Y・Tさん/ピアノ/オーストリアマスタークラス/オーストリア・フリーザッハ
Y・Tさんプロフィール
3歳よりヤマハ音楽教室でピアノ・エレクトーン・ソルフェージュを始める。
小学4年時に専門コース修了。
その後、中学校から、大学付属の音楽教室にてピア ノ実技・音楽理論を学び、音楽高校・大学進学。
卒業後は、レストランや施設での演奏活動の他、音楽教室で子供から大人までのピアノ指導にあたっている。
2010年9月ベネチア音楽院サルヴァトーレ・スパノ教授の講習を受講。
-まずは、簡単な自己紹介・現在までの略歴を教えてください。
Y・T 4歳のちょっと前からヤマハ音楽教室に通いはじめたのが最初です。そのあと小学校1~4年生までヤマハの専門コースに行きましたので、ピアノを本格的に始めたのは1年生からですね。幼児コースは、エレクトーンや歌ったり踊ったり、リトミックに近いものでした。6年生の時に中学受験があるので少し中断して、中学校、たまたま入ったのが洗足学園で(笑)。同じキャンパスに大学がありますので、大学の先生に習うこともできますし、音楽教室もあるし、いいんじゃないってことで、そこに行きまして、それからはずっとやっています。
-留学は以前にイタリアに行かれていると思うのですが、それ以外に何か参加されたものはありますか?
Y・T 語学留学で1カ月ほどホームステイの経験があります。ミラノと○に1カ月ずつ行ったことがあるんですけれど。
-今回は、それまでのイタリア方面ではなく、オーストリアにチャレンジされたのは何か理由がありますか?
Y・T 前回は、語学面で、イタリアなら何度か行っているし、一人で行ってもだいじょうぶかな、なんとかなるかなっていうのがあって。今回は、他の国を、ドイツ・オーストリアの音楽が好きなので、本場に一度行ってみたいなっていうのがあったし、アンサンブルの勉強を一度してみたいなと思っていたので、その条件で個人参加できるもの・・・となると選択肢も限られていて。結果ここになりました。
-アンサンブルは今までのご経験、学校などではおやりにならなかったのでしょうか?
Y・T そうですね、ちゃんとした勉強はやっていないですね。
それは、ピアノという楽器の特性として、室内楽をする機会が少ないのでしょうか。
Y・T 学校の授業で室内楽も全員が履修する大学もあるみたいなんですけれど、うちの学校は選択制だったので。やっぱりピアノっていうとソロがどうしても中心になってしまうことが多いので。
音楽教室(お仕事)で他の楽器の先生としりあう機会も増えまして、イベントや発表会などで、講師演奏として合わせて演奏する機会も増えてきたので、一度ちゃんと勉強しておいたほうがいいなあと思い始めたんですね。
-勉強熱心でいらっしゃるのですね!今回参加されて、勉強になったところはたくさんありますか?
Y・T たくさんありました。
-どのくらいの人数が参加している講習会でしたか?
Y・T 私が参加した14日~21日の日程だと、色々なコースをあわせて100人くらいかな。ほとんどオーストリア人が多かったですけれど、日本人も4人いました。私たち以外の日本人の方は、オーストリアやドイツに住んでいる方でした。中国人、韓国人、オランダ人、トルコ人…インターナショナルでしたね。
-圧倒的に地元の方が多いようですね。
Y・T そうですね、小さい子15歳かな、14歳かな、そのくらいから参加できるみたいなので、10代の子たちはやはり近くの子が多かったですね。
アジアの国からは、1人、2人ずつというかんじですね。ほぼオーストリア・ドイツ…スイス人もいたかな。ほとんどはドイツ語圏の人だと思いますね。
-一緒にアンサンブルクラスを組まれた方たちは
Y・T Hさん(チェロ・日本アンドビジョン経由で参加)は同じ歳、クラリネットの子は23歳でフランクフルトの音大生、来年卒業だって言っていました。
-同年代の方たちで組んであったのですね。あらかじめ経歴なども送ってあるので、ある程度考えて組み合わせてくれたのでしょうか。
Y・T そうですねえ。でもアンサンブルは参加が少なくて、4組かな。フルートアンサンブルとかはいましたけれど。ピアノアンサンブルは少ないですね、私と、クラリネットの伴奏みたいな感じで参加されていた方が1人いたんですけれど、その子はコンビで参加したみたいです、お友達と。
なので、人数が少ない分、組み合わせするのも難しい面もあったかな…って思います。
相性が合う・合わないということもありますが、技術のレベルなども合わせてみないと分からないところがあるので。
-オーディションがない分、参加しやすいというメリットもありますが、技術レベルを均一にするのは難しいですよね。オーディションがあれば想像がつくんでしょうけれど。
Y・T むこうの方は、趣味でやっていますといっても、趣味のレベルが違うっていうのもありますね。もう一つ参加したアンサンブルはビオラの方で、40歳くらいかな、意外に若くなくて、演奏家を一回辞めて、普通のお仕事について、でもやっぱり弾きたいってことで戻ってらした方が参加していたのですが、その方がまあ、弾ける方で(笑)。音楽の仕事をされているわけじゃなくて、趣味だよって方も、レベルが違うのですよね~。音楽的に弾くし、とてもできる方でしたね。私は最初ビオラまであわせるのは無理かもしれないって思って、やめかけたんですけれど、ビオラとのディオとして、最終日のコンサートに選んでもらって、最後にその方と一緒にホールで弾かせてもらえたんです、とても良かったです。
-それは素敵ですね!
