K.Mさん/パリ国立高等音楽院
-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか?
K.Mさん:クラシック音楽好きの母に薦められ五歳の時にヴァイオリンを始めました。小学生くらいの時に桐朋学園の子供の為の音楽教室に入室し、高校大学と桐朋学園に進学し音楽を学びました。
-留学したきっかけを教えてください。
K.Mさん:高校生くらいの時からアスペン音楽祭やヨーロッパの夏期講習等に参加し始め日本以外の国で音楽を学びたいという気持ちが大きくなっていきました。そして大学二年生の時にフランスの夏期講習で出会った先生に感銘を受けて留学を決意しました。
-どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また決め手になった点はなんでしょうか?
K.Mさん:自分の習いたかった先生がいた学校を選びました。また国立校でしたので授業費がないのも大きかったです。あとは受験の倍率が厳しい事を知っていたので潔く腹をくくる事ができました。
-どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。
K.Mさん:試験は20分のフリープログラムと試験日3週間前に出される課題曲が一曲でした。あと、試験後に試験管数人と面接がありました。出願書類は申込み用紙の他に個人情報や今までの学歴や語学証明書を送ったと思います。試験当日は朝早くに呼び出されて弾くまでに数時間待ち、弾いた後にも面接まで待たされ終わったのが夕方でした。途中で抜けられなくてとてもお腹がすいて辛かったです。
-手続きで苦労した点はなにかありますか?
K.Mさん:試験の手続きはさほど苦労しなかったのですが、受かった後のビザや現地での諸々の契約などがとても大変でした。
-留学準備はどのくらい前から始めましたか?
K.Mさん:受験の半年くらい前だったと思いますが書類を送って試験曲の練習をしていただけだったので事前準備はあまり必要ありませんでした。
-学費はどう捻出しましたか?
K.Mさん:両親がだしてくれた他、外部組織から奨学金を頂く事ができたのでそちらでまかないました。あとフランスでは住居手当を申請できるのでそちらも利用しました。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
K.Mさん:大学の授業で二年間勉強しただけで行ったので最初は全く通用しませんでした。語学学校に行く余裕があれば行った方がいいかなと思います。出来て困る事は絶対にないです。
-学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?
K.Mさん:競争の激しい学校でしたが日本人も多く在籍しているので、お互い助け合いつつ楽しい雰囲気でした。学校の特長としては個々の活動が充実している他、現代音楽が特に進んでいます。学校の隣がパリ管弦楽団の本拠地なのでコンサートにもすぐ行けます。
-日本人はどのくらいいますか?
K.Mさん:年によりますが学年に10人前後だと思います。
-日本と留学先で大きく違う点を教えてください。
K.Mさん:一番違って嫌だったのは日曜日になるとほとんどのお店が営業しない事。営業時間の30分前になるとスーパー等でも入店拒否されることです。一番良いなと思うのは多様性や個人の意見を重視したり、主張できることです。
-学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。
K.Mさん:日本のように黒板に書いたりという授業は少なく、ほぼ口頭で進められるので語学を固めて行った方がいいです。
-先生はどうやって探しましたか?
K.Mさん:特に探そうという事もなく、たまたま行った講習会で出会った先生に惚れ込んでしまいました。
-日ごろ練習はどのようにしていますか?
K.Mさん:まず音階などの基礎をしっかりやってからバッハをはじめとするソロの曲を練習します。後は緊急性に応じて室内楽のものを進めています。
-学外でのセッション、コンサートなどは行われますか?
K.Mさん:ヨーロッパでは教会でのコンサートも数多いので演奏のチャンスは格段に多いです。
-1日の大体のスケジュールを教えてください
K.Mさん:だいたい授業前に基礎練習を行い、その日ごとのレッスンや授業や合わせをして、残り時間や合間にも練習しています。夜に時間があればコンサートを聴きに行ったり、友達と出掛けたりする日もあります。
-現地の音楽業界へのツテはできますか?
K.Mさん:自分から行動しないと中々難しい所です。あとはもうご縁ですね。
-周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか?(例:アメリカなどだと、生徒と先生が対等で意見を交換し合うので、積極氏が重視されるなどがあります)
K.Mさん:フランスでもアメリカの様に自分の意見を言うし求められる事が多いです。自分から主張する事がとても大切です。何も言わないと空気のようになってしまいます。
-授業以外はどのように過ごされていますか?
K.Mさん:学校では基本的に練習していますが休みの日は他の学校の友達と出掛けたり演奏会に行く事が多いです。
-日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか?
K.Mさん:あまり尻込みせず話しかける事が大事だと思います。あとは多少のルーズさには目をつぶることですかね。
-宿泊先はどのようにみつけましたか?
K.Mさん:フランスの日本語新聞社のOVNIのホームページの物件情報で探して写真を見て決めました。
-生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか?
K.Mさん:だいたい900?くらいです
-留学してよかったと思える瞬間は?
K.Mさん:演奏させてもらえる機会が多い事や聴きにきてくれる人が多くて、演奏後にも知らない方から良かったよと声をかけてもらえる瞬間にとても充足感を感じます。
-留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか?
K.Mさん:留学前は自分では何もできなかったし自主的に行動を起こすのが苦手だったのですが、留学してからは全て自分でやる事になり、自己主張できるようになりました。
-今後はどのような進路を考えていますか?
K.Mさん:今までの経験をいかして演奏家として活動していきたいと思っています
-これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。
K.Mさん:準備はいくらしていっても足りないものですがあまり心配せず飛び込んだ方がいいと思います。限られた時間を有効に使えるように意欲的に行動する事が大切だと思います
-ご協力ありがとうございました。
平田千明さん/王立ノーザン音楽大学
洗足学園音楽大学を卒業後、イギリスの王立ノーザン音楽大学へ進学しました。
トランペットをジョン・ミラー氏、コルネットをリチャード・マーシャル氏に師事しました。
現地では、Brighouse and Rastrick Bandに入団し、その他にもBlack Dyke Band、Grimethorpe Colliery Band等で演奏しました。
-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか?
平田さん:地元岡山県の音楽科のある高校を卒業し、洗足学園音楽大学に進学しました。トランペットは中学校の部活動をきっかけに始め、コルネットは大学生になってから始めました。
-留学したきっかけを教えてください。
平田さん:大学で「ブリティッシュ・ブラス」という授業があり、そこで初めて英国式金管バンド(ブラスバンド)に出会い、夢中になりました!
-どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また。決め手になった点はなんでしょうか?
平田さん:私はブラスバンドを勉強したかったのでイギリスのロンドンではなく盛んな地域であるマンチェスター行きを希望していました。洗足学園のブリティッシュ・ブラスの授業で毎回指揮を振って下さっていたイギリス人の先生に紹介され、調べてみたところ前から習いたい先生も在籍していたので王立ノーザン音楽大学に決めました。
-どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。
平田さん:私の学校は留学生がとても多い学校なので演奏はビデオ審査でも大丈夫でした。その他にもA4用紙2,3枚程度の論文も提出しました。なんといっても苦労したのは語学のIELTS試験です。何度か試験を受け、ようやく目標スコアに到達したときは嬉しかったです。
-手続きで苦労した点はなにかありますか?
平田さん:やはりビザ獲得のための書類集めです。銀行口座の証明や戸籍謄本などを翻訳もしてもらわないといけなく、思ったよりも時間がかかったので余裕を持って準備しておいて本当によかったなと思いました。
-留学準備はどのくらい前から始めましたか?
平田さん:大学を卒業して1年間アルバイトをしながら準備をしていました。
-学費はどう捻出しましたか?
平田さん:両親にお願いしたのと、合格時に大学から奨学金が出ました。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
平田さん:イギリス英語専門の教室に通ったり、インターネットのSkypeレッスンも利用しました。私は現地で大学が開催している語学スクールに通いましたが、日本で勉強していたのと現地で話すのは全く違ったので不安があればぜひ語学学校にも行った方がより理解度が増すと思います。
-学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?
平田さん:国際色豊かな学校です。いろいろな国の友達が出来ました。学校自体が1つのビルになっているので、コンサートホールで演奏会が終わった後、すぐ隣にある食堂兼バーでみんなでおしゃべりをしたりしました。
-日本人はどのくらいいますか?
平田さん:5.6人程度です。たまに現地の日本人とのハーフの子にも出会います。日本語が喋れるかは個人差が大きくあります。
-日本と留学先で大きく違う点を教えてください
平田さん:日本よりも全員が対等に会話できます。また、各科でのクラスが頻繁に開かれており、誰かの前で演奏する機会がとても多かったです。
-学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。
平田さん:基本的に教室に集まって先生の講義を聞いたり個人レッスンがあったりと日本とあまり変わらないと思います。ただ、各国で音楽用語、記号の言い方が違うので、これは勉強していった方が良いと思います。
-先生はどうやって探しましたか?
平田さん:コルネットで世界的に有名な先生をもともと知っていたので、その方にお願いしました。
-日ごろ練習はどのようにしていますか?
平田さん:ネット予約制の学校の練習室と寮の自室で練習していました。
-学外でのセッション、コンサートなどは行われますか?
平田さん:学校の授業関係でもたまに学外コンサートなどがありますが、私は現地のバンドに所属していたので学外での活動がとても濃密でした。イギリスはブラスバンド発祥の地でコンテストや演奏会もいたるところで開催されています。基本的に平日の月木の夜に友達の車に何人かで乗り合わせてリハーサルに行き、休日のどちらかには必ずコンサートがありました。実際に現地のたくさんのトップバンドで演奏させてもらう機会も何度もあり、とてもいい経験になりました。
-1日の大体のスケジュールを教えてください
平田さん:午前中の講義の前に朝食、事務作業などをすませて講義に行っていました。午後はレッスン、合奏授業があり、バンドのリハーサル日なら18時頃に集合して車でリハーサル室に行っていました。リハーサル日は基本23時がえりだったので、毎日充実していました。
-現地の音楽業界へのツテはできますか?
平田さん:基本的に最初は習っている先生のご紹介が多いと思います。そこから出会った演奏者からまた演奏の機会を頂いたり、学校開催のマスタークラスにて他の国の先生とも知り合うことが出来ると思います。
-周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか?
平田さん:先輩後輩が無いからこそ、学生同士で多くの情報が共有できると思います。また、先生から質問された時に、自分の意見をはっきり言える生徒が多いなという印象を受けました。
-授業以外はどのように過ごされていますか?
平田さん:次のリハーサル、コンサートに向けて練習したり、気分転換をしたいときは街の中心部に行ってショッピングをしたりしていました。また、マンチェスターは日本食レストランもあまりないので、現地のスーパーで手に入れられる食材でいかに日本食に近づけられるか研究したりしていました。
-日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか?
平田さん:とにかくたくさん話しかける事だと思います。共通の話題を見つけたときはけっこう盛り上がります!
-宿泊先はどのようにみつけましたか?
平田さん:学校が紹介している演奏可能な学生寮に住んでいました。
- 生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか?
平田さん:家賃(9万円程)を入れると約14万円程です。
-留学してよかったと思える瞬間は?
平田さん:ブラスバンドではバンドの在籍している地域でのチャリティーコンサートがよくあるのですが、終演後に感想を言いに来てくれる事が多く、とてもうれしかったです。
-留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか?
