水野蒼生さん/指揮/モーツァルテウム音楽大学夏期国際音楽アカデミー/オーストリア・ザルツブルグ

1994年生まれ。 5歳からピアノを、12歳からヴァイオリンを始め、その頃から指揮に興味を持ち始める。 15歳〜17歳まで毎夏金沢で催される「井上道義氏による指揮者講習会」に最年少で参加、師事。17歳の時は優秀者に選ばれコンサートに出演。 また15歳から17歳までトリフォニーホール・ジュニア・オーケストラにもVnで在籍しており、在団中に仲間たちとOBOGオケである「ラノッキオ・アンサンブル」を結成。 2012年に東京音楽大学指揮科に入学するが、路線を変更してヨーロッパへ留学する事を決意。 2013年オーストリア国立モーツァルテウム音楽大学国際サマーアカデミーにて、指揮をペーター・ギュルケ氏に師事。ディプロマを会得。 現在は留学準備を進めながら、様々な活動を行っている。 -簡単な自己紹介、略歴、音楽歴をお聞かせください。 水野 5歳からピアノを始めて、それから趣味でずっと続けてきたんです。その時からバイオリンをやってみたかったのですが、12歳の時にたまたまピアノの先生からバイオリンを貸していただいて、バイオリンを始めることになりました。それと同時に中学で吹奏楽部に入ってフルートもはじめて、一気に音楽づくしの生活になりました。元々両親がクラシックが好きで、家に膨大なCDがあって、それを聞き始めてはまっていったというのもあります。その時は将来バイオリンでやっていけたらなとちょっと思っていたのですが、バイオリンをやるなら3~4歳からじゃないですか。それをバイオリンの先生にも言われて、じゃあ何をやるかとなったのですが、オーケストラがすごく好きで、ピアノをやっている時から自分で自分の音楽をやりたいと思って、、、個性が出るというか。それをオーケストラでやりたい、自分の音楽をしたいと思って、指揮に興味を持ち始めました。 -中学生の時に指揮を? 水野 はい、やりたいなと思いました。 -早いですよね。まだ指揮者がどんなものか分からないくらいの年齢ですよね。 水野 正直分かっていなかったですが、かっこいいし目立つし(笑)。中学の時は、合唱コンクールなどで指揮をふったりする程度だったのですが、高校でバイオリンでジュニアオーケストラに入ったんです。すみだのトリフォニーホールが運営しているオーケストラで、環境もよくて、いつも大ホールが練習で使えて。指揮の先生も松尾葉子さんがついてくれて、トレーナーは新日フィルの人がつきっきりで。また、指揮者の井上道義さんが、 僕が高1の時に講習会を始めたんです。中学の時から井上先生が大好きで、年齢制限をみたらちょうど15歳からとなっていて、「これはいくしかない!」と思いました。夏だったのですが、指揮は何もわからないのに一人でいって。それがはじめての指揮のレッスンになりました。オーケストラもふらせていただいて。 -オーケストラはそのために集まったメンバーだったのですか? 水野 その年は最初の年で、金沢大学のオーケストラがお手伝いしてくれました。毎年夏にあったのですが、高校の時は毎年それに参加して。アンサンブル金沢などもふらせていただきました。 -すごいですね。 水野 17歳の時は優秀者にも選んでいただきました。 -才能があったのですね! 水野 いや~、毎年来ているからじゃないですかね(笑)。それでコンサートにも出させてもらったんです。それ以来井上先生には習っていないのですが、今でも尊敬している一番好きな指揮者です。 -講習会以外では指揮のレッスンはしていましたか? 水野 高2の時に東京音大の夏期講習に行って、その時にここを受けると伝えたら先生を紹介してくれて、受験のレッスンのようなものもありました。そこで基礎を学んで受験して合格して入学して、結局前期だけしか行かなかったのですが。 -その間、大学ではどんなことを学ばれたのですか? 水野 大学では基礎を。レッスンもいっぱいあったんです。ピアノのレッスンが週に2人の先生からあって、和声があって。指揮のレッスンも1年生のためのレッスンと、上級生のためのレッスンのお手伝いみたいな感じでありました。 -今回夏休みに海外の講習会に行ってみようと思ったきっかけは? 水野 大学をやめた時から留学しようとは思っていて、下見として一度むこうの講習を受けたいなと思っていました。それでたまたまモーツアルテウムの講習会を教えてもらって、ダメ元で送って。それが無事に通って、そのおかげですね。 -ギリギリでしたが、間に合ってよかったですね! 聴講生もいたということですが、どこの国の方が多かったでしょうか? 水野 いろいろでしたね・・・。ブラジルから来ていたり、本当にいろんな所から。ルクセンブルクとか、他にも数人いました。イタリアとスペインが一番多かったでしょうか。 -受講していたのは人数は? 水野 8名です。 -聴講生はどれくらいですか? 水野 3~4人くらいです。年齢は25歳くらい、大学を卒業した方が多かったです。 -講習会はどんな風に進みましたか? 水野 他の科は2週間ありましたが、指揮科はその半分だけでした。でもその分密度がすごく濃くて。日曜から土曜までのセミナーだったのですが、毎日朝10時から夕方5時まで、スタジオにこもりっぱなしのような。練習室をとる暇もないという(笑)。 -事前に練習室の取り方などのお話もしていましたが(笑)。 水野 結局とらなかったです。自分がやっている時間は1時間もないくらいですが、みんなが振っているのを見て、聞いて、先生の言うことを聞いて。それだけでもためになるので。 -一つの曲をみんなで? 課題曲が3つくらいありましたが。 水野 はい。先生が前の日に「明日の午前はこれをやるよ」と言ってくれて、「午前中はお前とお前がふれ」みたいな。そしてお昼休憩の前に午後のインフォメーションもしてくれる。そういう感じで進んでいきました。 -では講習会が終わるまでにその3つを一通り勉強し終わる形で? 水野 そうですね。でもふれることが前提みたいな所もあって、最初の2日間だけ2台のピアノでやって、あとは全部オーケストラで。その時間ずっとオーケストラの人もいてくれていて(笑)。本当に感謝というか。 -そのオーケストラはどこから来た人たちでしたか? 水野 その大学の学生オケだと思いますが、学生だけじゃなかった気もします。最終日に卒業コンサートを8人中6人がやるというのがあって。結局僕は最年少でダメだったのですが、後半はそれに向けてのリハーサルのような感じになっていきました。 ひとつの交響曲を、一楽章二楽章は一人ずつ、三楽章は短かったので三、四楽章を一人の割り振りで計3人で。それとルトワルスキーという現代曲が1曲あって、それは同じ曲を違う指揮者で2回やりました。 -現代曲は難しそうですね。 水野 ずっと変拍子で、メロディーがないというか、理論的に書かれすぎていて、全然違う音楽という感じでした。楽譜をみていると、同じフレーズを1拍ずつずらして重ねていっている所がいっぱいあって。これ遊んでるな、と(笑)。それをタイプの違う指揮者で2回通し。もう1曲がオーケストラ付き歌曲でした。弦楽なんですが、それはソプラノ歌手が来てくれて、一人がまるまるやりました。 密度は他の科より濃いと思います。実際講習している時間は30時間以上でした。 -人がやっている間は留守にしているわけではないのですね? 水野 ずっと見ていました。その人の指揮をみて得られるものは得て、先生の言うことも聞いて。途中で集中力が途切れたりもしますけど、それでもとてもよかったです。本当に濃かった。 -先生はどんな方でしたか? 水野 親切で優しい方でした。見た目は60歳後半くらいかなと思っていたのですが、年齢を聞いたら79歳だと。すごいタフですよ。30時間以上に及ぶ講習会を、全部一人ひとり丁寧に教えてくれるのですから。俺だったらできないなと(笑)。 -オーケストラは弾きっぱなしだし、指揮者は教えっぱなしですものね。 水野 オーケストラに対しても、「ここはこういう風に弾くんだよ」と、お互い和気あいあいというか。去年もこの講習会を受けたという学生に話を聞いたら、「僕の中でも彼は好きな先生だ」と、学生からの評判も良い先生でした。 -今現役じゃないのが残念ですね。 水野 そうなんですよね。年齢的な問題もあって、僕だけできるレベルも高くはなかったのですが、それでも丁寧に教えてくれて、いい意味で年齢の差別、「お前は若いから」などと言われることもなく、年齢にあったレッスンをちゃんとしてくれました。オーケストラもいっぱいふらせてもらえたのでよかったです。 -オーケストラをふる機会は日本ではあまりないですものね。 水野 オーケストラがすごくいいオーケストラで。弾いている時が楽しそうなんです。毎日同じ曲ばっかりやっているのに、音楽が好きなんだなと見ていてわかるし、好きで自ら鳴らしているという感じがいいなと。ふっている時も奏者がこっちを見てくれて、何かをつかもうとしてくれていることがわかったので、やりやすかったです。 -音楽をやる時は雰囲気は大事ですよね、 具体的にもらったアドバイスでためになったことや、日本ではもらったことがなかったアドバイスはありますか? 水野 日本で習ったことと真逆のことを教わってびっくりしました。交響曲がシューベルトだったんです。今まで日本のレッスンでは、僕は体が細くて小柄な方なので、指揮は見た目が反映されてしまうから大きくみせる、フォルテッシモの所は腕をつきあげろとか、でっかくふれとか言われていました。ですからむこうでもそれをやったら「そんなにでっかくふる必要はない」と。もっとやわらかく、あくまで古典だから、もう少し流れを崩さずに、曲調にあった指揮をしなさいと。無理に大きくふる必要はない、ということを言われました。 -それが自分の中でやりやすかったとかはありますか? 水野 自分がふっている時の動画を撮らせてもらっていたのですが、後から寮に帰って見返すと、やっぱりこっちの方がオケとしては見やすいだろうなと。明確に分かりやすいとオーケストラもストレスがないということですかね。 あとは日本では言われなかったこととして、振り始める前に、パッとあげるよりは、ゆっくり腕をあげる方がオーケストラも準備しやすいということですね。 先生には「Talk about education」と言われました。 -レッスンは英語でしたか? 水野 僕の場合は少しドイツ語が話せたので、場所によってドイツ語で言ってくれたり英語で言ってくれたり、まぜまぜでした。 -練習をする時間はあまりなかったとのことでしたが、気分転換などはできましたか? 水野 そうですね、コンサートがいっぱいあったので、夕方レッスンが終わってからそれを聞きにいって帰ると10時になることもありました。ずっと外国語を使っていると頭が疲れるのか、11時くらいになると倒れてるんですね(笑)。なので帰ってから譜読みなどもするのですが、知らない間に寝ていたり。 コンサートがなくても、空き時間に譜読みをしたりと、意外と時間がなかったように思います。夕方レッスンが終わって学校の食堂やラウンジで今日言われたことを整理して、ご飯を食べにいって、また夜に練習を少しして、というような日々でした。練習室でピアノを弾く機会はまったくなかったです。 -夜の演奏会を聞きに行くのはクラスメイトと? 水野 基本的に一人で行ったのですが、会場に行けば誰かしらがいて、そこで「いいピアノだね」などと語り合ったりしました。 -お友達とは今でも連絡をとりあっていますか? 水野 全員今でもFacebookでつながっています。何人かはメールアドレスも教えてもらって、たまに連絡をとったりしています。 -その人たちはみんな、今は自分の国に帰っているのですか? 水野 仕事をしているか勉強をしているか。コレペティをやっている人は本当に忙しいみたいで、毎日違う曲のリハーサルで弾いたり、本当に時間がないと言っていました。休暇なども全部練習にあてていて、大変だと。 -そういう大変なことを乗り越えていくのですね。コレペティさんはオペラのですか? 水野 そうです。むこうはオーケストラよりもオペラが主流というか、オペラがふれないと指揮者として認められないという所があるので。まだ自分はオペラの経験はないに等しいのでこれからなんですが。 -これから大学に通うので、いろんな機会がありますね。 ザルツブルクの街はいかがでしたか? 水野 とても住みやすかったです。7月の中旬くらいに行きましたが、気候がよくて、夜は寒いくらいでした。 ザルツブルの街中は結構いろんな所に行きました。ミラベル広場を挟んで両側に校舎があるのですが、基本的には新しい校舎にいました。コンサートだと古いホールを使ったりとか。街の中心部に大学があるので、散歩をするのにもよかったです。 夕日もきれいでした。 道は基本的には石畳で。当時というか、モーツァルトがいた時代の建物をそのまま使っているようです。日本だとそういうものは保護して、そのまま残す努力をしますよね。むこうは自然と残るので、そのまま使っている感じでした。例えばモーツァルトの生家の一階がスーパーになっていたりとか(笑)。そういう価値観も文化の違いとして学べました。 -そういう所から生まれた音楽なんですね。 宿泊先は学校の近くでしたよね。いかがでしたか? 水野 いい所でした。受付とか寮のハウスキーパーの方も親切で接しやすい方達で。朝ご飯もついていたのですが、その講習会以外の方がほとんどで、色々話もできました。 滞在している人は旅行とかで来ている人が多かったですね。 自分が泊まった所も一室ピアノの練習室がありました。講習が始まる前に一回弾いたのですが、あまりいいピアノではなく……、でもただで使えたしいいかなと。受付に行って「ピアノ使っていいですか?」と確認してから使用します。埋まっていたら予約をして、という感じで。 -朝ご飯はどんなものがでましたか? 水野 食堂の入り口の所に、パン、ジャム、ハムなどの定番の朝ご飯が並んでいて、お皿に自分でとって食べるスタイルでした。 -おいしかったですか? 水野 ちゃんと食べられるものでした(笑)。 -他の食事はどうされていたのですか? 水野 現地のサポーターの方においしいお店を教えてもらえました。安くておいしいイタリアンとか。自分は和食がないとダメなのですが、旧市街の方に中華料理屋があって、そこもブッフェ形式で10ユーロくらいで食べられたのでよかったです。中華は基本的に日本と味が変わらないので。 あと学食というか、食堂がコリアンレストランでした(笑)。コリアンレストランと名前をつけている割には、コリアンじゃないものもいっぱいあるのですが、おいしかったです。 -そこは利用しやすいのですかね? 水野 学生もいっぱいいました。スタッフの方に日本人もいて、明らかに日本語で話しかけてくれるんですよ(笑)。「スープいりますか?」とか。びっくりしました。 -コリアンレストランには驚きです。韓国人が生徒でいっぱいいるのですかね? 水野 いっぱいいました。韓国、中国が多かったです。 大学内で韓国語中国語がよく聞こえてきました。 -アジアからの学生は増えているようですね。 水野 はい、むこうで実感しました。日本人も結構いました。と言っても、韓国人中国人に比べたら少なかったですが。日本人とはあまり話しませんでした。せっかくいるのだから、あっちの言葉を使いたいなと思って。 -語学の勉強にもなりますものね。 海外の人たちとうまく付き合うコツはありますか? 水野 積極的になることは大事だと思います。自ら話しかけることですね。日本人は消極的な人が多くて、話しかけられてもオドオドしちゃうことがあると思うのですが、話しかけられて分からなければ聞き返すつもりで、自ら会話の輪に入っていかないと取り残されちゃいますね。 自然と仲良くなって一緒にご飯に行くこともありましたし。イスがあいていて「ここ座っていいですか?」「いいですよ」という所から会話が始まったりもしました。むこうの人は日本人よりも親しみやすかったです。友達、知り合いになりやすいんですね。 -言葉はドイツ語で話しかけるのですか? 水野 最初は何人かわからないので英語で。ドイツ語がしゃべれたらドイツ語で話す感じでした。 指揮科はほとんどがドイツ語を話せました。ザルツブルクで勉強されている人はもちろん話せますし、イタリアからもドイツで仕事をしている人が多かったので、みんな話せていました。 -指揮の人は大変ですよね。オーケストラに説明もするんですものね。 水野 そうなんです。こういう時にどういう言葉を使うんだろうという所も、他のドイツ人がふっているのをみて、「あ、こういう時にこういう言葉を使うんだ」ということもよくわかりました。こういうのは普通の語学学校では勉強できないので助かりました。 常に耳をそばだてていました(笑)。 -困ったことはありましたか? 水野 特になかったと思うのですが、、、。大学の事務局が閉まるのが早いんですよ。土曜日だと3時くらいに閉まってしまったりして。帰り際に資料をもらおうと思って行くとしまっていたり。それくらいですかね。 -到着した時の送迎などは大丈夫でしたか? 水野 はい、問題なく会えました。 -ドライバーの運転が荒いとかありませんでしたか? 水野 それも大丈夫でした。帰りも駅まで送ってもらうことになっていたのですが、夜行で電車が出るのが1時40分だったんです。でも12時に迎えにくるからね、と言われて、「そんなに駅で待つのか」ということはありました。車で10分くらいの所なので。それを現地サポーターの青木さんに話したら、車の時間を遅らせるようにしてくれて、1時に迎えに来てもらって、ちょうどよい時間になりました。12時だと、そんな深夜の駅に行っても、、、という感じだったので。 -寮の前などはわかりやすかったですか? 水野 工事をしていて車が入れなかったので、そこからドライバーがついてきてくれて、入り口まで案内してれました。 -今回参加してみて、よかったと思えたことは? 水野 全てです!来て後悔したことは何もありませんでした。 講習で受けた音楽的なことよりも、むこうの人たちとつながれたことが個人的には大きかったなと思います。次へのステップになったのが一番大きい収穫ですね。 講習会の前はチューリッヒに行っていました。そこでは知り合いのオペラのオーケストラの人の家にホームステイさせてもらってオーケストラづくしでした。 -それは旅行のような感じだったのですか? 水野 わりとそうですね。基本的に昼間どこかに連れていってもらって、少し勉強して、夜オペラに連れていってもらって、と。 -行って自分が変わったな成長したなと思うことはありますか? 水野 1週間ザルツブルクで生活をして、「あ、俺生活できるじゃん、生きていけるじゃん」と思えたことで、成長を実感しました。ドイツ語が話せない時にむこうに行ったこともあったのですが、自分が社会の中でしゃべれているというのが、成長したな変わったなと実感したことでした。 -勉強した甲斐がありましたね。 水野 それでオーケストラの人たちとも仲良くなれたり。最終日に打ち上げがあって、先生もオーケストラの人もきて仲良くなれて、「あ、しゃべれてる!」というのが一番嬉しかったです。 -日本とむこうで大きく違う点はどんな所ですか? 水野 街が観光の街というのもあるのですが、どこに行ってもモーツァルトなんです。あとは無料のコンサートなども多くて。音楽祭のシーズンとかぶっていたのもあったと思いますが、道で学生による三重奏の音が聞こえてきたりとか、そういう所は日本と違いましたね。口ではうまく説明できないのですが、その空気感だけで、自分の音楽に対するモチベーションも変わるんですよね。音楽に集中できるというか。教会があって、その鐘で目が覚めるみたいな生活で。こういう所で生まれた音楽なんだと実感できてよかったです。 あとは、街中では普通にギターで弾き語っているおっちゃんもいましたよ。 -物乞いみたいな人もいましたか? 水野 けっこういました。 -その辺は気にしなければ大丈夫ですか? 水野 まぁいるのが当たり前みたいな感じです。治安もよかったです。 -怖い思いとかはなかったですか? 水野 全くなかったです。少し酔っぱらいが騒いでいるくらいで。 -それは日本でもいますものね(笑) 水野 乞食とかがいることだけですね、違ったことは。1週間いただけですが。 -今後講習会に参加する人にアドバイスはありますか? 水野 指揮を受けるのであれば、英語でももちろん教えてくれますが、ドイツ語圏の人にはドイツ語での講習になるので、自分の時は英語でも他の人のを聞いている時にあまりわからないんですね。なので言葉は準備しておいて損はないと思います。それが一番大きいと思いました。 -譜読みとかはしていくんですものね。 水野 そうですね。あとはその時にできたつながりは一生ものになるので、コンタクトをとり続けることですかね。 参加者の一人は、オーケストラ一人ひとりにfacebookを聞いていましたよ(笑)。全員に聞いてまわっていました。30人くらいいたんじゃないかな。今後のために!と。 その方も今回これを受けてむこうの院に行くということで、お互い留学準備で助け合っていけたらいいなと思っています。 -今後の活動としては長期の留学をめざしていかれるのでしょうか? 水野 はい、語学と音楽の準備ですね。 -忙しそうですね。 水野 日本に帰国してから、2カ月間週に5日、ずっとドイツ語学校に通っています。 来週末で週5日のクラスが終わってしまうので、それ以降はZD対策の自習などをしながら進めていく感じです。短期集中クラスは夏だけなので、ドイツ語には余裕が出るのですが、音楽の方をもう少しやらないとな、という所です。 -音楽は今、誰かから習ったりしているのですか? 水野 指揮自体は独学ですが、ピアノは先生についてやっています。指揮科はピアノが大事なんですよ。歌もコレペティの試験もあって、伴奏のレッスンもお願いしていて。やることが多いです。 -伴奏は難しいですものね。 水野 むこうのピアノ科も伴奏ごとに分かれているらしいですね。 -伴奏科の人の能力はすごいと言っていました。初見でさっさと弾けると。 水野 僕も今、初見を苦労して練習しています。 -今日はありがとうございました。これからの勉強も応援していますね!