Y・T アンサンブルの参加者の中で、個人で、ピアノで、は私だけ。ですので、2つのアンサンブルをかけもちでレッスンしていたんです。かけもちなのでレッスンがひっきりなしにお昼ごはんまでびっしりつまっていて(笑)。各部屋を移動するのが大変でしたけれど、楽器がない分楽だったかな。
-それでは掛け持ちでなければ、レッスンはびっちり・・という訳ではなさそうなのですね。
Y・T クラリネットの子はソロのレッスンも受講していましたね。トリオだけで参加ですと、1日の中で各楽器の先生の部屋をまわってレッスンを受けるので、ピアノ、チェロ、クラリネットの3コマ。わたしはそれにプラスしてビオラ、ピアノ 1日5コマうけていました。ピアノはクライナー先生が2コマです。
-各楽器の先生がそれぞれにみて下さるというのは良いですね!
Y・T 先生の専門の楽器の子を中心に、技術指導するかんじですけれど、全員の演奏のバランスとかも観て下さいます。先生方はプロフェッショナルなので、その楽器の子だけを教えるわけではない、私たちにもちょこっと注意をして、全員に同じ注意をして、と目をいきわたらせて下さるんです。良かったですよ。
-同じ曲の同じ部分で、違うことを言われて混乱するってことはありませんでしたか?
Y・T ありました(笑)!!それはそれでおもしろかったですけれどね~。さっき、クラリネットの先生に、ここはもっと遅いほうがいいって言われたのに、チェロの先生のお部屋に来たら、早くしろって言われたりとか(笑)、ありましたね。
-解釈の違いで先生もおっしゃることが違うんでしょうね、そういう時はどうされたのでしょう?違うことを指導されましたって言ったりもするのでしょうか?
Y・T 3人で顔を見合わせて(笑)。ドイツ語ができるクラリネットの子が代表して言ってくれていたようです。
-レッスンは基本的には英語ですか?
Y・T 基本ドイツ語なので、最初のオリエンテーションは全部ドイツ語でしたけれど、中にはドイツ語が分からない人もいるので、各レッスンは英語にしたり、先生が配慮してくれていたみたいです。
-基本はドイツ語ですか。ドイツ語でのオリエンテーションはどうでした?
Y・T 全然分からなくて…(笑)。初日は夕食後にオリエンテーションだったんですが、私たちは夕食を食べたらその日のスケジュールは終了だと思っていて。夕食後、7時にホールに集合という掲示が貼ってあったらしいんですけれど、全く見ていなくって、ご飯を食べて帰ろうと思ったら、なんか音がきこえてきて、あれ?なんかやってる!って慌てて、遅れて行ったっていう。初日から(笑)そんなんでした。部屋に入ってもまだ、何をやっているのか良く分からなかったですね。
ドイツとオーストリア在住の日本人の子がいたのですが、年齢も一つ上と一つ下の子で世代も同じだったので、ちょくちょく、今何言ってたの?ってかんじで教えて貰っていました。何時にここに集まるらしいよ、とか、夜はなるべく騒がないようにだって、とか、その都度教えてくれたので、その場はなんとかなったんですけれど。
その夕食後のレッスンでは、顔合わせなのに、いきなり弾かされたんですよ(笑)!アンサンブルの人たちだけ、ホールでさわりだけでも弾きましょうってなったみたいで、個人で参加している人なんて、まだ自分のグループメンバーの顔もわからないのに、はいじゃあ演奏発表!みたいな!
