正田彩音さん/ピアノ

正田彩音さんプロフィール
正田彩音さん/ピアノ
2002年より国内のコンクールを受け始める。
ピティナピアノコンペティション、ショパン国際ピアノコンクール in Asia、大阪国際音楽コンクール、国際ヤングピアニストコンクールなど数々の賞を受賞。
〈コンクール歴〉
青少年のためのラフマニノフ国際ピアノコンクール(14歳以下の部)
(ドイツ/2010年)
 
―今回受講したコンクールのお名前を教えてください。
 
正田  コンクール名は「ラフマニノフ国際ヤングピアニストコンクール」です。
 
―こちらのコンクールは、どういったきっかけで出場されることになったんでしょうか。
 
正田  先生が変わり、今までと違う奏法を勉強し始めたんですね。ロシアン奏法と言っていいのか分かりませんが、チャイコフスキーやラフマニノフなども勉強し始めたんです。ロシア系の作曲家は本人もとても好きでしたのでこのコンクールはどうかなと思いまして。たいしたきっかけじゃないんですけど(笑)・・・。
 
―いろいろコンクールもたくさんあると思いますが、特にこれを選んだ理由は何だったんですか。
 
正田  2年、3年おきに行われているコンクールが多く、ちょうどそのとき13歳だったので年齢的に大人でもないし、子供でもないし・・・そこに、たまたまロシア系のもので、一致したカテゴリーがあった事。それからロシアものなのにドイツで行われるという事。ドイツという国が経済的にも安定していて、いきなりロシアに行くというのも不安があったので…。本人の勉強しているもの、年齢的な時期と国の安定したところが一致したということで受けてみようかなと思ったんです。
 
―これはお母様がご自身でお調べになられたんですか。
 
正田  勿論私も調べたんですけど、親戚で英語の得意な者がいるので協力してもらいました。ここまでは本人はノータッチ…。で、「受けてみる?」と言ったら、「いいよ!」みたいな感じでしたね。なかなか海外のコンクールまで自分で調べて、これを受けようというのはこの年では出来ないんですよね。練習で精一杯で・・・。なので、本人は最初、何も知らず…。(笑)という感じでした。
 
―国内のコンクールでも、ご本人が受けたいというよりも、周りが「受けますよ」という感じですか。
 
正田  舞台で弾くのは小さい頃から好きで、年少さんの時からコンクールを受けていました。むしろ「受けたい!」という感じでしたね。毎年コンクールに出るというのは彼女の中では常になっていて「ことしも!」という感じだったんですが、毎年受験していたコンクールのカテゴリーと本人の年齢がだんだん合わなくなってきて…。例えば1、2年生の部、3、4年生の部、5、6年生の部と2学年ずつにカテゴリーが分かれている場合、毎年受けるとすると、1年生のときにその部を受けたら、2年生のときはその上のカテゴリーで受ける事になります。すると飛び級、飛び級になっていって実際5年生の時に「中学2年生以下の部」で受験することになりました。それ以上になると高校生の部になってしまうので・・・。そのような事と先生が変わり奏法が変わったというのもあり、少し期間を置いて新たに違う奏法で試してみたいなというのがあったんです。
 
―今回、そのラフマニノフの国際ピアノコンクール自体は初海外のコンクールだったんですか。
正田彩音さん/ピアノ
正田  国内で行われている国際コンクールというのは何度か受けたことがあったんですが、海外での国際コンクールはこれが初めてでした。
 
―すごく心配なこととかはありましたか。
 
正田  英語圏じゃなかったというところです。ロシア領事館というところが主催した、ロシア主催のドイツ国で行われるコンクールだったので、もとのアプリケーションがロシア語、若しくはドイツ語なんですね。それが英語に訳されて…。という感じでしょうか。英語版とドイツ版の同じ箇所を見比べるとどう見てもドイツ語版のほうが行数が多いんですよ(笑)。英語版になってくると、「あれ?」って。それで、アンドビジョンさんにお願いして、よくひもといていくと、英語版よりドイツ語版のほうが詳しく細かな事まで書かれていて…。そういうところがすごく不安でした。主人は英語ができるので、英語圏だったらそんなに困らなかったかなとは思うんですけど…。
 