辰身亜紀さん/ピアノ/アレグロ・ヴィーヴォ室内楽マスタークラス/オーストリア・ホルン

国立音楽大学卒。現在はピアノ講師。 -簡単な自己紹介ということで、今までの音楽歴を教えてください。 A.T 音楽は大学からです。中高は普通の学校だったのですが、ピアノをずっと習っていて好きだったので、大学は音大に行きたいなと。大学に入ってから楽しくなって、室内楽を3年生から専門にしました。 -今まで講習会に参加したことはありましたか? A.T ありません。 -海外は行かれたことはありますか? A.T 一年前くらいに韓国に行ったくらいで、ヨーロッパなどはまったくありません。 -今回、この講習会を選んだ理由はありますか? A.T 室内楽で検索したのと、日程が一番合っていたこと、それとオーディションなし、アマチュアでも参加できるということで、ラフな感じなのかなと思って選びました。 -はじめて参加されてみていかがでしたか? A.T リピーターとして来ている人が多かったです。小さい子でも家族と一緒に夏休みはアレグロヴィーヴォに毎年来ているとか。なので、分からないことを教えてくれる人が多かったです。 -現地の方とはコミュニケーションはとりましたか? A.T スーパーとかで地元の方と少し、あとは講習会の中でした。 -全体の参加者の人数はわかりますか? A.T 小学生のコースとマスタークラスにわかれていて、小学生はわからないのですが、マスタークラスは70人くらいだったと思います。 -どういう国の人が多かったですか? A.T アジア圏もいましたが幅広いです。アメリカからと、ヨーロッパのドイツ、オーストリアからは多かったですね。ロシア、韓国、中国、イランとかも…日本人も4~5人はいました。 -ピアノのクラスは何人くらいですか? A.T ピアノは全体的に少なかったのですが、私の先生の所は10人くらいだったと思います。その中で日本人は私一人です。他の日本人はバイオリンが多かったです。 -同じピアノ科の方とお友達になったりとかは? A.T 同じクラスの中で、ドイツ人と仲良くなりました。会話は英語です。むこうも無理矢理英語を話してくれて、お互い間違った英語でなんとかカタコトで話をしていました(笑)。 -ではコミュニケーションは結構とれた感じですね。しっかりご準備をなさっていましたものね。 A.T 英語はあまり自信がなかったのですが、どうにかなるかな、と。実際どうにかなりました(笑)。 -講習会のスケジュールはいかがでしたか? A.T 到着した日はコンサートを観に行っただけだったのですが、その次の日の日曜日はずっと自由時間でした。その夜にミーティングがあり参加者全員で集まって、先生も来て、パンなどを食べながらお話を聞いて、その後自分の先生の所に集まって最初のレッスンの日程を決めました。「あなたはいつ来てください」と言われるので、その日に行くという流れです。 -初回のレッスンを決めるだけで、それ以降はその都度ですか? A.T そうです。 -室内楽の授業はありましたか? A.T ありました。その次の日に室内楽のミーティングもあって、室内楽をとっている人が集まって、「あなたは何の楽器なの?」という所から始まりました。去年参加した人は「去年は何をやった」と伝えたりして、それを踏まえて先生達が編成を組みました。講習会は1週間くらいしか練習できないので、曲も簡単なものを選んでもらって。私はハイドンのピアノトリオという編成になったのですが。そのレッスンも週に2~3回はありました。 -では室内楽もその場で組んで、という感じだったのですね。 A.T そうです。 -ピアノのレッスンはどれくらいありましたか? A.T 2週間のうち5日ありました。 -結構みっちりですね。コンサートなどには出られましたか? A.T 最後の週の午前中が全部コンサートなんですね。そこで弾きたい人は弾いていいような感じで。それも選抜だと思っていたのですが、「弾きなさいよ」と言われてしまって(笑)。「そういうつもりで準備はしてこなかったけど!」と思ったのですが、せっかくだし参加しました。会場は2つくらいあって、どちらかの会場に振り分けされるのですが、ピアノを弾いたり室内楽もやったり、結構自由でした。 -先生や事務局との会話も英語で? A.T そうです。 -困ったりはしませんでしたか? A.T 事務局の人はみんな英語でしゃべってくれました。若い人もいれば80歳くらいのおばあちゃんもいるのですが、分からないことがあれば親切に調べてくれるし、楽譜もそこで借りるのですが全部選んでくれたりと、なんでもやってくれました。 -今回の先生はどんな感じでしたか? A.T 結構細かいなという印象です。ロシア人なのですが、韓国の音大で教えているようで、そこの生徒さんが4~5人くらいまとまって来ていました。彼らはまとまっていて、その他先生のお母さんもピアニストで講習会に一緒に来ていたんですね。そのお母さんに習っているロシアの生徒さんや、すごい才能のある中国の子なども来ていました。その方々がまとまって行動する感じだったので、すごく文化の違いを感じましたね。 また、日本で習ったことと正反対のことを教えられることにビックリしました。モーツァルトにしても、アレグロだからこのくらいだろうと思って弾くと、「それは早い」と言われて、「こんなにゆっくり弾かなくちゃならないの?」と思ったり。弾き方もロシア人だな、という印象でした。ガッツリ弾きなさい、というような。「あなたの先生はなんでこう言ったの?僕は違うと思うよ」と言われることもあって、考え方も違うんだなと思いました。 -それを言われて、A.Tさんはどう思ったのですか? A.T 「え、違うでしょ?!」と思いましたけど、実際に先生が弾いてくれると、先生が上手いからどういう弾き方をされても悪くないなと思ってしまう自分もいて、どっちを信用していいのかすごく迷いました。自分が習ってきたことと今先生に言われていることと。最後の発表会なども、先生も観にきてくださっているので言われたように直すのですが、やっぱり1週間では直せなくて、それが難しかったです。 -考え方の違いなんですかね? A.T 日本人や韓国人は話す時にダ~~としゃべるから、言葉にアクセントがないと言われました。ドイツ語などはアクセントがあって、そういうものを音楽の中でつけなさいと。だから日本人や韓国人の演奏を聞いていると全然アクセントがないということでした。 -なるほど。他に印象に残っていることはありますか? A.T 室内楽のレッスンは、先生がチェロの人だったので、バイオリンとチェロに言うことが多くて、ピアノはほとんど言われなかったですね。なので分からないことがあったら自分で質問をしないとあんまり参加している感じがなくて。でもすごくいい先生でした。 -レッスンは全部英語ですか? A.T バイオリンとチェロがドイツ圏の子だったので、その子達に言う時はドイツ語、私にもわかるようにする時は英語、というように。ピアノのロシア人の先生とは英語でした。 -練習はどうでしたか? A.T 毎日3時間振り分けられていて、ホテルの練習室で行いました。アップライトなのですが、ミューゼンドルファのアップライトもあったりして、そんなに悪くはなかったです。それと近所のホールのような所の舞台も練習室として使えることが1回ありました。そこはベゼンだったのですが、一人で貸切ホールで。 -贅沢ですね!それも割り振られて? A.T そうですね。 -練習時間などで困ったこともなく? A.T はい。でもそのホールで練習する時は、ホールに行ったけれど誰もいなくて鍵も開いていなくて、「ここはどうやって入ればいいのだろう」と。事務局に行って鍵をもらって、自分で入ってと言われたはいいものの、「入ったけど電気はどうすれば!」となって、電話して聞いて、電気はつけたものの、後から入ってきた人に、「あなた全部の電気をつけてるじゃないの!」と言われたり(笑) -練習とレッスン以外の時間は何をされていましたか? A.T 買い物に行ったり、私はピアノトリオ以外にブラームスのバイオリンソナタをやっていたので、その子とあわせたりとか。 -その子はたまたま知り合ったのですか? A.T そうです。カリフォルニアから家族で来ていた15歳の子でした。 その子は4回アレグロヴィーヴォに来ていて知り尽くしていたので、やけに図々しくする人だったんです。お母さんも教育ママ的で。「あなたやりたいんだったらうちの娘とやれば?」みたいな(笑)。せっかくやるんだったら誰か先生にみてもらった方がいいとなったのですが、室内楽は室内楽で授業があるし、私のピアノの先生もそういう感じではないので、「だったら去年お世話になった先生がいるから話つけてくるわよ!」と。女の先生だったのですが「もちろんいいわよ」と言ってくれて、特別にプライベートレッスンを2回くらいしていただきました。その先生は本当にいい人で、おすすめです! -すてきな出会いでしたね!他にはレッスン以外で何かされましたか? A.T 他にはプールがあったので行ったのですが、水着がなかったので入れなくて。買ってもサイズが大きいものしかなくて全然だめでしたね(笑)。 -買い物はどちらで? A.T ホテルから15~20分歩かないとスーパーがなくて、そこでしました。スーパーといってもパンくらいしか買うものもなく。ホテルには電子レンジもお湯をわかすものもないので、買えるものがジュース、水、お菓子、パンくらいになってしまいました。 近くにはカフェが2つと、ピザ屋さんなどのレストランもあるのですが、日曜日は全部閉まっていました。 -街の様子はいかがでしたか? A.T 他の国の人にも優しくしてくれて、例えば横断歩道を渡る時でも車が止まってくれたりとか。信号が少ないので危ないのですが、「どうぞ」みたいに譲ってくれたり、知らないおじさんが挨拶してくれたり、パン屋で金額が聞き取れないと書いてくれたりとか、とても親切でした。 -治安はいかがでしたか? A.T 夜は暗いというのはありますが、そんなに悪いとは思いませんでした。 -今回はウィーンにも行けたのですよね? A.T 最初にピアノの人は日曜日は練習できないと言われたんです。日曜は全部休みだからと。バイオリンの人などはホテルの部屋で練習できるからいいのですが。どうせピアノを弾いてはいけないのだったらどこかに行こうかなと思っていました。 仲良くなったイランの子がいたのですが、その子もウィーンに行きたいと言っていて。その子もピアノだったので、だったら「一緒に行こうよ」と。英語が話せる子だったので、全部事務局と話をつけてくれました。最初は「日曜だと電車もバスも休みだから、行くのが複雑であなた達だけじゃどうかな」と言われ、諦めようとしたのですが、ちょうどその日曜が、講習会の第二期の人がウィーンから来るタイミングで、逆にホルンからも帰る人がいてシャトルバスが来ると。そこで、ホルンからウィーンに帰る人たちのバスに乗ってウィーンに行って、3時間だけですが観光をして、ホルンに来る人たちのバスに乗って帰ってきました。ラッキーでした(笑)。 -それはラッキーでしたね(笑)3時間でしたが、楽しめましたか? A.T モーツァルトハウスとステファン寺院に行けました。 -それもお友達をつくってコミュニケーションをとっていたからですね。 結構な行動派ですね(笑) A.T そうですね、行っちゃえ!やっちゃえ!みたいな(笑) -ホテルの様子はいかがでしたか? A.T ホテルという感じではありませんでした。日本のホテルとは違っていて、講習会の参加者しか泊まっていなかったので、寮みたいな感じでした。 -ホテルから講習会会場へはどのように? A.T ホテルから徒歩3分くらいの所に小学校があって、そこでもレッスンをしているのですが、私の先生がレッスンをしている所は別の場所でした。なので毎日15~20分徒歩で往復です。慣れている子は自転車を持ってきていたり、キックボードを持っていたり。必要だと思いました。 -気温はいかがでしたか? A.T 服装は日本と同じような感じで大丈夫でしたが、朝夜は少し寒かったです。周りはみんなTシャツに短パンというラフな感じで。日ざしが強かったので、サングラスは必要だと思いました。 -お食事はいかがでしたか? A.T 朝ご飯はバイキングだったのですが、毎日同じでした。堅いパンとチーズとハムとシリアル。毎日それだったので、ちょっと飽きちゃったのですが。みんなスーパーでフルーツを買ってきて、それを持ち込んで食べたりしていましたね。 -カフェなどには行きましたか? A.T カフェでも食べました。が、私が一番ビックリしたのは、パンやデニッシュ、アイスなどが並んでいるショーケースの中にハエや蜂がたくさんいて、商品にたかっているんです。「これを買うの?」と思ったのですが、店員さんも追い払う様子もなく、食べ物にハエがたかっていても普通なようでビックリしました。 -他に印象に残っていることはありますか? A.T そこまではないですが、スーパーで、まだ買っていない商品をその場で飲んでいるとか、売り物のぶどうを1個試食して戻すとか、「え?そういうのいいんだ?!」というのはありました。 -海外の人とうまくつきあうコツはありますか? A.T 積極的に話した方がいいというのは前から聞いていたのでそうしていたのですが、みんな英語がそこまで上手いわけではなく探り探りしゃべっているので、話を聞いてあげる姿勢が大事かなと思いました。お互いに。 -今回はA.Tさんもかなり積極的に? A.T はい。ルームメイトもいい子で、いろいろ話してくれたり。今はみんなiPhoneを持っているので、共通の話題があって。facebookとかでつながりがあったりして。話の内容には困らない感じがしました。 -その方達とは今でもつながっていますか? A.T はい、facebookとかLINEとかで。みんなやっているので。 -いいつながりが持てたのですね。 今回参加して、よかったなと思った瞬間はありますか? A.T 毎日夜にコンサートがあって、クラシックもあればジャズのようなラフなものもあるのですが、そういうものを低価格でみれたことが良かったです。教会の中とか、日本では絶対味わえないような雰囲気もよかったです。 -留学してみてご自身が変わったと思うことはありますか? A.T 私の他に、日本人で参加している方もいましたが、外国に来てまで日本人と関わることもないかなと思って、なるべく外国人と関わるようにしていました。積極的に違う国の人と話そうとすることや英語を使ってみることに最初は不安もあったのですが、ずっとしゃべっていく内に慣れてきて。ストレスにもならなかったですし、友達が増やせたのは良かったです。 -今後留学する方へのアドバイスはありますか? A.T もしアレグロヴィーヴォに行くのであれば、積極的に話すのと、コンサートが楽しいので、録音機材などを自分で持っていった方がよかったかなと思いました。いい人たちばっかりです。小さい子では8歳とか、みんな若かったです。子どもでもマスタークラスに入っている子もいて。だからといってすごく上手いわけではないのですが、兄弟で参加している人も多く、姉妹でバイオリンチェロとか。家族連れも多いし、アジア圏が少ないというのも逆によかったかなと思います。 -他に伝えておきたいことはありますか? A.T 日本食は絶対持っていった方がいいなと思いました。お米が売っていないし、チャイナレストランもあったのですが、そこまでバリエーションがなかったし、日曜日はお店が休みなので。自分で食べ物を持っていないと、雨が降ると買い物に行けなかったりして。 -今後の進路や活躍の予定などはありますか? A.T いろんな曲、新しい曲を知ることができました。コンサートも室内楽が多くて、こういうのをやってみたいなと思うものが結構あって、そういうものを練習していきたいなと思いました。 -頑張って下さいね!応援しております。ありがとうございました。

松村優吾さん/指揮/ミラノヴェルディ音楽院/イタリア・ミラノ

-まず最初に自己紹介ということで、今までの略歴を教えていただけますか? 松村 松村優吾といいます。小さい頃からピアノを始めて、桐朋女子高等学校音楽科の作曲科に入学しました。その後卒業してそのまま大学に行き、指揮科に転向して、大学を卒業した後に、ミラノの方に。現在ヴェルディ音楽院に在学中です。 -最初は作曲をなさっていたのですか? 松村 そうです。 -指揮に移ったきっかけは? 松村 元からやりたかったのですが、高校の時点で指揮科がないのでやむなくというか……。 -作曲と指揮はつながりが強い感じですか? 松村 そうですね。いろいろと楽器のことを知れるので。 -ヴェルディ音楽院に留学したきっかけは何ですか? 松村 オペラを勉強してみようかなと思ったのがひとつと、単純にむこうにいる際に学生になっておくと滞在許可もとりやすかったりするので、そういう点が大きかったです。 -やはりオペラの本場、というイメ-ジがあるイタリアでやりたいと思われたのでしょうか? 松村 行く前は全然オペラのことを知らなかったので、とりあえずどういうものなのかを現地に行って感じてみようかなというのが大きかったです。将来的にどうなるかはわからないのですが、できることならば、という風に思います。 -学校に行かれて今、1年半くらいですよね? 学校生活はいかがですか? 松村 日本の大学とは違う雰囲気というか、あんまり学校という感じがしなくて、レッスンもわりとゆるくやっているので(笑)、それはそれで面白いかなと思っています。 -具体的にはどんな感じで違うのですか? 松村 国民性もあるのでしょうけれど、あまり時間どおりに始まらなかったりとか(笑)。 -なるほど(笑)。レッスンはグル-プレッスンですか? 松村 そうです。 -ではみんなが集まるまでに時間がかかって? 松村 いえ、来た人からやる感じです。 -今、指揮のクラスは何人くらいいるのですか? 松村 2クラスあるのですが、僕のクラスは10人弱ですね。 -みんな同じ学年で? 松村 いえ、ばらばらです。大学と大学院のコ-スがあって、みんな一緒にレッスンを受けているので。 -教わる内容も一緒なのですか? 松村 いえ、やっぱりそれぞれ違います。 -指揮の授業は、実際にオケをふったりなさいますか? 松村 オケは月に1~2回プロオケをふれるのですが、それ以外は先生と1対1ですね。 -ヴェルディ音楽院ならではの特徴などはありますか? 松村 ならではというわけではないのですが、ミラノに住んでいるのでスカラ座が本当にすぐそばにあって、シ-ズンになると頻繁に演奏会が行われています。そこにそんなに高くない値段で行けるのは魅力かなと思いますね。 -だいたいいくらくらいですか? 松村 今ちょっと上がって、日本円で1500円弱ですね。 -10何ユ-ロくらいですか? 松村 そうですね。それでも他のヨ-ロッパの国の、ドイツとかオ-ストリアに比べると高いみたいなんですが。 -確かにそうかもしれないですね。でもスカラ座に入れるのは楽しい感じですね。 松村 そうですね。 -学校に日本人はどれくらいいますか? 松村 そんなにいないと思います。知っている限り10人もいないです。 -指揮科は松村さんだけですか? 松村 そうです。 -歌とかは? 松村 女性はいるのですが、男性はいないですね。 -実際現地に滞在していて、日本とイタリアで全然違うなと思うことはありますか? 松村 けっこうあるのですが、例えば公共交通機関がちゃんとしているかしていないかとか(笑)。あとはいい所で言えば日本人よりオ-プンというか明るいので、一回仲良くなったらずっと仲良くしてくれますね。 -言葉はどうですか? 最初に行かれた時は大変でしたか? 松村 最初はもう、全然わからなかったです。 -ちゃんと試験も通ったけれど、それでも大変なのですね? 松村 会話と筆記は別だと思うので。その辺が、、、。 -あちらの人はすごいしゃべりますものね。 松村 そうですね、早いです。 -今はもうわかりますか? 松村 日常生活の会話は大丈夫なのですが、イタリア人グル-プの若者の中に入って話すのはしんどいですね。 -スラングとか? 松村 それもそうなのですが、早口でしゃべるので、テンポ感についていけないというか。 -学校の授業は、基本は課題を与えられてそれをやっていく感じですか? 松村 そうですね。 -日本でこれを勉強しておいてよかったという授業はありますか? 松村 学校によってかもしれないのですが、僕が今通っている学校は日本でとった単位を持ち込めるので、免除になる科目がいくつかあって、それはよかったなと思います。 -免除の手続きはどんな感じで? 松村 自分の母校にお願いしたらやってくれると思うのですが、英語のものを出してくれて、それをそのまま提出して、教授会みたいな所で「これは免除で」となったようです。 -「音楽史はなし」とか、そんな感じですか? 松村 そうですね。 -今学校での授業はどれくらいの頻度であるのですか? 松村 週2~3ですね。 -行っている時は朝から晩まで? 松村 いえ、そんなことはないですね。2~3時間とか。 -わりと自由な時間もあるのですね。そういう時は何をなさっているのですか? 松村 演奏会に行ったり、散歩に出かけたりとか、旅行にも行きました。 -旅行はどちらへ? 松村 イタリアはベネチアとかフィレンツェとかロ-マとかですね。 -街によって雰囲気も違いますよね? 松村 そうですね。 -今まで学校の先生はどうやって探されましたか? 松村 漠然とイタリアに行こうとして、アンドビジョンさんに調べていただいて。何件かイタリアの学校の先生を紹介していただいて、それでお試しという感じで行ってみて、と。 -結局聴講した先生につかれたのですよね? 松村 はい、その方が大学院の先生なので。 -先生はどんな方ですか? 松村 あまりイタリア人ぽくないというか、真面目な人ですね。 -お写真でも生真面目そうな感じですよね。家にはピアノはあるのですか? 松村 あります。 -では練習は家で? 松村 はい。 -ピアノはレンタルで? 松村 そうです。 -月々いくらくらいですか? 松村 月50くらいですね。 -一日のスケジュ-ルを教えてください。 松村 毎日バラバラなのですが…。レッスンがある時は、朝8~9時に起きて、すぐ下にバ-ルがあるので、そこで軽くコ-ヒ-を飲んだりして。暖かい時なら午前中少し外に出て、楽譜を持っていって読んだりして、家に帰って昼ご飯を食べ、2時からレッスンに行って6時くらいに終わります。ご飯をつくって8時くらいに食べて、9時からピアノを弾くような感じです。 -そんなに遅い時間にピアノを弾いても大丈夫なのですか? 松村 22時まで弾けるので。 -料理もなさっているのですね。 松村 むこうに行ってやるようになりました。 -イタリアンですか? 松村 いえ、日本食が好きなので。パスタは作りますけど、極力食べたくないのでお米を食べています。 -お米はミラノで買って? 日本米ですか? 松村 ロ-マ米というのが、わりと日本米に近いので…。 -学校に入る前では、出願や試験でどんな苦労がありましたか? 松村 過去の問題を解いていた時は語学試験が大変だなと思っていましたが、それくらいですかね。手続き自体はアンドビジョンさんにやっていただいたことが多かったので。大使館に行ったりはありましたけど。あとは実技の勉強をしたくらいです。 -実技試験はイタリア語ですか? 松村 その時は英語でした。 -試験はどんなことをしたのですか? 松村 オ-ケストラを5分弱くらいふりました。 -他の受験者の演奏も見るのですか? 松村 いえ、見れません。 -学費ですが、今はどんな感じですか? 松村 指揮科の場合、本来なら1300~1400ユ-ロくらい払うのですが、少し安くなる機関があります。そこに今収入がないという申請をして、親元を離れているという証明書を出すと、「この人はこういう事情なので安くしてください」という書類を出してくれるので、それを学校に持っていきます。それを踏まえて、今払っているのは400~500ですね。 -それは1学期で? 松村 1年です。 -年収ごとの表に基づいているのですね。 松村 そうです。 -学校にいる人はそれぞれ学費が違っていると。 松村 科によって違うみたいですね。 -指揮科には日本以外の留学生はいますか? 松村 一人アルゼンチンとのハ-フがいて、ドイツ人が一人いて、それくらいですね。 -基本はイタリア人に囲まれてと。 松村 そうですね(笑) -イタリア人の友達も増えましたか? 松村 学校の友達はけっこう増えました。 -学校の休みは多いのですか? 松村 あまり学校というイメ-ジが僕にはないかな……レッスンという感じです。 -今はレッスンを休んで日本に来ているのですか? 松村 はい。 -それは休学届けを出すのですか? 松村 いえ、先生に言って。学費を1年分払っているので。 -先生の了解がとれていれば休んでも問題ないと。 松村 問題ないはずです(笑)。 -現地でコンク-ルにも出たと思いますが、それは先生が出なさいと言うのですか? 松村 そうですね。 -指揮科の人みんなに、「出たい人はいる?」と聞くのですか? それとも松村さんだけに? 松村 みんなに言います。 -今までどれくらい出ましたか? 松村 一個だけですね、まだ。 -紙でできた教会? 松村 あぁ、オルガ。日本人がつくった。 -イタリアで色々な経験を積まれていると思いますが、講習会も行かれたのですか? 松村 今年キジア-ナに行ってきました。 -どうでしたか? 松村 すごくおもしろかったです。 -レベルは高かったですか? 松村 他のをあまり経験していないのでわからないのですが、まぁそうですね。 -留学生活をしている中で、他の人たちの勉強の取り組み方と日本人の取り組み方で違う点はありますか? 松村 やっぱり日本人が一番真面目だと思いますね。 -ドイツの人なども真面目ではないですか? 松村 ドイツの人はわりと真面目ですが、イタリア人は全然…、自由です。 -イタリア人は松村さんよりお若いのですか? 松村 まだ上の方が多いですね。 -みんな卒業するまでに時間がかかっているのですかね? 松村 2~3年だと思いますけどね。 -生活費はどれくらいかかっていますか? 松村 家賃も含めて1000ユ-ロ/月で、なんとかおさめたいと思ってやっています。 -家賃はおいくらぐらいでしたっけ? 松村 670ユ-ロですね。 -残り330ユ-ロ。けっこう切り詰めていますね。 松村 そうですね。出ちゃうこともあるのですが。 -食事も外食すると高くなりますものね。 松村 そうですね。 -留学して良かったと思えたことはありますか? 松村 むこうの音楽をそのままできるのが一番大きいと思います。それと他のヨ-ロッパの国が近いので、行こうと思えばすぐに行けるし、そこはいいですね。 -ヨ-ロッパは他にどこに行きましたか? 松村 まだドイツにしか行っていないです。 -ドイツはどちらに? 松村 ワイマ-ルです。 -講習会ですか? 松村 学校で、1年に1回そこに行ってオケをふるというのがあって。 -カリキュラムで? 松村 そうです。 -ドイツのオケをふるのですか? 松村 そうです。 -何語で? 松村 英語ですけれど、なかなか大変です。 -イタリアに行っても英語の使用頻度は高いですか? 松村 いや、僕もそこまで英語をしゃべれないので(笑)。イタリアならイタリア語をしゃべります。 -指揮をやっていると語学も大事ですよね。がんばってください。 松村 はい(笑)。 -留学してみて自分が変わったなとか、成長したなと思う所はありますか? 松村 嫌々でも話に入っていかなければならないので、ハ-トは強くなったかなと思います。 -話に入っていかないと、どうなってしまうのですか? 松村 「具合悪いの?」と聞かれたり(笑)。 -黙っていたら具合が悪いと思われるのですね(笑)。積極性が身に付いたと? 松村 そうですね、多少は。 -イタリア人とつきあうのは大変ですか? 松村 けっこう大変ですね(笑)。 -どういった点で? 松村 あまり後先を考えないので、、、。 -無鉄砲な計画を立てるとか? 松村 ずっと飲んでるとかですね(笑)。 -イタリアは夜の生活が長いですよね。 松村 長いですね。いつまでも明るいので。 -おつきあいで飲みに行ってしまうと、全然帰れないと? 松村 そうですね。 -学校はあと何セメスタ-ですか? 松村 たぶんあと1年はいると思います。 -イタリアの学校の仕組みをちゃんと理解しきれていないのですが、日本のように何単位とらなければならないと決まっていないのですか? 松村 決まっていますよ。 -でもあと1年はいられると? 松村 まだ全然足りていないので、いなければならないというか。 -最初の頃は単位が取りづらかったのですか? 松村 ちょっとしんどかったですね。論文をイタリア語で書かなければならないので。 -何の論文ですか? 松村 作曲家についての分析とかです。 -卒業論文? 松村 そういう言い方はしないのですが、卒業までに一発書かなければいけません。 -何ペ-ジとか決まっているのですか? 松村 ペ-ジはそんなにないのですが、10~20くらいですかね。 -大変ですね。イタリア語で…。 松村 はい。 -これからそれに取り組むということですか? 松村 はい。 -大変そうですね。それは指導教官がいてディスカッションをしながら進めるのですか? 松村 そうです。 -それは指揮の先生? 松村 音楽学の先生とか、いろいろいますよ。 -今後イタリアに留学する人に向けて、アドバイスすることはありますか? 松村 イタリアに限らずですが、その国の言葉は最低限しゃべれる状態で行かないと、最初は厳しかったなと思います。 -どんな点で厳しかったですか? 松村 手続きをする際にもしゃべれないと相手にされないので。聞きたいことがあっても、よく伝わらないことが多かったです。 -どういう風に乗り越えたのですか? 松村 僕はたまたま長く住んでいる日本人の方が近くにいたので、その人たちにお願いして一緒にやってもらったりしたのですが。 -ではいろんな方に助けられて? 松村 そうですね。 -他には何かありますか? 松村 特に…、語学が一番大変だと思います。 -とにもかくにも語学と。語学は日本ではどれくらい勉強されたのですか? 松村 大学4年の途中くらいなんで、1年半くらいですかね。 -それまでは別の言語を? 松村 何もやっていないです。 -1年半くらいでよく試験の時に通れましたね。 松村 全然わからなかったですけどね(笑)。 -あれも、普通に免除で通っていたのは松村さんだけではなかったですか? 松村 そうでしたね。 -すごいと思いました。普通の文法とかですか? 松村 それとリスニングがありました。 -語学がわからないと大変ですよね。 イタリアで演奏会はされたりしていますか? 松村 学校の発表会などはありました。 -学年末とかで? 松村 いえ、先生が勝手に選抜した人でいろんな所に行ったりとか。 -演奏旅行ですか? 松村 旅行というほどの距離ではないのですが、バスで行ったり。 -お客さんも結構入りますか? 松村 そうですね、そこそこ。 -普通にチケットは売っているのですか? 松村 いえ、もちろんただです。一般に公開して、ただでやる演奏会です。 -教会などで? 松村 教会ではなく、そういうサ-ラみたいなものがあって。そこでの演奏会のような。 -わりと頻繁にやっているのですか? 松村 そうですね。でも生徒も多いので、そんなにしょっちゅうはやらないですけど。 -年に何回か? 松村 そうですね。 -では演奏の機会もけっこうあるのですね。 松村 そうですね、そこそこは。 -自分の技術力があがってきたぞ!という実感はありますか? 松村 技術力というか、リハ-サルをする上でイタリア語で話さなければならないので、少しずつその引き出しは増えてきたかなと感じます。 -イタリアのオケの人たちは言うことを聞いてくれるのですか? 松村 ききますよ、日本人より。 -そうなんですね!意外です。日本の方がききませんか? 松村 きかないです(笑)。 -今度のコンサ-トの準備は順調に進んでいますか? 松村 はい、ちょっとずつ(笑)。 -留学生活について、今の時点での感想はありますか? 松村 今の時点では自分では評価できないというか。後々役に立ったなと思うことはあるかもしれませんが、今の時点では思ったほど吸収できていないかなというのが、正直な所です。 -理想が高いのですね。 松村 どうなんでしょう(笑)。 -学校を卒業したらどう進みたいとか、どうなりたいとかはありますか? 松村 卒業したら…他の国にも行こうかなと思ったりはしています。 -ドイツとか? 松村 そうですね。 -別の国に留学した方なんですが、学校同士の交換留学でドイツに行っていました。そういうものはヴェルディにはありますか? 松村 ありますけど、そこまでイタリアに慣れていないので、今行ってもあんまり意味がないかなと。 -ゆくゆくは学校も出て、指揮者として世界で活躍できればと? それとも日本で? 松村 半々くらいですかね。 -どこか拠点があって、みたいな? 松村 そうですね。 -劇団の採用試験があったりもするのですか? 松村 あまりそういう形はありません。自分から行くのではなく、声がかかってどうこう……という。 -では演奏を聞いていただく機会があると、そこから声がかかってくると? 松村 はい。 -今日はありがとうございました。それでは日本のコンサ-トも楽しみにしています。 ■♪■【2015年コンサート情報】■♪■■♪■■♪■■♪■■♪■■♪■ オペラ「ラ・ボエーム」 OperaVera 2015/11/27 (金) 19:00 - 21:30 会場 葛飾シンフォニーヒルズ アイリスホール チケット 前売り券 (一般) ¥4,000 前売り券 (学生) ¥3,500 チケットのお求めはこちらへどうぞ! ↓↓↓ http://boheme.peatix.com/

