O・Eさん/ウィーンでの語学+バレエ研修

-O.Eさんの簡単なプロフィールをお話いただけますか? O.E様:クラシックバレエを3歳ごろからやっていて、今は少しだけですけど、アシスタントとしてクラシックバレエの教室でやっています。 -今回短期留学をしてみようと思ったきっかけがありましたら教えていただけますか? O.E様:単純に、この時期しかやりたいことができないというか、今だけならいろいろな好きなことをやって、いろいろ学べる時期だなと思ったので、今だなと思って、決めちゃいました。 -今しかないと思ったということは、大学をご卒業されたあとは就職をお考えということですかね? O.E様:それの見極めもありました。就職をしなきゃいけないという時期に入ったらもう何もできなくなっちゃうから、だから今就活をする前にも、就活をするのか、そのほかの道を選ぶのかということも考えるために行きました。 -今回語学のクラスとダンスのクラスと両方受講されたかと思うんですけど、1日の向こうでのタイムスケジュールを教えていただけますか? O.E様:朝は、私は5時過ぎぐらいに起きて。 -早起きですね。 O.E様:朝食6時からとれるので、朝食は6時からとって、身支度とかいろいろして、10時くらいから語学の学校を、グループのときは10時過ぎに語学の学校に行って、お昼くらいに終わって、そのあとは、レッスンが夕方からあったので、その間はウィーン通りとかを歩いたりして、お買い物をしてレッスンに行くようなかたちでした。個人レッスンのときは、朝ちょっと遅めに起きて、朝食を6時、7時ぐらいにとって、お昼ぐらいに個人レッスンのほうに行くか、その前にちょっとだけ出かけてショッピングしたりして、夕方レッスンに行ってました。 -グループレッスンと個人レッスン両方受けられて、ご自身の中で、こういったところよかったなとか、こういったところは残念だったな、というのがあったら教えていただけますか? O.E様:語学のグループレッスンのときは、みんなの会話を聞いたりいろんな人の意見もあったり、あとその人自身から発したことからいろんなことを知れたり、あと同じグループの人と仲良くなって何回か一緒にいろんなところに行ったり、ご飯を食べに行ったりもできました。あと語学の個人レッスンのときは、自分と先生だけなのでいろいろ細かいところを見ていただいたりして、発音もいろいろ細かく見ていただけたので、両方味わうことができて自分的にはよかったと思っています。 -バレエのダンスのレッスンなんですけど、実際に受けてみて率直にどういう印象を受けましたか? O.E様:日本と違う感じが率直な意見でした。向こうの本場のレッスンというのは日本のレッスンと教え方も違いますし、皆さん年下とか同い年くらいの人でもものすごくレベルが高くて、1日目とか2日目は時差ボケがまだあったので、ものすごく体が大変だったんですけど、でもだんだん体が慣れてきて、いろんなことを集中しながらやれるようになってきたときからは、先生もいろいろ細かく指示してくれたらので、最終的に自分が苦手なところも克服できたり、日本の形式とは違うような感覚とか教え方が、こちらとしても教えるという目線でものすごく勉強になりました。 -アシスタントとしての目線で、こういう教え方あるんだ、みたいな感じで見ていたということですかね? O.E様:それもありますし、自分が教わる側で、どうやって教われたら、というふうに考えたりしたとき、ものすごく日本との差を感じたので、とても勉強になりました。 -ここが大きく違うな、と感じたところがありましたら教えていただけますか? O.E様:あまり日本では、私は立っている時点で上体が反っているというふうにはあまり言われなかったんですけど、ウィーンの先生は、ものすごく上体が後ろになっているって毎回のように注意をされていたので、向こうの人は上体をものすごく前へ前へ、と言っていて、それを意識しながらレッスンをしていたときに、ものすごく安定していたり、日本でレッスンをしたときも、ちょっと重心ずれたなと思ったときに、そのときの感覚で前にするようにすると、重心が直る感じで、日本ではなかったことが向こうで注意されて、とても学びました。 -バレエ以外にどんなクラスを受けましたか? O.E様:コンテンポラリーと、ストレッチのクラスを受けました。 -コンテンポラリーのクラスは、受けてみてどうでしたか? O.E様:日本でもコンテンポラリーのレッスンを受けたことはあったんですが、日本のコンテンポラリーとはまたちょっと違った感じで、床との差とかをものすごく感じて。床を這いつくばったりする振りもとても多かったり、日本の踊りとはまた全然違うような。あと使い方とか、できなかった部分もあったんですけど、肩の入れ方とかもものすごく難しくて。最初使い方が慣れなかったので、あざもよく作ったなと。 -結構フロアとかやると、あちこち青たんできますよね。 O.E様:結構ひりひり痛かったです。 -コンテとかは、先生が振りをくれて、それをみんなで一緒にやるというかたちですか?それとも、課題を与えられて、それに対して動くというようなかたちですか? O.E様:初めていった日は、皆さん生徒さんたちは、先週か先々週からもらっている振りもやっていて、それに私も加わって、その2週間くらいは、2回ぐらいはその同じ振りを復習というかたちで終わって、最後、コンテンポラリーのレッスンのときは、新しい振りとかで、あと動きをつけるような振りをその場でもらって、その場で生徒さんたちが踊るというかたちでした。 -O.Eさんの入られたクラスは、先ほど年下の子もいたり同年代の子がいたり、っておっしゃってましたけど、年齢層はどんな感じでしたか? O.E様:そうですね。基本的には、同じ年齢層が多かったので。ちょっと年下の子か、それか同い年ぐらいの人でした。 -レッスンは英語ですか?ドイツ語ですか? O.E様:基本的にはドイツ語で、先生が、英語かドイツ語、どっちができる?と言われて、英語です、と言ったら、最初のほうは英語で言ってくださったんですけど、やはり先生方も普段はドイツ語でしゃべられているので、普通にドイツ語に戻ったりして数字とかはドイツ語ができたので、基本的にはドイツ語でした。 -バレエはある程度見たらできると思うんですけど、コンテとか結構大変でしたか? O.E様:コンテは、まず慣れない振りが多かったので、見よう見まねでやる感じでした。 -個人的に注意をもらうときは英語だったんですか? O.E様:そうです。基本的には英語で注意していただいていました。 -英語での注意はある程度、なんとなく理解できる感じでしたかね? O.E様:はい。 -今回行ってきた中で一番印象的になっている、行ってよかったなと思うことがあったら教えてもらえますか? O.E様:まず、レッスンを受けて、自分の実になることばかりだったということと、あとは現地でフォルクスオーパーのほうでチケットがとれて。本当はオペラハウスのほうで『白鳥の湖』を観たかったんですけど、満席でチケットがとれなかったので、フォルクスオーパーのほうで『コッペリア』を見に行きました。『コッペリア』を観たときに、日本の表現と向こうの人の表現の人の差もありましたし、レッスンを受けているときに、上体が前だよと言われたときを思い出させるような向こうの人の踊りで、『コッペリア』を踊っている人たちって基本的にものすごく上体が前だったり、日本人との踊りの差を感じました。 -普段の生活のことに戻りますが、ホテルがスタジオからすごく近いところにあったかと思うんですけど、何かホテルの生活で困ったこととかありましたか?洗濯とか、部屋が寒かったとか。 O.E様:ヒーターは暖かったです。家の中はすごく暖かったので、どこ行っても基本的には暖かくて。初日に、向こうの建物なのでしょうがないんですけど、2階で29.9キロでギリギリのラインの重さのトランクを持っていったんですけど、29.9キロを2階まで、階段しかなかったので、頑張って一段一段持ち上げながら2階まで運びました。食堂とかもものすごく暖かったり。あと、朝ご飯も、生活に慣れれば、向こうのご飯も慣れました。 -朝はビュッフェみたいな感じで、パンとチーズがあって、コーンフレークとかを自由にとって、という感じですかね? O.E様:はい。 -お昼や夜ご飯はどんなものを召し上がってましたか? O.E様:屋台というか出店みたいな、オペラハウスの近くにあって、日本食がものすごくおいしかったので、タイ米だったんですけど、お米を食べたり、あと向こうの郷土料理を、お昼に食べに行ったり。あとは、スーパーの中の量り売りされているものを、ご飯と、あと野菜とかを中心に買ったりして、お昼は食べたりしました。 -それはお一人で買い物されたんですか? O.E様:基本的に一人で行ってました。 -買い物とかしてて、怖いこととかなかったですか? O.E様:基本的にはなかったです。治安はすごくいいと思いました。ホテルの近くのバスから歩く間、ほんの少しのところが、フォルクスオーパーから帰ってきた日がちょっと夜遅かったので、そのとき気がついて、そんな夜遅くに出たので、ちょっと怖かったですけど、基本的にそんな遅く帰ることなんてなかったので、そんなに怖いと思うことはなかったです。 -劇場行くと、終演が遅いですもんね。 O.E様:そうですね。 -これから留学、ウィーンに行きたいなと思っている人にアドバイスか何かあったら教えていただけますか? O.E様:同じコースというか、バレエと語学で行かれる方ですか? -そうですね。もしくは語学に集中したほうがいいのか、バレエならバレエのほうがいいのかとか、何かご意見があったら教えていただけますか? O.E様:観光地も集まっているので、観光もできますし、バスとかトラムとか電車も、乗り方を覚えてしまえば案外遠くまで行けますので、観光面についてはものすごくいろんなところに行けるので楽しいと思いますし、向こうの人も優しい人が多かったので、語学学校に通ったときにもいろんな人に教われると思います。あと向こうの人は日曜日お休みなので、日曜日は外に出ている人が多いので、お天気のいい日とか、日向ぼっこしに私も行ったんですけど、日向ぼっこしに公園に行って、そこで私も話しかけられて、ずっと長い時間しゃべっていたんですけど、そこでもいい出会いもありますし、語学の面でも、バレエも本場なので、ものすごくいい刺激になると思いますし、一人で出ていってわからないことばかり、というのもありましたけど、でも出てみると、日本の違いを学べていいかなと思います。 -今回行ってみて、いろいろ今後のことを考えたいとおっしゃってましたけど、現段階ではどうお考えですか?留学するのか、就職するのか、とか。 O.E様:まだ決めかねてはいるんですけど、根占さんとお話させていただいて、根占さんは、ワーキングホリデーでこっちに来て、それでレッスンをしにまたこっちに戻ってきたら?ってという提案もしていただいて。そういった感じで、ワーキングホリデー向こうに行くという道と、あと、留学をする道と、あとは、全くバレエと関係ない道の就職をするかの3択に今なっています。 -そうなんですね、今日は貴重なお話しをどうもありがとうございました。