私たちの組は、本当にブラームスの一楽章の最初の部分を、さわりだけだったんですけれど、弾きました。私たちは何が行われるか分かってなかったので、楽譜も楽器も持たずにホールに行ってしまったんですが、クラリネットの子はスタンバイしてて(汗)!どうしよう!楽器も楽譜も部屋においてきたんですけれど~(汗)って言ったら、先生が急いでとってきて~!!!と。走って楽器と楽譜を取りに行って、いきなりそこで弾かされた(笑)。
-それはお疲れさまでした。自由に練習ができる時間は、レッスンの後や合間ですか?
Y・T そうですね。毎日その日のスケジュールが発表されるのです。まあ日付だけ変えて内容は一緒(笑)みたいなものでしたけれどね、必ず貼り出されて、それを見て、自分の名前のところ、何時から何時がこの部屋でこの先生ってことを確認して、時間になったらその部屋に行く、というかんじです。だいたいは毎日同じようなかんじなんですが。そのスケジュールの合間に練習をしていました。
-練習するためのピアノはたくさんあったのですか?取り合いでしょうか?
Y・T ピアノはソロで参加されている人がすごく多かったので、基本早いもの順ですね。講習会場が学校なのです、古城を改築した学校みたいで…
-音楽学校なのでしょうか?
Y・T どうなんだろう。各部屋ピアノは置いてあるので音楽学校かもしれないですね。中は綺麗になっていましたけど、建物自体は古いですね、歩くとミシミシっていったり、床のタイルが割れていたりとか(笑)。
-参加要項にも木のスリッパは駄目だって書かれてありましたね(笑)。
Y・T 敷地内にいくつか建物があって、ホールがある建物が別棟なのでその建物を見に行ったりしました。
-楽器がピアノではない人たちは、開いている部屋で練習できるのでしょうか。
Y・T 開いているお部屋でもできますし、宿泊している部屋でも練習できるので、他の楽器の方は自分の部屋で練習していましたね。宿舎に帰って廊下を歩いていると、色々な部屋からよく音が聞こえてきこえてきました。レッスン以外は基本的には自由時間・練習時間なので、部屋を探して、別棟まで練習をしに行くこともありました。グランドピアノが置いてある部屋はそんなに多くないので、そこは取り合いです、早いもの勝ちです。
-予約のシステムなどではなかったんですね?
Y・T 予約制ではなくて、開いていたら使うってかんじですね。最初に、一人2~3コマにして譲りあってねってお話はあったのですけれど、まあ早いもの順ですね(笑)。空いているところがあれば、表に名前を入れて使うってかんじです。学校なので、開いている教室をさがし歩いたりしました。
そういえば、本当に(参加要項に書いてあった)卓球あったんですよ!
-卓球をやりたかったらもってきて下さいって書いてありましたね(笑)。
Y・T 本当にあって(笑)。大きな体育館が別棟にあるんですよ。大きな体育館も練習室の一つになっているのですが、カワイの小さなアップライトがおいてあって、卓球台も2台ありました。椅子がなかったので、パイプ椅子をみつけてきて練習した日もありました。そこは人気がなくて大抵いつも空いていたので。夜は卓球をしたりしていた人もいたみたいです(笑)。空き時間は自由練習のほかに、他のレッスンも出入りできるので、みんな他の先生やグループのレッスンを見学させてもらっていました。周りになんにもない田舎町なので、1週間籠城ってかんじです(笑)。
-お店もないのでしょうか?
Y・T 一度、お水を買いにいこうかってことになって、ドイツ語ができる子が、近くにスーパーありますかって訊いてくれて、みんなで買いにいったんです。小さいお店が一軒、コンビニみたいなものかなあ?歩いて数分のところにありましたけど、周囲にお店などはあまりないようですね。出歩かなかったので把握していないということもありますが。
-では、学校の食堂に売店が併設されているのでしょうか?
Y・T 売店はなかったですね。水も売ってなかったんですね。ヨーロッパによくあるコーヒーサーバーと、コーラとか炭酸飲料の自販機はあったんですけれど、普通の水は売ってなくて。土地柄、水道水がほとんどアルプスの湧水らしく、おいしいので普通に飲めるみたいで、あまり水を売っていないようでした。だから最終的には水道水で大丈夫だったんですけれど、最初はそれが分からなくて。大きなひねって出すコックの蛇口の横に、紙コップが積んであって、それを見て初めて、これは飲めるってことだよねって判断して(笑)。
そのコップに水を汲んで、部屋まで持って行って…ってかんじでした。
-食事などはおいしかったですか?