小出拓人さん/映画作曲/バークリー音楽大学/アメリカ・ボストン

幼少よりピアノに親しむ。一般大学在学中にジャズピアノの魅力に惹かれ、音楽の道を志す。資金調達もかね、一度は社会に出て就労。 晴れて、Berkleeに進学。映画音楽作曲家コース在学中 -よろしくお願いします。久しぶりの日本はどうですか? 小出 暑いです(笑)。 -全然違いますか? 小出 違いますね。湿度とか。温度も全然違います。たぶん今むこうは半袖一枚だと寒いので。 -今は学校はどのコースなのですか? 小出 フィルムスコアリングメジャーというものです。 -何年生ですか? 小出 バークリーの場合何年生という数え方じゃないので、セメスターという数え方をすると次が9セメスター目で、次の秋セメスターが最後です。 -メジャーが変わったのですよね? 小出 受験の時はピアノだったのですが、メジャーと自分のプリンシパルという楽器は何もリンクしていなくて、入る時にプリンシパルは決めるので、そこでピアノで受験したんですね。ただどのメジャーに入るかは、入ってしばらく経ってから決めるということだったので、入学当時は決まっていない状態です。 -フィルムメジャーにはいつ変わったのですか? 小出 入って1年くらいですね。3セメスター目くらいです。今は4年目でちょうど丸3年経った所です。 -小出さんの略歴を教えてください。 小出 よくある、両親が子どもに無理矢理ピアノを教えている家庭だったんですね。最初はピアノは女の子がやるものというイメージがありました。音楽自体は好きで、弾くのも好きだったと思うのですが。定期的に習い事に行くのも、自分がやりたくてやったわけではありませんでした。なぜ親に怒られて泣きながら、やりたくもないことをやらなきゃいけないのかと、いやいや続けていて殆ど練習しませんでした。たまに人前で弾くと拍手をもらえたりしたのは嬉しかったので、楽しんでもらえたらいいかなという程度でしかありませんでした。 その後、日本の大学でジャズ系のサークルに入りました。今まではクラシックだけだったのですが、そこでジャズの世界を知って、コードを読んだりアドリブなどに触れた時に、一気に世界が広がったというか、マインドオープニングのような体験があったんです。そこでガラッと変わって。まずジャズが楽しい、そこから延長して音楽が楽しいとなりました。もっともっと音楽そのものを勉強していきたいという風になって。 ただ大学は音楽とは全く関係なかったので、それは一度普通に卒業しました。卒業する時に、一番迷いがあって、留学したいというのもあったのですが、もう一方で日本の4年制の大学に行っただけというのは、言ってみれば何も知らない状況なのかなという思いもありました。親もその時は援助しれくれないという状況で、色々迷ったあげく、一度社会に出てみるというというキャリアを選びました。大学までの狭い世界ではなく、外の世界を知ることも必要だし、お金も貯めないといけないしということで、普通に就職をしたんですね。 映画館の関連の会社だったのですが、そこで働いたのは約3年半です。3年間ずっと諦めきれないというか、常に音楽をもっとちゃんと勉強したい、現地、外に出て習いたいというのがずっとどこかでひっかかっていました。最大の芯となる理由はコレですが、他にも多少あります。決断した時は27歳ですが、大きく進路を変えるならもう今しかないなという今後の年数の問題が一つ。あと、働いていた3年半というのは全体からみたらまだまだスタートしたばかりですが、どんなに今後自分の裁量が増えてきてエキサイティングな仕事をやらせてもらえるとしても、あくまで会社という枠組みの一員としてお金をもらって働くというのはずっと変わらない。その根本は変わらないなと思って、今言ったような色々なことを天秤にかけた感じです。結果として、リスクを負ってまで外国に行って音楽を学びたいかどうかを考え、やっぱりやりたい、今しかない、できるなら今がラストチャンスだと思って行きました。その過程で、結局ジャズではなく、フィルムスコアリングを学びたいということになったのですが。 -決断して今現在に至って、間違っていなかったと? 小出 一言で言い表すのは難しいですが、結論だけ言えば間違っていなかったです。 -毎日エキサイティングで? 小出 それは本当にそうですね。日本にいた時の自分では全くできない様々なことを経験できているので。 -学校に入って、それからフィルムスコアリングに興味が出たのですか? 小出  音楽を学びたいというきっかけはジャズでしたし、クラシック畑の人間ではなくどうしてもそちら方面の受験は難しかったんですので、最初色々サポートして頂いている時はニュースクールとマンハッタン音楽院のジャズ系でした。ただ、サークルを卒業してジャズばかりに割いていた時間が空くと、どこか必ず戻ってくるのが、映画とかゲームのサントラでした。昔からよく聞いていて、定期的にそこに戻ってきていた。ちょうど受験のこともあっていろいろ考えた時に、自分が一番ナチュラルに自然と受入れられるものは何かなと考えると、映画やゲームの音楽が自分が育ってきた中で一番に感じられたので、自然とそっちに進路が決まりました。気づいたらこんな身近な音楽があったんだな、という感じです(笑)。 -作曲の経験はそれまでにあったのですか? 小出 作曲と言えるほどのものはないです。ピアノを練習している時に遊びでグチャグチャとやる感じで、作曲と言えるかはわからないですね。 -経験をふまえて、割と大きな進路変換だと思うのですが。 小出 そうですね。でもやってみるとなんとなく、今まで意識すらしていないくらいなんとなくやりたかったことが、やってみるとこれだったかも!と思いました。 -学校の授業は作曲を? 小出 そうです。メインは作曲です。 -演奏はあまりしないのですか? 小出 今はほとんどしていないです。最初の頃は必修として各自のプリンシパルの楽器の必修はあるのですが、それは後半になると必修ではなくなるので。時間がある時にはもちろん練習するのですが、忙しい時には全然弾けていないです。 -学校の授業はいかがですか? 小出 大変ですね。宿題や課題がたくさんあって。今ディグリーなので、リベラルアーツもとっているんです。二つあるとやっぱりきついですね。 -リベラルアーツもとっているのですね。どんな科目が? 小出 数学や科学はトランスファーできたのですが。僕の場合は理系だったので、社会科学的なものがまったくトランスファーできず。ヒストリーとかカルチャーとかをとっています。 -授業は英語で? 小出 英語です。 -ヒストリーというのはアメリカの歴史を? 小出 色々あります。ヨーロッパとかアメリカとか、いくつかある中から選択します。 -日本の大学と同じでこの先生だと単位がとりやすいとかはあるのですか? 小出 ありますね。 -レポートが少ないとか? 小出 はい、楽で有名とか、厳しくて有名とか。 -一日の時間の使い方はどんな感じですか? 小出 やっぱり朝はあまり授業に出たくないので、平均して起きるのは9時くらいです。支度をして授業が10時~11時くらいからあって。週によってバラバラなんですが。一番一般的なのは、10~11時くらいから始まって、4時くらいまでに授業自体が終わるのが多いですね。空いた時間でひたすら宿題や課題をやって、それをずっとやりつつ寝るのが2~3時くらいですね。 -そんな時間まで寝れないくらい課題が? 小出 忙しい時はそうですね。 -どんな課題が出るのですか? 小出 自分の専門だと、来週までに、何分の曲とか、楽器編成はこうとか、スタイルはこういう曲を作ってきなさいというのがメインです。それに関わるものも出たりはするのですが。毎週何かしら必ずあります。今週はまったく曲を書かなくていい、ということはないですね。宿題が出ない授業は珍しくて、大なり小なり何か出ます。逆に出ないと、「今週ないの?!」みたいな。 -このページまで読んできなさいとか? 小出 そういうものもいっぱいありますね。 -四六時中曲を考えている状態ですか。 小出 言われた時にどういうものにしようかなと考えて、あとはご飯を食べたり歩きながらアイデアを考えて、実際机や楽器に向かってから練っていきます。 -今までで一番大変だった課題は? 小出 全部です(笑)。今は慣れたのですが、最初に、指定された日時や楽器で生のレコーディングをしなければならないという課題がありました。今は必ず毎セメスター2回あるのですが。学校に小さいスタジオがあるのですが、自分でミュージシャンを集めて、スタジオに入って指定された時間内で自分が指揮をして録音して。作曲、編曲、スコアを用意する、ミュージシャンを集める、録音する、という一連の流れを最初から最後まで自分でやらなければなりませんでした。自分で集めてというのも緊張もしましたね。 -楽器も指定されていたりするのですか? 小出 パターンがあります。例えば3人以上いれば大丈夫という場合は自分で集める。また別のパターンだと、学校側が用意してくれるので自分で集めなくていいけれど、その場合は楽器を足しても引いてもいけないという。それはそれで練習にはなるのですが。 -ではオーケストラみたいなことも? 小出 小さいですけどね。10人くらいで。 -どれくらいの期間で仕上げるのですか? 小出 授業にもよりますが。最初に「こういうものがある」というのは、1カ月か1カ月半前から言われるので、その時点でなんとなくイメージや準備はできます。で、実際に近づいてくると、最初のスケッチという、オーケストラで言えばフルオーケストラでなくその前のメロディーとコードくらいをまず提出をしなさいと。そこに先生がアドバイスなどをくれて色々直して、オーケストラに編成を変えるという流れがあるので、全体を通して1カ月か1カ月半くらいですね。 -頭を使いますね(笑)。 小出 はい、作曲系のメジャーは頭を使いますね。 -先生とのレッスンで、先生が何を言っているかがわかる程度の語学力も必要ですものね。 小出 はい。音楽の方の授業はわかります。でもリベラルアーツはきついですね。分かりやすい先生はまだいいのですが、話すのが早い先生とか、言葉選びが一般的ではない先生とか。先生ってジェネラルな言葉選びをするじゃないですか。そうじゃない人も時々いて、そういう人は「今なんて言ってたの?」となることもあります。 -語学に関しては日々勉強ですね。 小出 勉強というものかはわからないですが(笑)。 -小出さんの場合、行かれた時から英語はおできになる感じでしたよね? 小出 いやいや。高校を出てすぐ来たような日本人と比べてはっきり差が出たのが、書きとか読みとかリベラルアーツの、いわゆる“お勉強”のような英語は他の日本人に比べて得意だなと。「俺は一夜漬けでいけるな」と言っている所を「全然無理です」と言っている人もいて。日本の受験勉強をくぐりぬけるとその辺のコツというか、英語の“お勉強”はできるようになるのですが、逆に対面で言葉だけでコミュニケーションというのが難しくて。むこうに行って感じたのが、文化の差によるコミュニケーションや性格の差です。僕はすごく日本人ぽくて、なかなかすぐ打ち解けるというのが難しかったんですね。もちろん言葉の壁もありますし。なので英語での会話に関しては不得意な方だし、年も年なのでそんなにすぐインプルーブしていかないんです。逆に若い人は全然正しい英語じゃないけれど、勢いでその辺の店員とも仲良くなれる人もいて、すごく分かれるなと思いました。 -世代によっても苦労する点が違ってくると。 小出 微妙に違いますね。 -留学生は多いですか? 小出 多いですね。正式には3~4割なんですが。留学生が行きたがるメジャーが偏っていて、それがジャズとかジャズコンポジション、フィルムスコアリングなんですね。自分がよくみるようなクラスは留学生が多いです。 -半分以上とか? 小出 そうですね。 -8~9割までいきますか? 小出 そこまではいかないですが、だいたいどのクラスも半分ちょっとは留学生ですね。特に僕の上下の代はアジア人が多いです。 -代によっても違いますか? 小出 そうですね。微妙に差は出ます。 -バークリーで実際に勉強してみて、いい所悪い所はどんな所がありますか? 小出 僕の性格上、悪いところの方が目につくので(笑)それを先に言うと、自分のことは棚に上げさせてもらいますが生徒の質の差が激しすぎますね。もともと誰にでも音楽を学べる環境をという素晴らしいコンセプトで始まった学校らしいので、今も試験はやっているのですが、他の音大のようなレベルは必要なく、譜面が読めなくても楽器がそこそこ弾ければ入れちゃいます。 当たり前ではありますけど宣伝でいいところばかり出すので、その文句に釣られてよくも悪くも軽い気持ちで来れてしまうので、適当な生徒も多く、学校側もそういうスタンスなので許してしまうメジャーもあります。 -不真面目な生徒が多いと? 小出 多いです。 授業でも、自分がよくわからないつまらないというものに対して、あからさまに不満な態度をとる生徒がアメリカ人には多いんですよね。 -それで単位をドロップしちゃうとか? 小出 ドロップしちゃう人もいますし、最後まで残っている人もいるのですが、Dとか、あまりいい成績はとれていないと思います。何かを学ぼうという志が全体として低いですね。留学生は真面目な人が多いので、話していても仲良くなったりお互い切磋琢磨しあえる所はありますが。 -アメリカ人には敷居が低くて、留学生は大変ということですか? 小出 いえ、レベルとしては同じです。ただ、留学生で来る人は、それなりの意識をもって来る人が多いので、割合としては真面目な人が多くなりますね。 結果的にセメスターが進むと残るのは真面目な人なので、アメリカ人でも仲良くなる人はいますが。 -もちろん高いレベルの人がいると? 小出 そうですね。そういう人たちはバークリーを代表するような人たちで、スカラシップフルスカラシップと言って全部もらっているような人たちです。そういう人のレベルは本当に高いですし尊敬します。 いい所は、幅の広さです。バークリーはカバーしている分野が広いんです。クラシックばかりやるコンポジション科は他の音大にも多いですが、他にエンジニアのメジャーやミュージックビジネス、エデュケーション、セラピー、もちろんフィルムスコアリング、ジャズコンポジションなどと色々あって、一つのメジャーにいながら他のメジャーの授業もいっぱいとれるんですね。最初に決めなくてもいいし。いろんなものに触れる環境が多いので、自由に自分の学びたいスタイルを選べるという点では、他にこんなに揃っている学校はないと思いますね。 -他のメジャーの授業もとれるんですね。 小出 はい。僕も時々とっています。 -カリキュラムをみる限りでは、きちっと決まっているのかなと思ったのですが。 小出 基本的には卒業するためにとらなければいけないものはガッチリ決まっています。メジャーがあがらないととれない授業もあるのですが、他のメジャーで誰でもオープンにとれるというものもあって。僕はフィルムスコアリングの中でもクラシック寄りのスタイルなので、コンポジションメジャーのクラシックの授業をとったりしていますね。 -それは具体的にどんな授業なのですか? 小出 例えばロシアンアートオブモジュレーションというものです。ロシアの変調のスタイルを教えるロシア人の先生で素晴らしい方がいらっしゃいます。 他にはラベル、ストラヴィンスキーなどの人生や曲を教えるというのもあります。自分はフィルムスコアリングにいながら、コンポジションのそういう専門授業もとれるんです。 あとはコンテンポラリーライティングアンドプロダクション(CWP)という、ポップス、コンテンポラリー、ジャズ、オーケストラといった幅広いジャンルを平均的に学ぶメジャーがあります。その中でオーケストレーションをコンピューターでやる時によく聞こえるようにするという授業もあったりして、それもとったり。本当に幅広いです。 -1セメスターでとれる単位の数は決まっているのですか? 小出 それは決まっています。ディグリーだと16単位というのが決まっていて、それ以上超えると1単位いくらで払わなければなりません。 -色々勉強できるのですね。逆に自分でこうしたいと選択する意志がないと難しいと。 小出 いえ、浮気をせずに自分がやりたいものだけやるというのもできます。 -途中で学校をやめてしまう人もいますか? 小出 いますね。そういう人のことは日本人くらいしか情報を聞かないのですが、多いのはお金がないから帰らざるを得ないという人がほとんどですね。 -小出さんは資金面はどうしているのですか? 小出 自分が働いている時に稼いだものを使ってはいましたが、それではもう全然足らないので、両親から貸してもらっています。 -スカラシップを使ったりはしないのですか? 小出 最初の入試の段階で、ただの合格やスカラシップがいくら出るかというう、いくつかの段階があります。僕はスカラシップなしの普通の合格でした。なので入ってからアピールするしかなかったのですが、提出物や実力の証明などが僕には難しく、結局もらえていないです。 -手順が大変と? 小出 そうなんです。その割に入学の時に入った人はずっともらえるんです。更新のための面倒なアピールなどもなくて。 -ずっともらえるのですか? 小出 根本的にはもらえます。何かしちゃいけない、というのがあったと思いますが、普通に通っている限りはもらえます。 -卒業されてからはどのように? 小出 そこが問題なんです。OPTはとりたいですね。卒業してからはさすがに親の援助はないので、理想だけで言えばロスにいってフィルム音楽のアシスタントでもなんでもいいので、その業界に入ってリアルなビジネスの場に身を置きたいです。 -OPTの就職先などは、学校は何もしてくれないのですか? 小出 斡旋というわけではないのですが、情報は持ってます。ロスにもオフィスがあって紹介程度にはしてくれています。 -そのままボストンにいるという選択肢はないのですか? 小出 どうしても残りたいとか強い思いはありません。もちろん基本のスタンスとして、仕事をくれるならどこでも行きますよ、という感じなんです。アメリカ日本以外でも。でも黙っていて仕事をもらえるようなことはないので、何もない状態で自分でどこに行きたいかとなったらロスに行きたい。もちろんレベルの高い人はどこでも仕事を見つけられると思うし、実際ロス出身のフィルムスコアリングのある友達は、ボストンの方がネットワークがあるということで残ってます。ただ、僕の場合は限られた1年というOPTの期間の使い方として、やはり中心地であるロスでやりたいです。 -お友達がボストンにネットワークがあるというのは、学校の先生経由ですか? 小出 いえ、先生経由ではなくて、ミュージシャンがボストンの方が見つけやすいんです。周りに卒業した人も残っていたりするので。彼は学校がらみではなく、何で見つけたのかはわからないのですが、インディペンデントなゲームの音楽をやっていると言っていました。 -在学中に会社とかに作品を送ってアピールすることもあるのですか? 小出 会社にはしていないです。あ、最近ちょっと応募したりしました。まだ結果はわからないですが。 あとは学校に日本人でゲームの音楽等を作曲している作曲者が来て仕事の内容を紹介したりしたときに、その方もバークリー出身ということで、CDを渡して聞いてくださいと伝えたり。あと、以前習っていたけど、今は教えに来ていない先生にも聞いてもらったりして。それくらいですね。いきなり送りつけてというのはまだやっていないですが、これからどんどんやっていかなければなりません。 -アシスタントはどんなことをするのですか? 小出 場合に寄って様々です。スタジオに行ってコンピューターのセッティングをする様な雑用だけとかもあるようです。 -これをオーケストレーションしておきなさい、というのではなくて? 小出 もちろんそのような実際の作曲作業に大きく関わるような場合もあります。それだったら僕も進んでやりたいです(笑)。 -有名な作曲家の人はアシスタントがいるのですね。 小出 はい。でかい所なら作曲以外も含めたら制結構な人数でやっていると思います。 -別の方なんですが、在学中にオーディションを受けにいって、その先の所属も決まったという方がいました。 小出 そうですね。僕の場合はどんどん送って、オフィスにかけあってみるというのを今からしなければなりません。 -学校の授業も受けつつなので大変ですね。 ボストンという街についてですが、住みやすいですか? 小出 何が好きかなんですよね(笑)。一般的に言って住みやすいですが、エキサイティングではないです。よく言えばのどか。郊外は静かでいい所なのですが、街中、バークリーの周りはうるさいです。学生も多いし、遅くまで曲をかけている人もいて。ちょっとはずれれば静かで住みやすいです。でもニューヨークのような、いるだけで刺激になるような街ではないです。 -今はお住まいは? 小出 学校から歩いて5分くらいのアパートをシェアしています。 -最初お部屋で苦労されていましたよね? 小出 最初、2010年7月に行って、12月までそこに住めると思っていたのですが、その時に住んでいた人が他にも募集をかけていて情報の行き違いがあったようで、2カ月しかいられないことになってしまったんです。でも9月だから入れ替わりの時期だし、見つかるだろうと思っていました。 実際9月に一度決まったんです。そうしたら、またそこに住んでいる人がダブルブッキングしていましたと。それが入居1週間前くらいだったんです。納得できないので説明を求めると、一方的に「むこうの方が早かったので諦めてください」と言われたんです。それはちょっとないだろうと、住む所もなくなってしまうし、せめて直接会って原因を聞いて、誠意をみせてほしいと思ったのですが、それすらもなくて。ただメールで「すみません」と。その時が一番焦りましたね。それは日本人の掲示板で探していたので、どうしようもないなと。すぐに見つかるような所でもないので、クレッグスリスト(物を売り買いする巨大掲示板)でルームメイト募集をギリギリで探して即決させました。 -それは部屋を貸しますという人がいて、その方と連絡をとって、自分はこういうものですと? 小出 そうです。たまたま相手もバークリー生だったんです。しかも韓国系アメリカ人で、こちらがアジア人だと知って、「ぜひ一緒に住んでくれ」と、感じのいい人でした。 -引っ越しは何回かしていますか? 小出 結構していますね。9月から住んだ所は相手が12月に卒業で出る予定だったんです。そのアパート自体もそんなに好きじゃなかったので、自分も12月の契約までにしてもらって、12月からは日本人の友達に紹介してもらった所で。建物としてはよかったので、ほぼ2年近く住みました。そこはよかったのですが、会社の方がレンタルじゃなく売り出しますということになって、出ざるを得なくなってしまって、今はまた別の所に住んでいます。 -結構大変なんですね。 小出 はい。これだけ引っ越している人はなかなかいないと思いますが。稀ですね。みんな多くても1~2回だと思います。 -家賃はおいくらくらいですか? 小出 シェアでだいたい下が700、上が900くらいです。 -寝室だけシングルであとはシェアという? 小出 リビングっぽい大きな部屋がない場合で中くらいの部屋がある場合はそれぞれ一部屋で、キッチンバストイレが共同です。リビングがある場合は、そこをカーテンで仕切って一部屋として使うことが多いです。 -何人くらいでシェアするのですか? 小出 2~3人です。リビング+もう1部屋あると4人で住んでいたりとか。 -その中でもめ事があることも? 小出 まあ聞きますね。 -ボストンは生活費は高いですか? 小出 ニューヨークほどではないと思います。家賃に関しては日本より高いですね。シェアで月に400~600ですよ。自分一人でスタジオに住もうと思うと1000ドル前後になってしまうんです。てことは日本だと10万くらいなので、ぼろいくせに日本より高いですよね。食費は日本食を買わなければ安いと思います。 -日本食のお店もあるのですか? 小出 本物じゃないですけど(笑) -中国系とかですか? 小出 日本人以外がやっている日本食ですね。寿司とか照り焼き系のものとか。 -交通費はどうですか? 小出 僕は基本的に歩いているので使っていませんが、ボストンは安いです。チャーリーカードを持っていると1回1.5~2.00ドルです。すごいのが、一回乗ってしまうとどこまで行ってもその金額なんです。空港までいっても同じ。そういう意味ではすごい安いし、学生は学割があるようなのでいいですよね。ただ、まったく電車の時間はあてになりません。