小笠原 智子さん/フライブルグ音楽大学/ピアノ科専任常勤講師

東京出身の小笠原氏は、東京芸術大学を卒業後にドイツに留学。ベルリン芸術大学、フライブルク音楽大学にて学び、在学中に全ドイツ音楽大学コンクールで優勝を果たします。演奏家国家資格を取得し、両校を首席で卒業すると、数々の国際コンクールで入賞。レパートリーはバロックから現代まで幅広く、ウィーン古典派、ロマン派、印象派、近代曲を中心に定期的にリサイタルを開催。また、ソリストとして名門オーケストラと共演し、そのキャリアを積み上げてきました。モーツァルト生誕250年記念祭では、ドイツ各都市でピアノソナタ全曲演奏会を開催し、耳の肥えた聴衆を魅了しました。フランスの新聞は、「ドイツ的厳格さにも関わらず、無重力とも言える軽々とした演奏は、モーツァルトそのもの」と絶賛。技術だけでなく、音楽の本質を探求し、それを演奏に反映させるピアニストとして、音楽界で高く評価されています。教育者としてもドイツ・フライブルク音楽大学で教鞭をとり、豊富な経験を持ち、多くのコンクール入賞者を輩出。子どもから高齢者まで、ひとりひとりのモチベーションを高め、能力と個性を最大限に引き出す、包括的なアプローチに定評があります。国際室内楽コンクールも審査員も務める同氏は、日本でも音高、音大生、受験生、留学希望者やコンクールの準備を対象にレッスンを行っています。 -まず簡単にプロフィールを教えていただいてもよろしいでしょうか? 小笠原様: ドイツ留学生活: 私は芸大ピアノ科で辛島輝治先生に師事し学部を卒業しました。その時点でとにかく外国に出たいと思っていたのですが、今のようなインターネットなどの情報網がなかった当時は全く雲をつかむようでした。偶然に先輩の方が一人ベルリンにいらしたのでその方を頼り、テープをゲオルグ∙サヴァ氏、〜85歳の今でも現役で教えていらっしゃいます〜 に送り、入試で取っていただけたのが私の人生の分岐点となりました。 ベルリンでの音楽学生生活は国際的で刺激があり本当に素晴らしかったです。 2年の間、サヴァ先生には毎週2回のインテンシヴなレッスンの他、すべてをサポートしていただき感謝にたえません。そして毎晩超一流の音楽家のコンサートに格安で通い詰め、(ベルリンフィルも当時500円、オペラも1000円)それで耳がすごく肥えました。最高に幸せでした!やっぱり本場との違いはそこですね。西欧クラシックの正統な趣味、センスは最高のものをじっくり味合わないと体得できないと実感しました。 ところが2年後にベルリン芸術大学を卒業したときに、これで日本に帰ったらせっかく見えてきた道がまたわからなくなってしまうというのではという危惧に悩まされ、迷いました。 その時ベルリンとスイスのマスタークラスでジョルジュ∙シェボック氏にお会いしたのが私の音楽人生に決定的な影響を与えたと言えます。どうやったらあんな吸い込まれるような音!が魔法のように簡単に鳴らせるのか?あの当時、先生はアメリカ、ブルーミントンの教授でしたが、しょっちゅうヨーロッパに来て演奏、教育活動、またこれからフライブルグ音大の客員もなさるというところでした。先生にも ” 君、日本に今帰って何をするの?”と聞かれました。コストが高いアメリカに渡らずドイツ国内でシェボック先生のレッスンが定期的に受けられるというのは抵抗し難い魅力がありました。そこでドイツの音大の最高学位であるコンサート/ソリストExaminationを受けるべくフライブルグ音大に入学してVISAを確保し、ティボー∙ハザイ氏、シェボック氏の両先生に就くという大変贅沢な学生時代の最後の仕上げをさせていただいたのです。大都会ベルリンで思う存分外から吸収したものの消化しきれなかった、、、その後黒い森の懐に包まれた美しいフライブルグで自分ととことん向かい合うことができたのは試験やコンクール以上に貴重な期間でした。 偶然にも私がドイツでついた先生は3人ともルーマニア、ハンガリー系の方々です。東欧人はその人間性に西欧人とは別の独特な味があり、音楽的にもその抑揚と律動感は私の感性にピタッとくるものがありました。これも幸運のひとつでしょうか。 バンベルグ: この間に私は今の主人であるドイツ人チェリストと出会い卒業後、彼が入団し今はソロチェリストとなったバンベルグ交響楽団のあるドイツ屈指の古く美しい町バンベルグへ移りました。ただそこは当時の私にはあまりにも刺激がなさすぎ、これでは先へ進めないなと困っていた頃、フライブルグ音大のピアノ科の教員に空きが出きたからオーディションを受けたらどうかと当時副学長だったハザイ先生から連絡をいただき、運良くその職を得ることができたのです。 それ以来私のバンベルグとフライブルグの2重生活が今もずっと続いています。 東西ドイツ統一後、西ドイツ(西欧)の東の端っこだったバンベルグもドイツの中央に位置する交通の要となり、国際的に著名なオーケストラを有する南ドイツきっての美しく古い町として外国人観光客も多くなりました。私はそこの素晴らしいオーケストラのメンバー達と毎年楽しくドイツ内外での様々な室内楽のコンサートに出演させていただいています。 フライブルグ音大での仕事: フライブルグの音大はまずその教師陣の素晴らしさがドイツの他の音大に抜きん出ていると思います。各科の横の交流も活発で私自身ピアノ科のみならず特に音楽理論の同僚からインスピレーションを受けサポートされることがしばしばです。フライブルグはドイツの西南端、スイスとフランスの国境まで30分ほどのところに位置します。そのためフランス、スペイン、イタリア等からの留学生も多く、自然に恵まれた大学街の雰囲気はアカデミックながらもオープンで活気があり、ヨーロッパで最も人気がある音大の一つです。 私自身について言えば、これだけ長くドイツで演奏にも教える方にも深く関わってきてようやく!”自分”が教えたい、教えられると思ってきたことが熟してきた感じです。クラスも大きくなりレヴェルも上がり、大学の重要な運営組織に関わることも多く大変やりがいがあり満足しています。 現在西洋人と東洋人がほぼ半々に混じっているクラスを教えています。彼らの弾き方、感受性、音楽の捉え方に現れる国民性の違いを観察、比較しつつ教えるのは興味の尽きないクリエイティヴな仕事です。特に日本人についてはここは早くからしっかり教え込んであり素晴らしいなというところと、楽譜の読み方が甘く大事な点を見逃したままさらいこんでしまっていて勿体無いというところがはっきり見えてくるようになりました。 -具体的にはどういった感じですか? 小笠原様:日本人は右手でお箸を使っているせいなのかはわかりませんが、まず目立ったところ(大概右手が多い)、音が多く込み入っているところをさらい、それを技術的にパーフェクトに弾きこなすことに焦点を当てていることが多いようです。その上で旋律も歌い感情を入れて聴かせようとする。どの音もバリバリと聞こえはするのだけれど立体感が少なく中身がスカスカ抜けているように聞こえる場合がしばしばです。それは音楽の根底にある和声(特に伴奏形ー概して左手)をあまり聴いていない。すべての音には縦(和音)と横(旋律)の線が交わるところに独自の場所と方向性があり、それが和声と旋律との響き全体を決定するわけです。旋律の土台への意識が低いと立体感を損ない、バランスが悪くなり音楽全体が不安定になります。さらに各音の意味が不透明になり、響きが融合しにくくなります。それはフレーズの流れにも当然影響します。こう言うととても難しく聞こえますがわかってみるとああ、なんだというぐらい簡単明瞭なことです。呼吸も楽になり自然と弾き方にも無理がなくなるのですから。 また音楽自体が国際言語と言えますが、そうだとすると西洋の音楽を学ぼうとする日本人にとってネックになるのはまさに日本語です。日本語は抑揚が少なく平坦な言語ですよね。母音と子音の差を濁したまま話すこともよくあります。また文章構造も関係代名詞で次から次へと副文が重なる論理的ではあっても複雑で長〜いドイツ文!よりは簡潔で短いです。だから日本人が西欧のクラシックを弾くと自ずと平坦でこじんまりとしてしまう場合が多いのは当然かとも思います。そうなると先ほど述べた和声感の弱さと相まってフレーズの息が短くなり、和声の拍の取り方を誤解したり、旋律の歌い方も何か不自然になっているのに気がつかない。 また日本人は総して全体像を大きくつかむことがイマイチ苦手です。部分を切り離して細かいところから綿密に仕上げていくのは得意なのですが。でも音楽はパッチワークではないですから。細部にこだわりすぎ、全てを一辺倒に真面目に取り、それを頑張りでさらい込もうとすれば不必要な緊張を体に強いることになります。音も硬く伸びなくなり音楽の流れに乗りにくくなりますね。 日本人の演奏が概してそつなく綺麗にまとまっているが今ひとつインパクトに欠ける、眺望が狭いと向こうで思われがちなのは言語のギャップだけではなく、その辺のメンタリティの差もあるかと思います。 楽譜の読み方で言えば、譜面上記されていることは鍵盤に正確?に移せるけれど、書かれていない(西洋人の作曲家ー母国語ーから見れば書かなくて当たりまえ)ことが読み取れない。だからどうしてもそこでずれちゃったり、その辺りの音楽的文法の間違いを犯しがちなんですね。それがおかしいとはすぐにはわからない。でも私が比較して説明したり弾いてみるとどちらがいいかは即、納得がいくわけですから音楽的センスが足りないわけでは決してないのです。 私は日々ドイツ語ばかりに接しているのでこちらの本を読むように楽譜を読むことに慣れてしまっています。とはいえ日本語を忘れているわけではないので、、、例えば外人が意味は全くわからずに日本語の発音のみパーフェクトに真似して話したり歌うのを聞くと何か変だと思うでしょう?日本人の演奏を聞いていてこれと似たようなことを感じることがあるというわけです。 演奏のレベルがかなり高い場合を言っているのですが、特に間違ったことをしているのではないけれど、なんか足りない、変?と本人も何となく感じている場合が多い。でも何となくではまずいのです。また日本人が情感を大事にするのはいいのですが、この場合本人の感情とイメージだけで好き勝手に弾かれてはもっと困る。こぶしを利かせてここぞとばかりに歌いまわしたり、ひたすら自分に酔って弾いたりと。単に感情移入、歌い心といっても自然なクラシックのセンスから外れてしまっては話になりません。各作曲家の持っている凛とした独自の話し方、言語があるわけですから。これは絶対に無視できない。 同じドイツ人でもハイドンとベートーヴェンとでは、フランス人でもラヴェルとプーランクとでは随分違う。そういう意味で、私はフランス人やイタリア人やロシア人の学生を教えていると、ああ、母国語ではそういう感じでそういうふうに語るのね、なるほどと、こちらが学ぶ時もよくあるんです。フランス人がフランスものを弾くと、先程言ったような文法の間違いはまず犯さない、彼等は母国語で話しているわけだから。逆にドイツ人がブラームスを弾くとピアニスティックな問題は山積みであっても文法の間違いはそう簡単には犯さないんですね。 