、2セメスターの就学カリキュラムの後、 学士(バチュラー)課程の入学試験が、そのコースの卒業試験となります。

ウィーン音楽留学で学べる専攻科目

器楽科 演奏家/教育科コース(IGP)

ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、ギター、コントラバス、オーボエ、クラリネット、バスクラリネット、チューバ、バスチューバ、フルート、オルガン、ホルン、ハープ、ファゴット、トランペット、トロンボーン、打楽器、サクソフォーン

ジャズ、ポピュラーミュージックコース

アコーデイオン、コントラバス、エレキベース、縦笛、ハーモニカ、エスノパーカッション、ギター、声楽、サクソフォーン、トランペット、トロンボーン、ハープ、ピアノ、チューバ、ヴィブラフォーン&マレット、バイオリン、フルート、パーカッション

古楽器 演奏家コース

いわゆる「古典派音楽」は現代のコンサート市場において、重要で非常に活気のある人気のジャンルです。 初期の音楽の分野における多様な演奏技術や様式について、パフォーマンスの実践を通じて、 未来の古楽器演奏家を育てるコースです。専攻楽器は以下の通り。

バロックヴァイオリン/バロックヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロックチェロ、ハンマークラヴィーア、チェンバロ

作曲家/音楽理論コース

作曲の分野での知識を提供するだけでなく、すべての様式に対応し、学生の創造的な能力を引き出すことに尽力します。 芸術と技術の両方の分野で、作曲における構築性とその実現のために必要なスキルを学びます。 その中には、音楽のすべての領域(声楽、器楽、電子、マルチメディア)、自分の芸術作品を批判する能力、 他の芸術形態(視覚芸術、文学、ダンス)を扱う方法を学ぶことも含まれます。

指揮科コース

指揮科コースでは、あらゆる種類のアンサンブルの芸術的方向性、様式、音楽理論を学び、 コレペテイの能力を鍛え、必要に応じて、アンサンブルをピアノでリードできるようにします。 最終的には合唱の指揮とオケの指揮の二つのどちらかを選択し、より専門的技術を磨くことに専念します。

‎声楽 演奏家/教育科(IGP)コース

学士(バチュラー)課程の3年間では‎総合的な発声や音楽性のトレーニング、 そして演技や音楽劇のパフォーマンスの基本的なレッスンが行われます。‎ 修士(マスター)課程では、声楽、オペラと演劇、リートオラトリオの三つのコースに枝分かれし、 そのいずれかの分野で専門的な知識を学びます。
オペラ(修士課程)
リートオラトリオコース(修士課程)

‎ピアノ劇場伴奏科コース(修士課程)

音楽劇場の伴奏(リハーサル、オーディション、歌手の指導)、オペラ、 オペレッタ、ミュージカルやオラトリオのジャンルで、基本的な指揮知識、 組織のスキルの向上を目的とするコミュニケーションの取り方を学びます。

室内楽コース(修士課程)

※ウィーン国立音楽大学では室内楽ピアノコースが学士課程から就学可能です。
ピアノトリオ、弦楽四重奏、ピアノデュオ、ピアノリート伴奏、 新音楽アンサンブル (電子ミュージック、インプロヴィゼーションを含む)などが学べます。

ウィーンにある音楽大学

※ウィーンの音楽大学は別途特集します。

ウィーン国立音楽大学(ウィーン国立音楽芸術大学)

世界で最高峰の音楽大学‎と呼ぶにふさわしい知名度の高い音楽大学(芸術大学)です。 それを証明するように、‎音楽と舞台芸術の分野で、ウィーン国立音楽大学(ウィーン国立音楽芸術大学)は、 世界音楽大学ランキング2019で1位を獲得しました。

この音楽大学の卒業生は、雇用主からの評価も高く、 学長は自信をもって「私たちの卒業生は、就職市場で最高のチャンスを持っている」と言及しています。 また、音楽大学ランキングではニューヨーク市にある有名なジュリアード音楽院と同等の一位とされています。 「今年は(2019)、ウィーン国立音楽大学(ウィーン国立音楽芸術大学)以上にこの分野の指導者の間で高い評価を得ることができる大学はない」と、 QSのリサーチディレクター、ベン・ソウターは解説しています。 また、オーストリア全体でも、音楽、芸術分野での卒業生の就職率の高さを誇っています。
ウィーン国立音楽大学について詳しくはこちら