Y・T 食事はすごくよかったですねえ(嬉)!
-それはよかった!
Y・T 朝からもりもり食べていました。豪華でした!写真も撮ってきたので、一緒にみてもらえたら良かったですね。朝と夜はバイキング形式で、朝は、ハムも数種類、チーズも数種類、毎日はちみつもジャムもたくさん並んでいて、すごく豪華。コーヒーは各テーブルに温かいものを持ってきてくれて。ヨーグルトも何種類もあったし、本当に充実していてびっくりしました。
-学校の食堂?
Y・T それがちょっとわからないんです。ワインセラーみたいな冷蔵庫にビールが置いてあったりして。学校だけども、レストランとしても使っているのかな?みたいなかんじでした。夜はその冷蔵庫から、生徒も先生もビールとかワインを出してあけて、深夜までどんちゃん騒ぎしていました(笑)!!!
-そして朝からまた普通に練習するのですよね(笑)
Y・T そうですね、みんな元気ですね。夏休みの休暇も兼ねているところがあるので、家族で来ている方もいたし。先生方も、午後レッスンがない時間帯は、トレーニングパンツみたいな格好で走っていたり、グラウンドでスポーツして、汗を流していたり。プールもあったみたいなんですけれど、みなさんすごく元気なかんじでしたね。
-リラックスした雰囲気ですか?
Y・T まさに夏期合宿ってかんじですね。先生たちが、夜、酔った勢いというのもあるけれど、先生たちも、もうブラームスのトリオとか教えている内に自分が弾きたくなっちゃうみたいで、夜にホールで先生たちのコンサートになったり(笑)。先生方の演奏をみる機会もあったし、実技以外の話も談話も、先生たちとの会話を楽しむ時間もたっぷりあったし。先生たちも同じところに泊っているので、おちかづきになれてとても楽しかったです。
-ピリピリとしたというか、厳しく臨む講習ってかんじではない?
Y・T 受験の前に講習会ってかんじの人もいましたけどね、ソロの方とか。日本人の方でも、一つ上の方で、日本の音大とドイツの音大を出て、プロのピアニストですけれども、コンクールを受けるために、新しい先生に教えて貰いたくて来たって方もいました。プロもたくさんいたし、レベルも色々ですけれど。中学生くらいの子は、まだまだかわいらしいかんじの子もいたけれど、基本的にはみなさんレベルが高かったです。レッスンはレベルが高く、それ以外のところではわいわいがやがや(笑)。
-めりはりがあるかんじでいいですね!治安などは良さそうに思えますが、街からだいぶ離れていますものね、どうでしたか?
Y・T 街から車で1時間半くらいでしたかね。牛・馬・キツツキの世界ですね(笑)、のどかな、なんにもない山道、動物しかいない山道をひたすら1時間半でしたね。ドライバーさんもあまり道が分からなかったようで、何回か止めて地図を確認して、引き返したりしました。iフォンをナビ代わりにして一生懸命検索してくれて(笑)、ようやっとたどり着きました。ドライバーさんは最初ドイツ語で「きみドイツ語わかるの?」って話しかけてくれて、あんまりって言うと、英語で話してくれて。日本のどこの街に住んでいるの?とか、多少は話できましたね。
-送迎は問題なく大丈夫でしたか?
Y・T 空港に着いた時は、名前じゃなくて、アンドビジョンって書いてありました(笑)。それで最初見逃しちゃったんですけれど、A4くらいの白い紙に書いてありました。あ、それわたしだよねって思ったのですが、同じ名前の他の人の可能性もあるので、念のため宿泊先が書いてある紙をみせたら、運転手さんも同じものを持っていたので大丈夫って確認できました。他の方は自分の名前だったって言っていましたね。駅での待ち合わせだったので、空港よりかわかりにくかったようですが・・・
-空港は出てくるルートが一つですが、駅のホームって長いので、はじからはじまで歩いて探しても、人がはけないとなかなか分からないのですよね…。
Y・T 空港もすごく小さい空港なんで私は全然問題なかったですね、飛行機が遅れもしなかったし、ドライバーさんが紙を持って待っていてくれて、直接宿まで連れていってくれました。翌日迎えに来てくれたときも、ドライバーさんが10分前には到着してくれて。
-ザルツブルグで1泊目に泊まったホテルはいかがでしたでしょうか?