微妙なところなんですけども。その辺りが長年の経験と観察で明確になってきたので、そこを東洋人の方にお教えするのがヨーロッパと日本の間にいる私の役目だと思っています。 ただ日本から留学志望の方は語学の障壁、必要性を軽視して、ただ西洋に行って西洋人の(有名な)先生につけば何かが得られる、上手くなれると単純に夢見ている方がまだ多いように見受けられます。でもちょっと考えてみてください。ドイツ語、少なくとも英語で会話ができない留学生には教える側にも限界があり、そのためにある一定以上の突っ込んだレッスンは不可能になるのは当然だと思いませんか? 日本語を理解し、今まで申し上げてきたような日本人特有の問題点を考慮に入れてレッスンする西欧人の先生はまずいません。そしてドイツの音大でピアノ専攻科を教えている日本人は非常に少ないのが実状です。 もちろん本人の才能と知性、それまでの教育がすべての土台となります。今まで受けてきた教育や努力が間違っていたわけでは決してない、ただそこでまだ見えていなかったことに焦点を合わせ、私が間違いを直すというのではなく、根本から、または違った側面からのアプローチで(そこはじっくり日本語で)その疑問の解決に少しでも近づけたらと思っています。 -弊社のお客様でもフランスに行きたいという方とドイツ系に行きたいという方と、いろいろ分かれるので、その辺はドイツならではの特徴があったりしたら教えて下さい。 小笠原様:そうですね。ヨーロッパ人から見ると、日本人も中国人も韓国人も十把一からげなんです。こちらから言うと失礼な話ですが。でも日本人から見れば(昔は私もそうでしたが)西洋人は白人十把一絡げでどっこいどっこいですよね。 ところがゲルマン民族とラテン系民族の国民性は呆れるほど異なります。 ドイツ人は論理的思考を好み、自己主張が非常に強い。ですからとても討論好きでテレビのトークショーの多さ(料理番組ではなく)がそれを物語っています。そしてドイツの政治、外交手腕の巧みさにも表れています。自分の意見を相手に納得させるためには明確に話せないとダメ、黙っていれば意見を持っていないと誤解され、下手をすると無視されかねません。ドイツでは沈黙は断じて金ではありませんし、空気を読む?とか謙譲の美徳もまず通じません。適当に譲って丸く収めるというのは大の苦手、私から見ると柔軟性に欠けると思われることもしばしば。ですがお互いの意見をはっきりさせてこそ相手を理解し協調の為に不可欠な尊敬が生まれる。 ドイツは9カ国もの隣国に囲まれ、西欧と東欧の境で絶えず切磋琢磨されつつ、2度の世界大戦での最悪なダメージを克服し、現在では世界で最も信頼されている経済大国の一つで外交の要です。ラテン民族ほど明るくエレガントで軽やかとは言い難いし、融通はあまり利かないけれども素朴で強靭、徹底した論理的思考に裏付けられた行動力、持続力には驚嘆させられます。実際生活していて大した国だとつくづく感じます。そしてそれは文化、言語、芸術にも当然反映しているわけです。 私は子供の頃から西洋文学、特にドイツ文学が好きで読み漁っていましたし、クラシック音楽もドイツものに惹かれていました。やはりその辺りが、私がドイツに行きたいと思った最初の理由でしょうね。でも日本でいくら努力してピアノが上手くなれても、私程度の才能では実際に母国語を話しているところで生活しないとつかみきれない。私はそれを芸大に入る前からこのままだと肝心なところは目隠しされたままだろうとウスウス感じていました。 そしてそれはどこからも誰からも教えてもらえないだろう、向こうに行くしかないなと思ったんですね。そうして行ってみたら、なんのなんの4、5年ぐらいではそう簡単にわからない、 もっと深く理解したいと思って、まだやっているわけです、もう何十年もいるのに。本当に奥が深いし、幅も広いし、長い道をここまで来て、でももうこれでいいということはない、これからはもっと力を抜いてさらにシンプルに。そして私よりも何十年も後に生まれた若い世代にもっと的確に伝えたい、私が回り道してきたことを、もう少し楽にクリアできるように、ピアニストに最も必要な柔軟性と忍耐を培いつつ、、、 -留学を現実にするために、先生の観点から日本で出来ることはなにになりますか? 小笠原様:留学したいなら、どこへ行くにしても当然のことですが入試を突破するための専科の技量を磨くこと、バッハなどポリフォニックな曲、ウィーン古典派、エチュードが基本的にどこでも重視されます。そして肝心なことは自分にあった先生を探すこと。サイトや口コミだけではなく実際にその先生とコンタクトを取りレッスンを聴講、受講してみないと。 あとは語学が決定的になりますね。ドイツでは願書申し込み前にドイツ語の語学証明のB1か音大によってはB2を前提条件にしています。筆記試験が入試当日に加わる音大もあります。どこへ留学するにせよ、向こうで意思の疎通に会話能力は欠かせないし、個人レッスンのみではなくセミナーなどの講義もある程度までは理解できるようにしておく必要があります。また国際言語である音楽そのものを理解する上でも語学は不可欠ですから早く習い始めるに越したことはありません。これだけは一夜漬けは利かないですから、、、 あと音大によっては入試で初見試奏を要求するところもあります。楽譜を一目で包括的に読み取ることはピアニストの最も大事な能力の一つだと私は思っています。入試にあるなしに関わらず日頃から訓練をしておくべきでしょう。 また日本は師弟関係、また親子の関係が、よく言えば礼儀正しく緻密なんでしょうけども、それゆえにどちらの側からも自立することを困難にしているように思えます。例えば中国人の留学生の大半は15、16歳で親もとを離れ西洋に来て留学の準備を着々と始めます。英語は日本人よりずっと達者だし自立心が強く個性的な子達が多いです。大陸的なヴィジョンを持つグローバルな国民です。何をするにしても独立独歩することでしか精神の強さは養えません。 -先ほどの先生のレッスンを拝見していて、まず弾いて、あなたどういう感情で弾いていますか?と質問を投げかけましたよね。日本の先生ってそれはされていますかね? 小笠原様:さあ、日本の先生方の教え方をすべて把握している訳ではないのでそこはわかりかねますが。でも例えば向こうで日本人の学生を教えるとしますね。一体どういう教わり方をしてきたの?と尋ねると、大概の学生、生徒は、自分が上手く弾けないところを、先生にそれじゃダメ、こうしたら、ああしなさいと言われ、その通りにすると良くなった、という感じのレッスンだと言うのです。じゃあ、自分では試行錯誤したり、先生に何か質問はしないの?と私。結局そこです。さっき言った自立させるか、できるかどうかということは。お手本がないとわからない、不安なのはまだ甘えているということです。 最初、幼い時は真似、コピーから入るのはある程度当然でしょう。ただ、コピーすることに依存したまま大人になってしまうのは非常に残念だし、危険だと思います。自分で見つけ出すには楽譜の”意味”を正確に読みとることから始まり、音にする際の手指だけでなく身体全体の使い方を探り、そして自分の音、タッチにもっと耳を傾けるようになる事が大事です。そこをうまくサポートするのが私たち教師の務めです。 また例えばモーツァルトのピアノ曲を学ぶにしてもYouTubeで他のピアニスト達の解釈を比較(真似?)するだけではなく、彼のオペラや、室内楽、交響曲などの他のジャンルを聴いてもっと幅広いところからも入っていかないと。その作曲者の音楽、人間像を理解するために。全ては一つにつながっているのですから、、、 また日本では音大ですらピアニストのアンサンブル教育にあまり力を入れていないのは全く理解に苦しみます。ピアニストはソリストの方がアンサンブル奏者や伴奏者よりも上だと思っているとすればそれは大きな間違いです。私は学生時代から今までなんと多くの楽器奏者や歌手と音楽を分かち合う喜びを得、楽しみ、かつ学んできたことでしょう。これより豊かな音楽的人間的財産があるでしょうか?一人だけでピアノと格闘していてもいつか頭打ちになることは請けあいです。他の楽器(意見)を聴き、自分を主張すると同時に全体に融合させる。呼吸を合わせることから弾き方も柔軟になり、音色のパレットも豊かになる。それが自ずと独奏の際の音楽の幅を広げることにもつながります。ピアニストとしてこんなに醍醐味があってうまい話を見逃す手がありますか? すべての器楽奏者、歌手が良い耳を持つピアニストをパートナーとして必要としているのに。 ーレッスンはピンポン? 日本の小さい子供は ”今私ー先生ーがここにいないと思ってさらってみて”と言われると、えーっ?ということになるんですね。でも私はその子が一人でピアノに向き合っているところを見たいなと思っているわけ。どう練習するか、これほど個人差がありまたそれを正しく必要とするものはありません。ところが生徒は(ちゃんと?)さらってある曲を先生の前で弾いて教えてもらう、先生は”直す”立場、また教える方も言ったことを来週までに直してきてね、と思っている場合がとても多い。それでは一方通行でイマイチつまらない。 レッスンはcritical thinking (批判的思考), communication(対話), creativity(創造性)が双方にあってこそピンポンができて面白くなるのです。面白くないものは長続きしないし上達につながりませんよね。 単に真面目に、キチンと言われたことを守って、間違わないように、頑張る、、、だけでは自発的な本当の愉しみは生まれてきにくいものです。 だからそ私はレッスンの際、そこにも焦点を当てているつもりなんです。日本人の倫理、美的感覚は西洋とはかなり異なります。ですからそれをそのまま当てはめようとするととんでもないことになりかねない。決して良し悪しの問題ではないんですけど。 でも西洋クラシック音楽を本気でやろうとするんだったら、他人からどう見られているかなどというつまらない自意識は捨てて、自分がどうありたいかを探さなくては。自己を確立させるにはもっと早くから自由な視点、観点に立つ勇気が必要です。 純粋単一民族で島国の日本からでは展望がなかなか掴みにくいのは当然です。ただ最初に言った通り昔とはちがい(特に)日本で情報は今や過剰なほど溢れています。 しかし肝心なのは全ては ”百聞は一見にしかず” の一言に尽きますね。 最後に: いろいろとお話しましたが、メンタリティも言語も全く異なる私たち日本人がこれほど熱心に西洋クラシック音楽に傾倒し、海外でも素晴らしい活躍をしているのは普通の西洋人には理解し難いようです。なぜなら彼らは東洋の歴史、文化をほとんど知らない、習っていない!(何たる片手落ち!)その上日本語は全く理解できないからです。日本人は未知でも真に美しいものは受け入れ、理解し徹底して学ぼうとする飽くなき探究心がありますね。西洋人もその素晴らしいメンタリティと日本固有の文化にもっと真の興味を持って欲しいと切に思います。そうすれば私たちと彼らとのピンポンもバラエティに富みさらに楽しくなるでしょうから。 -貴重なお話をありがとうございます。