始発と終電が決まっているだけで、間は何分おきに来ますという目安はあるのですが、ぜんぜんあてにならないし、すぐに止まってしまうし。 -生活面では日本と比べると不便ですか? 小出 インフラにおいては、はるかに日本の方が楽です。せいぜいwi-fiがどこでも飛んでいるくらいです。 -それは無料ですか? 小出 だいたい無料です。カフェにいってもパスワードは必要ですが書いてあって。学校も無料ですし。 -バークリーはパソコンを学校で買うのですよね? 小出 そういうテクノロジーは優れています。 -パソコンで提出することも? 小出 僕の場合はそうですね。パソコンを多く使うメジャーなので。そうでない所は紙で提出とかスコアで提出が多いのですが、メインがパソコンを使うメジャーが多いので。 -ロジックもパソコンで? 小出 そうです。そういうものを習う授業も多いので。そういう意味では、全員同じパソコンをもっていて、同じソフトウェアが使えるという前提なので、そのシステムがうまくまわっているのだと思います。 -ノートパソコンが配給されるのですか? 小出 いえ、買うんです。楽器とは別に買わなければいけないんです。 -3100ドルくらいですよね。ソフトもいろいろ入っていて。 小出 はい、自分で一からそろえるよりは得ですよね。さらにメジャーごとにバンドルがあって、そのメジャーで必要なものを入る時に買わなければなりません。でもそれはこれを学ぶなら必要不可欠なものということなので、そういう意味でもテクノロジーの環境はお金はかかるけれども整備されています。 -学校の設備もよいですか? 小出 バンドルなら自分が持っているものと同じものが、学校のラボと呼ばれる(時間があいている時に使える場所)ような設備に揃っていたりするので。 -バークリーは学校がいろんな所に点在していますよね。あれは学科ごとなのですか? 小出 分かれているようで分かれていないんです(笑)。一応オフィスが集まる棟、普通の教室、アンサンブルが集まる棟などがあるのですが、その中でも別の教室があったりオフィスがあったり。普段リベラルアーツをやる校舎は決まっているのですが、全く違う校舎になったりもします。そこはめちゃくちゃですね。 -授業の移動時間も考えないと大変ではないですか? 小出 授業の間に移動できない距離ではないんです。一番遠くてもギリギリ間に合う距離です。 -授業は1コマ何分ですか? 小出 50分です。 -そんなに短いのですね?! 小出 でも実際50分の授業は最初に少しあるくらいで、専門の方になると2コマが1授業なんですね。1時から2時50分とか。50分単位なので、間の10分を休憩にする先生もいれば、そのまま通しでやってしまう先生もいます。 -50分は短いですものね。 小出 50分はイヤートレーニングなどの最初の基礎的なものとか。3コマの授業の場合、2コマと1コマに分かれているので、1コマの方が50分とか、そういう感じです。リベラルアーツはほぼ3コマです。 -ヒストリーを聞きっぱなし? 小出 そうです(笑) -寝ますねそれは(笑)。 小出 話が面白い先生は大丈夫なんですけどね。 -先生も大変ですよね。 3コマとって1単位なのですか? 小出 その場合は3単位です。必ずしも一致しないのですが、50分が1単位という換算です。 -今後の将来的な夢は? 小出 夢というと大げさですが、ロスにいって、一番の理想は自分が作曲者というクレジットで。自分一人でできるくらいの小さいプロジェクトもやりたいですが、それなりにみる人も多いものがいいですし。作曲者になれたらそれはそれでいいですし、それに関わるならオーケストレーター(編曲家)なども、できたら僕は楽しいので。むこうのテレビでもゲームでもなくフィルムに、作曲編曲で携わりたいですね。 -フィルムにこだわる理由は? 小出 テテレビ・フィルム・ゲームという分け方をしたとして、そのなかで最も普段自分の生活で関わりがすくないものがテレビで、日本にいる時も殆ど見ていませんでした。もちろん仕事として音楽に関われるのであれば変わりはないのでそこは別ですが。 ゲームの場合は、僕はそのような専門じゃないので詳しくは説明できませんが、映画とは異なる、とてもBGMっぽい音楽が使われる部分が異なるんじゃないでしょうか。 僕の感覚ですとフィルムという媒体がエンターテイメントとして完成されていて、テレビのように何十話もなく約2時間という中で物語があり、それを伝達するツールとして音楽をつけるというのが、最も自分がやりたい媒体です。 -映像音楽に流行りはあるのですか? 小出 ありますね。流行りじゃないものが売れないわけではないのですが、みんなそっちにいきたがる音というものがありますね。 -それは誰かが牽引しているのですか? 小出 そうです。今一番牽引しているのはハンスジマーという作曲家です。ではないでしょうか。 -フィルムに関してはいかがですか? 小出 ただの懐古主義かもしれませんが、昔のほうが個人的には好きな作品が多かったような(笑)。昨日ちょうど帰ってきて「風立ちぬ」を見ましたが、久々に映画のあるべき姿を見たような気がしました。その前にむこうで「マンオブスティール」をみたんです。とても迫力があってエキサイティングで面白い映画ですけど、観終わった後に特に何も残りません…。単純にエンターテイメントとして楽しみたい時にはいいですね。 -でもそれは見に行こうと思ったわけですよね? 小出 友達と行こうという流れになっていて、ハンスジマーが作曲で毎回毎回新しいことをやるので、はやりそこは観てみたいなと。そういう新しいものを作り続ける姿勢は重要だと言われるのですが、僕自身があまりそういうのが得意でないので、そのスタンスは本当にすごいと思います。 -オーソドックスな感じですか? 小出 はい、むこうでいうとスピルバーグとジョンウィリアムスみたいなベタベタなもので育ってきたので、自然とそういったものがやりたくなってしまいます。子どもの頃から体験してきたそういう感動を、今は逆発信して同じような体験をしてもらいたいです。それだけじゃダメだと頭ではわかっているし、先生にも日々進化しているんだからと言われるんですけどね。 -映画をみていても、音の方が気になったりしますか? 小出 かなり考えるようになりました。例えば、習ってきたようなセオリーだと選ばないような曲調だと気になってしまって、理由を想像したりするようになりました。 -今後留学したいと思っている方にアドバイスがあれば。 小出 ある程度意志がある方がご覧になるのを前提として言わせていただくなら、むこうに行って、若い日本人の中には「何しにきたの?」という人がいるので、そういう風にはならないで欲しいです。もちろん殆どの人がとても意識の高い方々ですが、中には学校にただ通うだけで他の生活は日本にいるのと変わらず、何を学んでいるのかよく分からないような人もいます。自分のやりたいことだけはのびているのかもしれませんが、乱暴に言ってしまうとそういうのは見ていると時間とお金の無駄だなと考えてしまいます。 僕の場合は、周りからしたらある程度年がいって、子どもの頃からバリバリやっていた人が多いなか、ほとんど練習しなかったタイプなので、ある意味やるしかない状況と、ちょっとは会社勤めでいろいろみて、少し長く人生を生きていて、会社をやめてまで来たのを考えると、何が得られるかわからないけれど、何でもいいから吸収しないと無駄になるなという危機感からこう思うんです。 なので、留学したいという気持ちは大事にしていただきたいのですが、行くからには自分の何かをかける訳ですから、音楽はもちろん、その他全てを持って帰るという気持ちでやらないと、お金と時間が無駄になるなと。何をやっても、どんなものをやってもいいけど、その気持ちだけは大事にして日本人としてがんばれたらなと。自分が言うのもおこがましいですが、周りにそういう方が多いと自分への刺激にもなるので、自らへの戒めも込めて。 -周りがだらけていると、、、 小出 イヤですね。流されかねないので。流されてしまう人もいますし。 -どん欲さにかけるんですかね。 小出 そうかもしれないです。僕よりうまい人がそういうことをしていると、本当にもったいないなと思いますね。 -モチベーションを持ち続けることですね。 小出 はい。それは難しいですけどね。自分も。やらされていることにいっぱいいっぱいで、それ以上のアクティブなモチベーションが難しいですね。 -日々の生活に追われちゃって、みたいな? 小出 そうですね。中にはそういうことをナチュラルにできる日本人もいるので、そういう人は見ていてうらやましいなと思います。ポジティブな考え、アクティブな面がほしいなと。 -それは周りに「私はこれをやるぞ!」と宣言していたりするのですか? 小出 もちろんそういうタイプもいますし、自然とフットワークが軽い人もいます。気負わずにぱぱぱっとできちゃう。 -それは性格の差もありますよね。 小出 そうなんです! 特にむこうに行った時に差が出ますよね。 -それでもこうしたい!というのがあれば動けますよね。 小出 そうですね。こうしたい!というのが比較的なんでも許されるのがむこうの国なんだと思います。こうしたい!と思って、学校がそれに答えてくれないこともありますが、じゃあこの道にいけばいいじゃんみたいなことが当たり前にあるという。お金と時間があればですが。 -アメリカはチャンスが多いですか? 小出 多いですね! その環境づくりがすごいです。 例えば、ボストン美術館は、周辺のいくつかの学生はただなんです。中に入ると美術系の生徒さんが絵を模写してその場で勉強できる環境だし。僕の場合重宝するのが、ボストンシンフォニーというアメリカ5大オーケストラの一つと言われていて、昔から有名なオーケストラです。そのシーズンが半年くらいなのですが、学割のカードが通常5ドルで売っている所、バークリーでは2ドルで売っているんです。それを買うと、年間をとおして席があいていれば入れるんです。通常買ったら50ドル以上100ドル近くするものを、席は端とかですが、実質年間2ドルでいくらで入れるのは、考えられないですね。育てようという環境が違いますね。 -国柄ですかね? 小出 学業がさかんな都市ということもありますよね。でもニューヨークでもマンハッタンがリンカーンジャズセンターのホールで定期的にやっていたりとか。 -学生にやさしい? 小出 チャンスを与えるという傾向は日本より遥かに強いです。 -やはり留学した方がいろんなものに触れられると。 小出 そうですね、、、。日本のいい所もあると思うんです。例えば日本の実力ある音大を出るというのはすごいですし、そのようなレベルやジャンルの人はアメリカよりもヨーロッパとかの方が主流だと思います。どこにせよ、日本じゃなくて外国にやりたい大学とかがあるなら、そのほうが環境ははるかにいいのではないでしょうか。 -小出さんは日本に帰ってこず、できればずっとあちらでやっていきたいと? 小出 理想としてはそうですね。確定できないことですが。OPTが切れた後にビザがとれるかわからないので。 -ありがとうございました。参考になりました。 働いていて留学を迷われている方も増えているので。 小出 同じような経歴の方、会社をやめてきた人とかは、むこうでも仲良くなりますね。 -結構いらっしゃいますか? 小出 多くはないですが。 -年齢的に、いかがですか?40代とか。 小出 ちょっといますね。この前卒業した方がそうでした。すでに音楽家として活動されていて、キャリアの一環としての目的なので特例かもしれませんが。あと僕の上で日本人だと、30半ばくらいの人ですかね。その友達は会社員ではないけど日本で働いてこちらに来ていましただいたい30半ばくらいが、一般的な上の方で、一番多いのが高校を卒業して1~2年ですぐに来たとか、4年制の大学を卒業してすぐに来た人たちですね。 -年下に囲まれているわけですね。 小出 ほとんど年下ですね(笑) -話があわないとかは? 小出 あわない人とは仲良くならないです。合う人とは年下でも仲良くなりますし。 -映画をみていて小出さんの名前が出てきたら素敵ですね。 今日はありがとうございました。

Vol.276音楽留学アンドビジョン【講習会&アメリカ留学説明会情報】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.276.2013.11.19━━   ◆音楽留学アンドビジョン◆講習会&オーディション&留学説明会情報◆ ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━      もくじ ‖【1】ごあいさつ&ご案内 ‖【2】講習会情報 ‖【3】学校情報 ‖【4】国内レッスン情報 ‖【5】特別プログラム情報 ‖【6】編集後記 ‖【7】次回予告 ‖ 発行:アンドビジョン株式会社        ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━ ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー          【1】ごあいさつ&ご案内 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーーー こんにちは。アンドビジョンの谷山です。 街には早くもイルミネーションが登場し、クリスマスソングも聞こえてくる季節になりました。 ぜひ、あなたの思い出のクリスマスソングや、今年ぜひ聴きたい曲などを教えてくださいね☆ ★★無料留学説明会のご案内★★ 準備はいつから?費用は?留学に関する小さな不安や疑問にお答えします。留学への第一歩です! ♪スイス留学説明会 11月20日(水)19:00〜 ♪ロシア留学説明会 11月27日(水)19:00〜 ♪オーストリア留学説明会 12月4日(水)19:00〜 ♪オランダ留学説明会 12月11日(水)19:00〜 説明会以外にも個別のカウンセリングも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー           【2】 講習会情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーーー 今週はアメリカの現代音楽シーンを牽引する2校の講習会のご案内です! <アメリカ> ◆バークリー音楽大学サマーコース(5週間) ジャズ、ロック、ポップ、ファンク、フュージョン、R&B..、優れたパフォーマンスに必要な全てを教える5週間 2014年7月12日〜8月15日 【ジャズ、ポップ/ロック、ファンク/フュージョン、ポップ/R&B(ヴォーカルのみ)、全楽器、ボーカル】 ※〆切:定員になるまで http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amhrw0ol4he1ncowIxy <アメリカ> ◆コレクティブ講習会 N.Y.の人気校が開催する講習会。講師陣にはグラミー賞受賞アーティストも。 1週間コース: [第一期]2014年3月17日-3月21日 [第二期]2014年6月2日-6月6日 2週間コース:2014年8月18日-8月29日 3週間コース:2013年11月25日-12月13日、2014年11月24日-12月12日 4週間コース: [第一期]2014年6月16日-7月11日 [第二期]2014年7月14日-8月8日 【ドラム、ギター、ベース、キーボード、ヴォーカル】 ※〆切:定員になるまで http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amirw0ol4he1ncowOYP 上記以外にも、たくさんの講習会で参加者を募集しています。詳しくはこちらのHP をご覧ください。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amjrw0ol4he1ncowVYk 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー        【3】学校情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーーー 今週はアメリカ留学特集。自由の国アメリカであなたの才能を思う存分伸ばしてみませんか? 興味のある方はぜひ一度お問い合わせください☆ ◆バークリー音楽大学 若さと熱気あふれる、バークリー音楽大学で学ぶ現代音楽。得られる知識や技術も実用的。 【クラシック、ジャズ、ポップス、コンテンポラリー、ミュージック・テクノロジー、フィルム・スコアリング、 ミュージック・ビジネス、音楽療法など】 申し込み〆切:学士:秋期は1月15日、夏期は前年12月1日、春期は7月1日。修士:3月31日 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amkrw0ol4he1ncowNLm ◆マネス音楽院 少人数のアットホームな雰囲気の中、各分野の音楽エキスパートによる優れた教育を実現。留学生ケアもバッチリ! 【クラシック】 申し込み〆切:コースによって異なる http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amlrw0ol4he1ncow0nF 上記以外にも、世界各国の学校情報を豊富にご用意しております。希望に合った 学校がきっと見つかるはず!詳しくはHPへ。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0ammrw0ol4he1ncow0wb “留学したいけど何から始めていいかわからない”“出願書類作成や入試手続き、 一人で出来るかな?” など、留学には不安はつきもの。アンドビジョンでは、 “入試合格前サポートパック” をご用意して、留学前の皆さんをサポートしてい ます。詳しくはお問い合わせください。 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー     【4】国内レッスン情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーー 公開レッスン用のFaceBookページもあります!要チェック☆ http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amnrw0ol4he1ncownAt ☆今週のピックアップ☆ ◆ドイツ・ベルリン芸術大学ゲルト・ウルリヒ・ボアマ准教授声楽公開レッスン 日独リーダークライスの発起人でもあり、日本人学生の指導経験豊かなテノール歌手 2014年3月26日(水) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amorw0ol4he1ncowBOb NEW! ◆ブリュッセル王立音楽院・王立モンス音楽院ダニエル・ルービンシュタイン教授ヴァイオリン・ヴィオラ公開レッスン 2014年4月12日(土) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amprw0ol4he1ncowg6J ◆オーストリア・ウィーン国立音楽大学ステファン・モラー教授ピアノ公開レッスン 2013年12月11(水)〜13日(金)- 東京 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amqrw0ol4he1ncowxUM ●パトリック・ジグマノフスキーピアノマスタークラス&ジグマノフスキークラスオーディション パトリック・ジグマノフスキー先生に師事。 憧れのパリ・エコールノルマル音楽院留学の切符を手に入れよう! ※レッスンは満席、現在聴講生を受付中! http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amrrw0ol4he1ncowJgI ◆国立ライプツィヒ音楽大学・クリスチャン・ポール教授ピアノ公開レッスン 2013年12月20日(金)〜21日(土) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amsrw0ol4he1ncowNts ◆ドイツ国立トロシンゲン音楽大学シュテファン・ボルンショイヤー先生ヴァイオリン公開レッスン 2014年1月8日(水) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amtrw0ol4he1ncow8KO ◆国立ミラノヴェルディ音楽院デルフォ・メニクッチ教授 声楽公開レッスン 2014年3月8日(土)〜13日(木) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amurw0ol4he1ncowU68 ◆フランス・パリ地方音楽院/スペイン・カタルーニャ高等音楽院ピエール・レアク教授/ピアノ公開レッスン 2014年4月3日(木)〜5日(土) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amvrw0ol4he1ncowxLy そのほかにもたくさんの情報をご用意しております。詳しくはHPへ。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amwrw0ol4he1ncowQQU “受講はまだ自信ない…” という方は聴講のみでもご参加いただけますよ。 当日は会場にアンドビジョンスタッフが待機しておりますので、 留学や受験に関する相談も随時受け付けます♪ 早い段階で定員になることが予想されますので、お申し込みはお早めにどうぞ☆ ◇◇◇◇語学レッスン◇◇◇ アンドビジョンでは留学のための語学レッスンも行っています。先生はもちろん 各国のネイティブスピーカー。レッスン時間や内容は、すべてあなたに合わせて、 フレキシブルに更可能。ご自分にあったカリキュラムをリクエストできます!実際、 留学経験者の多くが、渡航前に準備すべきだったこととして、語学をあげられます。 100%音楽に集中するために、語学の準備はしっかりと! http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amxrw0ol4he1ncowv2Y 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【5】特別プログラム情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーー “海外の空気の中で音楽を体感したい” “あこがれの先生に習ってみたい” “長期留学の下見として…” そんな人にお勧めなのが、アンドビジョン特別 プログラム。1週間から受けられる短期留学(プライベートレッスン)です。 【現在募集中!】 ◆マリー・フェイシンガー/マネス音楽院講師【声楽・ボイトレ】 音楽監督までこなすボーカリストが、視野の広いボイスレッスン。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amyrw0ol4he1ncowdzm 上記以外にもさまざまな楽器でプログラムをご用意しています!目的に合わせて フレキシブルなアレンジが可能ですので、詳しくはHPをご覧ください。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0amzrw0ol4he1ncow7t0 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  【6】編集後記 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーー 気になる情報はありましたか?夢への最初のステップになれたら嬉しいです☆ 皆さんからのご意見・ご感想をお待ちしてます♪ MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 そして、ご友人にも是非ご紹介ください!(゜▽゜) メルマガ登録は、やメールアドレス変更は簡単に登録できます!! 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渡辺ゆかりさん/ジャズフルート/マンハッタン音楽院/アメリカ・ニューヨーク