Y・T 別に部屋も普通だし、汚いとかそういうことじゃないんですけど…。各部屋にテレビ・インターネットありみたいに書いてあったわりには、両方ないなと思って。インターネットは、1階に行けばちょっと入るんですけれど、30分2ユーロだったかな?有料でした。私は使わなかったです。
-講習会期中の宿泊場所は、いかがでしたか?シャワーが共有だったそうですが。
Y・T シングルルームではあったのですが、シングルルームといっても実は2人で一つ。通路があって、両サイドにドアが並んでいて、各扉が101・102で一つ、103・104で一つなんです。私は日本人の方と隣同士でした。扉を開けてからベッドルームは一人ずつ右と左にわかれていて、鍵はかかるようになっているんですけれど、その真ん中にシャワーやトイレがあるかんじでしたね。私たちははじめましてだけれど、年齢も同じだし日本人同士だし気兼ねなく過ごすことができましたよ。先に使うのは日で交代にして、気兼ねなく使えていましたね。
-外国人は部屋をシェアすることに慣れているので、そういったつくりが当たり前なのかもしれませんね。その後泊まったザルツブルグの寮ではどうでしたか?
Y・T 寮は設備も全部付いていますし、すごくきれいなところでした。
-ザルツブルグの寮はキッチンもあるし色々便利で良いところっておっしゃる方が多いんです。
Y・T 場所も分かり易かったです。最初は遠いかなって思っていたのだけれど、バスに乗れば15分くらいで着くし。バスもきちっとしていて、ちゃんと停留所で次はなんとかですみたいな放送も入るし、バス路線のナンバーみたいなのも分かり易く書いてあるし、ダイヤも正確だし、日曜日は本数が減るけれど、それでも本数はけっこうあるし。バスを降りてからもバス停から1本道、300メーターくらいかな、とても分かり易いところにありましたので大丈夫だと思います。
困った点は、寮なので少し騒がしい夜もありましたが、基本的にはきれいで過ごしやすかったです。
-音と言えば、お部屋で練習をしている音などはきこえましたか?
Y・T ザルツブルグでは、私は観光毎日していて、泊るだけみたいなかんじだったので、日中のことは分からないのですけれど、練習の音がうるさいとかはなかったです。
-観光客は多かったですか?季節的に
Y・T そうですね、結構人は出ていましたね。
-現地の日本人の方がいらっしゃらなかったら、レッスンやオリエンテーションでのドイツ語は難しそうでしょうか?
Y・T 先生たちは英語が堪能なので、英語ができれば全然問題はないです。ドイツ語ができなくても、レッスンで先生が英語で会話しているのを何度もみましたし、まず英語ができれば問題ないと思いますけれど、ドイツ語も英語も、どっちも全然分からないとなると、通訳さんがいなければきついと思います。
音楽のレッスンなので、言葉が分からなくても、ある程度は通じる・分かるところもあるのですけれど、ある程度以上にもっと分かりたい、せっかく行くのにもったいないっていう気持ちもありますね。英語で会話していた私たちでも、その気持ちはちょっとあったので。何て言っていたんだろう?何を注意されたのかなって、あとで二人で話したこともあったので、やはり、行くからには分からないと、もったいないですね。
驚いたのは、クライナー先生が日本語をしゃべることができて。びっくりでした。先生は、ベレー帽を被っていておもしろいユニークな人なんですけれど、日本語もできるし、英語ドイツ語もちろんだし、オランダ語で会話しているのもみたし、私がイタリア語をできると分かったらイタリア語で会話してくれたし、何カ国語も話すんです。後で判ったんですけれど、私のブラームスの楽譜にも、日本語で書いてくださっていて、ひらがなで「ちぇろをきく」って書いてあって(笑)。ひらがなとカタカナはできるらしいです。「はいここからもういちどおねがいします」って日本語でしゃべっていたこともありました。
日本人の教え子さんがいたので、きっかけはあったのかもしれませんが、好奇心旺盛な方なので、個人的に勉強したいと思ったので勉強したっておっしゃっていました。日本語を読めるし話せるし、小節番号も日本語で「315からもういちど」とか(笑)。
-レッスンも日本語でできちゃうかも?!
Y・T できると思いますね、彼なら。
-生活していて不便だなと感じたことはありますか?お洗濯とか?