平田さん:音楽的な成長もそうですが、内面的にも自分の意見がしっかり言えるようになった、人見知りしなくなったなどです。
-今後はどのような進路を考えていますか?
平田さん:現在、アンドビジョンでカウンセラーとして働いています!
-これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。
平田さん:留学する事で確実に音楽に対する考え方、人生観が変わると思います。やはり語学!しっかり準備していくほど濃密な時間が過ごせます。頑張ってください!
T.Aさん/ヨーロッパサマーアカデミー
山形大学地域教育文化学部地域教育文化学科音楽芸術コース4年生。
-まず簡単な自己紹介とこれまでの略歴を教えていただけますか?
T.Aさん:私は6歳からピアノを始めて、自分としては別にピアノをやりたいとか全然考えていなくて、アパートに住んでいたとき、違う階の子がバレエをやっていたので、クラシックバレエも見に行ったこともあって。
それで、バレエいいなと思っていたり、テレビで見た和楽器のお琴もカッコイイと思って、やりたいなと思っていたんですけど、両親は小さい頃からピアノをさせたかったみたいで、ずっと先生は探していたみたいなんですけど、近所で知っている人も全然いなかったんです。
探し続けていて、幼稚園の年長のときに担任の先生が、自分の知り合いにピアノの先生いるよ、ということで紹介してもらったんです。ピアノをやってみない?と言われて、全然反発しなかったので、じゃあいいよと言ってピアノに行きました。
自分の同級生のお母さんでもあったんですけど、そういうつながりもあってピアノを始めることになりました。
両親としては、長く続けさせるつもりはなくて、簡単に特技として、ずっと長く続けられる趣味とか、ピアノを弾けると合唱コンクールとか、小学校にも上がったときにも活躍できるかな、ぐらいに考えていたみたいです。
ずっと大人になるまで続けさせようとは思っていなかったみたいです。
でも、習った先生のつながりで、ピアノの先生たちの小さなグループがあって、そこで2カ月に1回東京からピアニストの先生を呼んで、レッスンを定期的にやっているから、そこに入ってみない?と言われてました。
その先生もその会に入会したばかりだったみたいで、自分の教室からもいっぱい生徒を出したいということで、全然弾けない始めたばかりだったんですけど、ちょっと受けるだけでも、みたいな感じで。
両親としてもそんなに本格的にさせるつもりでもなかったので、すごい先生に習える機会だし、15分の無料体験レッスンだから、思い出作りに受けさせてみようか、ということで受けることになりました。
その先生が、この子、今年度の最後の演奏会出られるんじゃない?ということを言われて、こっちとしても逆らえないというか、すごい先生に言われたから従うしかない、といった感じで、親も断れなくて、そこからの縁でピアノを続けることになりました。で、その先生は今年亡くなられてしまったんですが、今まで続けて、その門下生の方も全国にいらっしゃるんですけど、その方ともつながりができて、今も長くピアノに携わっている感じです
-今まで海外の講習会には参加されたことはございましたか?
T.Aさん:1回もないです。
-ヨーロッパサマーアカデミーに参加しようと思ったきっかけは何かあったんですか?
T.Aさん:とりあえず海外に出て勉強するのが一番いい、というのは先生からも言われていたので、向こうに行ってみたいというのがまず一つだったんですけど、漠然と、ドイツかな、というところもあって、今回のサマーアカデミーがドイツだったので、決め手になったかなという感じです。
-今回シェプス先生のクラスだったかと思うんですけど、参加者はどれぐらいいらっしゃいましたか?
T.Aさん:4回レッスンがあって、その4回を受けていたのが5人で、あとは違う先生と掛け持ちで、というのが4人ぐらいいたので、計9人ぐらいでした。
-何人の人がいらっしゃいましたか?
T.Aさん:日本人が私を含めて3人で、韓国、中国系の方が2人であとは掛け持ちしていたのが日本人2人と、アジア系の方が、兄弟だと思うんですけど、ご家族で2人ぐらい受けられていました。
-講習会の全体のスケジュールはどんな感じでしたか?
T.Aさん:レッスンに関しては4回先生の都合で入れられて、結構等間隔で受けることが出来ました。
最後の終わる3、4日前にクラスコンサートがあって、そこで全員演奏するというかたちでした。
あと最後は、ずっとクラスコンサートを、ほかのいろんな楽器のクラスとかも朝から詰められていて、演奏会聞き放題でした。
夜は、1日2日以外ずっと教授コンサートみたいなものがありました。
-参加者のレベル的にはどうでしたか?
T.Aさん:すごく高かったです。
私は全然ノウハウがわからないで行ったので、自分の練習している曲をとりあえず見ていただこうという感じで持っていきました。
ほかの方は、受け方がわかっているというかしっかり準備されていました。
曲もたくさん持っていって、その曲を全部暗譜して、1曲コンサートで弾けるぐらいの完成度で持っていかれている方がほとんどでした。
なので、想像よりはるかにレベルは高かったです。
-先生はどうでしたか?
T.Aさん:直接的におっしゃる方、と言うのは通訳の方も言っていて、伝え方、ちょっと困るんだけど、っていう。
でも、言ったことをそのまま言おうと思っているから、ということで、大丈夫?と言われたんですけど、私ははっきり言ってもらったほうがよかったので、全部そのまま伝えてもらいました。
言っていることはきついのかもしれないんですけど、音楽的なこととか、基本的な弾き方とか、先生はロシアの方なので、ロシアのメソッドはこうやっているんだよ、ということも教えてくださったりしました。
指の使い方とか、そういう基本的なところから歌い方まで幅広くレッスンしていただきました。
あと話もユーモアたっぷりにしゃべってくださったので、最初は緊張していたんですけど、でもすごく勉強になったと思います。
-先生方の演奏会は聴いてみてどうでしたか?
T.Aさん:ピアノでもいろんなタイプの、決まった弾き方じゃなくて、それぞれの色がはっきりわかって、タイプの違う演奏を毎日楽しめた感じがしました。
-レッスン以外の時間はどのように過ごされましたか?
T.Aさん:はい。散歩したり、ライプツィヒが行ける範囲だったのでそこへ2回ぐらい行って、バッハハウスとかメンデルスゾーンの家とか、トーマス教会の範囲を歩いてみたり、観光みたいな感じでしていました。
穏やかというか、ハレーよりは都会だな、という感じはしたんですけど、そんなに危ないというか、そういう都会感ではなくて、穏やかで住みやすそうだというのはすごく感じました。
-町の人とのコミュニケーション、買い物をしたりするのも英語でしたか?
T.Aさん:そうですね。どちらかというと。
-旧東側って英語がなかなか通じないところもありますよね。
T.Aさん:そうですね。なのでハレーは、レストランに行ったとき、私じゃない方がやってくださったんですけど、英語大丈夫ですか?って言ったら、わからないんだよね、みたいな感じで。
でも一生懸命コミュニケーションしようと向こうも頑張ってくれて、温かいところもあるなと思ったんですけど、言葉はやっぱり難しいなと思いました。
-お食事とかは一緒に受けている方と行かれたのですか?
T.Aさん:そうですね。あとはパン屋さんのパンを食べました。
そっちのほうが多かったんですけど、演奏会早く終わったから、ビールでも飲んでいこうか、みたいな感じでレストラン入ったり、そういうのもありました。
-パンやレストランでこんなのおいしかったな、というのはあったりしますか?逆に、口に合わなかったな、とか。
T.Aさん:意外に食事は、あれ?というのはなくて、全部おいしいなと感じました。
レストランで食べたピザはすごくおいしくて、それも種類がいっぱいありました。
最後の日に日本人だけで打ち上げしようか、みたいな感じで行ったところで、みんなでピザ頼んだんですけど、どれもおいしそうで、自分が食べたものもすごくおいしかったです。
ドイツはピザのイメージはなかったんですけど、そういう食事もおいしいなと思いました。
-講習会の中で練習はどうされてましたか?
T.Aさん:練習室を5人で1部屋という感じで振り分けられていました。
朝10時から夕方7時まで、毎日1人2時間ずつ時間をとって交代で練習していました。
-雰囲気的には日本の練習室とはあまり変わらない感じですか?
T.Aさん:もっといいピアノが置いてあるのかなと思ったら、結構調律もあまりなっていないというか、ひどいと言ったらあれなんですけど、そんな感じでした。
部屋も暑くて、日本みたいにエアコンがあるわけでもなくて、窓も開けてはいけないと書いてあって、なのですごくこもって暑かったです。
2時間ずっと弾いているとモンモンとしてくるぐらいの暑さのときもありました。
涼しいときはちょうどいいんですけど、気温が高いときは大変でした。
-ホテルはいかがでしたか?
T.Aさん:ホテルはすごくよかったです。きれいだし、すごくスペースも広くて、よかったです。
-暑かったり寒かったりはしませんでしたか?
T.Aさん:それは大丈夫でした。ちょっと暑いなと思ったこともあったんですけど、でもそんなにいられないというぐらいの感じではなくて。
-クーラーはないですよね?
T.Aさん:なかったです。
-ここ最近ヨーロッパがどんどん暑くなっていて、どうしても暑いなというのもあって、クーラーないんですけど大丈夫ですか?というような話もするんですけど、やっぱり暑いですよね。
T.Aさん:これから数年後はもっと暑いのかな、とも思ったりしました。
-そうするとクーラー入れるようにもなってくるのかもしれないですね。扇風機はありましたか?
T.Aさん:扇風機はなかったです。手持ちの扇風機も持ってこようかなと思ったんですけど、コンセントがどうとか考えたら持ってこれなく。
持ってきている子はいたんですけど、携帯に挿してできるものとか、そういうのがあると便利だなと思いました。
-そこまで暑いですか。
T.Aさん:外出るとなおさら暑いな、ということもありました。
なので、小型の扇風機でもあると快適かもしれないです。
-日本の暑さと違って、湿度がなくて、日差しが強いという感じですかね。
T.Aさん:日差しは強かったです。
-朝夕はどうでしたか?
T.Aさん:朝夕は涼しかったです。日中だけ暑くて。
-夜とか普通にお友達と歩いていても、そんなに不安な感じではないですか?
T.Aさん:そうですね。でも日本ではないので、そういう怖さはありました。
でも特に、何か暴れているとかそういうのはなかったので、そういうところは安心だったかなと思います。
-講習会のスタッフの対応は大丈夫でしたか?
T.Aさん:それはすごくよかったです。
英語なので緊張はするんですけど、それでも一生懸命説明してくれて、最終日のときも、ホテルにほとんどの方がいらっしゃったので、私が出る時間に2人の方が出てきてくださっていて、バイバイ、みたいな感じで送り出してくださりました。
それが最後まで見守ってもらえているんだという安心感があって、すごくよかったです。
-ホテルで洗濯機はありましたか?
T.Aさん:洗濯機はなかったので、普通に手洗いしました。
ほかの子は、学校の近くにコインランドリー見つけて、旅に慣れている子だったので、そういうのを探しているみたいで。でも私は探すのも面倒くさいなと思ったので、手洗いにしました。
-宿泊先から講習会場はどう移動されていましたか?