―特に心配だった点というのは、要項の中でもどの点ですか。練習室とかですか。
 
正田  練習室もそうですけど、まず一番最初は書類審査。プロフィールを書く時点から、今までと違って年代を大きい方からに書くんだという事もアンドビジョンさんに教えて頂き、バイオグラフィーでは「自分はこんなに凄いんだ!」と言う事を書くのですが、これも「ページ一杯に沢山書いて下さい」 とアドバイスを頂いたのでここぞとばかり娘を褒めちぎりました。(笑)
選曲に関しても、ドイツ語から英語に直して要項を読んでいくと、分からないことが出てきて…。違ったものを弾くと失格になっちゃいますので…。結構規定があって、例えば「チャイコフスキーを選曲に入れる事」 とあったんですが、ただ入れると言っても、組曲からの抜粋はOKなのか。とか繰り返しは自由でいいのかなど日本と違うかもしれないので、全部質問して頂いたんです。その内容がうまく伝わらず、しつこく何回も細かいニュアンスをアンドビジョンさんから先方に聞いて頂いたのが一番助かりましたね。その他、現地での通訳はどうするか、練習室は確保できるのか など心配な事は結構ありました。
 
―確かそうでしたね。結構、返ってくる返答が毎回おおざっぱでしたよね。
 
正田  そうなんです。OKとか(笑)。どこがOKなのかというのをもう一回聞くのは、個人だとちょっと聞きにくいじゃないですか(笑)。だから、きめ細やかなところをアンドビジョンさんに取り持って頂いたというか…(笑)。何回も、「この場合はいいんですか」、「これを入れたほうがベターなんですか」というような・・・。入れたほうがいいのか、入れなきゃいけないのかとかいう、日本語でもちょっと複雑なことになるとドイツ語、ロシア語では到底無理だったのでそこが一番大変でしたね。
 
―コンクールを受ける際に、先生とか周りの方とかにいただいたアドバイスで一番役に立ったことは何かありますか。
 
正田  個人的に見つけてきたコンクールだったので先生からは特に言われなかったんですが、私たちが読んだインビテーションには基本的な集合時間が書いてないんですよ。「ぼちぼちだよ」というのをドイツにいる知人から聞いたんですけど心配なので朝9時にはホールに行ったんですが、来ていたのは29名中私たちを含め数名。ポツポツと集まりだして、結局、お昼の12時過ぎに主催者が、悪びれなく「Hi!」って来ました。(笑)日本じゃあり得ないですよね。分単位で練習時間が決まってたりするのに・・・。知人の言った「ぼちぼち始まるんじゃない」という言葉は当たりでした。・・・。その始まり方がなんともアバウトで・・・(笑)びっくりでした。アジアの方とかは結構早く来るんですけど、皆さん慣れているのか、もっと秘密の要項があるのか(笑)。いつも集合場所に早く来る人は決まっていて、ウクライナの男の子とは毎回始めに顔をあわせて何時間も一緒に待ってました。
 