Y・T 滞在が1週間なので、お洗濯はしなくても大丈夫ですけれど、ちょっとしたものは部屋で洗いました。いちおう洗濯石鹸は持って行って、1回かな、洗いましたけれど。生活は特に不便なことはなかったのですけれど、すごく寒かったですね。まず10度ないし、最高でも15度あたりの日が多くて、すごく寒かったですね。山に囲まれた山の街ですし、講習会場はさらに山の中にはいっていくので、山の空気・山の天気ってかんじで変わり易いし、厚着は必ず持って行ったほうが良いですね。
-最近はグーグルマップなどでも現地の様子が分かりますよね、ウェブ上の地図で見ていても、本当に田舎街なんだなあって思う場所だったので、山の空気・山の天気…良く分かりました(笑)。今回の留学は全体的にいかがでしたか?
Y・T アンサンブルをやりたい方にはとてもお勧めですね。ソロでも参加できますけれど。全体的には色々体験できて、レッスンをつけて下さる先生方も素晴らしい方たちですし、レッスンもレベルが高くて。本当に専門的で高レベルなレッスンを毎日、何時間も受けることができました。
宿泊所は生徒も先生も一緒で、お向かいさんがビオラの先生だったんですね。1週間本当に合宿のようなかんじで、同じところで寝泊りして生活を共にしてってかんじなので、リラックスした雰囲気の中で過ごせる、でもレッスンはすごく高度で。
レッスン自体はある程度どこでもできる、例えば先生が日本へいらして公開講座をする機会に参加するなどで可能ですよね。でも、山のいい空気、ヨーロッパのいい空気を吸いながらレッスンできる、ヨーロッパの伝統が息づいている空気を味わいながらレッスン…とかは、現地じゃないと体験できないことなので、行ってみたいなあーと思っているならぜひ参加してほしいですね。行けばなんとかなるよ!って言いたいです。
1週間があっというまで、明日で終わりなんだ!!!帰りたくないね(笑)ってみんな言っていたくらい。ごはんもおいしかったし、わいわいがやがやの毎日の中、レッスンは厳しくもあり、練習もしつつなので、本当に充実していたと思います。最後にビオラデュオとしてコンサートに出場もできて、とても良かったです。
-大変な面もあったかと思いますが、本当に良かったですね。演奏された曲も素敵な曲ですよね。
Y・T 先生も陽気なおじいさんで、すごくおもしろい人でした。教授陣がやはり日本とはちょっと違いますよね、たぶん山にきた解放感っていうのもあるし、加えて、そもそも教え方が違う。
-日本で受けるのとは違う内容のレッスンであることに加えて、休暇的な要素も加わってさらに楽しそうな雰囲気になったのかなって想像していますけれど。休暇といえば、今回参加されるにあたって、お休みをとるなどの手続きは大変でしたか?お仕事をされている方は参加自体がとてもハードルが高いと思うのですが。
Y・T 会社員としてお勤めをされているかたは、土日を合わせて8日間が限度みたいなんですけれど、まあわたしは勤め先が音楽教室なので、会社員の方よりは大変ではないと思います。
-まわりの方や先生仲間の間で短期留学などに行かれる方っていますか?
Y・T 夏期講習とかで参加されている方はいましたね、確か。たくさんは聞かないですけれど。
-社会人の方に対してもプライベートレッスンをして下さる先生がいらっしゃるということが分かると、ぜひ行きたいって思って下さる方は多いのですけれど、自由にお休みが取れる方のほうが参加はし易いようで、そのあたりをこれからもっと上手にアレンジができたらいいなあと思っているのですが。
Y・T そうですね。他の方も来年も行きたいって言っていました!すごく楽しかったみたいです。普段は音楽関係のお仕事ではなく、一般企業で働いている方なので、すごく楽しかったって言って、参加して良かったみたいですね。参加の日本人4人でご飯を食べたりしていたんですけれど、日本人でも新しい友達ができてよかったです。
Y・T ありがとうございました。お世話になりました!
堀野開さん/ギター/バークリー音楽大学ギターセッションコース/アメリカ・ボストン
堀野開さんプロフィール
10歳頃ビリージョエル、クイーン、レッドツェッペリンを聞いて洋楽に目覚め、父親に基本的なコードを教えてもらいながらギターをはじめる。
高校入学後、約半年掛けてネットなどでバンドメンバーを捜し、現在のバンドReckless Rush を結成、活動中。
-では、自己紹介をお願いします。
堀野 堀野開(ほりのかい)です。17歳です。両親の影響でずっとロックを聴いていました。ギターは小学校5,6年生の時に父親から教えてもらいましたが、中学生になって本格的に自分で勉強しながら覚えました。現在、バンド活動をして1年ほど、ギタリストです。
-過去に講習会に参加されたことはありますか?