K.Mさん/パリ国立高等音楽院

-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか? K.Mさん:クラシック音楽好きの母に薦められ五歳の時にヴァイオリンを始めました。小学生くらいの時に桐朋学園の子供の為の音楽教室に入室し、高校大学と桐朋学園に進学し音楽を学びました。 -留学したきっかけを教えてください。 K.Mさん:高校生くらいの時からアスペン音楽祭やヨーロッパの夏期講習等に参加し始め日本以外の国で音楽を学びたいという気持ちが大きくなっていきました。そして大学二年生の時にフランスの夏期講習で出会った先生に感銘を受けて留学を決意しました。 -どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また決め手になった点はなんでしょうか? K.Mさん:自分の習いたかった先生がいた学校を選びました。また国立校でしたので授業費がないのも大きかったです。あとは受験の倍率が厳しい事を知っていたので潔く腹をくくる事ができました。 -どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。 K.Mさん:試験は20分のフリープログラムと試験日3週間前に出される課題曲が一曲でした。あと、試験後に試験管数人と面接がありました。出願書類は申込み用紙の他に個人情報や今までの学歴や語学証明書を送ったと思います。試験当日は朝早くに呼び出されて弾くまでに数時間待ち、弾いた後にも面接まで待たされ終わったのが夕方でした。途中で抜けられなくてとてもお腹がすいて辛かったです。 -手続きで苦労した点はなにかありますか? K.Mさん:試験の手続きはさほど苦労しなかったのですが、受かった後のビザや現地での諸々の契約などがとても大変でした。 -留学準備はどのくらい前から始めましたか? K.Mさん:受験の半年くらい前だったと思いますが書類を送って試験曲の練習をしていただけだったので事前準備はあまり必要ありませんでした。 -学費はどう捻出しましたか? K.Mさん:両親がだしてくれた他、外部組織から奨学金を頂く事ができたのでそちらでまかないました。あとフランスでは住居手当を申請できるのでそちらも利用しました。 -語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか? K.Mさん:大学の授業で二年間勉強しただけで行ったので最初は全く通用しませんでした。語学学校に行く余裕があれば行った方がいいかなと思います。出来て困る事は絶対にないです。 -学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか? K.Mさん:競争の激しい学校でしたが日本人も多く在籍しているので、お互い助け合いつつ楽しい雰囲気でした。学校の特長としては個々の活動が充実している他、現代音楽が特に進んでいます。学校の隣がパリ管弦楽団の本拠地なのでコンサートにもすぐ行けます。 -日本人はどのくらいいますか? K.Mさん:年によりますが学年に10人前後だと思います。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください。 K.Mさん:一番違って嫌だったのは日曜日になるとほとんどのお店が営業しない事。営業時間の30分前になるとスーパー等でも入店拒否されることです。一番良いなと思うのは多様性や個人の意見を重視したり、主張できることです。 -学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。 K.Mさん:日本のように黒板に書いたりという授業は少なく、ほぼ口頭で進められるので語学を固めて行った方がいいです。 -先生はどうやって探しましたか? K.Mさん:特に探そうという事もなく、たまたま行った講習会で出会った先生に惚れ込んでしまいました。 -日ごろ練習はどのようにしていますか? K.Mさん:まず音階などの基礎をしっかりやってからバッハをはじめとするソロの曲を練習します。後は緊急性に応じて室内楽のものを進めています。 -学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? K.Mさん:ヨーロッパでは教会でのコンサートも数多いので演奏のチャンスは格段に多いです。 -1日の大体のスケジュールを教えてください K.Mさん:だいたい授業前に基礎練習を行い、その日ごとのレッスンや授業や合わせをして、残り時間や合間にも練習しています。夜に時間があればコンサートを聴きに行ったり、友達と出掛けたりする日もあります。 -現地の音楽業界へのツテはできますか? K.Mさん:自分から行動しないと中々難しい所です。あとはもうご縁ですね。 -周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか?(例:アメリカなどだと、生徒と先生が対等で意見を交換し合うので、積極氏が重視されるなどがあります) K.Mさん:フランスでもアメリカの様に自分の意見を言うし求められる事が多いです。自分から主張する事がとても大切です。何も言わないと空気のようになってしまいます。 -授業以外はどのように過ごされていますか? K.Mさん:学校では基本的に練習していますが休みの日は他の学校の友達と出掛けたり演奏会に行く事が多いです。 -日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか? K.Mさん:あまり尻込みせず話しかける事が大事だと思います。あとは多少のルーズさには目をつぶることですかね。 -宿泊先はどのようにみつけましたか? K.Mさん:フランスの日本語新聞社のOVNIのホームページの物件情報で探して写真を見て決めました。 -生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか? K.Mさん:だいたい900?くらいです -留学してよかったと思える瞬間は? K.Mさん:演奏させてもらえる機会が多い事や聴きにきてくれる人が多くて、演奏後にも知らない方から良かったよと声をかけてもらえる瞬間にとても充足感を感じます。 -留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか? K.Mさん:留学前は自分では何もできなかったし自主的に行動を起こすのが苦手だったのですが、留学してからは全て自分でやる事になり、自己主張できるようになりました。 -今後はどのような進路を考えていますか? K.Mさん:今までの経験をいかして演奏家として活動していきたいと思っています -これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。 K.Mさん:準備はいくらしていっても足りないものですがあまり心配せず飛び込んだ方がいいと思います。限られた時間を有効に使えるように意欲的に行動する事が大切だと思います -ご協力ありがとうございました。