 
―ほかの国の人とかはゆっくりな人はゆっくり来ていましたか。
 
正田  何となく、大体集まってくるんですよね。トップの方がロシア語しか話せなくて、ロシア語で始まったんですけど、ちんぷんかんぷんで・・・。その後にちょっとドイツ語で訳してはくれるんですが…。アンドビジョンさんからお聞きしていたのが、英語を話せる人もいると思うけれど、1名とかかもしれないので、対応がどうでしょうかというところだったので、主人に頼って行ったんですが、こちらから「すみません!」と進行をストップさせ「英語で訳してください」と言わない限りそのまま進行していってしまいました。・・・。かなり積極的にいかないと。例えば入賞したときにも、自分の名前を呼ばれたことさえ分からなくて、“あやね しょうだ“と呼ばれるところが、「ヨワンナー」「ショラー」とか言われたんですよ。ヨワンナという子がいるのかなと思ったら、後ろから「あなたよ」と言われて、やっと入賞したのが分かりました。名前を呼んでくれたのがロシアの方だったので…。行くまでも不安はたくさんありましたし、向こう行ってからは、英語ができる人たちを自分たちで見つけて、積極的にその人を追って質問をしていかないと、何をしたらいいのか、どこで練習したらいいのかというのが、なかなか分からなかったですね。多分、通訳を付ける人もいるんでしょうが、実際始まるのが何時からなのかも分からなかったぐらいなので、何時間通訳の方を拘束し、どのくらいの通訳料がかかるのか見当もつかず、お願いしませんでしたが、それで良かったのか悪かったのか…という感じです。
 
―日本とは全く別で、ある意味、ストレスが多いという感じですか。
 
正田  もちろんその国の言葉が分かればストレスは軽減すると思います。今回良かったのは、何カ国語も出来るコンテスタントのお嬢さんとお友達になり、ロシア人の彼女に主催者が言ってることを英語に訳してもらったことです。勿論ずっと彼女にくっついているわけにもいかないので彼女が弾き終わったあととか、たまたま近くにいてリラックスしている時にですが…。他のコンテスタント達も皆英語は分かるので待っている時などは彼らとも随分話しをして楽しむ事ができました。フランクフルトの街中でも10人中9人は英語がokでしたので、困ったのはコンクールに関してロシア語が分からない
という事でしたね。
 
―積極性が求められますか。
 
正田  そうですね。分からないことがあったら、自分から聞きに行かないと・・・。向こうの人もすごかったですしね。ちょっとびっくりしたのは、ぞろぞろと皆が集まって来て、主催者が「これから始めるよ」と…。「この帽子の中に数字の書いた紙が入っているので、それを一人ずつ引いてくれ」という感じで、「遠いアジアから来たあなたが最初に引いていいよ!」と・・・。考慮してくれたのでしょうか(笑)。それで「紙に書いてあった番号の練習室に行きなさい」ということなんです。すると急にあるプロフェッサー風のお母様が怒り出して・・・。多分ですけど、「うちの娘がこんな練習室で笑っちゃうわ」みたいな・・・主催者に向かってすごく怒っているんですよ。どうもアップライトの練習室にあたっちゃったみたいなんです。みんなの前でも構わずオーバーアクションで怒鳴っていました。日本人だったら、ちょっと審査に影響しちゃうかなとか、あたってしまったものは仕方ないとか思うのでしょうが…。そういうのがちょっとおもしろかったです。黙ってはいないんですね。後になってお話してみたらとてもフレンドリーな良い方でしたが…。
 
―練習室の環境はどうでしたか。
正田彩音さん/ピアノ
正田  練習室自体は、本番前の30~40分間与えられたと思います。それは良かったです。事前にアンドビジョンさんにお願いしていた練習室もあるんですよ。そこは、フランクフルト駅のすぐ前で、ジャズのスクールだと聞いていたんですね。実際、行く前は「アップライトだと思います」ということであまり期待しないで行ったんですが…。日本と違って、大きい「何とかスクール」とかいう看板が出ていないので、どこかなと思いながら探していると、怪しげな男の人が立っていたので怪訝な顔で対応したら、そこのジャズスクールのお兄さんで(笑)。入り口で待っていてくれたんです。何とその日は貸し切りで、グランドピアノが置いてある30畳ぐらいのとても良い部屋を貸して頂けました。思ってたよりもずっと良い練習室が使えたので、すごくラッキーだったと思います。フランクフルトに着いた日が4月6日だったのでちょうど復活祭にあたっていたんです。人っこ一人いないというか、お店も全部閉まっていて、だからかもしれないですね。どこに聞いても練習室は多分確保できないよという感じで行ったところ、多分そのお兄さんはお休みなのに来て下さって鍵を開けてくれ、2時間、3時間、ずっと待っていてくれて…。有り難かったです。
 