T.Aさん:トラムに乗って、最寄りから降りて、少し歩いていきました。
-すぐわかりました?
T.Aさん:いただいた資料の写真を頼りに行ったので、目印見つけて行きました。
でも中に入るまでが難しかったです。
大学の中の受付にたどり着くのがなかなかできなくて、二つの棟の違うほうへ入ったりして迷って、いろんな方に教えていただいてなんかとか見つけました。
-留学中に困ったことはありましたか?
T.Aさん:特になかったですね。
行って、ホテルからフリーチケットみたいなものをもらったんですけど、その使い方が最初困って、聞いて、教えていただきました。
あとトラムの乗り方も、方面しか書いてなくて、結構難しいなというのはあって、最初は困ったかもしれないです。
-今回留学された中で、すごくよかったと思う瞬間はありましたか?
T.Aさん:飛行機を降りたときから全然違う空気で、それだけでもすごい刺激になりました。
違う国に来て、自分1人でなんとかたどり着かなきゃいけないということで、あまり日本ではそういうことを感じられなかったのです。
違う国に行って聞きなれない言葉とか聞いて、違う生活の仕方を感じられたことが、一番自分の中ではよかったなと思います。
-音楽的な部分に関して、先生の教え方が違うなとか、何か感じたことはありましたか?
T.Aさん:私の先生はずっとドイツにいらっしゃった方で、弾き方で、鍵盤を叩かないように、ということはその先生からずっと言われていて。
私はそれを意識して弾いていたつもりだったんですけど、だんだん癖が出てきたのかもしれなくて、それをまたシェプス先生にも言われました。
日本は技術的に大きい音を出すとか、指を上げて、とか、いろんな方が弾いているのを見ていると感じることもあるんですけど、そうじゃなくて、鍵盤に手を置いて、というか、叩かないということを言われるのは海外の特徴なのかな、というのを改めて感じた気がします。
-町に関しては、日本と違うと感じたことはありましたか?
T.Aさん:休日がとにかく休日だなっていう感じがしました。
日本だったら、まだお店開いているよね、みたいな時間に、入っちゃダメです、みたいな感じで、8時ぐらいに閉める準備というか、完全に閉まっているところもあって。
こっちよりも夜は長いというか、あまり暗くならないので、夜という感じはしないんですけど、お店は全部閉まって、日本よりも休む時間が長いなというのは感じました。
-今後短期留学や長期留学もそうかもしれないですけど、留学したいなと思っている方に対して、何かアドバイスがあれば。
T.Aさん:言葉ですね。私は何とかなるかなと思って行ったんですけど、言葉を聞き慣れてないというのが一番大きくて。
英語もドイツ語に聞こえるというか、全然最初は訳がわからなくなって。それが一番の不安の原因だったというのがあったので、話せなくても、理解できなくても、ちょっと単語を入れておくとか、ひたすら聞いて耳だけ慣らしておくとか、向こうの言葉に慣れておいたほうがいいかな、というのはすごく感じました。
-ちょっとしたことでも、100パーセントじゃなくても、何となくわかっているのとわかっていないのでは過ごし方も変わってきますよね。
T.Aさん:一緒に行かれた大人の方は、行く3カ月前から携帯のラジコでドイツ語を毎日聞いて、英語も毎日10分とかやっていたので、毎日欠かさず聞くようにしていて。
聞いているときは、こんなの絶対出てこないよ、と思っていたけど、行ってみたらすごく話せるというか、簡単な会話はすらすら出てきて、活用して、コミュニケーションとられていて、行ってみると出るもんだね、とおっしゃっていたので、それだけでもかなり違ったらしくて。
なので、言葉はそういうふうにやっておくといいかなと思いました。
-今後のT.Aさんの活動で、どういうふうにやっていきたいというのがありましたら教えていただけますか?
T.Aさん:本当は今年で大学卒業するので、今回をきっかけに海外に留学したいというのは漠然と考えていたんですけど、行ってみて、言葉の面だったり、向こうに留学してから語学学校に行くというのは聞いたことがあるんですけど、私の場合は、それよりも気持ち的にいろいろ準備してからじゃないとダメだな、というのは行ってみてすごく感じました。
1年ぐらいしっかり自分で考えて、いろんなセミナーとか、日本で開かれるのも含めいろいろ見てみて、ゆっくり考えようかなとは思っています。
-いずれは、1年、2年ぐらいのスパンで現地で生活してみたいな、という感じですかね。
T.Aさん:それは頭にありますね。
-本日は貴重なご意見ありがとうございました。
M.Nさん/プラハサマーアカデミー
-簡単な自己紹介と経歴を教えていただけますか?
M.N 様:音楽大学卒業後、20 年ほど音楽教室でピアノの教師をしています。
-今まで国内外の講習会に参加したことはありましたか?
M.N 様:ここ 2、3 年は日本でも室内楽のセミナーやモスクワ音楽院の先生のマスタークラスのレッスンも受けたことがあります。海外は初めてでした。
-海外に出ようと思ったきっかけはありますか?
M.N 様:プラハサマーアカデミーというものを知って、このような勉強の場があるのだということ、そして年齢制限が無く、室内楽の枠があったというところです。自分がここ 2、3 年室内楽を勉強していて、室内楽を自分が楽しめるようになりたいという気持ちがありました。共演者も講習会側で用意いただけることも大きかったです。
-講習会の参加者数はどれくらいでしたか?
M.N 様:室内楽は私ともう一組ぐらいだと思います。全体としては 20人弱でした。
-講習会はどんな内容でしたか?
M.N 様:初日はオリエンテーリング後、すぐに練習時間が充てられていました。室内楽は2時間、ピアノソロは 3 時間の練習時間です。練習は毎日させてもらいました。朝の 9 時から夜の 8 時の間で、その中で早い者順に予約をするというかたちでした。
-ピアノの質はいかがでしたか?
M.N 様:私に割り当てられた練習の部屋は、ヤマハでした。1 回だけ私のルームメイトが使っていた別の練習の部屋はペトロフが置いてあって。ペトロフはペダルのコントロールがすごく難しく感じました。ルームメイトも「弾きにくいね」と言っていました。
-メーカーの違い、ということですよね。
M.N 様:はい。レッスンを受ける部屋にはファツィオリが置いてありました。こんなに一度にいろんなピアノを弾くことができて楽しかったです。
-室内楽(ピアノトリオ)のメンバーはどのような方でしたか?
M.N 様:バイオリンの方は現地に住んでいる日本人で、現地の楽団に所属していると聞きました。チェロの方はチェコ出身で、フリーで演奏されている方です。
-実際に合わせてみていかがでしたか?
M.N 様:いや、本当にこれはこのサマーアカデミーに参加してよかったなと思ったんです。 どういうことかといいますと、最初に何の打ち合わせもなく合わせる時間が用意されていましたが、その時間で合わせたとき、私は非常に調子が狂ったんです。それは、行く前に自分で用意して行ったことと、そのバイオリンの方もチェロの方も、それぞれにこれから演奏しようとしている曲について感じていることが違っていたのです。
-曲は何を選ばれていましたか?
M.N 様:アレンスキーのピアノトリオです。速度感もだいぶ違いました。私は師事している先生から、私はどちらかというと美しい曲を弾くと速度緩めになるから、そこに気をつけてと言われていました。 そういう心づもりでいたら、バイオリンの方のほうが私以上に幅広く速度を感じていたんです。 初回のレッスンはどうなるんだろう、と心配になりましたが、レッスンが始まったら、サマーアカデミーでの先生から各奏者にアドバイスをいただけて、3 人が同じ考えのもとでだんだん演奏できるようになり、ホッとしました。
-いきなり全然違う考えの人とあわせをすることあまりない経験ですよね。
M.N 様:そうですね。日本で今まで参加していた アンサンブルは、普段はプロの奏者の方だったので、気づかないところで私は助けられていたんです。でも今回の場合、3 人のうちの誰かが指導する立場ではなく対等なので、対等だとこのようなことが起きるんだなということがわかりすごく勉強になりました
-レッスンの言葉は何語でしたか?
M.N 様:言葉はチェコ語です。現地に住んでいる日本人の方が通訳をしてくださいました。
-2人の先生からレッスンをうけられたのですよね?
M.N 様:はい、前半はピアノ、後半がチェロの先生でした。ピアノが 3 回でチェロが 2 回でした。
-どちらもチェコの方ですか?
M.N 様:はい。ピアノの先生とチェロの先生ではおっしゃることが違っていて、ピアノの先生はすごく正確さを求められているなという印象です。その正確さがあって初めて相手と演奏上のコミュニケーションがとれるというか。ですが後半、チェロの先生のところに行ったら、「もっと自由にやって!」と言われて…またそこで拍子抜けしてしまいました。その 2 人の先生の狭間で私はどうしたらいいのか…と葛藤がありました。レッスンが終わったあと、ぐったりして1 日中、あとは部屋の中で転がっていたという日もあったぐらいでした。
-大変だったのですね。
M.N様:でも、転がりながら考えてみるうちに、ピアノの先生のおっしゃることもチェロの先生がおっしゃることもどちらも必要で、両方を上手く融合できれば良いのではないか、という結論を出せて、ちょっと気が楽になりました。最初は悩みましたけど、自分なりに結論にたどり着く事ができて良かったです。
-それはよかったです。先ほどの「正確さ」というのは、楽譜に書かれていることに忠実であるという感じなのでしょうか?
M.N 様:はい。速度もキープできるようにしたいし、キープすることによって拍子感というのが 3 人の中でハッキリするとか、そういうことだと思うんですね。室内楽では部分によって、主導する楽器が移り変わっていくので、相手にちゃんと合図を送れるようにすることが大切だと、先生が教えてくださいました。
-日本でのレッスンとの大きな違いは何ですか?
M.N 様:「それぞれのパートがその部分によって役割がある」具体的に「室内楽の考え方」として、お話を聞けたのはプラハサマーアカデミーでのレッスンが初めてだと思います。
-「具体的」というのは例えばどういう感じなのでしょうか。
M.N 様:私がレッスンでお話を伺ったのは、全体的にでは無く、部分的にだと思うのですけど、この部分では、とにかくピアノの「バス」の刻みを弦楽器の人たちが聞いているから、そこがハッキリしないと弦楽器の人たちは出にくいとか、演奏しにくい、ということです。私の感覚だと、ピアノソロではないから、ピアノばかりが音を大音量で鳴らしてしまってはいけないという気持ちがあり、もしかすると 3 人で合わせるには、私の元々の音量が足りず、「バスの刻み」が伝わらない状態だったのかもしれません。
-なるほど。発表する場はありましたか?
M.N 様:はい。最終日にプラハサマーアカデミーのホールでした。
-どれぐらいのキャパでしたか?
M.N 様:規模的にはサロンぐらいかと思います。プラハの建物全体的に言えると思うのですが、とにかく天井が高いんですよね。なので、そんなに思いっきり鳴らさなくてもすごく響く感じですね。
-弾いたときの気持ちよさも日本とは違いましたか?
M.N 様:そうですね。特に練習しているときは、弾き易いピアノだったということもあると思うのですけど、音がきれいに聴こえるんですよね。すごく驚きでした。日本で練習している人たちというのはいつも狭い空間で練習しているので、音に対する感覚がヨーロッパの人とは違う、 という新聞記事を読んだことがあるのですが、これはまさにそういう感覚なのかなと思いました。
-実際に演奏してみてどうでしたか?