平田千明さん/王立ノーザン音楽大学

洗足学園音楽大学を卒業後、イギリスの王立ノーザン音楽大学へ進学しました。 トランペットをジョン・ミラー氏、コルネットをリチャード・マーシャル氏に師事しました。 現地では、Brighouse and Rastrick Bandに入団し、その他にもBlack Dyke Band、Grimethorpe Colliery Band等で演奏しました。 -まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか? 平田さん:地元岡山県の音楽科のある高校を卒業し、洗足学園音楽大学に進学しました。トランペットは中学校の部活動をきっかけに始め、コルネットは大学生になってから始めました。 -留学したきっかけを教えてください。 平田さん:大学で「ブリティッシュ・ブラス」という授業があり、そこで初めて英国式金管バンド(ブラスバンド)に出会い、夢中になりました! -どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また。決め手になった点はなんでしょうか? 平田さん:私はブラスバンドを勉強したかったのでイギリスのロンドンではなく盛んな地域であるマンチェスター行きを希望していました。洗足学園のブリティッシュ・ブラスの授業で毎回指揮を振って下さっていたイギリス人の先生に紹介され、調べてみたところ前から習いたい先生も在籍していたので王立北音楽院に決めました。 -どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか? また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。 平田さん:私の学校は留学生がとても多い学校なので演奏はビデオ審査でも大丈夫でした。その他にもA4用紙2,3枚程度の論文も提出しました。なんといっても苦労したのは語学のIELTS試験です。何度か試験を受け、ようやく目標スコアに到達したときは嬉しかったです。 -手続きで苦労した点はなにかありますか? 平田さん:やはりビザ獲得のための書類集めです。銀行口座の証明や戸籍謄本などを翻訳もしてもらわないといけなく、思ったよりも時間がかかったので余裕を持って準備しておいて本当によかったなと思いました。 -留学準備はどのくらい前から始めましたか?   平田さん:大学を卒業して1年間アルバイトをしながら準備をしていました。 -学費はどう捻出しましたか?   平田さん:両親にお願いしたのと、合格時に大学から奨学金が出ました。 -語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?   平田さん:イギリス英語専門の教室に通ったり、インターネットのSkypeレッスンも利用しました。私は現地で大学が開催している語学スクールに通いましたが、日本で勉強していたのと現地で話すのは全く違ったので不安があればぜひ語学学校にも行った方がより理解度が増すと思います。 -学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?   平田さん:国際色豊かな学校です。いろいろな国の友達が出来ました。学校自体が1つのビルになっているので、コンサートホールで演奏会が終わった後、すぐ隣にある食堂兼バーでみんなでおしゃべりをしたりしました。 -日本人はどのくらいいますか? 平田さん:5.6人程度です。たまに現地の日本人とのハーフの子にも出会います。日本語が喋れるかは個人差が大きくあります。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください 平田さん:日本よりも全員が対等に会話できます。また、各科でのクラスが頻繁に開かれており、誰かの前で演奏する機会がとても多かったです。 -学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。 平田さん:基本的に教室に集まって先生の講義を聞いたり個人レッスンがあったりと日本とあまり変わらないと思います。ただ、各国で音楽用語、記号の良い方が違うので、これは勉強していった方が良いと思います。 -先生はどうやって探しましたか?  平田さん:コルネットで世界的に有名な先生をもともと知っていたので、その方にお願いしました。 -日ごろ練習はどのようにしていますか? 平田さん:ネット予約制の学校の練習室と寮の自室で練習していました。 -学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? 平田さん:学校の授業関係でもたまに学外コンサートなどがありますが、私は現地のバンドに所属していたので学外での活動がとても濃密でした。イギリスはブラスバンド発祥の地でコンテストや演奏会もいたるところで開催されています。基本的に平日の月木の夜に友達の車に何人かで乗り合わせてリハーサルに行き、休日のどちらかには必ずコンサートがありました。実際に現地のたくさんのトップバンドで演奏させてもらう機会も何度もあり、とてもいい経験になりました。 -1日の大体のスケジュールを教えてください 平田さん:午前中の講義の前に朝食、事務作業などをすませて講義に行っていました。午後はレッスン、合奏授業があり、バンドのリハーサル日なら18時頃に集合して車でリハーサル室に行っていました。リハーサル日は基本23時がえりだったので、毎日充実していました。 -現地の音楽業界へのツテはできますか? 平田さん:基本的に最初は習っている先生のご紹介が多いと思います。そこから出会った演奏者からまた演奏の機会を頂いたり、学校開催のマスタークラスにて他の国の先生とも知り合うことが出来ると思います。 -周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか? 平田さん:先輩後輩が無いからこそ、学生同士で多くの情報が共有できると思います。また、先生から質問された時に、自分の意見をはっきり言える生徒が多いなという印象を受けました。 -授業以外はどのように過ごされていますか? 平田さん:次のリハーサル、コンサートに向けて練習したり、気分転換をしたいときは街の中心部に行ってショッピングをしたりしていました。また、マンチェスターは日本食レストランもあまりないので、現地のスーパーで手に入れられる食材でいかに日本食に近づけられるか研究したりしていました。 -日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか? 平田さん:とにかくたくさん話しかける事だと思います。共通の話題を見つけたときはけっこう盛り上がります! -宿泊先はどのようにみつけましたか? 平田さん:学校が紹介している演奏可能な学生寮に住んでいました。 - 生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか? 平田さん:家賃(9万円程)を入れると約14万円程です。 -留学してよかったと思える瞬間は? 平田さん:ブラスバンドではバンドの在籍している地域でのチャリティーコンサートがよくあるのですが、終演後に感想を言いに来てくれる事が多く、とてもうれしかったです。 -留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか? 平田さん:音楽的な成長もそうですが、内面的にも自分の意見がしっかり言えるようになった、人見知りしなくなったなどです。 -今後はどのような進路を考えていますか? 平田さん:現在、アンドビジョンでカウンセラーとして働いています! -これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。 平田さん:留学する事で確実に音楽に対する考え方、人生観が変わると思います。やはり語学!しっかり準備していくほど濃密な時間が過ごせます。頑張ってください!

T.Aさん/ヨーロッパサマーアカデミー

山形大学地域教育文化学部地域教育文化学科音楽芸術コース4年生。 -まず簡単な自己紹介とこれまでの略歴を教えていただけますか? T.Aさん:私は6歳からピアノを始めて、自分としては別にピアノをやりたいとか全然考えていなくて、アパートに住んでいたとき、違う階の子がバレエをやっていたので、クラシックバレエも見に行ったこともあって。 それで、バレエいいなと思っていたり、テレビで見た和楽器のお琴もカッコイイと思って、やりたいなと思っていたんですけど、両親は小さい頃からピアノをさせたかったみたいで、ずっと先生は探していたみたいなんですけど、近所で知っている人も全然いなかったんです。 探し続けていて、幼稚園の年長のときに担任の先生が、自分の知り合いにピアノの先生いるよ、ということで紹介してもらったんです。ピアノをやってみない?と言われて、全然反発しなかったので、じゃあいいよと言ってピアノに行きました。 自分の同級生のお母さんでもあったんですけど、そういうつながりもあってピアノを始めることになりました。 両親としては、長く続けさせるつもりはなくて、簡単に特技として、ずっと長く続けられる趣味とか、ピアノを弾けると合唱コンクールとか、小学校にも上がったときにも活躍できるかな、ぐらいに考えていたみたいです。 ずっと大人になるまで続けさせようとは思っていなかったみたいです。 でも、習った先生のつながりで、ピアノの先生たちの小さなグループがあって、そこで2カ月に1回東京からピアニストの先生を呼んで、レッスンを定期的にやっているから、そこに入ってみない?と言われてました。 その先生もその会に入会したばかりだったみたいで、自分の教室からもいっぱい生徒を出したいということで、全然弾けない始めたばかりだったんですけど、ちょっと受けるだけでも、みたいな感じで。 両親としてもそんなに本格的にさせるつもりでもなかったので、すごい先生に習える機会だし、15分の無料体験レッスンだから、思い出作りに受けさせてみようか、ということで受けることになりました。 その先生が、この子、今年度の最後の演奏会出られるんじゃない?ということを言われて、こっちとしても逆らえないというか、すごい先生に言われたから従うしかない、といった感じで、親も断れなくて、そこからの縁でピアノを続けることになりました。で、その先生は今年亡くなられてしまったんですが、今まで続けて、その門下生の方も全国にいらっしゃるんですけど、その方ともつながりができて、今も長くピアノに携わっている感じです -今まで海外の講習会には参加されたことはございましたか? T.Aさん:1回もないです。 -ヨーロッパサマーアカデミーに参加しようと思ったきっかけは何かあったんですか? T.Aさん:とりあえず海外に出て勉強するのが一番いい、というのは先生からも言われていたので、向こうに行ってみたいというのがまず一つだったんですけど、漠然と、ドイツかな、というところもあって、今回のサマーアカデミーがドイツだったので、決め手になったかなという感じです。 -今回シェプス先生のクラスだったかと思うんですけど、参加者はどれぐらいいらっしゃいましたか? T.Aさん:4回レッスンがあって、その4回を受けていたのが5人で、あとは違う先生と掛け持ちで、というのが4人ぐらいいたので、計9人ぐらいでした。 -何人の人がいらっしゃいましたか? T.Aさん:日本人が私を含めて3人で、韓国、中国系の方が2人であとは掛け持ちしていたのが日本人2人と、アジア系の方が、兄弟だと思うんですけど、ご家族で2人ぐらい受けられていました。 -講習会の全体のスケジュールはどんな感じでしたか? T.Aさん:レッスンに関しては4回先生の都合で入れられて、結構等間隔で受けることが出来ました。 最後の終わる3、4日前にクラスコンサートがあって、そこで全員演奏するというかたちでした。 あと最後は、ずっとクラスコンサートを、ほかのいろんな楽器のクラスとかも朝から詰められていて、演奏会聞き放題でした。 夜は、1日2日以外ずっと教授コンサートみたいなものがありました。 -参加者のレベル的にはどうでしたか? T.Aさん:すごく高かったです。 私は全然ノウハウがわからないで行ったので、自分の練習している曲をとりあえず見ていただこうという感じで持っていきました。 ほかの方は、受け方がわかっているというかしっかり準備されていました。 曲もたくさん持っていって、その曲を全部暗譜して、1曲コンサートで弾けるぐらいの完成度で持っていかれている方がほとんどでした。 なので、想像よりはるかにレベルは高かったです。 -先生はどうでしたか? T.Aさん:直接的におっしゃる方、と言うのは通訳の方も言っていて、伝え方、ちょっと困るんだけど、っていう。 でも、言ったことをそのまま言おうと思っているから、ということで、大丈夫?と言われたんですけど、私ははっきり言ってもらったほうがよかったので、全部そのまま伝えてもらいました。 言っていることはきついのかもしれないんですけど、音楽的なこととか、基本的な弾き方とか、先生はロシアの方なので、ロシアのメソッドはこうやっているんだよ、ということも教えてくださったりしました。 指の使い方とか、そういう基本的なところから歌い方まで幅広くレッスンしていただきました。 あと話もユーモアたっぷりにしゃべってくださったので、最初は緊張していたんですけど、でもすごく勉強になったと思います。 -先生方の演奏会は聴いてみてどうでしたか? T.Aさん:ピアノでもいろんなタイプの、決まった弾き方じゃなくて、それぞれの色がはっきりわかって、タイプの違う演奏を毎日楽しめた感じがしました。 -レッスン以外の時間はどのように過ごされましたか? T.Aさん:はい。散歩したり、ライプツィヒが行ける範囲だったのでそこへ2回ぐらい行って、バッハハウスとかメンデルスゾーンの家とか、トーマス教会の範囲を歩いてみたり、観光みたいな感じでしていました。 穏やかというか、ハレーよりは都会だな、という感じはしたんですけど、そんなに危ないというか、そういう都会感ではなくて、穏やかで住みやすそうだというのはすごく感じました。 -町の人とのコミュニケーション、買い物をしたりするのも英語でしたか? T.Aさん:そうですね。どちらかというと。 -旧東側って英語がなかなか通じないところもありますよね。 T.Aさん:そうですね。なのでハレーは、レストランに行ったとき、私じゃない方がやってくださったんですけど、英語大丈夫ですか?って言ったら、わからないんだよね、みたいな感じで。 でも一生懸命コミュニケーションしようと向こうも頑張ってくれて、温かいところもあるなと思ったんですけど、言葉はやっぱり難しいなと思いました。 -お食事とかは一緒に受けている方と行かれたのですか? T.Aさん:そうですね。あとはパン屋さんのパンを食べました。 そっちのほうが多かったんですけど、演奏会早く終わったから、ビールでも飲んでいこうか、みたいな感じでレストラン入ったり、そういうのもありました。 -パンやレストランでこんなのおいしかったな、というのはあったりしますか?逆に、口に合わなかったな、とか。 T.Aさん:意外に食事は、あれ?というのはなくて、全部おいしいなと感じました。 レストランで食べたピザはすごくおいしくて、それも種類がいっぱいありました。 最後の日に日本人だけで打ち上げしようか、みたいな感じで行ったところで、みんなでピザ頼んだんですけど、どれもおいしそうで、自分が食べたものもすごくおいしかったです。 ドイツはピザのイメージはなかったんですけど、そういう食事もおいしいなと思いました。 -講習会の中で練習はどうされてましたか? T.Aさん:練習室を5人で1部屋という感じで振り分けられていました。 朝10時から夕方7時まで、毎日1人2時間ずつ時間をとって交代で練習していました。 -雰囲気的には日本の練習室とはあまり変わらない感じですか? T.Aさん:もっといいピアノが置いてあるのかなと思ったら、結構調律もあまりなっていないというか、ひどいと言ったらあれなんですけど、そんな感じでした。 部屋も暑くて、日本みたいにエアコンがあるわけでもなくて、窓も開けてはいけないと書いてあって、なのですごくこもって暑かったです。 2時間ずっと弾いているとモンモンとしてくるぐらいの暑さのときもありました。 涼しいときはちょうどいいんですけど、気温が高いときは大変でした。 -ホテルはいかがでしたか? T.Aさん:ホテルはすごくよかったです。きれいだし、すごくスペースも広くて、よかったです。 -暑かったり寒かったりはしませんでしたか? T.Aさん:それは大丈夫でした。ちょっと暑いなと思ったこともあったんですけど、でもそんなにいられないというぐらいの感じではなくて。 -クーラーはないですよね? T.Aさん:なかったです。 -ここ最近ヨーロッパがどんどん暑くなっていて、どうしても暑いなというのもあって、クーラーないんですけど大丈夫ですか?というような話もするんですけど、やっぱり暑いですよね。 T.Aさん:これから数年後はもっと暑いのかな、とも思ったりしました。 -そうするとクーラー入れるようにもなってくるのかもしれないですね。扇風機はありましたか? T.Aさん:扇風機はなかったです。手持ちの扇風機も持ってこようかなと思ったんですけど、コンセントがどうとか考えたら持ってこれなく。 持ってきている子はいたんですけど、携帯に挿してできるものとか、そういうのがあると便利だなと思いました。 -そこまで暑いですか。 T.Aさん:外出るとなおさら暑いな、ということもありました。 なので、小型の扇風機でもあると快適かもしれないです。 -日本の暑さと違って、湿度がなくて、日差しが強いという感じですかね。 T.Aさん:日差しは強かったです。 -朝夕はどうでしたか? T.Aさん:朝夕は涼しかったです。日中だけ暑くて。 -夜とか普通にお友達と歩いていても、そんなに不安な感じではないですか? T.Aさん:そうですね。でも日本ではないので、そういう怖さはありました。 でも特に、何か暴れているとかそういうのはなかったので、そういうところは安心だったかなと思います。 -講習会のスタッフの対応は大丈夫でしたか? T.Aさん:それはすごくよかったです。 英語なので緊張はするんですけど、それでも一生懸命説明してくれて、最終日のときも、ホテルにほとんどの方がいらっしゃったので、私が出る時間に2人の方が出てきてくださっていて、バイバイ、みたいな感じで送り出してくださりました。 それが最後まで見守ってもらえているんだという安心感があって、すごくよかったです。 -ホテルで洗濯機はありましたか? T.Aさん:洗濯機はなかったので、普通に手洗いしました。 ほかの子は、学校の近くにコインランドリー見つけて、旅に慣れている子だったので、そういうのを探しているみたいで。でも私は探すのも面倒くさいなと思ったので、手洗いにしました。 -宿泊先から講習会場はどう移動されていましたか? T.Aさん:トラムに乗って、最寄りから降りて、少し歩いていきました。 -すぐわかりました? T.Aさん:いただいた資料の写真を頼りに行ったので、目印見つけて行きました。 でも中に入るまでが難しかったです。 大学の中の受付にたどり着くのがなかなかできなくて、二つの棟の違うほうへ入ったりして迷って、いろんな方に教えていただいてなんかとか見つけました。 -留学中に困ったことはありましたか? T.Aさん:特になかったですね。 行って、ホテルからフリーチケットみたいなものをもらったんですけど、その使い方が最初困って、聞いて、教えていただきました。 あとトラムの乗り方も、方面しか書いてなくて、結構難しいなというのはあって、最初は困ったかもしれないです。 -今回留学された中で、すごくよかったと思う瞬間はありましたか? T.Aさん:飛行機を降りたときから全然違う空気で、それだけでもすごい刺激になりました。 違う国に来て、自分1人でなんとかたどり着かなきゃいけないということで、あまり日本ではそういうことを感じられなかったのです。 違う国に行って聞きなれない言葉とか聞いて、違う生活の仕方を感じられたことが、一番自分の中ではよかったなと思います。 -音楽的な部分に関して、先生の教え方が違うなとか、何か感じたことはありましたか? T.Aさん:私の先生はずっとドイツにいらっしゃった方で、弾き方で、鍵盤を叩かないように、ということはその先生からずっと言われていて。 私はそれを意識して弾いていたつもりだったんですけど、だんだん癖が出てきたのかもしれなくて、それをまたシェプス先生にも言われました。 日本は技術的に大きい音を出すとか、指を上げて、とか、いろんな方が弾いているのを見ていると感じることもあるんですけど、そうじゃなくて、鍵盤に手を置いて、というか、叩かないということを言われるのは海外の特徴なのかな、というのを改めて感じた気がします。 -町に関しては、日本と違うと感じたことはありましたか? T.Aさん:休日がとにかく休日だなっていう感じがしました。 日本だったら、まだお店開いているよね、みたいな時間に、入っちゃダメです、みたいな感じで、8時ぐらいに閉める準備というか、完全に閉まっているところもあって。 こっちよりも夜は長いというか、あまり暗くならないので、夜という感じはしないんですけど、お店は全部閉まって、日本よりも休む時間が長いなというのは感じました。 -今後短期留学や長期留学もそうかもしれないですけど、留学したいなと思っている方に対して、何かアドバイスがあれば。 T.Aさん:言葉ですね。私は何とかなるかなと思って行ったんですけど、言葉を聞き慣れてないというのが一番大きくて。 英語もドイツ語に聞こえるというか、全然最初は訳がわからなくなって。それが一番の不安の原因だったというのがあったので、話せなくても、理解できなくても、ちょっと単語を入れておくとか、ひたすら聞いて耳だけ慣らしておくとか、向こうの言葉に慣れておいたほうがいいかな、というのはすごく感じました。 -ちょっとしたことでも、100パーセントじゃなくても、何となくわかっているのとわかっていないのでは過ごし方も変わってきますよね。 T.Aさん:一緒に行かれた大人の方は、行く3カ月前から携帯のラジコでドイツ語を毎日聞いて、英語も毎日10分とかやっていたので、毎日欠かさず聞くようにしていて。 聞いているときは、こんなの絶対出てこないよ、と思っていたけど、行ってみたらすごく話せるというか、簡単な会話はすらすら出てきて、活用して、コミュニケーションとられていて、行ってみると出るもんだね、とおっしゃっていたので、それだけでもかなり違ったらしくて。 なので、言葉はそういうふうにやっておくといいかなと思いました。 -今後のT.Aさんの活動で、どういうふうにやっていきたいというのがありましたら教えていただけますか? T.Aさん:本当は今年で大学卒業するので、今回をきっかけに海外に留学したいというのは漠然と考えていたんですけど、行ってみて、言葉の面だったり、向こうに留学してから語学学校に行くというのは聞いたことがあるんですけど、私の場合は、それよりも気持ち的にいろいろ準備してからじゃないとダメだな、というのは行ってみてすごく感じました。 1年ぐらいしっかり自分で考えて、いろんなセミナーとか、日本で開かれるのも含めいろいろ見てみて、ゆっくり考えようかなとは思っています。 -いずれは、1年、2年ぐらいのスパンで現地で生活してみたいな、という感じですかね。 T.Aさん:それは頭にありますね。 -本日は貴重なご意見ありがとうございました。