5才からピアノを始める。東京外国語大学卒。ニューヨーク市立大学シティカレッジ校を経て現在マンハッタン音楽院ジャズフルート科在籍中。(インタビュー 2006年5月) -  簡単に渡辺さんの経歴を教えてくださいますか? 渡辺 幼い頃から音楽が好きで、5歳の時に母に頼み込んでクラシックピアノを習い始めたのを覚えています。そして10歳になり、街にフルートの先生がいることを知り、前々から興味のあったフルートを習い始めました。その時からずっとフルーティストになりたいとひそかに思っていましたが、高校は進学校に進んだので、家族、まわりの雰囲気に影響されて、ピアノ、フルートのプライベートレッスンは続けていたものの、本格的に音楽の世界には踏み込めず、とりあえずは趣味にしておこうということになりました。 -なぜジャズをやろうと思ったのですか? 渡辺 大学の時、ジャズ研究会という学内のクラブがありまして、そこに友人に連れられて行ってみたんです。そこで初めてジャズを聴いたのですけど、クラッシック音楽のみを聞いて育ってきたので、始めはかなり抵抗がありました。でも実際、ジャズフルートを聞いてみて、フルートでもアドリブができるこんなにかっこいい音楽が存在することを知り、「あ、こういう音楽がやりたかったんだ!」と気づいたのです。それから、フルートが使われているジャズ、ラテン音楽を聞き始め、独学でジャズ理論もかじり始め、徐々にはまっていきました、、、、、、。その後、ジャズのレッスンも東京で数回受けました。 -  初めてジャズのレッスンを受けられた時はどんな感じでしたか? 渡辺 正直、訳が分からなかったですね。音楽に耳から入る方なので、やっていることは耳で理解できても、それと理論がつながりませんでした。笑)。 -  それは具体的にはどういった点ですか? 渡辺 まずコード表示を理解するのに手間取りました。符読みに問題はなかったのですが、ジャズのコード表示は全て記号化されているので、どの音をだしたらいいか、感覚ではわかりますが、なぜそうなるのか分からない。しかも、数学の苦手な私は、ハーモニーが数字で表わされていることだけど驚いてしまい、音楽なのに理屈を通さなければいならないんだ、などと素人的なショックを受けていました。 -  留学するきっかけはなんでしたか? 渡辺 ジャズ研究会でジャズはやっぱりニューヨークがメッカなんだと話をしていました。そして自分の好きなCDがレコーディングされている場所をみてもニューヨーク。そこで漠然と、ニューヨークは、何かわからないけどとにかくすごい街なんだ。こういう音を創る何かがある所なのだと思っていました。それにどうせやるなら、いつかは本場で勉強したいと思ったんです。その時からニューヨークに留学したいと思っていましたね。 -  大学をご卒業してすぐにニューヨークに行かれたのですか? 渡辺 大学時代から留学にいきつくまで、更に回り道しているのですが、、、(笑) 卒業してから一度ラジオ番組の製作会社で短期間でしたが働いたんです。実際ミュージシャンがどのような音楽生活を送っているのか、どういう風に曲を作るのか等の話を身近に聞いているうちに、「あ、やっぱり私は音楽がやりたいんだ!」と気づき、しばらくして会社を辞めてあこがれのニューヨークに行きました。ニューヨークで夜な夜なあらゆる音楽を聴いているうちに、ジャズはまだ理解できていなかったのですが、ラテン音楽の楽しさにぐいぐい引きづり混まれてゆき、結局ニューヨークからプエルトリコ行ってしまいました、、、、、、。 -  プエルトリコでもフルートを勉強しに行かれたんですか。 渡辺 半分半分ですね。また漠然と、何か仕事をしながら、ラテン音楽の勉強でもできたらいいなと。でも行ったら、ラテンフルートにはまってしまって(笑)。 -  どのくらいプエルトリコには行かれていたのですか? 渡辺 1年ぐらいですね。1年でラテン音楽の熱も冷めてきて、やっぱりアドリブができるようになりたい。本格的にジャズを勉強したいと思い、ニューヨークへ移りました。 -  ニューヨークの学校選びはどうやってなさいましたか? 渡辺 マンハッタン音楽院に入る前に、ニューヨーク市立大学シティカレッジ校に行きました。そこには友人が通っていて、比較的入学もしやすいときいていて、当時、アドリブはある程度できるようになっていましたが、理論が苦手だった私は、とりあえず受け入れてくれるところで理論の勉強をしようと思い、1年間勉強しました。そこは日本人も10人ほどいてアットホームな雰囲気でしたが、生徒のレベル、授業の内容に不満を感じていました。そこで、他の学校の情報を集めたところ、マンハッタン音楽院はいいカリキュラムがあって、すごいミュージシャンがいる!と聞いたので、受けるだけ受けてみようと思いました。 -  シティカレッジからマンハッタン音楽院に移られたんですね。 渡辺 そうですね。ニューヨークではジャズクラブでセッションが数多くあります。そこで、すごく上手な人達にで会うと、マンハッタン音楽院を卒業していた人が多かったので、それは学校なんだろうなと思い、学校見学に行ったら、授業も雰囲気も素晴らしく、「ここで勉強したい!」と思いました。 -  実際にマンハッタン音楽院に入学されていかがですか? 渡辺 授業、先生、生徒のレベル的にも満足しています。学校はジャズ科とクラシック科とわかれているのですが、ジャズ科でも学士課程ではクラシック音楽の歴史が必須だったりしています。あと、校舎内に練習室があるのですが、そこはクラシック、ジャズ混合なので、自分の練習室のとなりの部屋から、クラシック科の生徒の練習が聞こえてきたりして、演奏のアイデアをいただいたりしています(笑)。ジャズ科は、各学年全体で12,3人程度の少人数ですので納得のいくまで質問できるのがいいと思います。 -  かなり内容は濃いですか? 渡辺 そうですね。宿題も毎授業出ますし、先生の目が一人一人に気を配ってくれるので、しっかりやっていかないと駄目ですね。どれだけ授業を取るかによりますけど、私は今年18単位取っていたので、ほとんど毎日学校がありました。クラスをそれほど取らなければ、毎日学校へいくということはないかもしれません。 -  いっぱい単位を取ったほうが早く卒業もできますよね? 渡辺 そうなんです。それを狙って頑張っています。 -  マンハッタン音楽院の入学には何が必要でしたか? 渡辺 オンライン入学書の記入、演奏のデモテープ、英語でのエッセイが必要でした。それに受かると実際オーディションに行って何曲か演奏というかたちになります。 -  オーディションの曲目は前持って知らされるのですか? 渡辺 年々変わるようですが、私の時は自分で選べました。 -  オーディションは何分ぐらいですか? 渡辺 15−20分でしょうか。リズムセクションが用意されていて、数曲演奏しました。あと、演奏の後、絶対音感を持っているか、年齢はいくつか、などという質問がありました。 -  日本から申し込むといつまでも書類が届かないとか、そのおかげで試験日を逃してしまうなどあると思うのですがそういった事はありましたか? 渡辺 マンハッタン音楽院は、(学費が高いだけ?)学校の運営もしっかりしていて、そういう経験はありませんでした。でも、シティカレッジではおっしゃるとおり、入学願書をなくされてしまい、試験日を逃し1学期スタートするのが遅れてしまいました。 -  学費はどの程度ですか? 渡辺 高いです(笑)。私は、学生ローンでなんとか支払っています。1年間で22,700ドルですので日本円で約300万近くですね。来年は奨学金をもらえたらいいのですが。 -  奨学金でやっていく方は多いですか? 渡辺 生徒の40%が奨学金を受けているというのですが、私立の学校なので、成績以外にいろいろな要素がからんでくるようですが、成績優秀者に授与するといっています。 -  上位の何人かが奨学金を取れるのですね。 渡辺 一応そうなっているようです。 -  語学についてですが、渡辺さんは大学の時から勉強していたのでそんなに苦労はありませんでしたか? 渡辺 そうですね。それほど苦労はなかったです。でもニューヨーカーはみんな話すのが早いんですよね。なので初めの年は聞き取りが大変でした。シティカレッジで出合った日本人の話では、ニューヨークで語学学校に行ってから、学校を受験する方がほとんどのようです。今、マンハッタン音楽院のジャズ科では日本人は私だけなので、残念ながら当校の英語のレベルはなんともいえないのですが、韓国人の学生は大勢いるのですが、彼らは授業を録音しています。 -  復習のためですか? 渡辺 というか、先生の言っていることがその場では分からないので、後で何度も聞いて理解するんだと言っていました。マンハッタン音楽院はコロンビア大学と提携していて、英語力が足りないと判断されるとコロンビア大学で英語を勉強することになっています。 -  コロンビア大学で英語を勉強している間は音楽レッスンはなしになるのですか? 渡辺 いえいえ、週何回か授業を受けに行くだけです。 -  学校の雰囲気はどうですか? 渡辺 マンハッタン音楽院は人数的にはクラシックの生徒が多いので、クラシックの音大という感じがします。 -  クラシックの学生が多いという事は、イベント事もクラシック関係が多いですか? 渡辺 いや、そんなことはありません。人数に関係なく、同数イベントがあります。ただ人数的にクラシックの方が、オーケストラの関係もあると思うので多いのだと思います。 -  学校の中でコンサートはしょっちゅうありますか? 渡辺 あります。学期中では週に2−3回あると思います。ジャズの場合は、自分がどこかのグループに属さないといけませんので、そのグループで毎週1回集まって演奏をして、1セミスターに2、3回コンサートがあります。でも大変なグループに入るとけっこう辛いです。 -  どう大変なのですか? 渡辺 18、19才の男の子達と一緒にグループを作って演奏する時もあるので、元気、はちゃめちゃすぎて大変な時があります。今までずっと学校の外でプロに混じって演奏をしてきたので余計にそう思うのかもしれません。 -  合わせづらかったりするのですか? 渡辺 そうですね。私だけ、日本人で女性ということもあり、あらゆる価値観の違いがもちろんでてきます。でもそこでつまづいていても仕方がないし、そういう中でやっていくのも、勉強になるし、新鮮です。みんな才能があり上手なので、そういう意味で、いい環境といえるかも知れません。 -  グループは自動的に決まるのですか? 渡辺 学期の初めに決まるのですけど、自分でグループは作れるのだと思うんですよね。それを作らないとどこかのグループに自動的に入ってしまうのだと思います。 -  日本人の数は少ないのですか? 渡辺 ジャズ科は少ないですね。少ないというか今は私だけしかいません。クラシックは、20〜30人ぐらいでしょうか。 -  現在の先生はどうやって探されましたか? 渡辺 友人がその先生からレッスンを受けていて、「すごいいいよ」と言われたので学校に入る前から紹介してもらいました。 -  実際にその先生はとても良かったですか? 渡辺 良かったです。今まで何百人もの生徒を教えてきているので、何が必要なのかすぐ分かっちゃうんです。お医者さんみたいな感じです、、、。少し演奏すれば、君はここが悪いからこういう風に直しなさいと言われます。すごい親身になって話を聞いてくれて、音楽的な問題を一緒に話し合ってくれるのでいいですね。 -  どういう風に演奏していくかは、学生と先生でディスカッションしていくのですか? 渡辺 どちらかと言うと、見て聞いて学ぶという感じです。やっぱり音楽だと音を聞いて学ぶのが一番だと思います。先生にもよるんですけど、コンセプトを与えて、あとは自分でやりなさい、という先生もいれば、1つ1つの音を直していく先生もいます。でも私の場合、自分で誤りを発見して気づいて直していかないと直りません。私はクラシックからジャズに変更して、今までのクラシック癖がなかなか抜けないので、それが結構大変でしたね。ジャズとクラシックではコンセプトも違うし、アプローチの仕方も全然違いますのでやはり、ある程度時間がかかるのだと思います。 -  フルートの場合、お家でも練習できるんですか? 渡辺 夜の9時か10時ぐらいまでなら可能です。偶然ミュージシャンが近所に多くて、みな週末とかでも練習しています。ドラムも平気で叩いたりしますね。 -  アパートは、どういう風に見つけましたか? 渡辺 友達に紹介してもらいました。聞いたことも、行ったこともない街だったのですが、友人は安全で、きれいで住みやすい街だというので、行ってみたら、イタリア人の街で、教会とイタリアンレストランだらけの、緑が多い雰囲気のいい街で、、、。アパートも気に入り、即決めました。やっぱり、アパート探しは、偏見をすてて実際にいろいろ見て回るべきだと思います。 -  引越しはなさってないですか? 渡辺 たくさんしましたよ。ニューヨークに来てから4、5回はしています。やっぱり住みやすいところ見つけるのは大変です。住み出すと引っ越しの時には分からなかった問題が出てきたり、近所がうるさかったり、、、。今のところも問題はあるんですけど、引っ越しにも時間がかかるので、しばらくはここにいます。 -  学校でお勉強をなさって、将来的な事につながるコネやツテはできますか? 渡辺 できると思います。特にリズムセクション、ピアノ、ベース、ギター、あとドラムの人達は仕事をもらう機会が多いです。それに先生達の演奏会にかりだされることもよくあります。そこからいろいろな世界が広がっていくと思います。   -  フルートはどうですか? 渡辺 残念ながら学校ではあまりニーズはないですね。サックスとフルートのダブルで演奏するなら別ですが。例えば、サックスが吹ければビッグバンドでも演奏できますが、私の場合フルートのみなので、室内音楽ジャズバンドみたいなグループで演奏したぐらいです。将来は、自分でバンドを作ってやるしかないと思います。 -  演奏する場所はどういった所ですか? 渡辺 ジャズクラブ、プライベートパーティー、レストラン等で演奏しています。その演奏会の趣旨にもよりですね。昨日は教会での音楽フェスティバルみたいな催しで、教会で演奏してきました。 -  学校でジャズをお勉強していて、日本だと分からなかった事や日本とは違うところはありますか? 渡辺 ジャズ理論を勉強する際、日本では教科書、マニュアルに従って理解、演奏してゆくという感じだったので、実際それをどうやって使っていいのか、どういう風に演奏に生かしたらいいのかよく分かりませんでした。でもニューヨークに来て上手な人達の演奏を聴いたら、彼らはそれをうまく使って即興しているじゃないですか。それで、こういう風に使っていいんだ、こういう風な考え方もあるんだ、と演奏を聴いて、逆にその理論がよく分かりましたね。 -  情報として分かっていた事が実践できるようになったということですか? 渡辺 いい先生達も多いので、理論自体もすごく分かりやすく教えてくれていると思うんです。この学校はジャズ科でもクラシックの理論から始めるんですね。ジャズの理論はほとんどジャズの中にあるのですが、クラシックの理論の延長線上にジャズの理論があるように教えてくれるので、大きい見方で音楽を見れるようになったと思います。 -  全体の中でのジャズみたいなところですね。 渡辺 クラシックからの要素、影響なども見えてきたりします。日本では私にとってクラシックとジャズの間にはっきりとした境界線がありました。もちろん、全く異なるジャンルの音楽なのですが、ジャズを理解する上でその境界線が徐々に薄れてきたのはいいことだと思います。ジャズの発展、根底にある要素みたいなものが世界歴史上で徐々に見えてくると、ジャズの中でも、これから自分の進みたい方向みたいなものも見えてきました。 -  本場でやるというのは、極論に言ってしまえばいいって事ですよね(笑)。 渡辺 そうですね、もし可能ならば、、、。 -  学校生活をしていく上で日本人以外の人達とうまく付き合うコツはありますか? 渡辺 異なるバックグラウンドの人達が多いのでいろいろ事にあまりこだわらず、「まぁこんなもんか」みたいに気楽にやってくことですかねえ。 -  大らかにということですか? 渡辺 そうですね。難しいですけど。あと、日本人は苦手な人が多いと思いますが、いろいろな人達がいるところなので、自己主張をして、ある程度自分の存在をアピールしていくことも大切です。 -  今学校はどういった人種が多いのですか? 渡辺 ほとんどが白色アメリカ人ですね。黒人とラテン人は数人います。あとヨーロッパからは結構きています。あと韓国人が数人。 -  中国人はいかがですか? 渡辺 ジャズ科にはいませんね。クラシックには結構います。 -  生活費は、大体ひと月どのくらいかかりますか? 渡辺 そんなに贅沢しなければ、家賃を含めて15万位あれば充分だと思います。家賃、交通費食事代、本やCDなどで、学生生活みたいな生活ならばですけど。 -  家賃はどのくらいですか? 渡辺 今ブルックリンでアパートをシェアーしていて600ドルです。マンハッタンよりは安いと思います。 -  マンハッタンだとどの程度ですか? 渡辺 場所にもよりますが、結構高いですよね。マンハッタンの先端に行ってしまえば安いアパートはあるらしいですけど、治安がそんなに良くないと聞きました。いいところに住もうとすると値段は上がりますよね。 -  治安はいかがですか? 渡辺 全体的によくなってきています。でもやっぱり女の人が一人で出歩くのは不快という場所はあります。雰囲気が悪くて安全じゃないと思えるようなところはあります。 -  それは日中であろうと夜であろうとですか? 渡辺 夜ですよね、やっぱり。お昼だったら大丈夫だと思います。 -  留学して良かったと思える時はありますか? 渡辺 単準なのですが、誰かから「うまくなったね」とか言われたり、自分でいい演奏が出来たと思ったときでしょうか。 -  これから留学する人にアドバイスをいただけますか? 渡辺 アドバイスというか、私が最近思うことなのですが、留学される際は、留学の目的をはっきりさせつつも、完璧主義にならないことが大切なのでは、と思います。みなさん留学したいと思った時点で、すでに自分の夢があり、何か特別なことを学びたいと思っていらっしゃると思います。当然外国で学ぶことに対する期待も大きいと思います。そこで実際、外国に来て新しい環境に入り、いろいろな事が起り、いいことも沢山起こると思うのですが、自分の思い通りにいかなかったり、目標が達成できていない、と思うこともでてくると思います。そこで、自分を責めたり、あきらめたりしないで、それは今まで自分が見えていなかったことが見えてきただけで、これは自分を成長さるチャンスだと思った方がいいのでは、と思うようになりました。私が、こんなことを言える立場にはいないのですが、特にジャズにおいては、自分の個性、人間性が演奏ににじみでてきて初めて、演奏(パフォーマンス)になると思います。自己の変化、成長を素直に受け入れていくことは演奏を成長させるうえでも大切なことだと思います。そう考えられたら、実際、生活をして行く上でやらなければならないことが山ほどあって(英語学習、留学資金作りのバイト等)、自分の目指すところになかなか行き着かないことが多々あるとしても、そういった活動も実は、自分のそして音楽の成長になんらかの形で役立っているのだと思います。そう考えられると、自分ではなかなか前進できないと思っている時でも、実はそんなことはないんだと思えて、留学からのプレッシャーやあせりにつぶされず、頑張れるのではないのでしょうか。私の体験談が皆さんの参考になったか分かりませんが、皆さんの留学がいろいろな意味で成功することを願っています。 -  ありがとうございました。今後も色々頑張って活躍なさって下さい。