M.N 様:レッスンを受けている過程では、自分自身がブルーな気分になったり、いろいろ紆余曲折もありましたが、最終的にはメンバーが同じ気持ちというか、同じ考えの下で演奏できたことと、あとはお互いを聴いているということも感じられるまでになり、最後は楽しめました。 この経験を通して、日本でアンサンブルのセミナーに参加していた時は私は弦楽器の奏者(先生)に助けられていたんだということがわかりました。本当に気づきが得られた講習会でした。
-それはよかったです。プラハはどのような場所にいきましたか? 雰囲気はいかがでしたか?
M.N 様:建築家の知り合いの人から、すすめられたモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』が初演された劇場へ行きました。チェコの国は戦争の時に爆撃を受けていないので、当時の建物がそのまま残っているそうです。それで様々な様式の昔の建物がそっくりそのまま残っていると考えたら、本当に時が止まっている感じですよね。また、絵を見るのが割と好きなので、ミュシャの美術館も行きました。
-美術館へはどのように行きましたか?
M.N 様:トラムを利用したのですが、最初は迷ってしまい断念して帰ってきたんです。2 回目は行き方を聞いて移動したのですが、また右も左もわからなくなってしまって…
-ガイドブックを片手に移動されていたのですね。
M.N 様:はい。本屋さんが見えたので聞いてみたのですが、意外と英語が出来ない方も多く、 ジェスチャーで教えてもらいました。そうしたら中央郵便局に着いたのですが、そこも実は行きたかった場所の一つだったんです。郵便局の位置を頼りに美術館にも行くことできました。
-プラハを回っていて大変だったことはありますか?
M.N 様:一番大変だと思ったことは、石畳だったことです。これは私だけかもしれないですが、アスファルトと違い、足元の石畳は平らにはならされてはいないので、結構足を取られる感じで、疲れるなと(笑)。
-宿泊先はいかがでしたか?
M.N 様:日本人の方と2人部屋でした。ちょうど私が使わせていただく前に改装したみたいで、すごくきれいになっていて、
とても真新しい感じでした。
-ルームシェアも久々でしたでしょうか?
M.N 様:そうですね。どんな感じなのかなと行く前はちょっとドキドキだったんですが、ルームメイトになった方は、私よりも年上で、しかもリピーターなんですね。もう 7 回目だとおっしゃっていて、何でもご存知で、いろいろ教えてくださいました。
-生活する上で不便はありませんでしたか?
M.N 様:全然不便なことはないです。講習会会場へも歩いて 2 分ぐらいでとても便利でした。
-食事はどうでしたか?
M.N 様:朝食はビュッフェになっていて、好きなものを選べます。毎日なるべく違った感じの食事を用意してくださっていました。
-お口には合いましたか?
M.N 様:はい。用意してくださっていた朝食が、私は一番ほっとできるというか…味付けの濃さが、朝食は割とあまり手が加えられずにあっさりとしていたんですけど、外食だと、全部が全部ではありませんが、結構味が濃いめのところもありました。
-濃いというのは塩味が強かったのでしょうか?
M.N 様:はい。はじめはちょっと驚きました。ほかの参加者の方に、「チェコは味付け濃いんですね!」とぼやいたら、「これはビールを飲ませるためだよ!」とかおっしゃっていました(笑)
-量はいかがでしたか?
M.N 様:日本で出るものからしたら多いですよね。1 人で何か一つ頼むというよりは、何人かで行ってシェアするというのが基本でした。
-講習会について話を戻すのですが、講習会は初めての方にとって参加しやすい 雰囲気でしたか?
M.N 様:そうですね。プラハのサマーアカデミーのコーディネーターの方の一人が日本人でした。 ディレクターは現地の方ですけど、参加者に対してすごく配慮がある方だなと感じました。あと、プラハのサマーアカデミーに参加される方は、日本人の方が多いと思うんですね。講習会は今年で 22 回目と最後の日におっしゃっていたから、「日本人ってこういう感じだな」という心づもりがあるのではないかと思います。
-改めて講習会を振り返っていかがでしたか?
M.N 様:プラハサマーアカデミーという場は、配慮があって、参加者の立場に立つ、ということをすごく考えてくださっているところだと思います。私はとてもいい会に参加できたと思います。現地の日本人コーディネーターの方も、ディレクターも、そしてわざわざ遠いプラハまでやってくるという気概ある参加者の方達。素敵な人達に出会えたことも、私は本当に恵まれていたと思います。そういった意味でも参加して良かったなと思いました。
-留学を通じて収穫になったなと思うことはありますか?
M.N 様:全て自分が体験したこと、それが収穫ですね、音楽に限らず、音楽ももちろんですが…例えば乗り継ぎのフランスの空港で迷っていたら日本人スタッフの方が声をかけてくださったり、プラハについた後にスーツケースが見つからなかった時に飛行機で隣にいた中国の方が場所を教えてくださったり。そんな感じで、いろんな方に助けられた留学でした。
-日本と留学先で一番違いを感じたところは何ですか?
M.N 様:音楽という点でいくと、建物の空間の違いというのが一番違う点です。広くて天井の高いところを自分が体験できたことがすごく良かったなと思います。やはりヨーロッパは教会があるので度々教会の鐘の音も聞こえてきますし、そういう環境で育って生活している作曲家の人たちが、こういう世界を体感しながら生まれた音楽なのかな…とか、思いをはせるようなことはありますよね。
-留学する前にやっておいたほうがよかったなと思うことはありますか?
M.N 様:やはり言葉ですね。参加されている方は英語が思ったよりできる方ばかりでした。 私の英語は本当につたないながらも、多少は使える…という感じですが、もう少し自分のほうからも言葉が出るぐらい英語が使えれば…と思いました。
-最後に今後留学をする方へのメッセージをお願いします。
M.N 様:迷っているようだったら思い切って行ってみたほうがいいです。自分が実際に体験するということが一番尊いと思うんですよね。だから、それは実際やらないと経験できないということなので、ぜひ経験していただけたらなと思います。
-インタビューへのご協力ありがとうございました!
千葉琴美さん/ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジ アーロン・ コープランド音楽学校
-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか?
千葉様:4歳でピアノを習い始め、音楽科のある高校に進学、日本の音大を卒業し、ニューヨークの大学院修士課程に入学しました。
-留学したきっかけを教えてください。
千葉様:大学在学中に一年間ニューヨークの音楽大学(マネス音楽院)に留学する機会があり、その際に素晴らしい先生との出会いがあったこと、またニューヨークという土地のエネルギーや芸術の文化に魅せられたことがきっかけで、ニューヨークの大学院進学を決意しました。
-どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また。決め手になった点はなんでしょうか?
千葉様:ニューヨークで知り合った先生の紹介で、アーロン・コープランド音楽学校を選びました。決め手は、実技はもちろん、音楽理論や音楽史など、一流の素晴らしい教授陣でした。また、市立の学校なので、学費が私立と比べて格段にお手頃です。
-どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。
千葉様:試験は、実技と音楽理論で、TOEFLのスコアや推薦状、志望理由書など様々な書類の提出が必要です。一番苦労した点は、TOEFLの勉強や、英語で音楽理論を理解しなければいけないことでした。
-手続きで苦労した点はなにかありますか?
千葉様:手続きで苦労した点は、語学面です。また、ビザの手続きも提出書類が多く、大変でした。
-留学準備はどのくらい前から始めましたか?
千葉様:留学する約10ヶ月ほど前から、徐々に準備を始めました。
-学費はどう捻出しましたか?
千葉様:両親が経済的に支援してくれています。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
千葉様:留学を決意してからは、TOEFLのために必死に勉強しました。アメリカの大学院に留学するにはTOEFLが必須です。現地で語学学校へ行くと、お金も時間もかかってしまいますし、海外で先が見えないと不安が増すと思います。日本で早い段階からできる限り英語を習得し、正規の学生としての進学が決まってから留学することが私にとっての条件でした。
-学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?
千葉様:学校は、素晴らしいホールや練習室などが充実しており、とても良い環境です。また、総合大学で敷地が広く、緑も多くリラックスした雰囲気です。
-日本人はどのくらいいますか?
千葉様:日本人は、全員と知り合いになれるほど少ないです。ピアノ専攻は私だけです。
-学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら、教えてください。
千葉様:どんな授業でも、意見を求められることが多くあります。自分の意見をしっかり持ち、発言する力が必要だと日々感じます。
-先生はどうやって探しましたか?
千葉様:初めてニューヨークへ留学した際は、全くツテがなかったので、日本のピアノの先生と相談し、マネス音楽院のホームページから自分に合いそうな先生を探しました。現在は、学校で出会った先生に直接お願いし、レッスンを受けています。
-日ごろ練習はどのようにしていますか?
千葉様:毎日学校で練習しています。
-学外でのセッション、コンサートなどは行われますか?
千葉様:頻繁に行われています。
-1日の大体のスケジュールを教えてください
千葉様:朝9時ごろから夜9時ごろまで学校で過ごしています。今学期は授業は週に2日、午後にしかありません。午前中は個人で練習し、授業のない日は午後に個人練習のほか室内楽の合わせをしたり、授業の課題をしたりしています。
-現地の音楽業界へのツテはできますか?
千葉様:努力や縁次第で、何らかのツテはできると思います。
-周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?
千葉様:周りのアメリカ人の生徒は、授業中にとても積極的に意見を述べたり、質問したりしているなと感じます。
-授業以外はどのように過ごされていますか?
千葉様:授業以外の時間は、練習をしたり、学内での演奏会へ行ったりすることが多いです。
-日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか?
千葉様:まず英会話力を伸ばすことです。また、堂々とした態度でいること、相手の話をよく聞くことが大切だと実感しています。
-留学してよかったと思える瞬間はありますか?
千葉様:ニューヨークならではの最高のパフォーマンスを見ることができた時や、様々な国の色々な価値観や考えを持つ人たちと、違いを乗り越えて友達になれた時などです。自分の世界が広がり、音楽の表現にも大きく活かされます。
-留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか?
千葉様:色々なことに対して、より明確な意見を持てるようになってきました。そのことによって、前よりも演奏に説得力が出たのではないかと思います。
-今後はどのような進路を考えていますか?
千葉様:日本で音楽活動をしていきたいと考えています。
-これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。
千葉様:強い意思としっかりとした目標を持って、でも気負いすぎずに頑張ってください。
-ご協力ありがとうございました。
淡田 理恵さん/ダーティントン国際音楽サマースクール
2012年 トロンボーンを始めました。中学入学です。
村上美希先生に師事しています。
-簡単な自己紹介、今までの経歴をお願いできますか?
淡田様:中学1年生から部活でずっとやってて、高校2年の春で引退して、あとは個人でやっています。
-今回ダーティントンを選ばれた理由は何ですか?
淡田様:吹奏楽がやりたくて、吹奏楽の講習ができるところを探したらダーティントンが見つかったので、そこに行こうと思いました。
-今まで国内外の講習会には参加されたことはありましたか?