M.Nさん/プラハサマーアカデミー

-簡単な自己紹介と経歴を教えていただけますか? M.N 様:音楽大学卒業後、20 年ほど音楽教室でピアノの教師をしています。 -今まで国内外の講習会に参加したことはありましたか? M.N 様:ここ 2、3 年は日本でも室内楽のセミナーやモスクワ音楽院の先生のマスタークラスのレッスンも受けたことがあります。海外は初めてでした。 -海外に出ようと思ったきっかけはありますか? M.N 様:プラハサマーアカデミーというものを知って、このような勉強の場があるのだということ、そして年齢制限が無く、室内楽の枠があったというところです。自分がここ 2、3 年室内楽を勉強していて、室内楽を自分が楽しめるようになりたいという気持ちがありました。共演者も講習会側で用意いただけることも大きかったです。 -講習会の参加者数はどれくらいでしたか? M.N 様:室内楽は私ともう一組ぐらいだと思います。全体としては 20人弱でした。 -講習会はどんな内容でしたか? M.N 様:初日はオリエンテーリング後、すぐに練習時間が充てられていました。室内楽は2時間、ピアノソロは 3 時間の練習時間です。練習は毎日させてもらいました。朝の 9 時から夜の 8 時の間で、その中で早い者順に予約をするというかたちでした。 -ピアノの質はいかがでしたか? M.N 様:私に割り当てられた練習の部屋は、ヤマハでした。1 回だけ私のルームメイトが使っていた別の練習の部屋はペトロフが置いてあって。ペトロフはペダルのコントロールがすごく難しく感じました。ルームメイトも「弾きにくいね」と言っていました。 -メーカーの違い、ということですよね。 M.N 様:はい。レッスンを受ける部屋にはファツィオリが置いてありました。こんなに一度にいろんなピアノを弾くことができて楽しかったです。 -室内楽(ピアノトリオ)のメンバーはどのような方でしたか? M.N 様:バイオリンの方は現地に住んでいる日本人で、現地の楽団に所属していると聞きました。チェロの方はチェコ出身で、フリーで演奏されている方です。 -実際に合わせてみていかがでしたか? M.N 様:いや、本当にこれはこのサマーアカデミーに参加してよかったなと思ったんです。 どういうことかといいますと、最初に何の打ち合わせもなく合わせる時間が用意されていましたが、その時間で合わせたとき、私は非常に調子が狂ったんです。それは、行く前に自分で用意して行ったことと、そのバイオリンの方もチェロの方も、それぞれにこれから演奏しようとしている曲について感じていることが違っていたのです。 -曲は何を選ばれていましたか? M.N 様:アレンスキーのピアノトリオです。速度感もだいぶ違いました。私は師事している先生から、私はどちらかというと美しい曲を弾くと速度緩めになるから、そこに気をつけてと言われていました。 そういう心づもりでいたら、バイオリンの方のほうが私以上に幅広く速度を感じていたんです。 初回のレッスンはどうなるんだろう、と心配になりましたが、レッスンが始まったら、サマーアカデミーでの先生から各奏者にアドバイスをいただけて、3 人が同じ考えのもとでだんだん演奏できるようになり、ホッとしました。 -いきなり全然違う考えの人とあわせをすることあまりない経験ですよね。 M.N 様:そうですね。日本で今まで参加していた アンサンブルは、普段はプロの奏者の方だったので、気づかないところで私は助けられていたんです。でも今回の場合、3 人のうちの誰かが指導する立場ではなく対等なので、対等だとこのようなことが起きるんだなということがわかりすごく勉強になりました -レッスンの言葉は何語でしたか? M.N 様:言葉はチェコ語です。現地に住んでいる日本人の方が通訳をしてくださいました。 -2人の先生からレッスンをうけられたのですよね? M.N 様:はい、前半はピアノ、後半がチェロの先生でした。ピアノが 3 回でチェロが 2 回でした。 -どちらもチェコの方ですか? M.N 様:はい。ピアノの先生とチェロの先生ではおっしゃることが違っていて、ピアノの先生はすごく正確さを求められているなという印象です。その正確さがあって初めて相手と演奏上のコミュニケーションがとれるというか。ですが後半、チェロの先生のところに行ったら、「もっと自由にやって!」と言われて…またそこで拍子抜けしてしまいました。その 2 人の先生の狭間で私はどうしたらいいのか…と葛藤がありました。レッスンが終わったあと、ぐったりして1 日中、あとは部屋の中で転がっていたという日もあったぐらいでした。 -大変だったのですね。 M.N様:でも、転がりながら考えてみるうちに、ピアノの先生のおっしゃることもチェロの先生がおっしゃることもどちらも必要で、両方を上手く融合できれば良いのではないか、という結論を出せて、ちょっと気が楽になりました。最初は悩みましたけど、自分なりに結論にたどり着く事ができて良かったです。 -それはよかったです。先ほどの「正確さ」というのは、楽譜に書かれていることに忠実であるという感じなのでしょうか? M.N 様:はい。速度もキープできるようにしたいし、キープすることによって拍子感というのが 3 人の中でハッキリするとか、そういうことだと思うんですね。室内楽では部分によって、主導する楽器が移り変わっていくので、相手にちゃんと合図を送れるようにすることが大切だと、先生が教えてくださいました。 -日本でのレッスンとの大きな違いは何ですか? M.N 様:「それぞれのパートがその部分によって役割がある」具体的に「室内楽の考え方」として、お話を聞けたのはプラハサマーアカデミーでのレッスンが初めてだと思います。 -「具体的」というのは例えばどういう感じなのでしょうか。 M.N 様:私がレッスンでお話を伺ったのは、全体的にでは無く、部分的にだと思うのですけど、この部分では、とにかくピアノの「バス」の刻みを弦楽器の人たちが聞いているから、そこがハッキリしないと弦楽器の人たちは出にくいとか、演奏しにくい、ということです。私の感覚だと、ピアノソロではないから、ピアノばかりが音を大音量で鳴らしてしまってはいけないという気持ちがあり、もしかすると 3 人で合わせるには、私の元々の音量が足りず、「バスの刻み」が伝わらない状態だったのかもしれません。 -なるほど。発表する場はありましたか? M.N 様:はい。最終日にプラハサマーアカデミーのホールでした。 -どれぐらいのキャパでしたか? M.N 様:規模的にはサロンぐらいかと思います。プラハの建物全体的に言えると思うのですが、とにかく天井が高いんですよね。なので、そんなに思いっきり鳴らさなくてもすごく響く感じですね。 -弾いたときの気持ちよさも日本とは違いましたか? M.N 様:そうですね。特に練習しているときは、弾き易いピアノだったということもあると思うのですけど、音がきれいに聴こえるんですよね。すごく驚きでした。日本で練習している人たちというのはいつも狭い空間で練習しているので、音に対する感覚がヨーロッパの人とは違う、 という新聞記事を読んだことがあるのですが、これはまさにそういう感覚なのかなと思いました。 -実際に演奏してみてどうでしたか? M.N 様:レッスンを受けている過程では、自分自身がブルーな気分になったり、いろいろ紆余曲折もありましたが、最終的にはメンバーが同じ気持ちというか、同じ考えの下で演奏できたことと、あとはお互いを聴いているということも感じられるまでになり、最後は楽しめました。 この経験を通して、日本でアンサンブルのセミナーに参加していた時は私は弦楽器の奏者(先生)に助けられていたんだということがわかりました。本当に気づきが得られた講習会でした。 -それはよかったです。プラハはどのような場所にいきましたか? 雰囲気はいかがでしたか? M.N 様:建築家の知り合いの人から、すすめられたモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』が初演された劇場へ行きました。チェコの国は戦争の時に爆撃を受けていないので、当時の建物がそのまま残っているそうです。それで様々な様式の昔の建物がそっくりそのまま残っていると考えたら、本当に時が止まっている感じですよね。また、絵を見るのが割と好きなので、ミュシャの美術館も行きました。 -美術館へはどのように行きましたか? M.N 様:トラムを利用したのですが、最初は迷ってしまい断念して帰ってきたんです。2 回目は行き方を聞いて移動したのですが、また右も左もわからなくなってしまって… -ガイドブックを片手に移動されていたのですね。 M.N 様:はい。本屋さんが見えたので聞いてみたのですが、意外と英語が出来ない方も多く、 ジェスチャーで教えてもらいました。そうしたら中央郵便局に着いたのですが、そこも実は行きたかった場所の一つだったんです。郵便局の位置を頼りに美術館にも行くことできました。 -プラハを回っていて大変だったことはありますか? M.N 様:一番大変だと思ったことは、石畳だったことです。これは私だけかもしれないですが、アスファルトと違い、足元の石畳は平らにはならされてはいないので、結構足を取られる感じで、疲れるなと(笑)。 -宿泊先はいかがでしたか? M.N 様:日本人の方と2人部屋でした。ちょうど私が使わせていただく前に改装したみたいで、すごくきれいになっていて、 とても真新しい感じでした。 -ルームシェアも久々でしたでしょうか? M.N 様:そうですね。どんな感じなのかなと行く前はちょっとドキドキだったんですが、ルームメイトになった方は、私よりも年上で、しかもリピーターなんですね。もう 7 回目だとおっしゃっていて、何でもご存知で、いろいろ教えてくださいました。 -生活する上で不便はありませんでしたか? M.N 様:全然不便なことはないです。講習会会場へも歩いて 2 分ぐらいでとても便利でした。 -食事はどうでしたか? M.N 様:朝食はビュッフェになっていて、好きなものを選べます。毎日なるべく違った感じの食事を用意してくださっていました。 -お口には合いましたか? M.N 様:はい。用意してくださっていた朝食が、私は一番ほっとできるというか…味付けの濃さが、朝食は割とあまり手が加えられずにあっさりとしていたんですけど、外食だと、全部が全部ではありませんが、結構味が濃いめのところもありました。 -濃いというのは塩味が強かったのでしょうか? M.N 様:はい。はじめはちょっと驚きました。ほかの参加者の方に、「チェコは味付け濃いんですね!」とぼやいたら、「これはビールを飲ませるためだよ!」とかおっしゃっていました(笑) -量はいかがでしたか? M.N 様:日本で出るものからしたら多いですよね。1 人で何か一つ頼むというよりは、何人かで行ってシェアするというのが基本でした。 -講習会について話を戻すのですが、講習会は初めての方にとって参加しやすい 雰囲気でしたか? M.N 様:そうですね。プラハのサマーアカデミーのコーディネーターの方の一人が日本人でした。 ディレクターは現地の方ですけど、参加者に対してすごく配慮がある方だなと感じました。あと、プラハのサマーアカデミーに参加される方は、日本人の方が多いと思うんですね。講習会は今年で 22 回目と最後の日におっしゃっていたから、「日本人ってこういう感じだな」という心づもりがあるのではないかと思います。 -改めて講習会を振り返っていかがでしたか? M.N 様:プラハサマーアカデミーという場は、配慮があって、参加者の立場に立つ、ということをすごく考えてくださっているところだと思います。私はとてもいい会に参加できたと思います。現地の日本人コーディネーターの方も、ディレクターも、そしてわざわざ遠いプラハまでやってくるという気概ある参加者の方達。素敵な人達に出会えたことも、私は本当に恵まれていたと思います。そういった意味でも参加して良かったなと思いました。 -留学を通じて収穫になったなと思うことはありますか? M.N 様:全て自分が体験したこと、それが収穫ですね、音楽に限らず、音楽ももちろんですが…例えば乗り継ぎのフランスの空港で迷っていたら日本人スタッフの方が声をかけてくださったり、プラハについた後にスーツケースが見つからなかった時に飛行機で隣にいた中国の方が場所を教えてくださったり。そんな感じで、いろんな方に助けられた留学でした。 -日本と留学先で一番違いを感じたところは何ですか? M.N 様:音楽という点でいくと、建物の空間の違いというのが一番違う点です。広くて天井の高いところを自分が体験できたことがすごく良かったなと思います。やはりヨーロッパは教会があるので度々教会の鐘の音も聞こえてきますし、そういう環境で育って生活している作曲家の人たちが、こういう世界を体感しながら生まれた音楽なのかな…とか、思いをはせるようなことはありますよね。 -留学する前にやっておいたほうがよかったなと思うことはありますか? M.N 様:やはり言葉ですね。参加されている方は英語が思ったよりできる方ばかりでした。 私の英語は本当につたないながらも、多少は使える…という感じですが、もう少し自分のほうからも言葉が出るぐらい英語が使えれば…と思いました。 -最後に今後留学をする方へのメッセージをお願いします。 M.N 様:迷っているようだったら思い切って行ってみたほうがいいです。自分が実際に体験するということが一番尊いと思うんですよね。だから、それは実際やらないと経験できないということなので、ぜひ経験していただけたらなと思います。 -インタビューへのご協力ありがとうございました!

千葉琴美さん/ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジ アーロン・ コープランド音楽学校

-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか? 千葉様:4歳でピアノを習い始め、音楽科のある高校に進学、日本の音大を卒業し、ニューヨークの大学院修士課程に入学しました。 -留学したきっかけを教えてください。 千葉様:大学在学中に一年間ニューヨークの音楽大学(マネス音楽院)に留学する機会があり、その際に素晴らしい先生との出会いがあったこと、またニューヨークという土地のエネルギーや芸術の文化に魅せられたことがきっかけで、ニューヨークの大学院進学を決意しました。 -どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また。決め手になった点はなんでしょうか? 千葉様:ニューヨークで知り合った先生の紹介で、アーロン・コープランド音楽学校を選びました。決め手は、実技はもちろん、音楽理論や音楽史など、一流の素晴らしい教授陣でした。また、市立の学校なので、学費が私立と比べて格段にお手頃です。 -どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。 千葉様:試験は、実技と音楽理論で、TOEFLのスコアや推薦状、志望理由書など様々な書類の提出が必要です。一番苦労した点は、TOEFLの勉強や、英語で音楽理論を理解しなければいけないことでした。 -手続きで苦労した点はなにかありますか? 千葉様:手続きで苦労した点は、語学面です。また、ビザの手続きも提出書類が多く、大変でした。 -留学準備はどのくらい前から始めましたか? 千葉様:留学する約10ヶ月ほど前から、徐々に準備を始めました。 -学費はどう捻出しましたか? 千葉様:両親が経済的に支援してくれています。 -語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか? 千葉様:留学を決意してからは、TOEFLのために必死に勉強しました。アメリカの大学院に留学するにはTOEFLが必須です。現地で語学学校へ行くと、お金も時間もかかってしまいますし、海外で先が見えないと不安が増すと思います。日本で早い段階からできる限り英語を習得し、正規の学生としての進学が決まってから留学することが私にとっての条件でした。 -学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか? 千葉様:学校は、素晴らしいホールや練習室などが充実しており、とても良い環境です。また、総合大学で敷地が広く、緑も多くリラックスした雰囲気です。 -日本人はどのくらいいますか? 千葉様:日本人は、全員と知り合いになれるほど少ないです。ピアノ専攻は私だけです。 -学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。 千葉様:どんな授業でも、意見を求められることが多くあります。自分の意見をしっかり持ち、発言する力が必要だと日々感じます。 -先生はどうやって探しましたか? 千葉様:初めてニューヨークへ留学した際は、全くツテがなかったので、日本のピアノの先生と相談し、マネス音楽院のホームページから自分に合いそうな先生を探しました。現在は、学校で出会った先生に直接お願いし、レッスンを受けています。 -日ごろ練習はどのようにしていますか? 千葉様:毎日学校で練習しています。 -学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? 千葉様:頻繁に行われています。 -1日の大体のスケジュールを教えてください 千葉様:朝9時ごろから夜9時ごろまで学校で過ごしています。今学期は授業は週に2日、午後にしかありません。午前中は個人で練習し、授業のない日は午後に個人練習のほか室内楽の合わせをしたり、授業の課題をしたりしています。 -現地の音楽業界へのツテはできますか? 千葉様:努力や縁次第で、何らかのツテはできると思います。 -周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか? 千葉様:周りのアメリカ人の生徒は、授業中にとても積極的に意見を述べたり、質問したりしているなと感じます。 -授業以外はどのように過ごされていますか? 千葉様:授業以外の時間は、練習をしたり、学内での演奏会へ行ったりすることが多いです。 -日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか? 千葉様:まず英会話力を伸ばすことです。また、堂々とした態度でいること、相手の話をよく聞くことが大切だと実感しています。 -留学してよかったと思える瞬間はありますか? 千葉様:ニューヨークならではの最高のパフォーマンスを見ることができた時や、様々な国の色々な価値観や考えを持つ人たちと、違いを乗り越えて友達になれた時などです。自分の世界が広がり、音楽の表現にも大きく活かされます。 -留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか? 千葉様:色々なことに対して、より明確な意見を持てるようになってきました。そのことによって、前よりも演奏に説得力が出たのではないかと思います。 -今後はどのような進路を考えていますか? 千葉様:日本で音楽活動をしていきたいと考えています。 -これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。 千葉様:強い意思としっかりとした目標を持って、でも気負いすぎずに頑張ってください。 -ご協力ありがとうございました。