ウィーン私立音楽芸術大学

ウィーン市にある私立音楽芸術大学の歴史は、1938年に設立されたウィーン市が所管している市立音楽学校に遡ります。 2004年にはウィーン市の自治体から分社され、その後、2005年に私立大学として認定されました。 音楽、ダンス、演劇の研究を行う芸術総合大学です。 ‎世界的に活躍する演奏家たちが後進の指導に当たっており、ウィーン国立音楽大学(ウィーン国立音楽芸術大学)に負けずとも劣らぬ一流の教育機関としてウィーンでも人気の高い音楽大学です。
ウィーン私立音楽芸術大学について詳しくはこちら

ジャム・ミュージック・ラボ私立大学

ジャム・ミュージック・ラボ私立大学は2011年からある比較的新しいジャズとポピュラー音楽のための私立音楽大学です。 姉妹校のウィーン音楽芸術アカデミー(APM)が4〜5年の芸術デイプロムコースを提供しているのに対し、 こちらではジャズとポピュラー音楽での学士号(バチュラー)と修士号(マスター)を取得できます。 この大学の音楽教育スタイルはクラシック音楽以外のタレント育成において、ヨーロッパ全体の先駆的な存在であるといえるでしょう。‎

ウィーンにある音楽院

ウィーン音楽芸術アカデミー(APM)

ウィーン音楽芸術アカデミー(APM)は、公的に認められた音楽院(コンセルヴァトワール)です。 ジャム・ミュージック・ラボ私立大学に属しており、ウィーン市11区のガソメーターウィーンに拠点を置きます。 AMPの教授陣は長年の指導経験を持ち、オーストリアとドイツの様々な音楽大学、音楽院でも活躍しています。 クラシック、ミュージカル、ダンス、ポップ、ロック、ジャズなど、あらゆる芸術分野や教育分野で音楽と舞台芸術のディプロマプログラムを提供しており、4年から5年の就学コースを終了すると、国が認可する芸術デイプロマを獲得できます。

まとめ

音楽の都ウィーンの地の利を最大限に利用して、ウィーンでの音楽留学生活を充実させましょう。 練習や授業の合間を縫って、コンサートを聴きに行き、 その帰りに歴史的カフェハウスに座ってメランジェ(泡立てたミルク入りコーヒー)を飲み、 置いてあるデイリー新聞に目を通したりして、ゆったりと時を過ごせば、 その隣のテーブルに葉巻をくゆらせるブラームスやリヒャルトシュトラウスを見つけられるかもしれません。

また大学では公開レッスンや、クラスコンサート、一般公開のワークショップなども数多く企画されています。 アンテナを張り巡らし、ドイツ語が多少わからなくとも参加してみましょう。必ず得ることはあるはずです。

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【音楽留学説明会】3月は”フランス留学&夏期講習会(ヨーロッパ・米国など)について”

皆様こんにちは!音楽留学アンドビジョンです。
2021年10月より再開の音楽留学について説明会
12月の今回はヨーロッパ留学、出願タイミングに関して等など、お話しします!
費用のこと、手続きのことなど毎月違う題材のもと、専門カウンセラーが色々とお話しします♪

◆開催時間および開催場所
【日程】

2022年

3月18日(金)17:30~ フランス留学&夏期講習会(ヨーロッパ・米国など)について
4月8日(金)17:30~  夏期講習会(ヨーロッパ・米国など)について
5月10日(火)17:30~ 夏期講習会(ヨーロッパ・米国など)について
6月17日(金)17:30~ 夏の現地プライベートレッスンについて
7月28日(木)17:30~ 音楽留学について(高校生向け)
8月5日(金)17:30~  イギリス音楽留学について
8月19日(金)17:30~ 海外音楽大学 大学院進学について

※8月以降も毎月開催予定!予定の更新をお待ちください♪

【開催場所】

アンドビジョン

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-8 神田駿河台ビル2F(お茶の水、神保町、小川町最寄)
 

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