淡田様:いや、初めてで。トビタテ!留学JAPANを使ったので、それがきっかけで探しました。
-トビタテは実際にやってみてどうでしたか?行く前のミーティングとかもあったと思うんですけど。
淡田様:分野が違う子とも話して、いろいろ情報交換したり。でも海外に行ったことがある子がほとんどで、結構海外のことも聞けたりとか、こういうのおすすめだよ、というのを教えてもらったりしました。
-交流会は何人ぐらい集まっていたんですか?
淡田様:そのときは500人ぐらいで。それを東京で2日で分けてやって、あと1回、大阪会場のほうで。結構多い人数でした。
-ダーティントンの講習会にはどれぐらいの方が参加されていましたか?
淡田様:全体はよくわからないですけど、ブラスだと15人ぐらいで、プラス、講習者ではないんだけど、前来ていて、合奏だけ参加という人もいて。その人たちも合わせると結構な人数になりました。
-講習会でのスケジュールはどんな感じでしたか?
淡田様:7時から朝ご飯で、9時15分からセクションで、ブラスウォームアップセッションがあって、そのあとコーヒー休憩があって、11時15分からトロンボーンの低音セクションがあって、そのあとお昼を食べて、2時からブラスアンサンブルがあって、そのあと4時半からビッグバンドがあって終わりで。そのあとは夕飯を自由に食べたりして、夜はコンサートとかもあったので、勝手に見に行ってもいいし、みたいな。
-結構長丁場ですね。体力的に大丈夫でしたか?
淡田様:楽しいからアドレナリンが出て、そんなには。一緒にいたトランペットの男の子、その子もヘロヘロでした。
-先生とかスタッフはどんな感じでしたか?
淡田様:スタッフもすごく優しくて。ベットも毎日きれいにしてくれるんです。あとは先生、Paul Archibald先生とBrett Baker先生がよく面倒見てくれたんですけど、2人めっちゃ優しくて。あまり英語得意じゃないんで、輪に入れるかな、みたいな感じだったんですけど、大人ばかりの講習会だったのでかわいがってくれて。打ち上げやると言って、カレー屋さんに行くと言われて、子どもだからちょっと遠慮したんですけど、ポールが一緒に行こうよ、みたいに誘ってくれて、一緒に行ったりもしました。
-ブラスのコースの参加者はイギリス人が多いんですか?
淡田様:イギリス人が多かったです。日本人は見なかったです。3週目に1人日本人がいたと教えてくれて。でもその人もロイヤルフィルでバイオリンを弾いている人みたいでした。
-イギリス人の方はどんな方が多かったですか?
淡田様:アマチュアのバンドでやっているとみんなほとんど言っていました。
-コンサートや演奏会は行きましたか?
淡田様:ホールがあって、そこでいつも毎日何かしらのコンサートをやっているんだけども、講習会の時期だけ講習会参加者はカードを見せればチケットなしで入れるみたいな感じで。ポールとブレッドのコンサートを。すごかったです。日本だとすごく高いお金払って見に行かなきゃいけないやつを、近くのほうで見れるんですよ。
-ホールってどれぐらいのサイズなんですか?
淡田様:ホールは、教会を改装した感じで、そんなに広くはないんですけど、近くで見れました。
-自主練習はどうされていましたか?
淡田様:学生寮を改装したホテルで、夜9時までは吹けるんです。だから、帰ってきたあとにまた個人練習したりして。それで、時間を守れば自分で好きにできるので、よかったです。
-食べ物はどうでしたか?
淡田様:日本クオリティを求めなければおいしいのかなと。
-朝はビュッフェですか?
淡田様:いつも頼めば、ビュッフェがいろいろ並んでいて、これ、と言えば取ってくれて。朝昼晩それでした。でも朝はいつも同じ食事が出ていたんですけど、クロワッサンがおいしかったです。スクランブルエッグとベーコン。あとソーセージもあったし、トマトの香草焼きみたいなものもあっておいしかったです。
-お昼はどんなものが?
淡田様:お昼は、あまり肉系じゃなくて、1回おいしそうだと思ったらまずかったんですけど、みずみずしいカボチャの中に、天かすの油ギトギトにしたみたいなやつが詰まっていて、見た目はすごくいいんですけど油っこすぎて。
-そうなんですね。夜はどんなものがでました?
淡田様:夜はチキンとか、1回牛肉とデミグラスソースみたいなやつが出たりして、夜は結構おいしかったです。あと、昼と夜は基本ケーキ出ているので、食べました。
-飲み物は普通に買えました?
淡田様:ダーティントン自体観光地だったので、水もジュースもお菓子も買えて。アイスも買いました。日本では結構飲んでいたんですけど、向こう行って水しか飲まなくなっちゃって。
-宿泊先と講習会場はどうやってに行かれてました?
淡田様:近かったので歩いて行きました。でも私が泊まったホテルじゃないホテルがもう少し遠くにあると言っていたので、そっちだと遠いかなと思いました。
-外国の方とお話するうえで上手くお話するコツみたいなものはありましたか?
淡田様:向こうの人ってすごく気にかけてくれて、ほとんど叔母さんみたいな感じで。だから子どもというか、向こうで私結構幼く見えるので、すごく気にかけてくれて、向こうからコミュニケーションを取ってくれて、それに応えればよかったです。
-今回のダーティントンの講習会に参加してよかったなと思うところはありますか?
淡田様:海外の人って、レベルが全然違うんです。普通にトランペットの楽譜をパパっと渡されて、読めちゃうし。トロンボーンと調が違うじゃないですか。それを普通に読み始めて、は?みたいな。そういうのは日本ではやらないけど、向こうだとやらなきゃいけないから、ひと段落したらそういうのも頭使っていこうと思ったし、先生が合奏中とかにここなんか違くない?って言っても反論するんですよ。いや、これは言うこと聞いておこう、ぐらいのやつも反論して。僕は間違っていない、みたいな。マジ?と思って。それでよく見たら、あ、違った、ごめん、って軽くって。そのぐらい主張しても、先生も考えるし、向こうも考えるしで、日本みたいに受け身じゃなくてすごく面白いなと。あと、いつも部活単位で動いていたので、つながりが部活の中だけだったんですけど、LINEみたいなグループがあって、それに入れてもらえたりして、つながりがちゃんとできて。ブレットとかポールとかもそれに入っているから、また来年も来なよ、とか言ってくれたりして。
-いいですね。逆にすごく困ったな、ということはありましたか?
淡田様:最初のときは、毎年やっているやつみたいで、大体いつも同じメンバーなんですよ。だから空気出来上がっちゃっていて、みんな知り合い、みたいな。どうしよう?あれ?と思ったんですけど、でも最初だけで、みんな話しかけてくれて。それで、レッスン場所が離れているんです。牧場を突っ切ったこともあったんですけど。そしたら、場所わかるか?って聞いてくれて、わからないと言ったら、じゃあ連れて行ってあげるから時間の20分前にここに集合ね、って教えてくれて。
-音楽の教え方で日本と海外の違いは感じたりしましたか?
淡田様:はっきりは言っていました。自分が習っている先生は、オブラートにつつんで、これはこうしたほうがいいじゃない?みたいな。でもはっきり言っていて。理由もちゃんと言ってくれたり。あとは、ブレットに言われたのが、スライドを上げるときに息が返ってくるじゃん?って言われたんですけど、はあ、みたいな感じだったら、いきなりピストルみたいな真似されて、びっくりしたんですけど、わかりやすくやってくれるので、よかったです。
-通訳なしでもいろんなことを吸収してきて。すごいですね。ちなみにトロンボーンってどうやって持っていきましたか?
淡田様:飛行機、2席とったんですけど、上に乗せてもいいみたいで。入る?と思ったんですけど、持ち込んだらキャビンアテンダントさんに、これは上に上げますか?手伝いますか?って言われちゃって、いや、2席とっています、ってなったので。上に上げてもいいのかな?って思いました。
-プライベートレッスンのお話を伺っていこうと思います。すごく気に入られて、追加レッスンしたいとおっしゃられて。どの辺がよかったですか?
淡田様:やっぱり、はっきり言ってくれる。今教わっている先生よりも、1回のレッスンで伸びる感覚が全然比にならなかったし、1回エチュードを吹いて、そこから気になったところを抜粋して、練習メニューとか教えてくれていたりしたんですけど、全然新鮮で、超楽しかったです。
-今後淡田さんみたいに高校生でトビタテを使いたい人はいっぱいいるんですけど、何かアドバイスがあったら教えてもらってもいいですか?
淡田様:やる気があれば。やる気と具体性があればなんとかなるかなと思いますあと、運。
-今後、講習会やマスタークラスを受けたいと思う方に対して何かアドバイスがあったら教えてください。
淡田様:英語とか私できないと思って行って、できないなりに話したので、文法とか必死に考えて話せなくなるよりも、話したら向こうも話返してくれるというか。ちゃんと話したほうが思ってて、でも英語できなくて、もうちょっと勉強していったらよかったなと思いました。向こうに行って、海外で音楽やったほうがレベルがアップできると思ったんですけど、まだ全然私、向こうに行ってアマチュアの人にも面倒見てもらう感じで。だから日本で1年勉強したあと、できれば海外で留学をしたいなと思いました。海外のほうが、レッスンとかもやりやすかったです。ロンドンは、きれいでした。公園とか、1人で観光とか行ったんですけど、行きやすいし、でもみんな結構気にかけてくれる感はあって。みんな優しくて。ロンドンいいところだなと。
-貴重なお話ありがとうございました。
M.Kさん/ルツェルン音楽祭アカデミー
-まず簡単な自己紹介、現在までの略歴を教えてください。
M.Kさん:ピアノ講師をしている母に薦められ五歳の時にヴァイオリンを始めました。桐朋学園の子供の為の音楽教室に入室して音楽の基礎を学び、高校大学と桐朋学園に進学しました。
-今まで講習会などに参加したことはありますか?海外に行かれたことはありますか?
M.Kさん:今までにもいくつか海外の講習会には参加したことはありますがスイスでの講習会は初めてでした。
-この講習会に行きたいと思った理由やきっかけはなんでしょうか?
M.Kさん:現代音楽に特化した音楽祭というのは中々数もありませんし、その中でもじっくり二週間コーチング付でコンテンポラリーオーケストラレパートリーを学べるというのが魅力的でした。また講習期間中の生活費や現地までの飛行機や電車も全額主催者側が支給してくれるというのも大きな理由です。
-参加者は、どのくらいの人数がいましたか?また、どんな人が参加していましたか?
M.Kさん:世界中から100人程選ばれていました。年齢層も幅広く学生からプロオケで働いている参加者も数多くいました。
-講習会はどんなスケジュールが組まれていましたか?
M.Kさん:二週間ほぼ毎日コーチングやリハーサルがありました。オーケストラトレーニングなので個人レッスンはありませでした。
-先生はどんな人でしたか?スタッフはどんな人でしたか?何名くらい居ましたか?
M.Kさん:今年はJack QuartetのChristpher OttoとAustin Wulimanがヴァイオリンのコーチングを担当してくれた他、指揮者はDavid Fulmar、Ruth Reinhardt、Sir George Benjaminがいました。
事務スタッフは4人程でしたが皆とてもレスポンスが早く優しかったです。
-レッスンでは、どんなことを教わりましたか?教わったことで、印象に残っていることはありますか?