堀野 いえ、今回のバークリーが初めてです。
-今までに海外へ行かれた経験はありますか?
堀野 叔母がベトナムの方と結婚をして住んでいるので、ベトナムには3回ほど行っています。他は、英語の習得プログラムで10日間ほど、イギリスへ行きました。
-今回の講習会である「バークリー音楽大学ギターセッションコース」に参加されたきっかけを教えて下さい。
堀野 バークリー音楽大学のことは、好きなバンドのミュージシャンの出身校だったので知っていました。実はこのプラグラムについては、母がインターネットでみつけてきて僕に勧めたのです。勧められたものの費用もかかることですし、気軽には決められないと悩みましたが、行くことによって変えられることがあるかもしれないと、あらためて両親にお願いしました。
-実際に行ってみて、何か変わった事とかありましたか?
堀野 変わったと思います。今までの海外経験は周囲も日本人で安心でしたが、今回はすべて自分ひとりでこなさなきゃならない、今までとは違った経験でした。お陰で困ったときの対処方法もわかりました。アメリカはフレンドリーな国で気軽にしゃべりかけることが出来て良かったです。ギター面では、本場のミュージシャンの方たちとの交流がとても勉強になりました。
-参加者はどのくらいの人数ですか?
堀野 僕が参加したギターセッションで100人以上はいたと思います。
-参加者はアメリカの方がほとんどでしたか?
堀野 7割くらい、ほとんどがアメリカ人だと思います。あとはイギリスなどヨーロッパの人たちが多かったです。
-講習会のスケジュールは、どんな感じで組まれていましたか?

堀野 主に3つの授業に分かれていて、1つ目がコードの仕組みなど音楽理論に関する講座で、2つ目がセッションの授業でプロのセッションミュージシャンと合わせていきます。3つ目は自分が選んだ題材をもとに、みんなでリフを弾いたり仕組みの説明があったりする授業です。僕はクラッシックロックを選びましたが、各授業1時間半です。
-毎日そんな感じで授業があるのですか?
堀野 毎日あります。講習会のラストの日はセッションコンサートのライブが2時間目にあって、セッションミュージシャンとのリハーサルそしてライブと続きます。最後に奨学金の説明会がありました。
-セッションコンサートでは、ギター以外の生徒さんも参加されるんですか?
堀野 ベースやドラムはセッションミュージシャンの方が担当し、ひとりずつ必ずギターソロが出来るようになっていてアレンジをしていきます。クラス自体は5、6人です。
-かなり盛り上がりそうですね。
堀野 すごく盛り上がりますね、音に乗る、グルーブ感があって気持ちよくプレーが出来ます。
-他の参加者の方々は、やはりバークリー音楽大学に入学したい方がほとんどですか?
堀野 そうですね、バークリーに入りたい人が多いです。僕はイギリスの音大に入ってアメリカと比較してみたいとは思います。
-担当の先生はどんな方でしたか?
堀野 当然なんですが、3人ともすごく上手くてプロから先生になったような方ばかりだと感じました。英語に慣れていなかったので、音楽理論の授業は少し辛く感じましたが、セッションはとても楽しかったです。50代位の先生だと思いますが、とてもフレンドリーで、先生と生徒が対等な感じがいいなと思いました。
-セッションの授業で印象に残っていることはありますか?
堀野 特別な説明はなかったのですが、とりあえずみんなに任せるという感じでした。実際にプロのセッションミュージシャンと合わせることによって、グルーブの出し方をなんとなくつかめた感があります。
-そのグルーブというのは大切ですか?
堀野 はい。日本とアメリカでは随分違うしとても勉強になりました。
-授業以外では何をされていましたか?

-友だちはできましたか?また友だちとはどのように過ごしましたか?
堀野 同室の人とは友人になって、部屋でご飯を食べたり一緒にジャムセッションをしたりしました。
-楽しそうですね、街の治安はどうでしたか?
堀野 思っていたより良かったです。ホームレスの人たちも見かけましたが、大丈夫でした。
-滞在中、どこか遊びにいきましたか?