―講習会で用意してくれてる練習室というのは、事前の審査の直前とかそういったときですか。
 
正田   個別に、練習室で 審査前30~40分と、直前に実際に弾く会場で10分位弾かせてもらったと思います。
 
―コンクールでの練習時間というのはあまりなかったんですか。
 
正田  そうですね。でも、日本だともっと少ないところもありますし、それに比べれば割と弾けました。本番で弾く会場でも少し弾くことができましたし・・・。直前に本番用のピアノを触らせてもらえたので、そこはむしろきちんと時間を取ってくれているなという感じがしました。
 
―実際のところ、何名ぐらい受けられたんでしょうか。
 
正田  書類選考の段階で何人応募してどの位受かったかは分からないのですが、実際ファイナルに残ったのは、私たちが受けたカテゴリーで14カ国から集まった29名でした。A、B、Cのカテゴリーがあって、Aの14歳未満というところを受けたんです。Bが15~17歳、Cが18~20歳なんですが、A、B、C全部のカテゴリーで20カ国から集まってましたね。Aカテゴリーだけだと14カ国中一番多かったのがロシアの方達でした。
 
―審査自体は何日にも渡って行われたんですか。
 
正田  Aカテゴリーは2日間で済みました。それが終わって、最後に入賞者がセレモニーで弾くんです。だから、最後まで帰国せず、必ず残って弾いてくださいということでした。
 
―セレモニー自体はA、B、C全部終わってからという感じですか。
 
正田  カテゴリー別に行われましたが、演奏は勿論チッケトを買えばどのカテゴリーの演奏も聴けるようになっていました。
 
―ご覧になられていて、日本と海外で審査のやり方が違うなと感じられたことはありましたか。
 
正田  審査自体の大きな違いはありませんでしたがコンテスタントの見せ方というか舞台上の意識が日本の方と少し違うような感じはありました。平たく言うと強いというか(笑)。プロのように自信に満ちた感じで登場するので…。お辞儀の仕方も、日本のコンテスタントはどちらかというとどうぞ聴いてください。というようにゆっくりと丁寧にお辞儀をするのにロシアの女の子たちは、首だけをカクンと下にやっただけで、聴かせてあげてもいいわよ。という感じ(笑)。誰が偉いのか分からない感じでした。(笑)。審査自体は特に日本と変わらないと思います。日本にも海外の審査員の方がたくさんいらっしゃるのでそれほど驚くことはなかったです。ただ審査中後ろから見ていても審査員がのってるか退屈してるかはすぐに分かりました(笑)。
コンテスタントはヨーロッパ勢が多くて、私たちアジア勢は、日本と、中国、それから台湾の3国ぐらいだったんですね。目立つせいか凝視されましたね(笑)。「そんなに見なくても…。見たことあるでしょう?」みたいな感じで(笑)。私はCカテゴリーのコンテスタントと間違えられて、しつこく「何を弾くんだ」と聞かれたり…(笑)。日本の方は本番前は精神統一するか、黙って手を動かしたりしてますけど、ヨーロッパの方々は「僕はこの曲を弾くんだ」というふうに公言してきたりするんですね。すごいなと・・・。コミュニケーションの仕方の違いでしょうか…。だから、待合室の感じはちょっと違いましたね。ピリピリもしているんですけど、日本の待合室みたいにシ~ンとしてないんです(笑)。会場練習のときも、次の人が入ろうとしたら「あなたに入ってほしくない。出てください!」とシャットアウト。あまりにもはっきり言うのには驚きました。練習時間が過ぎて係の人が止めても全然平気で弾いているし…。「あなたは十分に弾いている!」とか言われてるのに全然平気で…(笑)。でも驚いてばかりはいられないですからね(笑)。
 