M.Kさん:現代音楽ならではの特殊奏法のコツや複雑なリズムをいかに正確に細分化するのか等全て新鮮な体験でした。作曲者もリハーサルに参加して、どういったコンセプトで曲を作ったのか、どういう風に弾いてほしいのか等直接お話が聞けたのは印象深いです。
-レッスンは何語で受けましたか?
M.Kさん:英語でした。
-レッスンの最後には、コンサートや閉会セレモニーなどがありましたか?
M.Kさん:今回は二週間の間に4回ほどコンサートで演奏しました。閉会セレモニーはありませんでしたが、最後のコンサート後に立食形式の簡単なパーティがありました。
-講習会中に、人前で演奏する機会(コンサートやコンクールなど)はありましたか?
M.Kさん:私は弾きませんでしたが、メイン会場の裏手にあるバーで自由参加型の野外演奏の場も設けられていました。
-練習はどこでしたのですか?どのくらい練習出来ましたか?
M.Kさん:地元のコンセルバトワール三校の練習室を自由に使えた他にもホームステイ先でも練習できました。朝から夜までリハーサルの合間をぬって練習しました。
-レッスン以外の時間は何をしていましたか?
M.Kさん:練習したり美術館や観光スポットを巡ったりしました。
-街のようすはいかがでしたか?(治安、人々の様子、外観など)
M.Kさん:湖が多くてどこを見ても絵になる景色でした。治安もよく英語も問題なく通じました。
-どこか遊びに行ったところはありますか?
M.Kさん:メイン会場付近の湖まで泳ぎにいったり、ショッピングセンターでウィンドウショッピングを楽しみました。
-宿泊先はどこに泊まりましたか?対応はどうでしたか?
M.Kさん:ホームステイでした。ベッドルーム一部屋を個人で使えてバスルームとキッチンは共用でした。
-宿泊先の設備はいかがでしたか?(部屋人数、空調、トイレ・風呂、洗濯方法、TVなど)
M.Kさん:とても清潔なホストマザーだったので不備なくとてもキレイでした。エコ思考の方で空調システムやテレビは置いていませんでした。
-宿泊先と講習会場はどのように移動しましたか?
M.Kさん:シティパスを主催者側が参加者全員に配ってくれたので自由にバスや電車に乗って移動できました。
-ごはんは何を食べましたか?お口には合いましたか?外食は1食何円ぐらいでしたか?
M.Kさん:主にサンドイッチやサラダを食べました。スイスはレストランで食事すると高いですし量もとても多いのでテイクアウトを主に利用していました。サンドイッチ一個でだいたい5フラン前後でした。何を食べても美味しくて特にチョコは最高でした。
-海外の人達とうまく付き合うコツはありましたか?
M.Kさん:皆とてもフレンドリーだったので特にコツはなかったかなと思います。
-留学中に、困ったことなどはありますか?
M.Kさん:楽しい事だらけでありませんでした。
-今回講習会に参加して良かったと思える瞬間はありましたか?
M.Kさん:毎日とても充実していたので最後のコンサート後にまた来たいなあと既に名残惜しく感じました。あとベルリンフィル、コパチンスカヤ、カバコス、ツィマーマン等世界的に有名な演奏家
達の生演奏を聴けたのは大満足です。
-留学して、何か自分が変わったなとか成長したなと思う事はありますか?
M.Kさん:世界中の意欲ある仲間と交流できて、いくつになっても意識を高く、上を目指し続ける大切さを学べました。
-日本と留学先で大きく違う点を教えてください。
M.Kさん:コーチと生徒が対等でリハーサル中も自由に質問したり発言できたりというのは新鮮でした。全員がプロとしての意識を高く持っているのも新鮮な事でした。
-今後留学する人にアドバイスしておきたいことなどありますか?
M.Kさん:最初の一歩は何でも難しいものですが必ずそれに見合う何かを得られるので機会があれば積極的に行ってみてください。
-留学前にしっかりやっておいた方がいい事は何かありますか?
M.Kさん:下調べは大事ですし早目早目に動いた方が安心です。
-今後の活動は?進路などありましたら教えてください。
M.Kさん:帰国して演奏活動の他レッスンをしたりしています。
-ご協力ありがとうございます。
志鎌 優成さん/ドレスデン国際バレエサマースクール
2歳からクラシックバレエを始め
2010年、日本ジュニアバレエ入会
-まず簡単に自己紹介、これまでの略歴を教えていただけますか?
志鎌様:2歳からバレエを始めて、小学校6年生ぐらいのときに日本ジュニアバレエという団体に加入しました。あとは、教室でずっと普通に練習しています。
-今までに講習会とか海外に行かれたことはありますか?
志鎌様:今回が初めてですね。
-今回この講習会に行きたいと思った理由やきっかけはありますか?
志鎌様:一度どんなものか、海外のバレエを体験してみたくて、短期間でちょうどいいなと思ったのもあって、やってみようと思いました。
-実際に参加されてみてどれぐらいの参加者人数とか、どんな方が参加されてましたか?
志鎌様:いろんな国の人が10人ぐらいずつ、少ないところだと1人とか3人とか5人とかだったんですけど、全員合わせると300人ぐらいですかね。いろんな人種の方がいました。
-参加者の年齢はどれぐらいの方が多かったですか?
志鎌様:クラス別だったので、基本的に14から、上が22までいたので、17から19ぐらいの人が一番多かった感じですかね。
-ダンスのレベル的にはどうでしたか?
志鎌様:バレエ自体はすごく難しくてできなという感じではなかったんですが、日本でやっている練習方法とまた違う、テクニックではなく一つの動きを練習するような、回ったり足を上げたりというのではなくて、全部を練習するというか、基本的な手の使い方とか角度とか、そういうのを重視していたので、難しいところもありました。基本的な動きを特にやるので、ものすごく難しい感じではなかったです。
-先生が考えたアンシェヌマンをやって、また、先生が止めてみんなに質問を投げかけて、注意して、みたいな、途中で止まって話があったりする感じですか?
志鎌様:そうです。
-いろんな国出身の先生が参加してたと思いますが、講習会は何語だったんですか?
志鎌様:英語ですね。
-英語でのレッスンはいかがでしたか?
志鎌様:動きをしてから英語をしゃべられるので、何を伝えたいのかは動きを見てわかったり、単語を少し並べて、例えば腕とか日本人でもわかるぐらいの英語で説明していただけるので、何を伝えたいかは大体わかりました。あと、精神論というか、ダンサーには何が必要かみたいな。
-精神論に関しては何とおっしゃっていましたか?
志鎌様:ダンサーには何が一番必要かを一人一人に聞いていたり。テクニックが必要だと思います、とか、体幹が必要とか、表情とか。そういうこともありました。
-それはレッスンの時間に中断して話が始まる感じですか?
志鎌様:そうですね。
-講習会は大体どのようなスケジュールで組まれていましたか?
志鎌様:朝、まず1時間半のクラシックバレエのレッスンをしたあと、日ごとにピラティスとバリエーション、次の日がクラシックバレエのレッスンをしたあと、パドゥドゥとコンテンポラリーとか、日ごとによって違って。ただ基本的に一番最初にクラシックバレエのレッスンをやってから違うことをやるという感じですかね。
-このレッスンは楽しかったというクラスはありましたか?
志鎌様:ピラティスを初めてやったんですけど、すごくためになるなと思って、日本でもやってみたいなという感じになりました。コンテポラリーも初めてやったので、最初わからなくて大変だったんですけど、やっていくうちにどうすればいいのかとか、ちょっとだけなんですけどわかってきて楽しくなってきました。
-先生は全員で何人いらっしゃいましたか?
志鎌様:10人ぐらいいらっしゃいました。
-皆さんサポート的にはどうでしたか?
志鎌様:皆さん普通に優しくて、英語がしゃべれないというのを先生に伝えたら、それでも大丈夫と言ってくれて。とにかく英語がわからなくても質問したほうがいいなというのは空気感でわかりました。それでわからなくても別に、何も答えてくれないという感じではなく、優しく丁寧に教わりました。
-今回のレッスンで印象に残っていることはありましたか?
志鎌様:やはり国民性というか、個人の性格も多分あるとは思うんですけど、日本人の謙虚なところというか、外国の方はぐいぐいくるのを感じました。もちろん謙虚になることはとても大切だと思うんですけど、チャンスを逃すという悪い方向に行かないようにしないといけないなと思いました。そこで日本人だから、とか、もちろん人のことを考えて行動しなきゃいけないんですけど、先生に質問するときとか、練習を見てもらうときとか、そこで積極的に行かないとダメだなというのは印象に残りました。
-今回参加された講習会で日本人の方は何人ぐらいいらっしゃいましたか?
志鎌様:僕を含めて6人いました。
-お話とかはされましたか?
志鎌様:男の子が1人いたんですけど、その子とはご飯食べたりとかお話したりしたんですけど、基本的に女の子とはあまりしゃべらない感じでした。
-レッスンのクラスメートとちょっとお話するような感じですか?
志鎌様:そうですね。クラスメートよりもルームメイトのほうがよくしゃべりました。同じクラス、同じグループの子だったので、質問したりとかしゃべったりという感じですかね。
-ルームメイトの方は何人の方でしたか?
志鎌様:スペイン人とアメリカ人とルーマニア人の人がいました。
-ホテルから会場まではどうやって通っていましたか?
志鎌様:路面電車で行きました。歩いても行けるんですけど、歩くと30分ぐらいかかって、路面電車だと歩きを含めて15分ぐらいで行けますね。
-お食事はどうされていましたか?
志鎌様:ホテルのご飯が基本的に出ていたので。あと昼食は、講習会場の食堂で出ていたのでご飯は困らなかったです。ただ、水とかが、水道水が飲めないので、ちょっとカルキの匂いがしたりするので、水もほしくてスーパーとかに寄らないといけませんでした。日本みたいに自動販売機がポンポンある感じではなかったので、そこでスーパーを活用するのに早く時間が閉まっちゃってました。レッスン終わったあと直接スーパーに行ってホテルに帰ったり、という感じですかね。ホテルに1回帰っちゃうと閉まっちゃうので、寄ってから帰るというふうにしていました。
-お店が閉まっちゃうというのは、早く閉まっちゃうということだったんですね。ストとかではなくて。
志鎌様:普通に営業時間が短くて、9時とか8時ぐらいにはもう終わっちゃうんです。練習が大体8時とか6時とかまであったので。
-レッスンのあとは自習とかできましたか?
志鎌様:できました。ただ、夕食の時間が決まっていたので、できて30分とか。1時間ぐらいやっちゃうと夕食が間に合わないので。
-今回は志鎌さんは夕食ありのプランで組ませていただいたじゃないですか。実際受けてみてどうでしたか?
志鎌様:宿泊したホテルの裏にスーパーがあるんですけど、早く閉まっちゃうので、レストラン行くとそれなりの値段もするし。あと、レストランって駅のほうにしかないので、駅まで歩いて10分ぐらいかかっていたので、夕食はつけたほうがいいかなという感じがしますね。
-朝食はパンとハムとチーズとビュッフェ、みたいな感じですか?