堀野 最終日の前日に、バークリーの生徒さんに(彼はプログラムの期間の案内役的な方でした)ハンバーガー屋で声を掛けられて仲良くなりました。ニューベリーストリートにある雑貨屋でおみやげを買ったり、向こうで友だちになった日本人と一緒に街で大きな楽器屋に遊びに行ったりしました。
-ボストンの中心街のダウンタウンは大きいですか?
堀野 通り自体は大きくないですが、店はたくさんありました。
-学生寮は快適でしたか?
堀野 僕自身は良くなかったです。ルームメイトと2人一部屋なので、なかなか自分の時間が取れなくて。
-設備的にはどうでしたか?

堀野 とてもシンプルでベッドと電気と机しかありません。洗面道具やタオルなど細々としたものは、自分で用意をして持ち込みをしなくてはなりません。不便なこともありますが、入寮した方がムダもなく友だちが出来ますよ。
-食事は学生寮で取られたのですか?
堀野 はい、時間が決まっていてバイキング形式です。朝は8時から10時までで、サラダやフルーツ、コーンフレイクなど意外にヘルシーでした。自分で選べるので良かったです。ハンバーガーやソーセージなども食べ放題でした。味は普通です。
-海外の人たちと上手く付き合うコツはなんでしょうか?
堀野 自分から話しかけることです。ずっとイヤホンをしていないで、自分から質問をして頑張って話かけることです。そして挨拶をすることです。
-素晴らしいですね。
堀野 自分から積極的に進んで行かないとダメです。せっかく両親が応援してくれるのだから、かけた費用以上のものを学びとって帰らないともったいないと感じました。
-逆に困った事はありましたか?

堀野 移動です。学生寮での必要な荷物が多くて、50キロ前後のキャリーケースとギターを入れたハードケースを両手に持って、空港からバスそして電車ととても大変でした。それにアメリカでは、日本のように運転手は待ってくれないし戸惑うばかりでした。とにかく、大きな荷物を持ってウロウロでしたね。でも親切な外国人の方がいたので、道がわからない時でもたくさん訊きました。とにかく、コミュニケーション能力を高めなきゃいけませんから。それから、学生寮ではインターネットが使えない環境なので、それも不便でした。日本のように自宅で道を調べることもできず、スターバックスまで出かけてやっとインターネットが繋がる状態でしたね。なので、プリペイド携帯の契約時にネット契約がオプションなどである場合は、しておいた方がいいです。
-参加して良かったことや、成長を感じた事はありますか?
堀野 ギターもそうですが、コミュニケーション能力が高まったように思います。自分でもとても積極的になったと感じます。音楽的にはアメリカのグルーブがとても勉強になりました。
-先生からはグルーブについて何か講義がありましたか?
堀野 特には言われなかったです。テクニックなどの理論は講義にありましたが、グルーブについては語らなくても体で感じるというか、体から出ているような、そんな感じでした。
-音楽以外に日本とアメリカとの違いで何か感じたことはありますか?
堀野 アメリカのいいところは、先生と生徒が対等な立場であることだと思います。日本は丁寧で案内なども親切ですが一方で時間に厳しくてきっちりとしていてますが、僕にはアメリカのラフなところが合っていると感じました。ただ、アメリカでは、電車やバスまた階段などの施設がアメリカサイズで大きいので、日本人には不便です。あと、運転も日本と違って荒くて大雑把だとは感じました。
-今後留学を考えている方に何かアドバイスはありますか?

堀野 積極的になることです。そして英会話も道の尋ね方など実践的なフレーズを覚えておくといいと思います。音楽的なことでは、日本の音楽だけにこだわらないで例えばロックでも海外の音楽をたくさん聴いていた方が、課題が出されたや友達との会話の時も困らないと思います。選択する音楽の種類にもよりますが、アメリカのロックはグルーブが優先です。僕は英米ロックしか聴かなかったからスムーズに溶け込みましたが、聴いていなかったら困ったかも。
-では最後に今後の活動の予定や目標を教えてください。
堀野 今のバンドはアマチュアですが精力的に活動しています。ただ今後は機会があれば、ベトナムに行って向こうでバンド活動をしてみたい、そして場数を踏んで将来的にはイギリスかアメリカ、フランスの音楽学校へ行きたいです。

大島莉紗さん/パリ・オペラ座/ヴァイオリン
大島莉紗さんプロフィール
桐朋女子高等学校音楽科卒業後、桐朋学園大学ソリストディプロマコース修了。文化庁在外派遣研修員として英国王立音楽大学大学院に留学...