―そんな中で彩音ちゃんはどういうふうに自分を保っていましたか。
 
正田  まわりの事は気にしないでいつものように自分の時間を過ごしているという感じでした。ずっとイヤホンで何か音楽を聴いていたんですよ。他の人から見るとストイックに眉間にしわ寄せて聴いているし、絶対にコンクールの曲を集中して聴いているんだと思うじゃないですか。そしたらアニメのテーマを聴いていたとか・・・。難しい顔してたのはパート別に分けて聴いていたからだそうで…(笑)。コンテスタントだと思われてなかったみたいです。一緒に来ていた弟ぐらいに思われていたみたいで…。何せ私がコンテスタントに間違われるぐらいですからね(笑)。皆さん大人っぽいんですよ。なので彩音の事を意識してる人はいなかったですし、彩音も全然気にしていなくて、自然体でした。
 
―煩わされずに・・・。逆にすごくいい方向だったんですね。
 
正田  そうですね。言っていることも分からなかったので、適当にやっている感じでしたね。
 
―海外でコンクールを受けてみて、彩音ちゃんの演奏が変わったなとか、心境が変わったなということは何かありましたか。
 
正田  本人が言うには、国内でも海外でも気持ち的にはあまり変わらないそうです。ただ、日本の場合は待っているときもシーンとしていているので、他人に何か影響を及ぼされるということはほとんどないんですね、自分さえしっかり集中していたら。でも海外では今回のように、いろいろ話しかけられたりすることもあるし・・・。同じカテゴリーを受ける女の子が「私はこのコンクールをとてもいいものにしたい。私はこのコンクールにかけている。」というふうに言ってきたんですが「あんなこと言ってきた!」なんて、動じちゃうような子はちょっとどきどきしちゃうかもしれないですね。
 
―なるほど。割と肝が据わった感じの方のほうがいいという感じでしょうか。
 
正田  そうなんですかね。気にしないことだと思います。いつもの自分を出すことができればベストなので。
 
―実際に受けてみて、海外コンクールに対するイメージが変わったとかいうことはありますか。
 
正田  受けるまでの書類の書き方などで、逆に日本のコンクールのきめ細やかさというのを改めて感じました。日本のように待っているだけでは、そこまでたどり着けるかどうか・・・というところなので、分からないことはどんな手段を使っても解決しないといけないと思いました。自分で出来なければアンドビジョンさんみたいなところに頼んだりして、正しい情報を入手しないと、間違っていることもありますし・・・。実際、写真も英語版では2枚用意と書いてあったのが、ドイツ語版では3枚と書いてあったのでそれを調べてもらったら、これはやっぱり訂正ですと・・・。そういう類いのことは多々あるので、日本のコンクールのようなきめ細やかさは期待できないです。行ってみなければ、練習室もあるかどうかは分からないし…。あなたのことを気に入ったら貸してあげるよという感じの時もあるそうです。
 
―怖いですね。
 
正田  だから、最悪練習する場所が無くてもいつでも弾ける状態にしとかなきゃいけないですね。あったらラッキーぐらいに思っておかないと…。
 
―本当に日本とは違うということですね。
 
正田  そうですね。日本とは違いますね。
 
―今回、このコンクールを受けてみて、将来こうしたいとかそういったものを見えてきたとかいうことはありますか。
正田彩音さん/ピアノ
正田  これは本人というより、私が思ったことなんですけども、日本では割と選曲に対して慎重に年齢相応の楽曲を選ぶケースが多いように思いますが、今回、皆さんの選曲の難易度があまりにも高くてびっくりしましたね。子供がこんなの弾いていいのかなという選曲で皆さん来られていたので・・・。考え方の違いだと思うんですけど、技巧的に弾きやすい曲でも、精神的、音楽的に完成度高く仕上げてもってくるか、又は逆に難易度を高くして技巧を見せるのか…。今の時点ではどちらがいいのか分かりませんが、実際1位になった中国の方は、すごく難しい曲を持ってこられてたんですが、それがまた上手なんですよね。音質とか音楽的とかそういうことよりも、ぐんぐんと押してくるタイプの演奏だったように思います。コンクールによっても年齢によっても審査基準は少し違ってくるとは思うんですが、圧倒されましたね。選曲もよく練られていておもしろかったです。
 