志鎌様:そうですね。
-ジュース、牛乳、紅茶やコーヒーがあって、みたいな感じですか?
志鎌様:そうです。
-夜はどんなものが出ましたか?
志鎌様:夕食もそういう感じでした。ビュッフェみたいに、サラダとかパンとかです。温かい食べ物は日によって違いました。サラダとパンと飲み物は全部朝と夜同じなんですけど、暖かいものは日によって変わります。
-町の様子とか、普段の感じはどうでしたか?治安が悪いなとかありましたか?
志鎌様:治安は普通に良かったです。町の雰囲気も、駅のほうに行くと結構人はいるんですけど、ホテルの周辺とか、講習会場は住宅街の中にあるようなところだったので、あまり人がいっぱいいるような感じでもなかったです。あと、日が沈むのが遅いので、10時ぐらいに真っ暗になって、そう考えるとあまり危険ではないかなという感じですかね。
-ルームメイトの方とどこかに遊びに行ったりしましたか?
志鎌様:遊びに行ったりはしてないですけど、次の日が休みの夜のときはみんな駅のほうに飲みに行ったりという人もいたり。あと、屋上にたまり場みたいなところがあって、そこでみんなおしゃべりしていたりとかしました。そこで違うグループの子とか、同じグループの人と仲良くなったりとか、そういう感じですかね。部屋にこもっている人もいるし、人によってそれぞれという感じでした。
-部屋はクーラーはありましたか?
志鎌様:クーラーはなかったです。
-暑くはなかったですか?
志鎌様:それは大丈夫でした。窓を開けると涼しかったりするので。
-レッスン会場の空調とかはどうでしたか?
志鎌様:レッスン会場は普通にクーラーがありました。
-ちょっと寒いとか感じましたか?
志鎌様:いや、寒くはなかったです。ちょうどいい感じでした。
-ウォーマーとかつけている人はいなかったですか?
志鎌様:動く前に上着を着たり、という人は結構いました。
-宿泊先で洗濯はどうしていましたか?
志鎌様:コインランドリーを使っていたんですけど、ホテルのやつが1台しかなくて、しかも壊れていて、町のほうのコインランドリーに、路面電車に乗って行きました。
-それはホテルで教えてもらったんですか?
志鎌様:そうですね。エントランスの方に教えてもらって行きました。
-留学中に困ったことなどありましたか?
志鎌様:路面電車に初めて乗ったとき、ドイツ交通局の人が、覆面みたいな感じで乗っていて切符を見るんですけど、切符の買い方が最初わからなくて、そこで教えてくれたりするわけじゃなくて、逆に罰金を60ユーロほどとられました。日本みたいな改札があって切符がないと絶対入れないという感じではなくて、変な話、無賃乗車できてしまう感じなんです。路面電車の切符の買い方がわかればよかったかな、という感じですかね。あとは、私生活はあまり苦労した、困ったことは特になかったです。
-今回留学して、何かご自身で変わったなとか、成長したなと思うことはありますか?
志鎌様:自分に少しだけ自信が持てたかなと思います。あっちの人ができないことができたり、というのも、ほんの少しなんですけどあったので、自信を持っていいところ、日本のバレエの教え方とちょっと違うんですけど、日本のバレエって基本的にテクニックを先に教えるので、あっちの人はもっと歳を取ってから回転をやったりすると聞いたので、できない人もいました。それで自分ができるところもあったので、自信を持っていいかなとかと思いました。あと1人で電車に乗ったりもしたので、ちゃんと自分でできたというか。そういうところは自信を持って行きたいなという感じです。
-今後留学する人にアドバイスしておきたいことはありますか?
志鎌様:受け身じゃなくて、自分から行かないと周りに流されちゃうので。あちらの人はすごく自分を持っているので、周りのことよりも自分を優先する感じで、そういうところに行った場合は、もちろん周りのことも気にしないといけないんですけど、自分のこともちゃんと考えないと押しつぶされて終わっちゃうと思いました。その場面によっては自分を優先しないといけないとか、臨機応変に対応していくのが大切かなと思います。
-最後に、今後の志鎌さんの活動、進路など、思うことがあったら教えてもらえますか?
志鎌様:一応日本でバレエはやりたいんですけど、世界の国のバレエ団も興味がわいてきたので、縁があったら頑張ってみたいなと思います。今は全然決まっていないんですけど。2週間のプログラムに行ってみて、すごい嫌になるか、挑戦してみたくなるかのどちらかかなと思っていたんですけど、すごく嫌だという感じではなかったです。英語もわからないし大変だったんですけど、もう無理だ、という感じでもなかったのです。よかったら挑戦してみたいなというのもありますね。
-とても貴重なお話しありがとうございました。
峰松佳乃子さん/マントヴァ音楽院
1989年生まれ。山口県下関市出身。
3歳よりピアノを始める。
ヤマハ音楽教室ジュニア専門コースピアノ上級科、梅光女学院高等学校音楽科を経て、国立音楽大学音楽学部伴盤楽器専修ピアノ科卒業。大学在学中に芸術祭において、国立音楽大学オーケストラと共演。2011年大学卒業後イタリアに渡り、2015年マントヴァ国立音楽院修士課程ピアノ科修了。2019年マントヴァ国立音楽院修士課程室内楽科を首席で修了。修了時に最優秀賞受賞。
2000年ヤマハジュニアオリジナルコンサートin広島出演。
2003年 山口県学生音楽コンクール中学生の部ピアノ部門銀賞。
2006年ヤマハヤングピアニストコンサート第1位、金賞および大賞を受賞。
同コンサート広島推薦演奏会金賞および大賞を受賞、大阪において推薦演奏会に出演。
2014年 第4回アントニオ・サリエリ青少年国際音楽コンクールピアノ部門第3位。
2015年 第2回ジュセッペ・アチェルビ国際コンクールピアノ部門第3位など、
数々のコンクールで入賞。
2016年にマントヴァ夏の音楽祭でヴァイオリニストのパオロ・ギドーニ氏と共演。
これまでにピアノを井町泰子、下田直子、三木香代、サルヴァトーレ・スパノの諸氏に、
作曲を久行敏彦、橋本剛、伴奏法をサヴェリオ・マルティネッリ、室内楽をパオロ・ギ
ドーニの諸氏に師事。
マルミローロ市コンコルディアヴォークム文化協会のピアノ講師としても後進の指導にあ
たる傍ら、ソロ、室内楽において主にイタリアで演奏活動を行なっている。
山口県音楽協会会員。
イタリア・マントヴァ市在住。
-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験は? 何歳からなさっていましたか?
峰松様:ピアノは3歳から始めました。母に連れられてヤマハ音楽教室に行ったのがきっかけです。そこからジュニア専門コース、ピアノ上級科に高校卒業まで在籍しました。
地元下関の梅光女学院高校音楽科を経て、国立音楽大学のピアノ科を卒業しました。
大学を卒業したその年の6月にイタリアにレッスンを受けに行き、次の年にマントヴァ国立音楽院に入学しました。
2015年に修士課程のピアノ科を、2019年4月15日に同じ音楽院の修士課程の室内楽科を修了しました。この時は満点の首席で修了し、修了時には最優秀賞を受賞しました。
コンクールは山口県学生音楽コンクールを始め、様々なコンクールに挑戦しました。
イタリアではアントニオ・サリエリ青少年国際コンクールピアノ部門、ジュセッペ・アチェルビ国際音楽コンクールピアノ部門で3位に入りました。
実は小学生の頃に合唱もやっており、NHK全国学校音楽コンクールの全国大会でNHKのホールの舞台にも乗りました。
その時に伴奏をしたのがきっかけで自然と音楽の道を歩むことになりました。
-留学したきっかけを教えてください。
峰松様:高校在学中から漠然と海外で音楽を勉強したいと言う気持ちはありましたが、その一方で、音楽の教員になろうという思いもあり、教育実習にも行って、高等学校の音楽の教員免許も取りました。
そんな時、大学を卒業したその年にアンドビジョンの皆様のおかげでイタリアでレッスンを受ける機会がありました。
実はその時、音楽大学の大学院の受験に失敗したのもあって、受け直すかどうかを考えており、願書の締め切りギリギリまで大学院を受けるつもりで準備していましたが、マスタークラスで出会った先生に”君、イタリアでピアノ弾いたら?”と一言言われて、直感だけで方向転換してイタリアで音楽をやることに決めました。この鮮やかな方向転換に両親が一番びっくりしたと思います(笑)その時のマスタークラスが今のピアノの先生です。
-どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また、 決め手になった点はなんでしょうか?
峰松様:マスタークラスで出会った先生が、今の音楽院の教授で私も自然とそこの音楽院に決めることになりました。
-どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか? また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。
峰松様:出願書類は学校の成績証明書など大使館に提出する書類がたくさんありますが、イタリア文化会館から必要書類が提示されます。
試験内容は各地の音楽院でもしかしたら違いがあるかもしれませんが、私の音楽院は、入学試験は実技のみで、30分のプログラムが課題でした。
日本の音楽大学の試験というととにかくピリピリした雰囲気の中で弾くものですが、音楽院の試験は本当にあまりにもアットホームで私自身も拍子抜けしたので、逆に力を抜くことに苦労した気がします(笑)ですが、修士課程修了時、学部課程卒業時には論文を書かなければなりません。
もしかしたらこれが一番の苦労かもしれないです。私もピアノ科、室内楽科と修士論文を2つ書きましたが、イタリア語ですので、論文のための書き言葉に苦労しました。試験の時は他のイタリア人の学生と同じように論文についてのプレゼンと口頭試問もありますので、特に外国人は、内容もさることながら、淀みなく流暢なイタリア語で話すことが要求されます。私は演奏系の専攻ですので、実技もありましたが、実技よりも口頭試問の方でハラハラしていました。文献の研究も全てイタリア語です。
-手続きで苦労した点はなにかありますか?
峰松様:とにかく提出しなければいけない書類が多く、中にはイタリア現地から取り寄せないといけない書類もあったりしたので、必要書類が書いてあるリストとカレンダーをひたすら確認する日々でした。
この時ばかりは胃に穴が空きそうなぐらい大変でした。
-留学準備はどのくらい前から始めましたか?
峰松様:アンドビジョンには大学卒業前からお世話になっていました。本当に親身に相談に乗ってくださいました。
-学費はどう捻出しましたか?
峰松様:奨学金を取らなかったので自費です。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
峰松様:行けるなら少しでも語学学校には行った方がいいとは思いますが、プライベートレッスンをお勧めします。私は大学時代にイタリア語の授業を取っていて、大学院の入試の語学もイタリア語で受けたので、文法は一通りおさえた状態から勉強し直しました。会話に関してはもう、現地でネイティブの人と話して慣れるしかないので、日本にいる間はその土台になる文法や、最低限、意思疎通を図る言い回しを勉強しました。私も現地の語学学校には行きましたが、2ヶ月くらいだったので、もしかしたら他の方よりはかなり少ない方かもしれません。日本でビザの書類を準備している間、時間がある時には少しだけですが、語学学校に行って、現地の学校で消化しきれなかった部分を勉強しました。
-学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?
峰松様:全体的にのんびりとした雰囲気です。常に競争また競争という感じではないので、マイペースな私にとってはこの上なくありがたい環境です。
-日本人はどのくらいいますか?