淡田 理恵さん/ダーティントン国際音楽サマースクール

2012年 トロンボーンを始めました。中学入学です。 村上美希先生に師事しています。 -簡単な自己紹介、今までの経歴をお願いできますか? 淡田様:中学1年生から部活でずっとやってて、高校2年の春で引退して、あとは個人でやっています。 -今回ダーティントンを選ばれた理由は何ですか? 淡田様:吹奏楽がやりたくて、吹奏楽の講習ができるところを探したらダーティントンが見つかったので、そこに行こうと思いました。 -今まで国内外の講習会には参加されたことはありましたか? 淡田様:いや、初めてで。トビタテ!留学JAPANを使ったので、それがきっかけで探しました。 -トビタテは実際にやってみてどうでしたか?行く前のミーティングとかもあったと思うんですけど。 淡田様:分野が違う子とも話して、いろいろ情報交換したり。でも海外に行ったことがある子がほとんどで、結構海外のことも聞けたりとか、こういうのおすすめだよ、というのを教えてもらったりしました。 -交流会は何人ぐらい集まっていたんですか? 淡田様:そのときは500人ぐらいで。それを東京で2日で分けてやって、あと1回、大阪会場のほうで。結構多い人数でした。 -ダーティントンの講習会にはどれぐらいの方が参加されていましたか? 淡田様:全体はよくわからないですけど、ブラスだと15人ぐらいで、プラス、講習者ではないんだけど、前来ていて、合奏だけ参加という人もいて。その人たちも合わせると結構な人数になりました。 -講習会でのスケジュールはどんな感じでしたか? 淡田様:7時から朝ご飯で、9時15分からセクションで、ブラスウォームアップセッションがあって、そのあとコーヒー休憩があって、11時15分からトロンボーンの低音セクションがあって、そのあとお昼を食べて、2時からブラスアンサンブルがあって、そのあと4時半からビッグバンドがあって終わりで。そのあとは夕飯を自由に食べたりして、夜はコンサートとかもあったので、勝手に見に行ってもいいし、みたいな。 -結構長丁場ですね。体力的に大丈夫でしたか? 淡田様:楽しいからアドレナリンが出て、そんなには。一緒にいたトランペットの男の子、その子もヘロヘロでした。 -先生とかスタッフはどんな感じでしたか? 淡田様:スタッフもすごく優しくて。ベットも毎日きれいにしてくれるんです。あとは先生、Paul Archibald先生とBrett Baker先生がよく面倒見てくれたんですけど、2人めっちゃ優しくて。あまり英語得意じゃないんで、輪に入れるかな、みたいな感じだったんですけど、大人ばかりの講習会だったのでかわいがってくれて。打ち上げやると言って、カレー屋さんに行くと言われて、子どもだからちょっと遠慮したんですけど、ポールが一緒に行こうよ、みたいに誘ってくれて、一緒に行ったりもしました。 -ブラスのコースの参加者はイギリス人が多いんですか? 淡田様:イギリス人が多かったです。日本人は見なかったです。3週目に1人日本人がいたと教えてくれて。でもその人もロイヤルフィルでバイオリンを弾いている人みたいでした。 -イギリス人の方はどんな方が多かったですか? 淡田様:アマチュアのバンドでやっているとみんなほとんど言っていました。 -コンサートや演奏会は行きましたか? 淡田様:ホールがあって、そこでいつも毎日何かしらのコンサートをやっているんだけども、講習会の時期だけ講習会参加者はカードを見せればチケットなしで入れるみたいな感じで。ポールとブレッドのコンサートを。すごかったです。日本だとすごく高いお金払って見に行かなきゃいけないやつを、近くのほうで見れるんですよ。 -ホールってどれぐらいのサイズなんですか? 淡田様:ホールは、教会を改装した感じで、そんなに広くはないんですけど、近くで見れました。 -自主練習はどうされていましたか? 淡田様:学生寮を改装したホテルで、夜9時までは吹けるんです。だから、帰ってきたあとにまた個人練習したりして。それで、時間を守れば自分で好きにできるので、よかったです。 -食べ物はどうでしたか? 淡田様:日本クオリティを求めなければおいしいのかなと。 -朝はビュッフェですか? 淡田様:いつも頼めば、ビュッフェがいろいろ並んでいて、これ、と言えば取ってくれて。朝昼晩それでした。でも朝はいつも同じ食事が出ていたんですけど、クロワッサンがおいしかったです。スクランブルエッグとベーコン。あとソーセージもあったし、トマトの香草焼きみたいなものもあっておいしかったです。 -お昼はどんなものが? 淡田様:お昼は、あまり肉系じゃなくて、1回おいしそうだと思ったらまずかったんですけど、みずみずしいカボチャの中に、天かすの油ギトギトにしたみたいなやつが詰まっていて、見た目はすごくいいんですけど油っこすぎて。 -そうなんですね。夜はどんなものがでました? 淡田様:夜はチキンとか、1回牛肉とデミグラスソースみたいなやつが出たりして、夜は結構おいしかったです。あと、昼と夜は基本ケーキ出ているので、食べました。 -飲み物は普通に買えました? 淡田様:ダーティントン自体観光地だったので、水もジュースもお菓子も買えて。アイスも買いました。日本では結構飲んでいたんですけど、向こう行って水しか飲まなくなっちゃって。 -宿泊先と講習会場はどうやってに行かれてました? 淡田様:近かったので歩いて行きました。でも私が泊まったホテルじゃないホテルがもう少し遠くにあると言っていたので、そっちだと遠いかなと思いました。 -外国の方とお話するうえで上手くお話するコツみたいなものはありましたか? 淡田様:向こうの人ってすごく気にかけてくれて、ほとんど叔母さんみたいな感じで。だから子どもというか、向こうで私結構幼く見えるので、すごく気にかけてくれて、向こうからコミュニケーションを取ってくれて、それに応えればよかったです。 -今回のダーティントンの講習会に参加してよかったなと思うところはありますか? 淡田様:海外の人って、レベルが全然違うんです。普通にトランペットの楽譜をパパっと渡されて、読めちゃうし。トロンボーンと調が違うじゃないですか。それを普通に読み始めて、は?みたいな。そういうのは日本ではやらないけど、向こうだとやらなきゃいけないから、ひと段落したらそういうのも頭使っていこうと思ったし、先生が合奏中とかにここなんか違くない?って言っても反論するんですよ。いや、これは言うこと聞いておこう、ぐらいのやつも反論して。僕は間違っていない、みたいな。マジ?と思って。それでよく見たら、あ、違った、ごめん、って軽くって。そのぐらい主張しても、先生も考えるし、向こうも考えるしで、日本みたいに受け身じゃなくてすごく面白いなと。あと、いつも部活単位で動いていたので、つながりが部活の中だけだったんですけど、LINEみたいなグループがあって、それに入れてもらえたりして、つながりがちゃんとできて。ブレットとかポールとかもそれに入っているから、また来年も来なよ、とか言ってくれたりして。 -いいですね。逆にすごく困ったな、ということはありましたか? 淡田様:最初のときは、毎年やっているやつみたいで、大体いつも同じメンバーなんですよ。だから空気出来上がっちゃっていて、みんな知り合い、みたいな。どうしよう?あれ?と思ったんですけど、でも最初だけで、みんな話しかけてくれて。それで、レッスン場所が離れているんです。牧場を突っ切ったこともあったんですけど。そしたら、場所わかるか?って聞いてくれて、わからないと言ったら、じゃあ連れて行ってあげるから時間の20分前にここに集合ね、って教えてくれて。 -音楽の教え方で日本と海外の違いは感じたりしましたか? 淡田様:はっきりは言っていました。自分が習っている先生は、オブラートにつつんで、これはこうしたほうがいいじゃない?みたいな。でもはっきり言っていて。理由もちゃんと言ってくれたり。あとは、ブレットに言われたのが、スライドを上げるときに息が返ってくるじゃん?って言われたんですけど、はあ、みたいな感じだったら、いきなりピストルみたいな真似されて、びっくりしたんですけど、わかりやすくやってくれるので、よかったです。 -通訳なしでもいろんなことを吸収してきて。すごいですね。ちなみにトロンボーンってどうやって持っていきましたか? 淡田様:飛行機、2席とったんですけど、上に乗せてもいいみたいで。入る?と思ったんですけど、持ち込んだらキャビンアテンダントさんに、これは上に上げますか?手伝いますか?って言われちゃって、いや、2席とっています、ってなったので。上に上げてもいいのかな?って思いました。 -プライベートレッスンのお話を伺っていこうと思います。すごく気に入られて、追加レッスンしたいとおっしゃられて。どの辺がよかったですか? 淡田様:やっぱり、はっきり言ってくれる。今教わっている先生よりも、1回のレッスンで伸びる感覚が全然比にならなかったし、1回エチュードを吹いて、そこから気になったところを抜粋して、練習メニューとか教えてくれていたりしたんですけど、全然新鮮で、超楽しかったです。 -今後淡田さんみたいに高校生でトビタテを使いたい人はいっぱいいるんですけど、何かアドバイスがあったら教えてもらってもいいですか? 淡田様:やる気があれば。やる気と具体性があればなんとかなるかなと思いますあと、運。 -今後、講習会やマスタークラスを受けたいと思う方に対して何かアドバイスがあったら教えてください。 淡田様:英語とか私できないと思って行って、できないなりに話したので、文法とか必死に考えて話せなくなるよりも、話したら向こうも話返してくれるというか。ちゃんと話したほうが思ってて、でも英語できなくて、もうちょっと勉強していったらよかったなと思いました。向こうに行って、海外で音楽やったほうがレベルがアップできると思ったんですけど、まだ全然私、向こうに行ってアマチュアの人にも面倒見てもらう感じで。だから日本で1年勉強したあと、できれば海外で留学をしたいなと思いました。海外のほうが、レッスンとかもやりやすかったです。ロンドンは、きれいでした。公園とか、1人で観光とか行ったんですけど、行きやすいし、でもみんな結構気にかけてくれる感はあって。みんな優しくて。ロンドンいいところだなと。 -貴重なお話ありがとうございました。

M.Kさん/ルツェルン音楽祭アカデミー

-まず簡単な自己紹介、現在までの略歴を教えてください。 M.Kさん:ピアノ講師をしている母に薦められ五歳の時にヴァイオリンを始めました。桐朋学園の子供の為の音楽教室に入室して音楽の基礎を学び、高校大学と桐朋学園に進学しました。 -今まで講習会などに参加したことはありますか?海外に行かれたことはありますか? M.Kさん:今までにもいくつか海外の講習会には参加したことはありますがスイスでの講習会は初めてでした。 -この講習会に行きたいと思った理由やきっかけはなんでしょうか? M.Kさん:現代音楽に特化した音楽祭というのは中々数もありませんし、その中でもじっくり二週間コーチング付でコンテンポラリーオーケストラレパートリーを学べるというのが魅力的でした。また講習期間中の生活費や現地までの飛行機や電車も全額主催者側が支給してくれるというのも大きな理由です。 -参加者は、どのくらいの人数がいましたか?また、どんな人が参加していましたか? M.Kさん:世界中から100人程選ばれていました。年齢層も幅広く学生からプロオケで働いている参加者も数多くいました。 -講習会はどんなスケジュールが組まれていましたか? M.Kさん:二週間ほぼ毎日コーチングやリハーサルがありました。オーケストラトレーニングなので個人レッスンはありませでした。 -先生はどんな人でしたか?スタッフはどんな人でしたか?何名くらい居ましたか? M.Kさん:今年はJack QuartetのChristpher OttoとAustin Wulimanがヴァイオリンのコーチングを担当してくれた他、指揮者はDavid Fulmar、Ruth Reinhardt、Sir George Benjaminがいました。 事務スタッフは4人程でしたが皆とてもレスポンスが早く優しかったです。 -レッスンでは、どんなことを教わりましたか?教わったことで、印象に残っていることはありますか? M.Kさん:現代音楽ならではの特殊奏法のコツや複雑なリズムをいかに正確に細分化するのか等全て新鮮な体験でした。作曲者もリハーサルに参加して、どういったコンセプトで曲を作ったのか、どういう風に弾いてほしいのか等直接お話が聞けたのは印象深いです。 -レッスンは何語で受けましたか? M.Kさん:英語でした。 -レッスンの最後には、コンサートや閉会セレモニーなどがありましたか? M.Kさん:今回は二週間の間に4回ほどコンサートで演奏しました。閉会セレモニーはありませんでしたが、最後のコンサート後に立食形式の簡単なパーティがありました。 -講習会中に、人前で演奏する機会(コンサートやコンクールなど)はありましたか? M.Kさん:私は弾きませんでしたが、メイン会場の裏手にあるバーで自由参加型の野外演奏の場も設けられていました。 -練習はどこでしたのですか?どのくらい練習出来ましたか? M.Kさん:地元のコンセルバトワール三校の練習室を自由に使えた他にもホームステイ先でも練習できました。朝から夜までリハーサルの合間をぬって練習しました。 -レッスン以外の時間は何をしていましたか? M.Kさん:練習したり美術館や観光スポットを巡ったりしました。 -街のようすはいかがでしたか?(治安、人々の様子、外観など) M.Kさん:湖が多くてどこを見ても絵になる景色でした。治安もよく英語も問題なく通じました。 -どこか遊びに行ったところはありますか? M.Kさん:メイン会場付近の湖まで泳ぎにいったり、ショッピングセンターでウィンドウショッピングを楽しみました。 -宿泊先はどこに泊まりましたか?対応はどうでしたか? M.Kさん:ホームステイでした。ベッドルーム一部屋を個人で使えてバスルームとキッチンは共用でした。 -宿泊先の設備はいかがでしたか?(部屋人数、空調、トイレ・風呂、洗濯方法、TVなど) M.Kさん:とても清潔なホストマザーだったので不備なくとてもキレイでした。エコ思考の方で空調システムやテレビは置いていませんでした。 -宿泊先と講習会場はどのように移動しましたか? M.Kさん:シティパスを主催者側が参加者全員に配ってくれたので自由にバスや電車に乗って移動できました。 -ごはんは何を食べましたか?お口には合いましたか?外食は1食何円ぐらいでしたか? M.Kさん:主にサンドイッチやサラダを食べました。スイスはレストランで食事すると高いですし量もとても多いのでテイクアウトを主に利用していました。サンドイッチ一個でだいたい5フラン前後でした。何を食べても美味しくて特にチョコは最高でした。 -海外の人達とうまく付き合うコツはありましたか? M.Kさん:皆とてもフレンドリーだったので特にコツはなかったかなと思います。 -留学中に、困ったことなどはありますか? M.Kさん:楽しい事だらけでありませんでした。 -今回講習会に参加して良かったと思える瞬間はありましたか? M.Kさん:毎日とても充実していたので最後のコンサート後にまた来たいなあと既に名残惜しく感じました。あとベルリンフィル、コパチンスカヤ、カバコス、ツィマーマン等世界的に有名な演奏家 達の生演奏を聴けたのは大満足です。 -留学して、何か自分が変わったなとか成長したなと思う事はありますか? M.Kさん:世界中の意欲ある仲間と交流できて、いくつになっても意識を高く、上を目指し続ける大切さを学べました。 -日本と留学先で大きく違う点を教えてください。 M.Kさん:コーチと生徒が対等でリハーサル中も自由に質問したり発言できたりというのは新鮮でした。全員がプロとしての意識を高く持っているのも新鮮な事でした。 -今後留学する人にアドバイスしておきたいことなどありますか? M.Kさん:最初の一歩は何でも難しいものですが必ずそれに見合う何かを得られるので機会があれば積極的に行ってみてください。 -留学前にしっかりやっておいた方がいい事は何かありますか? M.Kさん:下調べは大事ですし早目早目に動いた方が安心です。 -今後の活動は?進路などありましたら教えてください。 M.Kさん:帰国して演奏活動の他レッスンをしたりしています。 -ご協力ありがとうございます。