―技術面というか、技巧的なところが評価されるような感じですか。
 
正田  勿論、音楽ですので技巧だけでもだめですよね…。難しいところですね。今回は皆さん思ったよりも難易度の高い曲を持ってこられてたので、結構技巧重視なのかなと思ったりもしましたけど、そこの兼ね合いがコンクールによっても違いますし、あとはジュニア部門というのがあると思うんです。勿論大人と同じ曲を弾いても大人には敵いませんが、将来を見越して…。みたいなところもあるんでしょうか…。
 
―なるほど。
 
正田  難しいエチュードがやっと弾けた!と思っても向こうへ行くとまだまだ…(笑)。
 
―英才教育みたいな感じですか。
 
正田  そうですね。そういう感じでした。ご両親も音楽大学の教授という方が多かったです。
 
―その中で戦うのも大変ですよね。
 
正田  別の角度から見てもらうしかないですね(笑)。
 
―これまでのコンクールで知り合った人と今でもお付き合いがありますとかいうつながりはありますか。
 
正田  コンクールが終わって帰国後すぐに、授賞式の模様を撮ったビデオを送った人はいるんですけどお返事が返ってくるということはなく、未だに、うんもすんもありません(笑)。頼まれたから送ったのですが…。
 
―届いたんでしょうかね。
 
正田  そうですね。どうなんでしょうね。それさえも分からなかったんですけど・・・(笑)。ドイツの方でしたからね。届くと思うんですけど。他の用件でドイツ在住の日本の方に送った時には届きましたから(笑)。おしゃべりしてるときはとても感じがいいんですよね(笑)。おもしろいですよね。だから、いちいちかっかしているとだめですね(笑)。ドイツの方が皆さんそうではないですから。
 
―今後、挑戦してみたいコンクールとかはありますか。
 
正田  ちょうど年齢がジュニアからシニアに変わる時なんですね。そうなると持ち曲も少ないし大人の方と一緒となると難しいですね。まず勉強してからです。
 
―今後、コンクールを受ける方にアドバイスがあれば一言お願いいたします。
正田彩音さん/ピアノ
正田  良かったのが、自分たちで、調理もできるキッチン付のホテルを予約したんです。たまたますぐ近くに新しくスーパーマーケットがあって…。そこがすごく大きいところで何でも揃ってて。食事に関してはコンクールが終わるまで自分たちの食べたい食事ができたということです。日本のようにすぐにコンビニがあるわけでもないし、自動販売機もないですし、飲み物の確保などにも気をつけました。多少の食料と飲み物はいつも持ち歩いていると安心だと思います。
 
―お食事も体調管理という点でも大事ですよね。お部屋で自炊をされていたんですか。
 
正田  そうです。コンクールまでは部屋で食事をして、終わってから街へ行ってその地のものを食べました。
 
―ありがとうございます。アンケートになるんですが、前回ご利用いただいたサポートに加えてもっとこういうのがあればいいなとかいうものがあれば、今後の参考に聴かせていただきたいのですが。
 
正田  すごくよくやって頂きました。対応も早くてものすごく助かりました。初めのVHS,DVDの審査でリージョンフリーというのがあったんですが、それについての対応が誰も分からなくて、不安に感じた事ぐらいです。結局は平気だったんですけどね…。またこの語学とは違うところの心配ですよね。それくらいです。
 
―今後もまたご協力いただくかも分かりませんが、よろしくお願いします。きょうはお時間ありがとうございました。
 
正田  いえ、とんでもないです。ありがとうございました。
 

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