峰松様:現時点で在籍しているマントヴァの音楽院は、私が唯一の日本人です。マントヴァは小さな街なので、日本人もほとんどいません。
-日本と留学先で大きく違う点を教えてください
峰松様:気候、雰囲気、文化…何もかもですね。でも、それが私には良かったのかもしれません。
-学校の授業はどのように進められますか?日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありまし たら、教えてください。
峰松様:授業、レッスンは全てイタリア語です。英語は通じないと思っていた方がいいと思います。ですが、日常会話を一気に全て覚えようとする必要はないと思います。それよりも、相手の言っていることが分からなくても”それはどういう意味ですか?”と聞き返せるコミュニケーション力の方が大事ですね。音楽院の授業に関しては、私は音楽院入学の時点ですでに日本で音楽大学を卒業して学士の学位を持っていたので、いわゆる必修科目は実技系以外は全部免除でした。ですが、授業の科目や内容は日本の音楽大学と同じです。音楽史もあり、ソルフェージュ、和声など全部あります。
-日ごろ練習はどのようにしていますか?
峰松様:グランドピアノを月に100ユーロでレンタルしていますので、練習は基本的に自宅です。合わせがある時は音楽院で部屋をあらかじめ予約しておいたりします。
-学外でのセッション、コンサートなどは行われますか?
峰松様:コンサートの数が桁違いに多いので、シーズンに入ると、1週間に2本、3本は本番があります。音楽院の室内楽の教授の先生とデュオリサイタルの機会にも恵まれました。
-1日の大体のスケジュールを教えてください
峰松様:午前中にレッスンが入ることが多いので、午後からは合わせ、仕事などをこなしています。
-現地の音楽業界へのツテはできますか?
峰松様:音楽院でマスタークラスに来られた先生と知り合うことが多いですので、業界へのツテもできると思います。
-周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか? (例:アメリカなどだと、生徒と先生が対等で意見を交換し合うので、積極性が重視されるなどがあります)
峰松様:イタリアも先生と生徒は比較的対等だと思います。自分の思っていることを遠慮なく言う学生も多いです
-授業以外はどのように過ごされていますか?
峰松様:友達と街中に繰り出してジェラートを食べに行ったり、ショッピングしたりして、青春を謳歌しています。
-日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか?
峰松様:自分は外国人だからと思い過ぎないことです。思い過ぎるとそこで壁ができてしまいます。現地の人だって日本に来れば外国人なのですから。現地の知らない人に失礼な言葉で声をかけられることもあるとは思いますが、”だからなんだ”と流せるぐらいの図太さがあった方がいいかもしれません。
-宿泊先はどのようにみつけましたか?
峰松様:先生が全部助けてくださいました。
-生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか?
峰松様:月に1000ユーロあって少し余ると思います。
-留学してよかったと思える瞬間は?
峰松様:先生に生徒として大事にしてもらえてるなと感じたときです。
-留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか?
峰松様:こればかりは自分では分かりませんので、先ほど先生にメールをして聞いてみました。今の私を一番ご存知ですので…以下は先生からです。
”僕はカノコは音楽家として、人として成熟し、かなり成長したと思います。イタリアが好きなので、この留学はとてもいい経験になったのではないかと思います。ピアノに関しても、音や技術のコントロールの技量が格段に上がったように思います。”
だそうです。
-今後はどのような進路を考えていますか?
峰松様:今後は11月から音楽院の伴奏科に行きますが、それと並行して今まで通りイタリアを拠点に音楽活動をしていきつつ、年に数回は日本で演奏することを考えています。
-これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありました ら、お願いします。
峰松様:時として音楽家の意地とプライドが必要になることもありますが、特に日頃の生活で人間関係において、現地の学校に入って、現地で生活して、現地の人と接する時には、いらぬプライドは持たないことです。学校の成績や結果というのは、心配しなくてもやればやったぶんだけあとでついてきます。
もちろんそれは自分の中で確かな自信になりますが。目的意識を持ち、目標をしっかりと見据えつつ、そこにたどり着くまでのプロセスはあくまでもマイペースに。人に流されない芯の強さはあった方がいいと思います。そして、当然イレギュラーなことがたくさん起こりますが、振り回され過ぎないことも大事だと思います。
海外に行けば、そこはもう日本国内ではないので、文化も言葉も違うので、予想外のことが起こるのは普通です(笑)そんな私も、家の伴を忘れてゴミを捨てに行った挙句に締め出されて消防車が来たりとか、遊びに行った先で財布をスラれたこともあります。周りの人からは、1人で海外に行って強いとか、しっかりしているとか言われますが、別に私が強いわけでもなく、しっかりしているわけでもなく、細かいことを気にしないマイペースで呑気なだけです。
少し脅かすようなことを書きましたが、海外で生活するというのはこういうことです。留学というと、夢いっぱい、現地の人とたくさん友達を作って…というイメージですが、実際生活となるとそうもいかないことの方が多いです。でも友達はたくさんできますよ!なので、とにかく自分をしっかり持ってブレないのが何よりも大事だと思います。
予想外のハプニングも多いですが、それも含めての生活。刺激がたくさん予想外のハプニングも多いですが、それも含めての生活。刺激がたくさんでいいじゃないですか!海外留学の生活もなかなかオツなものですよ。
-貴重なお話しありがとうございました。
影山茉以さん/ポーランド国立バレエ団/プリンシパル
〔出身〕千葉県 浦安市
〔出身スクール〕アクリ・堀本バレエアカデミー
〔留学先〕ベルギーアントワープ
Koninklijke Balletschool / Antwerp Royal Ballet School
* 3歳から母の勧めで、バレエとピアノを習いはじめました。
* 2000年:12歳でアクリ・堀本バレエアカデミーに所属
* 2005年:ベルギーアントワープにあるロイヤルバレエスクール(Koninklijke Balletschool)へ2年間留学
* 2007年:エストニア国立劇場バレエにソリストとして2年間在籍
* 2011年:クロアチア国立劇場バレエにソリストとして入団
* 2013年:ファーストソリストに昇格
* 2014年:ポーランド国立バレエ団に入団
* 2015年:コリフェに昇格
* 2016年:ソリストに昇格
* 2017年 : プリンシパル(最高位)に昇格
* 2017年:バレエ・アステラス 2017 (新国立劇場 バレエ)に出演
-留学したきっかけを教えてください。
影山様:スイスの Prix de Lausanne に出場した際に、アントワープの学校長が私の事を気に入ってくださり、スカラシップ(学費免除)で留学しました。
-手続きで苦労した点はなにかありますか?
影山様:これは何処へ行っても同じだと思いますが、ビザを取得するのに沢山の書類が必要で、申請にも2、3ヶ月かかるという事です。
-留学準備はどのくらい前から始めましたか?
影山様:書類申請などホームステイ先、アパート探しなど色々準備が必要なので、留学が決まってから直ぐ取り掛かった方がいいと思います。“どの位” という期間は国、留学先によって異なると思います。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
影山様:学校の英語だけでは足りなかったので、現地に行ってからも 少し 習っていました。
あとは、留学先でクラスメイト達とどんどん会話する事で慣れると思います。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
影山様:学校の英語だけでは足りなかったので、現地に行ってからも 少し 習っていました。
あとは、留学先でクラスメイト達とどんどん会話する事で慣れると思います。
-学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?
影山様:アントワープの学校は、コンテンポラリーが強い学校だったので、16歳の私は 皆んなの独特な動き、発想に圧倒されてました。
ほぼ毎日あった、 2時間のコンテンポラリークラスの授業での インプロビゼーション (即興) は苦痛でしたね。笑
-日本人はどのくらいましたか?
影山様:私の時は4人です。
-日本と留学先で大きく違う点を教えてください。
影山様:バレエの基礎は何処へ行っても同じですが、まず環境、雰囲気が全く違いますからね〜。
指導内容が異なるところですかね。
海外では特に 足先、アンドゥオールを強く要求されます。 それは バレエ団へ入ってからも同じことが言えますが.....。
日本のお教室では、そういう部分の注意が少し不十分かな〜と思います。
日本人は器用なので、 学生の時は何でも熟せてしまう子が多いですが、海外のバレエ団を目標にしているのであれば、特に足先や細かい部分、クオリティ(踊りの質) を大切にして欲しいと思います。
-留学してよかったこと悪かったことなどあったら教えてください。
影山様:慣れない環境で最初は辛いと思うこともあると思いますが、 精神面で強くなれる、自立出来るので 今ではそういった経験を積めたことに感謝しています。
親のありがたみも良く分かりますし。
-宿泊先はどのようにみつけましたか?
影山様:初めの1年は、学校長の知り合いの方のところでホームステイしました。
2年目からは アパートを見つけ、一人暮らしでした。
-留学してよかったと思える瞬間は?
影山様:今、数年経ってから思うのは、16歳の留学当初はホームシックからか毎日のように泣いていましたが、母から「そんなに辛いならいつでも帰ってきてもいいよ。でも、自分の夢はどうする?」と言われて..... あ、そうか。そうだ。私からバレエをとったら 私じゃ無くなる!と気持ちを切り替えられ、あの時諦めずに頑張ってこれて良かった。精神面が強くなり、自立できた事に 留学して、いい経験を出来たなっと思いますね。
-現在所属されているバレエ団に入団されるまでの経緯を教えていただけますか?
影山様:現在のポーランド国立バレエ団には 今から5年前に エストニア、クロアチアの2つのバレエ団を経て 入団しました。
-バレエ団の大体の1日のスケジュールはどんな感じですか?
影山様:毎朝 10時から1時間 男女別にクラスレッスンがあります。
クラス後は15分休憩でリハーサルが始まります。(リハーサル内容は毎週 週末前に掲示板に予定表が出され、自分のリハーサルをチェックして......という感じです。)
お昼休憩は 14時 〜 15時 の1時間です。
最終リハーサルは18時です。
**公演がある日は、14時までリハーサルをし、19時から本番です。
-バレエ団のオフシーズンはどのように過ごされてますか?
影山様:日本での舞台に出演したり、身体を休める事も必要なので、旅行に行ったりと色々です。
-今後の目標があったら教えていただけますか?
影山様:最終目標は常に頭の中にありますが......。
今言えるのは、バレエダンサーに完璧というものはないので、 追求して、追求して毎回の公演でベストな状態で....というのを目指しています。
思うように踊れなかったり、 悔しいなっと思う事も多々ありますが、落ち込んでいる暇はなく、試行錯誤して前進するのみです。
目標は達成するまでの過程が大事だと思っているので..... 今よりも、明日の自分が成長していられるように、日々のプロセスを大切にすることを意識しています。
それが「今後の目標、夢」を叶える第一歩だと思うので。
-これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。
影山様:日本人は、自分の個性を大切に......ヨーロッパのダンサーが表現できない物、日本人だから出来る繊細な表現力。
その個性をアピールすることが大事だと思います。
バレエ以外でも 自分の為になるものを観たり、感じたり、たくさん経験する事がアーティストとしても成長できると思います。
環境を変えるという留学は、一歩前進するいいきっかけになるので、何事もチャレンジして欲しいですね。
-ステキなご意見どうもありがとうございました。