志鎌 優成さん/ドレスデン国際バレエサマースクール

2歳からクラシックバレエを始め 2010年、日本ジュニアバレエ入会 -まず簡単に自己紹介、これまでの略歴を教えていただけますか? 志鎌様:2歳からバレエを始めて、小学校6年生ぐらいのときに日本ジュニアバレエという団体に加入しました。あとは、教室でずっと普通に練習しています。 -今までに講習会とか海外に行かれたことはありますか? 志鎌様:今回が初めてですね。 -今回この講習会に行きたいと思った理由やきっかけはありますか? 志鎌様:一度どんなものか、海外のバレエを体験してみたくて、短期間でちょうどいいなと思ったのもあって、やってみようと思いました。 -実際に参加されてみてどれぐらいの参加者人数とか、どんな方が参加されてましたか? 志鎌様:いろんな国の人が10人ぐらいずつ、少ないところだと1人とか3人とか5人とかだったんですけど、全員合わせると300人ぐらいですかね。いろんな人種の方がいました。 -参加者の年齢はどれぐらいの方が多かったですか? 志鎌様:クラス別だったので、基本的に14から、上が22までいたので、17から19ぐらいの人が一番多かった感じですかね。 -ダンスのレベル的にはどうでしたか? 志鎌様:バレエ自体はすごく難しくてできなという感じではなかったんですが、日本でやっている練習方法とまた違う、テクニックではなく一つの動きを練習するような、回ったり足を上げたりというのではなくて、全部を練習するというか、基本的な手の使い方とか角度とか、そういうのを重視していたので、難しいところもありました。基本的な動きを特にやるので、ものすごく難しい感じではなかったです。 -先生が考えたアンシェヌマンをやって、また、先生が止めてみんなに質問を投げかけて、注意して、みたいな、途中で止まって話があったりする感じですか? 志鎌様:そうです。 -いろんな国出身の先生が参加してたと思いますが、講習会は何語だったんですか? 志鎌様:英語ですね。 -英語でのレッスンはいかがでしたか? 志鎌様:動きをしてから英語をしゃべられるので、何を伝えたいのかは動きを見てわかったり、単語を少し並べて、例えば腕とか日本人でもわかるぐらいの英語で説明していただけるので、何を伝えたいかは大体わかりました。あと、精神論というか、ダンサーには何が必要かみたいな。 -精神論に関しては何とおっしゃっていましたか? 志鎌様:ダンサーには何が一番必要かを一人一人に聞いていたり。テクニックが必要だと思います、とか、体幹が必要とか、表情とか。そういうこともありました。 -それはレッスンの時間に中断して話が始まる感じですか? 志鎌様:そうですね。 -講習会は大体どのようなスケジュールで組まれていましたか? 志鎌様:朝、まず1時間半のクラシックバレエのレッスンをしたあと、日ごとにピラティスとバリエーション、次の日がクラシックバレエのレッスンをしたあと、パドゥドゥとコンテンポラリーとか、日ごとによって違って。ただ基本的に一番最初にクラシックバレエのレッスンをやってから違うことをやるという感じですかね。 -このレッスンは楽しかったというクラスはありましたか? 志鎌様:ピラティスを初めてやったんですけど、すごくためになるなと思って、日本でもやってみたいなという感じになりました。コンテポラリーも初めてやったので、最初わからなくて大変だったんですけど、やっていくうちにどうすればいいのかとか、ちょっとだけなんですけどわかってきて楽しくなってきました。 -先生は全員で何人いらっしゃいましたか? 志鎌様:10人ぐらいいらっしゃいました。 -皆さんサポート的にはどうでしたか? 志鎌様:皆さん普通に優しくて、英語がしゃべれないというのを先生に伝えたら、それでも大丈夫と言ってくれて。とにかく英語がわからなくても質問したほうがいいなというのは空気感でわかりました。それでわからなくても別に、何も答えてくれないという感じではなく、優しく丁寧に教わりました。 -今回のレッスンで印象に残っていることはありましたか? 志鎌様:やはり国民性というか、個人の性格も多分あるとは思うんですけど、日本人の謙虚なところというか、外国の方はぐいぐいくるのを感じました。もちろん謙虚になることはとても大切だと思うんですけど、チャンスを逃すという悪い方向に行かないようにしないといけないなと思いました。そこで日本人だから、とか、もちろん人のことを考えて行動しなきゃいけないんですけど、先生に質問するときとか、練習を見てもらうときとか、そこで積極的に行かないとダメだなというのは印象に残りました。 -今回参加された講習会で日本人の方は何人ぐらいいらっしゃいましたか? 志鎌様:僕を含めて6人いました。 -お話とかはされましたか? 志鎌様:男の子が1人いたんですけど、その子とはご飯食べたりとかお話したりしたんですけど、基本的に女の子とはあまりしゃべらない感じでした。 -レッスンのクラスメートとちょっとお話するような感じですか? 志鎌様:そうですね。クラスメートよりもルームメイトのほうがよくしゃべりました。同じクラス、同じグループの子だったので、質問したりとかしゃべったりという感じですかね。 -ルームメイトの方は何人の方でしたか? 志鎌様:スペイン人とアメリカ人とルーマニア人の人がいました。 -ホテルから会場まではどうやって通っていましたか? 志鎌様:路面電車で行きました。歩いても行けるんですけど、歩くと30分ぐらいかかって、路面電車だと歩きを含めて15分ぐらいで行けますね。 -お食事はどうされていましたか? 志鎌様:ホテルのご飯が基本的に出ていたので。あと昼食は、講習会場の食堂で出ていたのでご飯は困らなかったです。ただ、水とかが、水道水が飲めないので、ちょっとカルキの匂いがしたりするので、水もほしくてスーパーとかに寄らないといけませんでした。日本みたいに自動販売機がポンポンある感じではなかったので、そこでスーパーを活用するのに早く時間が閉まっちゃってました。レッスン終わったあと直接スーパーに行ってホテルに帰ったり、という感じですかね。ホテルに1回帰っちゃうと閉まっちゃうので、寄ってから帰るというふうにしていました。 -お店が閉まっちゃうというのは、早く閉まっちゃうということだったんですね。ストとかではなくて。 志鎌様:普通に営業時間が短くて、9時とか8時ぐらいにはもう終わっちゃうんです。練習が大体8時とか6時とかまであったので。 -レッスンのあとは自習とかできましたか? 志鎌様:できました。ただ、夕食の時間が決まっていたので、できて30分とか。1時間ぐらいやっちゃうと夕食が間に合わないので。 -今回は志鎌さんは夕食ありのプランで組ませていただいたじゃないですか。実際受けてみてどうでしたか? 志鎌様:宿泊したホテルの裏にスーパーがあるんですけど、早く閉まっちゃうので、レストラン行くとそれなりの値段もするし。あと、レストランって駅のほうにしかないので、駅まで歩いて10分ぐらいかかっていたので、夕食はつけたほうがいいかなという感じがしますね。 -朝食はパンとハムとチーズとビュッフェ、みたいな感じですか? 志鎌様:そうですね。 -ジュース、牛乳、紅茶やコーヒーがあって、みたいな感じですか? 志鎌様:そうです。 -夜はどんなものが出ましたか? 志鎌様:夕食もそういう感じでした。ビュッフェみたいに、サラダとかパンとかです。温かい食べ物は日によって違いました。サラダとパンと飲み物は全部朝と夜同じなんですけど、暖かいものは日によって変わります。 -町の様子とか、普段の感じはどうでしたか?治安が悪いなとかありましたか? 志鎌様:治安は普通に良かったです。町の雰囲気も、駅のほうに行くと結構人はいるんですけど、ホテルの周辺とか、講習会場は住宅街の中にあるようなところだったので、あまり人がいっぱいいるような感じでもなかったです。あと、日が沈むのが遅いので、10時ぐらいに真っ暗になって、そう考えるとあまり危険ではないかなという感じですかね。 -ルームメイトの方とどこかに遊びに行ったりしましたか? 志鎌様:遊びに行ったりはしてないですけど、次の日が休みの夜のときはみんな駅のほうに飲みに行ったりという人もいたり。あと、屋上にたまり場みたいなところがあって、そこでみんなおしゃべりしていたりとかしました。そこで違うグループの子とか、同じグループの人と仲良くなったりとか、そういう感じですかね。部屋にこもっている人もいるし、人によってそれぞれという感じでした。 -部屋はクーラーはありましたか? 志鎌様:クーラーはなかったです。 -暑くはなかったですか? 志鎌様:それは大丈夫でした。窓を開けると涼しかったりするので。 -レッスン会場の空調とかはどうでしたか? 志鎌様:レッスン会場は普通にクーラーがありました。 -ちょっと寒いとか感じましたか? 志鎌様:いや、寒くはなかったです。ちょうどいい感じでした。 -ウォーマーとかつけている人はいなかったですか? 志鎌様:動く前に上着を着たり、という人は結構いました。 -宿泊先で洗濯はどうしていましたか? 志鎌様:コインランドリーを使っていたんですけど、ホテルのやつが1台しかなくて、しかも壊れていて、町のほうのコインランドリーに、路面電車に乗って行きました。 -それはホテルで教えてもらったんですか? 志鎌様:そうですね。エントランスの方に教えてもらって行きました。 -留学中に困ったことなどありましたか? 志鎌様:路面電車に初めて乗ったとき、ドイツ交通局の人が、覆面みたいな感じで乗っていて切符を見るんですけど、切符の買い方が最初わからなくて、そこで教えてくれたりするわけじゃなくて、逆に罰金を60ユーロほどとられました。日本みたいな改札があって切符がないと絶対入れないという感じではなくて、変な話、無賃乗車できてしまう感じなんです。路面電車の切符の買い方がわかればよかったかな、という感じですかね。あとは、私生活はあまり苦労した、困ったことは特になかったです。 -今回留学して、何かご自身で変わったなとか、成長したなと思うことはありますか? 志鎌様:自分に少しだけ自信が持てたかなと思います。あっちの人ができないことができたり、というのも、ほんの少しなんですけどあったので、自信を持っていいところ、日本のバレエの教え方とちょっと違うんですけど、日本のバレエって基本的にテクニックを先に教えるので、あっちの人はもっと歳を取ってから回転をやったりすると聞いたので、できない人もいました。それで自分ができるところもあったので、自信を持っていいかなとかと思いました。あと1人で電車に乗ったりもしたので、ちゃんと自分でできたというか。そういうところは自信を持って行きたいなという感じです。 -今後留学する人にアドバイスしておきたいことはありますか? 志鎌様:受け身じゃなくて、自分から行かないと周りに流されちゃうので。あちらの人はすごく自分を持っているので、周りのことよりも自分を優先する感じで、そういうところに行った場合は、もちろん周りのことも気にしないといけないんですけど、自分のこともちゃんと考えないと押しつぶされて終わっちゃうと思いました。その場面によっては自分を優先しないといけないとか、臨機応変に対応していくのが大切かなと思います。 -最後に、今後の志鎌さんの活動、進路など、思うことがあったら教えてもらえますか? 志鎌様:一応日本でバレエはやりたいんですけど、世界の国のバレエ団も興味がわいてきたので、縁があったら頑張ってみたいなと思います。今は全然決まっていないんですけど。2週間のプログラムに行ってみて、すごい嫌になるか、挑戦してみたくなるかのどちらかかなと思っていたんですけど、すごく嫌だという感じではなかったです。英語もわからないし大変だったんですけど、もう無理だ、という感じでもなかったのです。よかったら挑戦してみたいなというのもありますね。 -とても貴重なお話しありがとうございました。

海外国際音楽コンクールのご参加をアンドビジョンがフルサポート!

03-5577-4500

info@andvision.net

Join Us On

アンドビジョンからのニュースレター