渡辺俊介さん/ジャズギター/ニューヨーク市立大学シティカレッジ/アメリカ・ニューヨーク

今回はアメリカニューヨークにあるニューヨーク市立大学シティカレッジ校に1998年から現在(2005年)まで留学している渡辺俊介さんにお話を伺いました。渡辺さんは学部入学後に大学院へ進学し、ジャズギターのパフォーマンスを勉強なさっていて、2005年5月ご卒業したばかりです。 - 改めて、まず現在の学歴を教えてください ニューヨーク市立大学シティカレッジ大学院音楽学部ジャズパフォーマンス科ををつい先日卒業しました。 - ご卒業おめでとうございます。日本で留学する前は、何をなさっていましたか? 日本では音楽とは関係のない分野で大学に行っていました。 - それでは、留学する前までの音楽の経験はなかったのでしょうか? 小学校6年のときからギターをやっていました。そのときは趣味程度でしたけど。 - 留学したきっかけは何かありますか? 本や、旅行本を読んでいて、いつか外国に出てみたい、と思っていたのと、親がアメリカの音楽をよく聴いていたので、身近に音楽があったというのが主に理由としてあると思います。 - いろいろと学校があるわけですが、数ある中からどうやって学校を選びましたか? まずは自分でいろいろな本や資料をみていました。わからないことがあったら知っている人にたずねてみたりしましたね。僕は、学費の面が一番のポイントだったので、そこに重点を置いて学校選びをしていきました。 - TOEFL対策はどのようにしましたか?日本での英語勉強法は? TOEFL に関しては、教材を買って、とにかく繰り返してやっていました。実際アメリカに来た当初は、周りから聞こえてくる英語が早くて、言っていることはわかるけど、受け答えの面では苦労しました。あと、アメリカは人種が多様なので、自分の発音が悪いのか、相手の発音に問題があるのか、などわかりにくいことがありますね。教材でする勉強と、生の英語ではやはり違うなと思いました。 - 留学するまでにどのくらい準備しましたか? 9月から学校が始まるのですが、だいたいちょうど一年前ぐらいから準備にとりかかりました。 - 出発前に不安に思っていたことはなにかありますか? 宿泊先に関してが心配でした。幸い知り合いがNYにすでにいて、日本語の情報誌や、日系の斡旋業者などを教えてもらい、それで宿泊先は見つかりました。今はなかなか探すのが難しいみたいですが、学生であれば、他の学生とのシェアなどで見つけられるかと思います。NYの家賃はピンキリですが、高いと1500ドルぐらいはするんじゃないですか?自分はハーレムに住んでいるので、600ドル弱と家賃はだいぶ安いほうです。 - 留学先になぜその都市を選びましたか? 最初はNY以外にもいくつか候補があったのですが、車がなくても生活できるところ、田舎で何もないところは自分には無理だと思ったので、その点でNYはいいなと。あとはやはり音楽的にもすぐれた人が集まる街ということで、元から行きたかったというのがあります。 - 今、NYに7年目ということですが、なぜその留学期間にしましたか? 最初は2,3年のつもりだったのですが、学部から始めて、卒業までに3年半、その後大学院にも行ってみたら今の年数になりました。 - 学費はどのように捻出しましたか? 学部に通っている間は貯金と親の仕送りで、大学院の方は、奨学金と大学内のアルバイトで賄っています。学内のInternational Student Officeで働いていました。だいたいお昼に働いて、夕方から授業というのが多いです。 - 日本と留学先では何が大きく違うと感じましたか? なんといっても授業が少人数だということです。僕のいるアンサンブルの授業では、だいたいいつも5,6人でやっています。学校には有名なベースシストが講師としてきているのですが、そういった人から教えてもらえるのもNYならではだと思います。プライベートレッスンでは、ジャズクラブを回って、直接声をかけて、先生をしてもらったりしました。学校がプライベートレッスンのレッスン代を一部負担してくれていました。 - 専門用語はどのように勉強しましたか? 日本では特に準備をしていったわけではなかったのですが、学校が始まってからMusic Dictionaryを買いました。 - 学校の授業はどのような感じですか? 学部のときは、理論、パフォーマンス、歴史と満遍なくやっていきます。自分はパフォーマンス学科なので、パフォーマンスが主体でした。一般教養もとらないといけないので、学部生のときは月曜日から金曜日までみっちり授業が入っていました。大学院では、週に、1、2回学校に行く程度なんですが、とにかくレポートの量が半端じゃなくって、ホントにレポート三昧でした。 - レポートはどのような課題がでるのですか? 先生にもよりますけど、クラシックで課題曲についての分析が主になります。毎週3,4曲課題曲を出されるので、図書館に通いつめていました。おかけで理論にも詳しくなりました。 - 学校の音楽の実技レッスンはどんなことをしますか? 先生と一緒に演奏して、とにかく感覚をつかんで、ディスカッションをする、という形式です。今やっている曲があるとして、それを違うキーで引いてみたり、違うテンポで引いてみたり、スタンダードな解釈からいかに自分の解釈をしていくのかというのを模索していきます。個性を出していいというのがジャズの特徴なので、こういったレッスンが多いですね。 - 先生はどうやって見つけるのですか? 個人の先生は直接ジャズクラブをまわって交渉したり、学校にある個人の先生リストからあたってみたりしていました。 - 先生の教え方はどんな感じですか?どのように教えてくれますか? いかにも先生、という感じで、こうしないといけない、という人もいますし、一緒に作り上げていこう、という方もいます。どちらかというと一緒にやっていくという人が多いのではないでしょうか。 - 練習はどのようにしていますか? 学校の練習室もありますが、僕はギターなので、家でも練習していました。全盛期は1日6時間ぐらいは練習していました。夏休み中は10時間とかやっていましたね。 - 10時間!なにをそんなに練習なさったんですか? いろんな人にフレーズを弾きこまないとダメだ、といわれて、真に受けて一生懸命やったんです。昼間はじめて、ご飯とかはもちろん食べるんですけど、気づいたら夜中の2時とか。結局弾きこんだことを報告したら、あれは物のたとえだ、って笑われちゃいましたけど(笑) - 大学院のほうが、授業も少なくて練習できるような感じですか? いや、大学院は宿題のレポートのほうが大変で、むしろ練習時間は減っちゃいましたね。理論が主体だったので。 - 学外でのセッション、コンサートなどは行われますか? セッションはあるときはあるし、ないときはない、という感じですね。人づてに聞いたりして、参加していました。 - 音楽のレッスンで苦労することはなんですか? 苦労…。そうですね音楽の場合、効果がすぐに現れるものではないし、時間をかけると上達はするんですけど、週1回レッスンを受けていてもなかなか自分ではどれだけうまくなっているのかはわからない、というのがありますね。先生もそんなにすぐに上達するものではないよとわかっていると思うんです。もちろん5年前と比べたらうまくなっているけれど、音楽は満足することがないです。 - 学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか? いかにも先生、って言う人もいて、コレだけはやらなきゃダメとか、出席がうるさかったり、っていうのはありますけど、生徒を励ましてくれるし、生徒が作曲した曲を一緒に演奏してくれたりと、会話がとにかくありますね。生徒のほうもやる気のある人は、先生にいろいろと聞きますし、先生もそれを見越して、準備してきてて。わからないことをそのままにはしないで、その場で聞いていくから、更に授業が活性化していく感じです。 - 日本の学生にとっては、発言するというのが結構難しいんではないですか? もちろん、そうなんですけど、もったいないし発言するようになりますよ。先生の方にも生徒をケアする態度があるので、聞きやすいかな。後は先生のオフィスアワー以外の時間にも質問して良いよ、という時間がありますね。とにかく先生と生徒の関係が良いですね。 - 授業以外はどのように過ごされていますか? ヤンキーススタジアムが近いので野球を見に行ったり、料理したり、筋トレしたりしています。体が資本なので。 - 日本人以外の人たちと交流はありますか?付き合うコツなどはありますか? こっちに来てから留学生同士の知り合いが増えました。いろいろなところから学生が来ているので、いろいろな知り合いができました。付き合う上で価値感の違いなど結構大変ですけど。 - 1ヶ月の生活費はどのくらいですか? あんまり使うほうではないので、1100ドルから1200ドル以内に収まっています。ハーレムは物価が安いというのもあると思います。 - 実際のところ、治安はどうですか? そんなに悪いわけではないですよ。危険なことにかかわっていなければ普通に生活できます。ただ、日本人というだけで、狙われていることもあるだろうし、実際僕の目から見ても日本人は隙があるような感じがするので、気をつけたほうがいいでしょうね。夜中帰ったりするときは、後を付けられていないか、後ろに気をつけています。 - 留学して自分が変わったというところはありますか? 留学をして、音楽をやっていなかったら、合うことがなかっただろう人に出会えたことが一番の収穫です。いろんな人に出会えて、自分なりに毎日コツコツやったことで、自分のスタイルができてきたような気がしますし、それが自信につながっています。 - これから留学する人にアドバイスしておきたいことは何かありますか? こっちは手続関係がなんでも遅いので、まだかな?と思うようなことがあったら、とにかく自分から動くことですね。何かあったら待たないで、自ら動くのが必要です。 - 今後はどのような進路を考えていますか? 大学院を終えて、まだ1年間はアメリカに滞在できるので、ひとまず仕事に就こうと考えています。 - 先生から働き先の紹介とかありますか? 運がよければあるんでしょうけど、実際先生自体の生活も?ということもありますよね(笑)ミュージシャンは一部の一流じゃないと、副職があるというのが常識ですし。みんなレベルは高いんですが、働くということに関しては。。。ビジネスがうまい人は一部でしょうね。 - 最後に、渡辺さんの将来の夢はなんですか? やっぱり演奏で食べていけるっていうのが目標ですね。必要な情報、知識は入れたので、それを広めたりできたら良いなと思います。 - 夢の実現にむけて、これからもNY、日本で頑張ってくださいね。今日はありがとうございました。

鈴木晴美さん/ピアノ/ジュヌヴィリエール音楽院/フランス・パリ

愛知県立芸術大学卒。エコールノルマル音楽院およびパリ・スコラカントルム音楽院卒業。U.F.A.Mコンクール室内楽部門第2位、サン・ノム・ド・ラ・ブルテッシュ国際コンクールにてファイナリスト。フランス・クリダ氏より「リスト賞」受賞。2004年パリ・スコラカントルムにてエリック・ハイドシェック「ベートーヴェンピアノソナタ全曲マスタークラス」全16回出演および同音学院コンサーティストディプロムを取得。現在、ジュヌヴィリエール音楽院室内楽科在中。 -  鈴木さんの簡単な略歴を教えていただけますか? 鈴木 母がピアノ教師だったので家にピアノがあり、それがきっかけで四歳からピアノを始めて、十歳から本格的な勉強を開始しました。高校の音楽科を卒業後、愛知県立芸術大学を卒業、その後パリに留学しました。 -  パリは何年目になりますか? 鈴木 丸八年になります。 -  今までどこの学校に行かれましたか? 鈴木 最初はエコールノルマル音楽院に五年間、その後パリ・スコラカントルム音楽院を一年で卒業して、今はパリ北の郊外にあるジュヌヴィリエール音楽院室内楽科で勉強しています。その学校で二年目です。 -  ずいぶんと長いですよね。 鈴木 最初はあまり長いつもりで来たわけではないです。二〜三年かなと考えていたのですけどだいぶ長くなりました(笑)。 -  留学したきっかけはどんなことですか? 鈴木 1998年に日本で講習会に参加してフランスのピアニスト、エリック・ハイドシェックに出会ったのがきっかけです。彼に出会って何か運命的な物をすごく感じてしまい、あっという間に心が留学すると決まってしまいました。「彼がパリに住んでいる=パリに行こう」という単純な気持ちから決めたのですが、彼は当時すでに定年を迎えて学校では教えていなかったので個人的に習うことなりました。個人的に師事する場合、フランスに長く滞在するのは難しいのでやはり学校を決めなければならず、別の講習会に参加した時に、そこで出会った先生にエコールノルマル音楽院で習うことになったヴィクトリア・メルキ先生を紹介して頂きました。ヴィクトリア・メルキ先生は、フランスのクールシュベール夏期国際音楽アカデミーで毎年夏に講習会をされているので、クールシュベールに行きそこからエコールノルマル音楽院に入学となりました。 -  留学するまでは一〜二年かかったのですね? 鈴木 そうですね。留学したいという気持ちは昔から漠然とありました。でも、本当のきっかけは講習会に参加して学校や先生を決めてからです。そこからフランスに渡るまでは一年くらいかかりました。 -  一年半の間にフランス語の勉強もなさっていたのですか? 鈴木 フランス語学校で一年半程度、フランス語は勉強しました。 -  フランスに行ったときはその語学力で何とかなりましたか? 鈴木 あんまり…ですね。やっぱり日本で語学を勉強してもなかなか身につかないと思います。メルキ先生は、フランス語でレッスンをされるので少し聞き取れる位のレベルにはなっていたと思いますが。もちろんフランス語のもっと良く分かる現地の生徒さんにもたくさん助けていただきました。 -  エコールノルマル音楽院は特に試験は無いのですか? 鈴木 無かったです。メルキ先生に、エコールノルマル音楽院に入学する以前に出会っていましたので先生に紹介状を書いていただいて、それをもって入学手続きをしました。 -  学校からは、入学許可証が来るのですか? 鈴木 先生に出会ったのが夏でした。学校が始まるのが大体9月-10月なので紹介状を持って自分で学校に出向いてメルキ先生のクラスに登録しました。どのレベルに在籍するかは先生から全部書いていただきました。そんな感じで結構スムーズに入学は出来たと思います。もし紹介がない場合は、校長先生の前で実技試験があると聞いています。 -  ビザはどのようにされましたか? 鈴木 メルキ先生と私の相性がいいかは大事なことですので、クールシュベールへはビザを取らずに行きました。その後、メルキ先生とお話がつきましたのでその紹介状を持ってエコールノルマル音楽院にまず仮登録をしました。仮入学許可証を発行してもらって、一度日本に戻って、大阪の領事館で学生ビザをとりました。 -  一度、日本に帰ったのですね? 鈴木 そうですね。もしかしたらメルキ先生のレッスンを受けてみて、合わないこともあると思ったのです。あんまりいいかげんに留学を決めたくなかったので、一度日本に戻る事は最初から決めていました。 -  フランスのお住まいはどうしたのですか? 鈴木 クールシュベールの後、フランスはまだ夏休みで学校は始まっていなかったのでその期間にアパートを探しました。知り合いのお家に居候で泊めさせていただきながらアパートを探して、運良く一ヶ月の間にパリ四区にステュディオ(日本でいうワンルームタイプのアパート)を見つけました。それから日本に戻りました。 -  アパートはピアノが演奏できる所ですか? 鈴木 はい。偶然ですけれども。環境が日本でいう二階、フランス式だと一階でしたが、下に誰も住んでいない角部屋でした。隣には家族で住んでいる大きなアパートがあり、そこの息子さんがピアノを弾いていたんです。それでピアノの音に余り敏感ではない環境であると判断してそこに決めました。おかげさまでアパートの住民の方と交流もあって結構楽しかったです。その後、二年半くらい住んで引越しをしました。 -  留学生は、現地でピアノを借りるのですか? 鈴木 私はタイミング良く日本に帰るピアニストの方から中古で売ってもらいました。レンタルは、月に二万円くらいだと思います。日本で弾いていたピアノを船便で送ってくる人もいるみたいです。 -  すごいですね。 鈴木 大変ですけれども、どうしても自分の弾いていたピアノがいい人はそうするようです。中古を買う場合、あまりいいピアノにあたらない可能性も多く、ピアノを新品で買う人もいます。毎日の練習のことですので納得のいく楽器で皆さん勉強したいと思うのは当然なので、とても大変だと思いますけれども、日本から自分のピアノを運んだという話は割と頻繁に聞きます。 -  そんなに珍しいことではないのですね? 鈴木 大変だ、とは思いますけど結構そうしている人はいます。時間もかかりますし、船で来るということはピアノが揺れますし、湿気もあるだろうし…。絶対届くとは思いますけれども、日本からフランスまで遠いし心配ですよね。ピアノを運んでいる間は仕方がなく、練習室で練習している人がいます。 -  なぜお引越しをなさったのですか? 鈴木 アパートの大家さんが自分の息子に部屋を与えたいから出ていってくれ、ということになりました。本当にびっくりしました。まだ住んでいるのに出て行けなんてあるのかと(笑)。フランスに住んで二年半くらいしか経っていなくて、話し合いが出来る語学レベルではなかったので、環境を変えてみるのもいいかと前向きにとらえて引越しをしました。でも、親切な大家さんでしたので部屋が見つかるまでは、居ていいと言ってくれました。 -  どの程度でフランスの生活に慣れてきましたか? 鈴木 最初の一年は全然慣れないですね。まず言葉が追いつかないし、日本でやったことのない滞在許可証の手続きなどに追われます。最初の一年はバタバタです。二年目から一年目にやったことがだんだん生きてきます。フランスに住んでいると日常的に小さなハプニングが多いので、それにもびっくりせずにフランスの良さも見えてきたのが2年目くらいから。その頃からフランス人の友人も出来たので、フランスの日常生活を見る機会が増えました。そうしているうちに三年目位には慣れてきたと思います。 -  フランスだとホームシックになる方は結構いますよね? 鈴木 なんでそうなるかはよく分かります。フランスは、個人主義社会なので自分のことは自分でやるのが基本姿勢ですし、フランス人と日本人は、コミュニケーションの仕方があまりに違うという事もあります。私達日本人は周りに合わせたり、おとなしくしがちであまり主張することに慣れていません。そういうことから周りのフランス人においていかれるような感覚になる人は結構いると思います。それにフランスという国は不便です。日本は何でも便利に出来ていてスムーズに事が進むし、気遣い文化が日常社会にあるので、ぶつかる事や嫌な思いをする事はあまりありませんが、フランスではみんな勝手にどんどん自己主張していくので生身の人間同士がぶつかる機会が結構多いのです。そこで壁にぶつかりさらに他にも悩みがあったり体調が悪かったりすると、ぐっと落ち込んでしまうことはあると思います。 -  フランス人とフランスの社会の中で生活していくのは大変ですか? 鈴木 大変というか日本とは違うと思います。フランスにいると言葉少なく黙ってニコニコしていても、それを良しとは思われず何を考えているか分からないと思われてしまう。するととたんに彼らは冷たいんですね。多少変わっていると思われても、どういう人間であるかを彼らはすごく知りたがるので主張していくことが大事です。その主張していく姿勢が日本人にとってはかなりストレスになると思います。特に環境も変わったばかりで日本語も通じないし、主張しろと言われても最初みんな戸惑うのは当たり前だと思います。でも、そこから脱出する勇気が必要で、それは多分現地の友達などに助けてもらうのが1番でしょうね。例えばフランス語をだんだん話すようになって間違っていても、間違っているよと言ってもらえばいいわけです。そういう日常的なところからできるようになれば、段々話せるようになると思います。そういう繰り返しですね。本当に語学は大事だと思います。 -  フランスでは、ラテン系の国ではどれだけ話せるか、というのがありますか? 鈴木 最初フランスに来たときはカルチャーショックで、フランス人はラテン系だからオープンで何でも話すし、ディスカッションも積極的にしていて、いかにも人懐っこいと思い込んでいました。でも少し経って違うと感じ始めました。フランス人を表す面白い表現があるのですがそれは、『鬱のラテン系』という表現で、なるほどと思う事が多いです。特に最初は人見知りというか、わりと他の様子を伺っている気がします。本当に気が合ってしまえば途端に本当の家族のように受け入れてくれて、「なんでも相談してくれて良いのよ」となるのですが、最初はかなり用心していると思います。それと彼らは気づいていないのかも知れないのですが、フランス語にすごく誇りを持っていて、英語もあまり話さないしフランス語が話せないということをあまり納得してくれない。外国人だから話せなくても気にしないで、と口では言っても態度では嫌というところが出ます。それを私はすごく感じます。 -  本当にフランス語をみっちりやっておかないといけませんね。 鈴木 語学はやった方が絶対にいい経験が出来ます。コンプレックスを持ってフランスにいるとすごく不幸だと思います。だんだん締め付けられてしまう。なるべく明るくフランス語で会話が出来るようになれば、いろいろ不便なこと嫌なこともこんなものかなと思って乗り越えられるようになると思います。私は、言葉はすごく大事だと思っていますね。 -  授業はどこの学校でもフランス語ですよね?英語の授業は一切無いのですか? 鈴木 英語の話せる先生であれば最初は英語で教えてくれると思いますけれども、やっぱりフランス語でレッスンを受けるべきだと思いますね。 -  授業は日本と違う感じがしますか? 鈴木 レッスンのペースはほぼ週に一度ですので、日本とほとんど変わらないと思うのですが、すごく違いを感じるのは曲の数が多い事です。日本では割と少な目の曲を、みっちり時間をかけて仕上げていくと思いますが、フランスではたくさんの曲を同時に仕上げていきます。いくつものプログラムを同時にパッと仕上げられるように幅広くレッスンをしていく感じがします。 -  たくさんの曲というのは何曲くらいですか? 鈴木 エコールノルマル音楽院の話をしますと、学期末に試験があり、その試験のためのプログラムを組みます。レパートリーがバロックから近現代までくまなく選ばないといけないので、五〜六曲になります。それにピアノ協奏曲も一曲という感じで一時間半くらいのプログラムを組みます。 -  他の学校も毎年毎学期末に試験があるのですか? 鈴木 もちろんスコラカントルム音楽院でもありました。プログラムの規模は、どういうレベルで最後の学期末の試験を受けるかによります。私は、演奏家コースなので、やっぱり学期末の試験プログラムは、一時間半くらいになります。ただ、エコールノルマル音楽院では一時間半のプログラムを全部試験で弾くわけではなく、舞台の上で「これとこれとあれを弾いて下さい」という指定があってそれを弾きます。何を弾くかは当日舞台に出るまで分からないので結局全部用意しなくてはいけません。 -  大変ですね。 鈴木 そうですね。その試験のやり方は、私はあまり好きではありません。少し前でいいから何を弾くかを提示してくれたほうが良いのですけど。いきなりフランス語で、全部じゃなくてあれとこれの一楽章だけとか、細かいことも言われるので結構ドキドキすると思います。留学したての頃はフランス語が聞き取れないこともありますから大変です。それがいい訓練というか、鍛えられる感じはしますけど。 -  聞き直すと減点ですか? 鈴木 それは心配無いのですが、フランス語の問題で弾く前にドキドキするじゃないですか。折角準備してきたのに言葉が原因で動揺してしまうと、「ああハンディがあるな」と思います。 -  いろいろな学校行かれていますが、どこの学校にも日本人はいますか? 鈴木 エコールノルマル音楽院は、日本人がすごく多いです。日本人だけではなくてアジア人が多い。出会う生徒は、ほとんどがアジア人ですね。日本人がどの位いるのか把握していませんがかなり多いと思います。次に入学したスコラカントルム音楽院というのはエコールノルマル音楽院よりは少ないのですが、アジア人は多い。どちらかというと韓国人が多いという印象があります。今の学校ジュヌヴィリエール音楽院は、フランス人がほとんどです。私の在籍している室内学のクラスには数名の日本人の方がいます。 -  今行かれているジュヌヴィリエール音楽院は、年齢制限は無いのですか? 鈴木 ないですね。 -  フランスの国立の学校だと21歳までなどいろいろありますよね。 鈴木 パリ国立高等音楽院(CNSM de Paris)、パリ国立地方音楽院(CNR de Paris)、リヨン国立高等音楽院(CNSM de Lyon)などは、年齢制限があります。特にパリ国立高等音楽院は、第二課程と第三課程があるのですが、第二課程は二十一歳までで第三課程はもうちょっと年齢が上でもいいのですけど若くないとなかなか入れないですね。そこに行きたい方は日本で高校生の時から準備しないと多分間に合わないと思います。大学を出てしまうともう年齢制限に引っかかってしまうので。 -  エコールノルマル音楽院を卒業してからスコラカントルム音楽院に行かれたのはどういう理由なのですか? 鈴木 エリック・ハイドシェック先生が、スコラカントルム音楽院で6ヶ月ベートーベンのピアノソナタ三十二曲のマスタークラスをやるという企画がもちあがりました。それでスコラカントルム音楽院に行くことにしたのです。毎週新しく曲を仕上げて、ほぼ毎週ベートーベンのソナタを公開レッスン形式で勉強しました。 -  とにかくベートーベンばかり? 鈴木 そうですね。私にとっては、その年はベートーベンイヤーです。一番から三十二番まで全部でした。もちろん三十二曲を全部私が弾いたわけではなくて何人か生徒さんがいましたので分けて勉強しました。でも半分くらいは直接演奏したと思います。ベートーベンのマスタークラスが半年あったのと、それと演奏家ディプロマが欲しかったので学期末の試験も受けましたのでスコラカントルム音楽院の一年間は忙しかったですね。 -  今は室内学のディプロマをとろうとしているのですね。 鈴木 そうですね。去年、進級はしたのですが、ディプロマが出るのは、受かれば今年ですね。 -  エコールノルマル音楽院の時もエリック・ハイドシェック先生にプライベートで付いていらしたのですか? 鈴木 付いていました。プライベートでレッスンを見ていただきました。もちろんメルキ先生にも了解を得ていました。メルキ先生のレッスンを毎週受けながら、時々ハイドシェックのレッスンを受けて勉強していました。ところで二人は偶然ですけど同じアルフレッド・コルトーの門下生です。エコールノルマル音楽院もコルトーが創設しています。 -  フランスでは、どの程度練習なさっていますか? 鈴木 日本にいた時とは比べ物にならないくらい練習するようになりました。ベートーベンのマスタークラスの時は、かなりピアノ漬けの毎日でしたね。アパートでは朝九時から夜九時までピアノを弾ける環境なのでその中で休憩を入れながら、コンクールの前だったり試験の前だったりすると、一日八時間、最低でも六時間くらいはやっていました。 -  留学なさって日本にいた時よりも練習するようになる方を多く聞くのですがそれはなぜですか? 鈴木 自然に練習が必要になる感じがします。なぜ練習しなくてはいけないのかを身にしみて感じるようになります。それに今の経験を無駄にしたくないという気持ちもあると思います。一生懸命打ち込んでいないとなぜパリにいるのかが分からなくなってしまいます。 -  フランスに来る前に日本でやっておけば良かった事はありましたか? 鈴木 留学した方のほとんどが実感することだと思うのですが、日本で学んだ基礎が、それが実はこちらに来ると本当の基礎ではなくて、それよりも更に奥深いところに基礎の基礎があると気がつく。そういう存在を感じることがフランスに来てすごくあります。日本でしっかりやっておくというのはもちろん、それをベースにしつつ心を開いて素直な気持ちでもう一回ゼロからやり直すくらいの学ぶ姿勢が大事だと思います。「今まで何やって来たのだろう」と落ち込む事もありますが、そこからが成長だと思います。日本でやったことが全て正しいと思わない方がいいかもしれません。もちろん音楽は世界共通ですので何もかもが間違っていることはありえないのですが、日本での基礎にこだわっていると、フランスで学ぶことの弊害になる事があります。自分で考えてもっと奥深い世界を実感していくことが大事だと思います。 -  日本とは違う教え方だと思いますか? 鈴木 そう感じる人もいると思います。私は日本で学んだことは決して間違いではなかったと思っていますが、「なぜこういう時にこういうふうに表現したいのか」、「この楽譜を見てなぜこうなのか」など、あまり理解しないで演奏していた自分に気付きました。そこが本当の基礎だと思うのですけど、掘り下げていく時に自分の勉強の足りなさに気づいてがっかりと落ち込んだりすることはあります。 -  曲の解釈という意味ですか? 鈴木 それもありますし自分の甘さが見えます。「これでいいだろう」と簡単に弾いてしまっていた自分に気付くんですね。ヨーロッパではクラシック音楽の歴史の深さが日本と全然違いますので表面だけ上手に弾いても全然通用しません。「なぜあなたはそう弾きたいのか」、が見えてこなければいけないと思うのです。辛い勉強だと思います。自分の力量や今までの勉強の足りなさを実感したりして泣けてしまった事もありました(笑)。 -  先生の前で? 鈴木 私は、結構正直なタイプなので。でもそれは別に先生が怖いというわけではないですよ。自分に腹が立つし「ああ私は甘い」と思って情けなくてくやしくて泣いてしまいます。 -  先生の教え方も根本から考えなさいという事ですね。 鈴木 メルキ先生もハイドシェック先生もとてもレッスンが丁寧なので、決していいかげんなところで、良しとは言ってくれません。きちんと勉強したかどうかもかなり見抜く先生なので、いいかげんなことすると本当に怒られます。「この子気持ち緩んでるかな」と思ったときビタッとくるんですね。「なぜ一生懸命やらないの」、「なぜなの」と聞かれる。「この貴重な機会を無駄に過ごすつもりなの?」と言われたりもします。責任と誇りをもって怒ってくださっていると思います。ただ、「良くなったよ」と言うことは簡単なことなので。ピアノを学ぶことは、練習してピアノを弾きながら毎日自分と向き合うことです。それは毎日、本気な気持ちでやらないと出来ないことだと思うんです。だからただ何も考えずに練習してパーッともっていくと雷が落ちます。弾けているのに…と最初は何で怒られているのか分からない時もあるんです。これが日本で受けた教育の甘さだと思います。 -  学内外でコンサートなどなさいますか? 鈴木 ソロや室内楽などのコンサートの機会があります。ハイドシェック先生とデュオコンサート、というのもありました。それから最近はバイオリンとのデュオを月に1度くらいやっています。伴奏を依頼される機会もありますので伴奏もします。 -  日本のお客さんとフランスのお客さんは全然違いますか? 鈴木 違いますね。コンサートに行く時の気持ちが違うかもしれません。日本では、今ではそうでもないかもしれないのですが、クラッシックのコンサートに行く時は、やはり敷居が高いというか構えてしまう傾向があるように思います。フランスではクラッシックのコンサートはもっと日常的なものです。例えば本当に小さなサロンでも頻繁にコンサートが行われますし、教会では無料コンサートも結構あります。気軽に「今日ここで何かやっているんだって」という感じでぱっとコンサートに入ったり出来る環境なので一期一会というか「今日はこんな知らない人のコンサートに来たけど非常にすばらしかったわ」などそういうことが結構おきるんですね。彼らは良いと思えば感動を伝えますので、聴衆の反応というのをダイレクトに感じるし、演奏会の後でも遠慮しないでどんどん思ったことをみんな言いに来たりもしますから面白いです。そう言う時に全然日本とは違うなって思いますね。日本でコンサートを行う時はきちんとしたホールで敷居を高くしてやることが普通でしょう。もちろんフランスでもそういうコンサートは沢山ありますし、そこには皆さん最高におしゃれをして出かけたりはしますけど。それでも聞いている人の感動を日本より強く感じる気がします。簡単に言えば盛り上がっちゃう、と言うか(笑)。空間をみんなで共有して、素晴らしいものを聞けば素晴らしいと伝える、それがマナーという感じですね。観客が「演奏家を評価している」ことを見せてくれる気がします。 -  ダイレクトに反応が返ってくるほうが面白いですよね。 鈴木 面白いですね。「私はそうじゃないと思う」という人がいたりもして(笑)、思わぬ反応や出会いがあります。例えばスコラカントルム音楽院にいたときの一年間のマスタークラスでは、日本の公開レッスンとはずいぶん違うなぁと感じました。普通、日本の公開レッスンでは、弾いても拍手は出ませんよね。ところがあのマスタークラスでは、もしうまく弾ければ拍手が出るんです。拍手もハイドシェックが、「拍手してやってくれ」という時もありますが、自然に起こる時もあって。舞台の上で意見交換しながら生徒がどんどん変わっていくその結果、音楽が本当にもっと説得力のあるものになって、聞いている方の心に届いた時に自然に拍手が出たりします。レッスンの後で聴衆の方からお花を頂いた事もありました。もうビックリ(笑)。会いに来て意見をくださる方もいます。そういう時はやっぱり感じますね、「ああ違うなって」。 -  留学して良かったと思える瞬間や自分が成長したなと思う点はありますか? 鈴木 一言では言えないのですけど…、瞬間というより毎日思っています。まずパリが大好きなのでパリにいることにすごく喜びがあります。それから外国に住むということは、大げさな言い方かもしれないんですけど、毎日が自問自答の日々です。「私は何でここにいるんだろう」、「私は何でピアノをここまで来てやっているんだろう」など、自分に問いかけることが多くなるのでピアノだけではなくて自分らしさを探すようになると思います。だんだん自分の好きなこともはっきり見えてくるし、日本では絶対に出会わなかったであろう機会に出会ったりすると留学して良かったなと思います。「なぜピアノなのか」なんて、最初は考えなくても弾けますけど、続けていくと「何故、何故」って誰でも思う。それを乗り越えていくためには外国で一人で苦労して住んでみるというのはすごく役に立つと思います。 -  いろいろな経験を通して自分のことが良く分かるということですね? 鈴木 最初はカルチャーショックで自分が変わった気がしますけど、落ち着いて考えて見るとやっぱり自分というのはなかなか変わらないので、自分の内面をだんだん充実させていく方向に気づいていくと思います。自分を変えるというより自分を知るということでしょうか。それとフランスという国は日本と比べますと格段に不便な国ですので、日常的に小さなアクシデントに遭遇しがちです。それが自分を鍛える、純粋にそんな部分もあります。こんな些細なことで文句言っている場合じゃないと。フランスの社会はまだまだアナログですからシステムというものも良くありません。一回でうまくいくということはほとんどありませんので「自分でやっちゃおう」、「自分はどうしたいんだ」と思う癖がついてきます。私は日本もとても好きで、人間関係を穏やかに保つために周りの気持ちをくんだり、こうなったら便利だろうと先回りする対応があると思います。それは日本の本当に美しい文化だと思います。でも、フランスでは同じ事を全然期待できないので、全然違うんだと思って開き直れた方が幸せかもしれない。大らかになるべきだと思います。フランスのその部分が合う人と合わない人がいます。私はフランスの文句を言いながらも結局楽しく滞在していますので(笑)合っているのでしょうね。 -  今後はどうなさるのですか? 鈴木 フランスも長くなりましたのでこちらに滞在しつつ日本とフランスで両方で活動出来たら、というのが希望です。語学も生かしたいと思いますし、音楽の経験も生かしたいと思います。演奏活動は続けながら同時に日本とフランスの違いも見てきましたので、それが生かせる仕事もあると思い、現在探っている状態です。 -  学校が終わったら一度、帰国するのですか? 鈴木 う〜ん(笑)。フランスにいたいけれど。最近は少し仕事も始めていますので。演奏をしていきながら、教えることもしたいと思うようになりました。今まで自分が学んできた音楽をピアニストの使命として次に伝えていくことも大事だと思います。クラッシック音楽はそうやって今まで伝えられてきたものですので。 -  現地に行くと外国の友達が欲しいということで一切日本人と関係を絶つ方もいらっしゃいますね。 鈴木 極端なのは良くないと思うのです。わざと関係を絶って自分にバリアを張ってしまうのは寂しいと思うんですよ。せっかく日本から出て外国に住んでいるのであれば日本の良さも認識すべきだと思いますし、日本のものを全部否定することはないと思います。結局のところ、外国に住んでいると自分が日本人だなとすごく実感しますし、日本に住んでいた時より日本のことをよく考えます。日本を外から見て自分のどこが日本人らしいかを見るのは大事なことだと思います。ピアノにおいても自分の人格においても。なんで今に至ったのかをすごく考える機会が多いです。私は今のフランスの人間関係も好きですし、もちろん日本人の友人のことも大好きです。 -  今後留学する方にアドバイスはありますか? 鈴木 私の経験からしか言えないのですが、まず語学がとっても大事なのは現実です。語学を学んでしかもそれを怖がらずに使わないといけないと思います。学校で学んでいるだけではなく、社会に入って使うことが一番大事だと思います。あとは、自分で出来ることは自分でするという基本の姿勢を忘れないことだと思います。もちろん苦労したりすることもあって、特に最初は、例えば滞在許可証の申請の時、「ワーッ」とフランス語で早口で話されて分からなくてリタイヤして帰ってきちゃう人もたくさんいます。分からないことがあれば人に頼むのも良いのですけど、なるべく自分のことは自分でする姿勢を優先にした方がいいです。一年目に苦労したことは二年目に必ず生きます。元気がなくて、「やりたくないな。誰かに頼んじゃおうかな」と思ってもなるべく頑張ってやっていくというのは大事だと思います。それとフランスではなんでも一度ではうまくいかないと最初から決めてかかった位の方が良いと思います。それから友人を大切にするのもすごく大事です。孤独にはならない方がいいかなと思います。海外では心の病気は、気をつけたほうがいいですから。もちろん心だけじゃなくて体も気をつけた方がいいと思います。気候が全然違いますし、環境の違いからストレスを感じることで体が悲鳴をあげて、日本ではありえないような体調のくずし方をしたりしますので注意しておいたほうがいいと思います。フランスは、日本と比べて特に冬は寒いですし、乾燥しています。日本にはあまり流通していないウイルスにかかってひどい胃腸炎になったということもあります。健康を崩すと心が頑張ろうと思っていても出来なくなってしまうので、健康管理は大事だと思います。あとは、せっかくの貴重な留学機会だと思うので心を開いて日本での価値観をちょっと解き放ってオープンになっていろいろ吸収するのが大事かなと思います。 -  分かりました。 鈴木 最初はハイドシェックに出会ってこの人に絶対ピアノを習いたいと思っただけなんです。直感で行動のみ。そこから先は今まで経験したからこそ思うことであって、最初のまっすぐな気持ちが一番大事かもしれない。あんまり深く考えないで、「やるんだ」と。それがないと辛くなる時があると思う。どんなにフランスが好きでも家族や親しい人と離れて外国で1人で頑張るストレスは誰にでもあるし、モチベーションこそが自分を支えるはずだから。 -  一回り大きくなって帰ってくるのでしょうね。 鈴木 本当に絶対そうだと思う。良い思いをたくさんして留学を終える時には心から満足して日本に帰れたら幸せですね。 -  ありがとうございました。

中島岳大さん/ジャズサックス/ジョンゴードン・アンドビジョン特別プログラム/アメリカ・ニューヨーク

20歳よりサックスを始める。会社員を経て現在、立正大学3年。2008年アンドビジョン特別プログラム、ニューヨークジョン・ゴードンのサックスレッスンに参加。 -簡単な自己紹介をお願いします。 中島 青山学院大学で経営学を学んだあと、就職しました。関西の大手電機メーカーに勤めていました。しかし、家の事情もあり、急遽会社を1年で辞めることになり、実家に戻りました。現在は、立正大学の3年に編入しまして、仏教を勉強しています。 -サクソフォンを始められたきっかけを教えてください。 中島 今から4年程前、前の大学の3年生のとき、何か楽器を始めたくなったんです。本当は葉加瀬太郎さんに憧れて、バイオリンをやりたかったんですが、友達が先にバイオリンを始めちゃったんですよ。その友達はすごい努力家なので、同じ楽器を始めてもかなわないかなって思ったんです。そんなときに、ストリートミュージシャンでサックスを吹いている人を見かけたんです。その方は会社を辞めて、27歳からプロになった人で、これなら自分もうまくなれるかなと思って始めました。実に甘い考えでしたね(笑) -今はどこかで習っているんですか? 中島 有楽町にある山野ミュージックサロンに通っています。 -海外の先生のレッスンを受けたことはありましたか? 中島 まったくないです。今回が初めてです。 -今回、留学したいと思ったきっかけは何ですか? 中島 もともとニューヨークに憧れを持っていたんです。2007年にヤマハのサックス合宿に参加しまして、そこで初めてジャズと出会いました。それから興味をもったんです。そしてジャズの本場のアメリカ・ニューヨークに行ってみたいと思っていたのが留学のきっかけです。 -ニューヨークに行きたいと思ったのはサックスを始めてからですか? 中島 そうですね。サックスの影響が大きいです。クリント・イーストウッドが撮った『BIRD』という映画があって、ニューヨーク等を舞台にチャーリー・パーカーが活躍するんです。それを観て、漠然と一度は行ってみたいなと思っていました。 -今回が初めてのニューヨークですか? 中島 そうです。偉大なミュージシャンたちと同じ土を踏めて感動しました。 -今回の留学でジョン・ゴードン先生を選んだ決め手はありますか? 中島 アルトをメインに吹かれていたということと、ジョン・ゴードン先生がフィル・ウッズに師事されていたということです。フィル・ウッズは憧れの奏者なので。 -ジョン・ゴードン先生はどんな方でしたか? 中島 厳しい方でした。普段は温和で優しい方なんですが、レッスンでは熱くて厳しい方ですね。最初に「せっかく高いお金を払って、日本からわざわざニューヨークに来たんでしょ。何かを君にあげたい。何かを持って帰ってもらうから」って言われました。 -レッスンは週に3回で4週間。全部で12回でしたよね? 中島 最初の予定ではそうだったんですが、先生もライブなどで忙しい方だったので、週に2回になって、1回のレッスンが90分〜2時間と時間が延びるというかたちで変則的でした。結局、レッスンは全部で7回でした。 -時間的には同じですか? 中島 結局12時間なので、同じです。最初にガイダンスをして、お互いに1回のレッスン時間を延ばした方が時間が取りやすいということになったんです。先生もレッスンの時間が取れないし、自分も週3回レッスンが入ると、練習時間がなかなか取れない。なので、週2回のレッスンは、逆にすごく時間が取りやすかったです。 -レッスンはどのように進んで行きましたか? 中島 基本はスケール中心のレッスンでした。最初にウォーミングアップをして、その後2〜3曲練習しました。1時間くらい練習をしたら、楽器をしまって、イヤートレーニングをしました。ジャズの曲をYouTubeなどの映像を見て学ぶんです。先生がおすすめの曲を見せてくれて、それを聴いて勉強しました。1回のレッスンは、そういう流れで進みました。 -全部で12時間のレッスンを受けて、上達を実感しましたか? 中島 一回一回ついていくので精一杯でしたね。先生には“Much Better!(良くなってるよ)”と言われましたけど、自分ではなかなか自覚できませんでした。 -練習はどこでされましたか? 中島 ホームステイ先の家でしました。 -練習環境はどうでしたか? 中島 よかったですよ。家に地下室があって、そこでいつでも練習できたんです。お父さんが、音楽を聴くのが好きな人で、地下室がDJスペースなんです。最初に「部屋でサックスの練習をして大丈夫か?」って聞いたら「ちょっとおいで」って言われて、地下室を案内されて、「ほら、ここなら大丈夫だろ」って言われました。防音ではなかったんですが、大きな音を出しても誰も全然気にしないという感じだったので、思う存分練習できました。 -ホストファミリーはどんな方たちでしたか? 中島 話しやすい方たちでした。それでも、お互いプライベートなことまで干渉することはなくて、アメリカってそういう国なんですかね。食事はつかないという話だったんですけど、ときどき作ってくれたし、隣の家のお昼に招待してくれたりもしました。 -へー。いいですね。 中島 「鶏肉の料理、作ったから」ってお呼ばれしたのですが、それがすごくおいしかったです。チキンが丸ごとドーンっと出てきて、「アメリカの食事はおいしくない、なんて誰が言ったんだろう?」って思うくらいおいしかったです。 -いいですね(笑)。レッスンの話に戻りますが、通訳なしでの英語でのレッスンはいかがでしたか? 中島 先生が容赦なかったので・・・最初は全然聞き取れませんでした。止まらないんですよ。バーッと話されて、“Do You understand?”って聞かれても、ほとんど分かりませんでした。1週間が過ぎた頃から、徐々に慣れてきて、なんとなく言っていることが分かってきて、単語も少しずつ覚えて、分かるようになってきました。でも、最後まで聞き取りには苦労しましたね。だからと言って、レッスンに大きな支障が出るということはありませんでした。レッスンは、最低限分かっていれば、大丈夫です。 -教わったことで印象に残っていることはありますか? 中島 「サックスはシンガーのように、歌うように」とよく言われたことです。「歌うときに、高音をキューッと出したりしないだろう」と言われました。あとは、アンブシュア(くわえ方)が、今までやってきたやり方と違っていて、「ジャズはもっと楽に、自然体で」と言われて、最初はそのやり方でだいぶ苦労しました。 -即興のレッスンはありましたか? 中島 そこまではいかなかったですね。これから即興をやっていく基礎として、スケールの練習はたくさんしました。ただ、「マイルス・デイビス(トランペット奏者)のソロ・アルバム『カインド・オブ・ブルー』を買って来て、ソロを覚えなさい。暗記して、次のレッスンのとき、歌いなさい」って言われたんです。でも、それがなかなかできなくて、ニューヨークにいる間、ずっと練習していました。そういう練習が、これから即興をするときに役に立ってくるそうです。先生いわく、「暗記できれば演奏もできる。まずはいいものをたくさん聴いて、吸収して練習しなさい」と。 -いろいろと新発見が多かったようですね。 中島 そうですね。多かったですね。こんなにアップアップになったのは、久しぶりでしたね。追い込まれましたよ。休みの日に何も予定がないときは、朝起きて、近くにあったダンキンドーナッツでドーナッツを買ってきて、あとはずーっと丸一日、地下室にこもりっぱなしでした。家の人も「お前は、ずっとやっているな」って。家の人たちは、上でパーティーをしていて、がんがん音楽も鳴らしていて、誘ってくれたりもしたんですが、「明日レッスンあるから、それどころじゃないんで……。練習しなきゃいけないんで」という感じでした(笑)。 -すっかりミュージシャンですね。 中島 ははは。すっかりミュージシャンになった気分でしたね(笑)。大変だけど、やらなければいけない。僕が他の生徒さんと決定的に違ったのは、譜読みが苦手なことだと思うんです。ゆっくりやればわかるんですけど、テンポが速くなると、読めなくなってしまいます。今までのレッスンであれば半年以上かけるようなスコアを来週までに1週間でやらなければいけない。しかも、それだけではなくて、スケールもあるし、エチュードもあるし……、本当に殺人的でしたね……(笑)。 -日本に帰ってきて、身についたことが活きているな、と思うことはありますか? 中島 「もっと大きく!強く息を入れて!」と注意されたので、音の大きさは違うと思います。それから楽器が鳴るようになりました。アメリカでようやく楽器と仲良くなれましたね。 -サックスを始めてから、4年間、同じ楽器を使われているんですか? 中島 いや、違います。今年の2月に買い変えた新しいものを使っています。買ってから、なかなか懐いてくれなくて困っていたんですけど、手に馴染んできましたね。向こうで、一日中ずっと吹いていたのが、良かったのかもしれないですね。 -最後のレッスンは何をされたんですか? 中島 総決算という感じで、覚えた曲を全部やりました。本当に汗びっしょりになりましたね。初めてです。レッスン中にあんなに冷や汗かいたのって(笑)。レッスンが終わったあとはぐったりでした。 -語学学校にも行かれたんですよね。 中島 はい。LSIという学校で良かったですよ。施設はきれいだし、道も分かりやすかったので、良かったですね。 -クラスには何人くらいいましたか? 中島 10人ぐらいです。会話重視のクラスもあれば、文法重視のクラスもあって、先生によって講義の内容が全然違うんです。自分の場合、2週間目くらいで先生が退職なされて、途中から違う先生に変わったので、2人の先生を味わえて、なかなかおもしろかったです。 -内容はどんなものでしたか? 中島 最初の先生は会話が多かったです。天気の話とか趣味の話とかスポーツとかお題が出て、それに沿って会話をしていく授業でした。2人目の先生は、どちらかというとグラマー中心で、現在完了がどうちゃらこうちゃら(笑)といった内容でした。 -クラスの人たちはどこの国の人が多かったですか? 中島 フランス、スペイン、イタリアあたりが多かったですね。日本人は少なくて、最初は自分しかいませんでした。 -宿題が出されることはありましたか? 中島 最初の先生のときはありませんでしたが、2人目の先生のときはありました。といっても、たいした量ではないです。 -どんなスケジュールで動いていたのですか? 中島 語学学校が13時前には終わるので、そのあとみんなでランチを食べて、すぐにジョン先生のところに行って90分くらいレッスンを受けたら、帰りに飲み物や簡単な食べ物を買って、帰ったらすぐにサックスの練習。10時くらいまで練習したら、寝るようにしていました。 -濃厚でしたね。 中島 自分でもよく乗り切ったと思います(笑)1ヶ月間よくやったな、と。レッスンがない日は、語学学校が終わったら、ご飯を食べて、買うものを買って、17時くらいには家に帰る。そのあとはずっと練習していました。 -17時〜22時まで5時間も吹き続けるって、すごいですね。 中島 疲れますね。みんなはけっこう遊びに行くんですよ。「お前もどっか行かないか?」って誘われるんですけど、「申し訳ない。練習しないと、明日大変なことになるから」と断っていました。 -そうすると、あまり遊びには行かなかったんですか? 中島 いえ。土日は時間を作って、けっこういろいろ出かけました。ブロードウェイのミュージカルも観に行きましたし……。ミュージカルは『レント』と『マンマミーア』を観ました。すごくよかったですよ。 -そういう時間も作れたんですね。 中島 あとは、ヤンキース・スタジアムにも行きましたし、ハーレムへゴスペルも聴きに行きました。ハーレムは一人では動きにくいこともあると思って、旅行会社のツアーで行きました。面白かったですよ。土日はどうしてもまるまる空いてしまうし、食事も出ないので、とりあえずいったん外に出て、ご飯を済ませて、帰ってきてから練習するようにしていました。 -ご飯はどうされていましたか? 中島 朝ご飯は家にあったシリアルか、マックかバーガーキングです。5ドルだから、日本よりも少し安いかなというくらいですね。ランチやディナーは14ドルくらいでした。日本食もけっこうたくさんありましたね。お寿司はどこに行っても食べられます。韓国料理屋でも中国料理屋でも寿司があるんです。寿司といっても日本料理屋じゃないから、ロールですけどね。 -街の様子はいかがでしたか? 中島 治安は良かったですよ。マンハッタンにいる限りは、何も危険なことはありません。ただ、ブルックリンになるとあまり遅くにならない方がいい、という話は聞きました。自分のホームステイ先はブルックリン地区でしたが、22時とか23時になると、少し治安が悪い感じがしました。自分が住んでいるあたりがちょうどボーダーで、そこより東に行くと、昔の貧困層の黒人さんが住んでいる地域なので、これ以上行くと危ないですよ、ということを言われました。マンハッタンで動く分には何も問題ありません。危険なところに入らなければ、大丈夫です。 -楽器の通りにも行かれましたか? 中島 行きました。ギターのお店が多くて、管楽器のお店はそこまでたくさんはなかったです。チェルシーの方にも行ったんですが、テロ以降客足が減ってしまい、管楽器のお店も減ってしまったようでした。 -そうなんですね。 中島 とはいえ、貴重な物も見れましたよ。 -どんなものでしたか? 中島 すごく古いマースピースで、ニューヨークで作られたもので、数が少なくて貴重なものなんです。往年のジャズ・ミュージシャンが好んで使っていて、作りもいいし、音もいいと言われています。 *近年、日本人の楽器バイヤーが現地に大量に買い付けにいき、そのせいで一般の日本人客が購入を断られるケースがあるようです。あくまでもお店の人の好意で話してくれたことなので、表現を変えさせていただきました。 -購入されたんですか? 中島 それは高くて買えなかったですね。10万近くするんですよ。 -ニューヨークの人たちはどんな感じでしたか? 中島 気さくですね。例えば、朝、道路が混んでいて、「先にどうぞ」って言うと、笑顔で手を振ってくれるんですよ。日本ではないなぁ、と思いました。愛想がよくて、そうしてもらえるだけで、1日が楽しくなるような感じでした。電車の中で、「お前どこで降りるんだ?」って聞かれたので、「カナルストリートです」と答えたら、「手前の駅で降りるんだけど、すごく疲れていて寝たいから、着いたら起こしてくれ」と言われました。そういう交流も面白かったですよ。ニューヨークの人は明るいですし、親切だと思います。 -交通はどうでしたか? 中島 使いやすいですね。最初のうちは間違えたりもしたんですけど、マンハッタン中地下鉄が張り巡らされているので、とても便利です。慣れちゃえば、こっちのもんですね。 -そうすると、ニューヨークはもうバッチリですね。 中島 そうですね。大丈夫だと思いますよ。 -移動はほとんど地下鉄を利用されていた感じですか? 中島 地下鉄が多かったですね。1ヶ月のフリーパスを80ドルで購入しました。どこでも乗り放題なので、便利でしたよ。バスも使いましたが、バスで行ける距離は歩いても行けるし、運行スケジュールもよくわからないので、地下鉄が一番便利で確実でした。タクシーも使わなかったです。現地の人も言っていましたが、どちらかというとドライバーは移民の人が多くて、道を知らないことも多いんです。だからマンハッタンの中でもホテル名を言ってもわからないので、何丁目に行ってくれって言わなきゃいけないんですよ。それから、マンハッタンを出てしまうと帰ってくるのに時間がかかるので乗車拒否をされてしまう、という話も聞いたので、タクシーは使わなかったですね。 -海外の方とうまく付き合うコツはありますか? 中島 まだよくわかりません。あるとすれば、話すこと、しゃべりかけることだと思います。先生とのコミュニケーションで一番問題だったのは、練習をしていないのか、練習をしてもできていないのか、それを分かってもらうことでした。ただ「やりました」、「ベストは尽くしているんです」だけでは伝わらない。言うべきこと言って、自分の情報を伝えるようにしていました。 -留学中に何か困ったことはありますか? 中島 外出中のトイレですね。楽器とかバッグを持って大荷物でうろうろしているので、急にトイレに行きたくなったときに困りました。公衆トイレは危ないらしいんですよ。ホテルのトイレの方が安全だと言われている。そういうところまで行かなければいけないのが大変でした。あとは、食べ物も困らなかったし、水も大丈夫でした。ほとんど東京と勝手が変わらないので、何も問題はありません。意外とすんなり自然に入っていけましたね。 -参加してよかったと思う瞬間はありましたか? 中島 外国人の友達ができたときですね。語学学校で仲良くなって、一緒にニューヨークのブルーノートに行ったんです。ブラジル人とロシア人とイタリア人で、みんな出身国がバラバラで、それでも同じ拙い英語を一生懸命使ってコミュニケーションを取ったんですよ。今までまったくバラバラの国で会うはずがなかった人間たちが、集まって同じものを見ているというのは、不思議だし、すごいなと思いました。 -日本とアメリカで大きく違う点はありましたか? 中島 みんな音楽が好きですね。音楽を鑑賞する、楽しむという文化がすごく根付いていて、みんなでワーッと盛り上がるんです。そういうところがいいなと思いましたね。本当に音楽の街で、どうしてこういうところでジャズが発展してきたのか、ということがなんとなくわかりましたね。有名なブルーノートとかヴィレッジ・ヴァンガードとかコットンクラブだけじゃなくて、いたるところにジャズクラブがあって、街中に音楽で溢れているんです。ストリートミュージシャンもたくさんいて、電車に乗っていても必ずミュージシャンが乗ってくるんです。ギターの人もいれば、バイオリンを弾きながら入ってくる人もいる。 -弾きながらですか!? 中島 一人弾き終わっても、次の駅で、必ず乗ってるんですよ。“Good evening!”って入ってきて、「楽器をやるから聞いてくれ」って。それで弾いて、演奏が良ければ、みんなお金をくれるんですよね。その辺が寛容ですよね。音を出しても別に何も言わない。地下鉄の中では、退屈しなかったですね。ちっちゃい子も来るんですよ。親子でお父さんがギターで、子供が笛を演奏していたり……。もう本当にさまざまです。駅でもペンキの空いた缶でドラムをやる人もいれば、ソプラノサックスをやっている人もいるし、トランペットを吹き始める人もいれば、チェロを弾いている人もいる。東京でそんなことをしたら、追い出されますよね。東京でもそういうことをしたら、おもしろいと思うんですけどね。すごくいいですよ。  -生活面では何か違いはありましたか? 中島 すべてが違うんじゃないですかね。ホストファミリーですが、どこかに出かけても家にすぐ帰ってくるんです。仕事をしている人も会社が終われば、すぐにバーッと帰っちゃいます。あんまり、どこかに行って飲んだりしないんです。アメリカ人って、特別な日以外はそこまでお酒を飲んだりしないみたいですね。パーティーのときは、お酒を飲んだりもするんですけど、普段の生活は質素ですし、着ているものもすごく質素です。 -ドラマなどでのアメリカのイメージとはちょっと違いますね。 中島 若い人は違うのかもしれませんが、ね。家族をすごく大事にしていますね。食事も、必ず家族全員で食べますし、食後はみんなで手をつないでお祈りをして神様にありがとうございました、って必ずやるんですよ。ちっちゃい子も恥ずかしがらずにやります。日本だと、家族でもバラバラに食べるし、会社の帰りに飲んで帰ったりする。そういう生活習慣は、自分はアメリカの方が好きなので、こういうのが大事だよな、って思いました。 -なるほど。他に感じたことはありましたか? 中島 アメリカ人は好戦的なイメージだったんですが、ちょうど留学中にグルジアに軍隊が侵攻したんです。そのときに、国連の建物に行ったら、大勢のアメリカ人が「ロシアから軍隊を撤退させてくれ」ってプラカードを持って、「戦争はやめろ」って訴えていたんです。アメリカ政府は、テロのこともあって、攻撃的なイメージがありますが、アメリカ国民はもう全然望んでないんですよね。もう戦争はたくさんだっていう雰囲気でした。 -なるほど。 中島 それから、本当に適当でしたね。地下鉄のアナウンスとか丸々間違っていて、完全に別の路線を指していたりするんですよ。なので、実際に自分で見て確認するしかありません。駅員の中にも、80ドルのチケットなのに100ドル寄越せって言って、20ドル取ってしまう、そういうことをする人はいるんです。やはり勤勉でまじめなのは日本人だなと思いました。どこの国も一長一短で、良いところもあれば悪いとこもあるんですよね。 -留学前にやっておいた方がいいことはありますか? 中島 語学ですね。CDを使って、少し耳を慣らしておいた方がいいかもしれないです。自分は大丈夫だろうと考えていたんですが、最初の1週間はついていくのが大変でした。語学学校の先生さえもすごく早口に感じて、慣れるのに時間がかかりました。ダイハードでもなんでもいいから、ニューヨークの映画を観たりするのもいいと思います。背景を知っておくと、おもしろいですしね。 -レッスン前にやっておいた方がいいことはありますか? 中島 自分はそんなに上手ではないし、音楽の知識もないので、アドバイスできることはないんですけど、とりあえずニューヨークに行ってジャズを勉強したい人がいるなら、ある程度、譜読みに慣れておいた方がいいと思います。それから、たくさん音楽を聴いておいた方がいいですね。 -似たようなことになるかもしれませんが、今後、留学する人にアドバイスをお願いします。 中島 留学を迷っている人は、どんどん行ってしまって構わないと思います。技術に自信があればどんどん行った方がいい。自信がなくても、どんなレベルの人にも合わせてくれると思うので、行ってしまっていいと思います。僕自身、日本の恥さらしをしなかったか不安なんですけどね(笑)。 -今後はどのように音楽と関わっていきたいですか? 中島 基本的に今のレッスンを続けていこうと思っています。例えば来年は友達の結婚式があって、何か一緒に演奏をしようと話しています。趣味の範囲なんですけど、これから一生付き合っていけるいい相棒ができたかなと思っています。 -お友達がバイオリンを始めてよかったですね。 中島 そうですね。負けず嫌いなんで、負けてなるものかと思って、今でも一緒にやっています。楽器が日常にあると毎日が楽しくなってきますよね。   -また海外で勉強したいと思いましたか? 中島 機会があればいつでも行きたいです。1週間後でも行きたい(笑)。とにかく毎日が楽しかったです。英語で授業を受けていることも楽しかったし、いつでもジャズを聴きに行けるし、ニューヨークはいいところでした。そうですね、1年くらいいてもいいかな(笑)。 -4週間は短かったですか? 中島 みっちりでしたね。1年くらい向こうにいたかったですけど、体力的にバテてくるので、語学学校もレッスンもあるこういうプランだったら4週間がベストかもしれませんね。2週間だとちょっと少な過ぎるかな、3週間でもまだまだ、ちょうど4週間目に慣れてくる感じなんですよね。レッスンも流れも覚えて、楽器もエンジンがかかってきたかな、というところで帰らなきゃいけないんで、あともう1週間あってもいいのかな……。50日くらいのプランがあるといいですね。 -最後に何か言い残したことはありますか? 中島 ニューヨーク、アメリカはおもしろいところですよ、ということですね。今回は時間がなくて行けなかったのですが、博物館もあるし、ワシントンD.C に行って、ホワイトハウスを見ることもできますしね。見るところが盛りだくさんですね。 -そうですね。今日は本当にありがとうございました。

Vol.277音楽留学アンドビジョン【講習会&ドイツ留学説明会情報】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.276.2013.11.26━━   ◆音楽留学アンドビジョン◆講習会&オーディション&留学説明会情報◆ ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━      もくじ ‖【1】ごあいさつ&ご案内 ‖【2】講習会情報 ‖【3】学校情報 ‖【4】国内レッスン情報 ‖【5】特別プログラム情報 ‖【6】編集後記 ‖【7】次回予告 ‖ 発行:アンドビジョン株式会社        ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━ ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー          【1】ごあいさつ&ご案内 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーーー こんにちは。アンドビジョンの谷山です。 最近、唐辛子入りのホットジンジャーエールを飲みました。温まりますね〜。りんごジュースを レンジでチンして、シナモンをひとふりするのも美味しいですよ。皆さんのおすすめホットドリンクは? ★★無料留学説明会のご案内★★ 準備はいつから?費用は?留学に関する小さな不安や疑問にお答えします。留学への第一歩です! ♪ロシア留学説明会 11月27日(水)19:00〜 ♪オーストリア留学説明会 12月4日(水)19:00〜 ♪オランダ留学説明会 12月11日(水)19:00〜 説明会以外にも個別のカウンセリングも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー           【2】 講習会情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーーー 今週は特色のあるふたつの講習会のご案内です! <アメリカ> ◆バークリー音楽大学ソングライティング 世界的に有名なバークリー音楽大学が開催する、作詞作曲/ソングライターのための4日間 2014年6月26日〜6月29日 【作詞作曲/ソングライティング(全ジャンル)】 ※〆切:定員になるまで http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrxsw0olildbouosHEj <ドイツ> ◆オクセンハウゼンマスタークラス N.Y.の人気校が開催する講習会。講師陣にはグラミー賞受賞アーティストも。 2014年3月17日〜9月28日 *各コースによって日時が異なるため、各コースについては下記URLを参照。 【声楽、ヴァイオリン、ピアノ、オルガン、作曲、室内楽、トランペット、トロンボーン、ピアノデュオ、ピアノ伴奏】 ※〆切:各コースによって異なる。下記URLを参照。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrysw0olildbouosCyT 上記以外にも、たくさんの講習会で参加者を募集しています。詳しくはこちらのHP をご覧ください。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrzsw0olildbouosquW 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー        【3】学校情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーーー 今週はドイツ留学特集。クラシックの本場で本物の音楽を学びませんか?興味のある方は ぜひ一度お問い合わせください☆ ◆ミュンヘン音楽大学 音楽の都・ミュンヘンの名門音楽大学で、一流の音楽をあなたのものに。 【クラシック、ジャズ、民族音楽、映画&メディア音楽、マルチメディア・音楽ジャーナリズム】 申し込み〆切:3月31日(教員養成コースは4月30日、音楽マネジメントは5月31日) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr0sw0olildboupseIa ◆フライブルグ音楽大学 環境首都の住みやすいフライブルクで、一流の講師陣から学ぶ一流の音楽。 【クラシック、(ニュー・ミュージック)】 申し込み〆切:冬学期:5月1日、夏学期:前年12月1日 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr1sw0olildboupsXFX 上記以外にも、世界各国の学校情報を豊富にご用意しております。希望に合った 学校がきっと見つかるはず!詳しくはHPへ。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr2sw0olildboups1Zf “留学したいけど何から始めていいかわからない”“出願書類作成や入試手続き、 一人で出来るかな?” など、留学には不安はつきもの。アンドビジョンでは、 “入試合格前サポートパック” をご用意して、留学前の皆さんをサポートしてい ます。詳しくはお問い合わせください。 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー     【4】国内レッスン情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーー 公開レッスン用のFaceBookページもあります!要チェック☆ http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr3sw0olildboupsIv0 ☆今週のピックアップ☆ ◆ドイツ国立トロシンゲン音楽大学シュテファン・ボルンショイヤー先生ヴァイオリン公開レッスン 2014年1月8日(水) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr4sw0olildboupsY58 ◆オーストリア・ウィーン国立音楽大学ステファン・モラー教授ピアノ公開レッスン 2013年12月11(水)〜13日(金)- 東京 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr5sw0olildboupsE3C ●パトリック・ジグマノフスキーピアノマスタークラス&ジグマノフスキークラスオーディション パトリック・ジグマノフスキー先生に師事。 憧れのパリ・エコールノルマル音楽院留学の切符を手に入れよう! ※レッスンは満席、現在聴講生を受付中! http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr6sw0olildboupsvzr ◆国立ライプツィヒ音楽大学・クリスチャン・ポール教授ピアノ公開レッスン 2013年12月20日(金)〜21日(土) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr7sw0olildboupsUvp ◆国立ミラノヴェルディ音楽院デルフォ・メニクッチ教授 声楽公開レッスン 2014年3月8日(土)〜13日(木) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr8sw0olildboupsuXG ◆ドイツ・ベルリン芸術大学ゲルト・ウルリヒ・ボアマ准教授声楽公開レッスン 日独リーダークライスの発起人でもあり、日本人学生の指導経験豊かなテノール歌手 2014年3月26日(水) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr9sw0olildboupsVk7 ◆フランス・パリ地方音楽院/スペイン・カタルーニャ高等音楽院ピエール・レアク教授/ピアノ公開レッスン 2014年4月3日(木)〜5日(土) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrasw0olildboupsx4s ◆ブリュッセル王立音楽院・王立モンス音楽院ダニエル・ルービンシュタイン教授ヴァイオリン・ヴィオラ公開レッスン 2014年4月12日(土) http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrbsw0olildboupsMya そのほかにもたくさんの情報をご用意しております。詳しくはHPへ。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrcsw0olildboupsc35 “受講はまだ自信ない…” という方は聴講のみでもご参加いただけますよ。 当日は会場にアンドビジョンスタッフが待機しておりますので、 留学や受験に関する相談も随時受け付けます♪ 早い段階で定員になることが予想されますので、お申し込みはお早めにどうぞ☆ ◇◇◇◇語学レッスン◇◇◇ アンドビジョンでは留学のための語学レッスンも行っています。先生はもちろん 各国のネイティブスピーカー。レッスン時間や内容は、すべてあなたに合わせて、 フレキシブルに更可能。ご自分にあったカリキュラムをリクエストできます!実際、 留学経験者の多くが、渡航前に準備すべきだったこととして、語学をあげられます。 100%音楽に集中するために、語学の準備はしっかりと! http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrdsw0olildboupsDq0 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【5】特別プログラム情報 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーー “海外の空気の中で音楽を体感したい” “あこがれの先生に習ってみたい” “長期留学の下見として…” そんな人にお勧めなのが、アンドビジョン特別 プログラム。1週間から受けられる短期留学(プライベートレッスン)です。 【現在募集中!】 ◆トーマス・ウールマン/ミュンヘン音楽大学講師【声楽・ボイトレ】 重量奏法をマスターして、クラウディオ・アラウのように弾こう。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vresw0olildboups6tx 上記以外にもさまざまな楽器でプログラムをご用意しています!目的に合わせて フレキシブルなアレンジが可能ですので、詳しくはHPをご覧ください。 http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrfsw0olildboups6dD 資料のご請求、ご質問などある方は TEL:03-3278-3450 MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 までご連絡ください! ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  【6】編集後記 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪ーーーー 気になる情報はありましたか?夢への最初のステップになれたら嬉しいです☆ 皆さんからのご意見・ご感想をお待ちしてます♪ MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 そして、ご友人にも是非ご紹介ください!(゜▽゜) メルマガ登録は、やメールアドレス変更は簡単に登録できます!! 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